オリゲネス · Origen
『マタイによる福音書』古注
Scholia on Matthew
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底本
Origenes. Origenis Opera Omnia, Volume 7 (Patrologia Graeca, Tomus 17). La Rue, Charles de, editor; La Rue, Charles Vincent de, editor. Paris: J. P. Migne, 1857.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
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要旨
本書は、新約聖書の『マタイによる福音書』の重要な箇所に対して、神学的かつアレゴリー的(比喩的)な解釈を施した註解(スコリア)集です。キリストの誕生における神性と人性の結合に関する緻密な分析から始まり、山上の垂訓や様々なたとえ話が含む深い霊的真理が解き明かされます。特に「隠された宝」や「ぶどう園と小作人」、「十人の乙女」といったたとえ話は、教会の指導原理や信徒の徳の獲得、魂の感覚になぞらえて解説されています。さらに、キリストの受難における総督ピラトとの対峙や十字架の超自然的な暗闇、そして復活後の全能の権能と三位一体の神性についても釈義が及びます。全体を通じて、テクストの文字通りの意味を超えて、救済史における隠された神的計画を明らかにし、読者に信仰と理性の統合を促す一書となっています。
目次
13 チャンク
引用方式:chapter.verse
- §1.18
キリストの誕生と生成の相違および受肉の意義
マタイによる福音書1章18節の「誕生」と冒頭の「生成」の神学的な相違を分析し、キリストにおける神性と人性の結合を言葉の書記化に例えて説明するとともに、キリストの誕生の二重性を論じる。
- §7.5-7.9
祈りと探求による徳の獲得と神の善き賜物
マタイ福音書の山上の垂訓の「聖なるものと犬・豚」、「求めよ、そうすれば与えられる」の箇所を注解し、祈りや知的探求による徳の獲得を段階的に論じる。さらに、子を想う父親のたとえ話に基づき、知識が魂の食べ物であることや、神が与える善き贈り物としての聖霊、そして自発的な悪の積み重ねが本性となってしまう存在について釈義する。
- §8.11
狭き門と天の国に入る多くの異邦人
著者はマタイ8章11節を引用し、狭い門を通る者が少ないという教えと、多くの異邦人が天の国に入るという預言との整合性を論じ、後者がユダヤ人の不信仰との対比において数多くの救われる異邦人を指していると解釈する。
- §11.11-11.12
天の国でより小さい者としてのキリストの解釈
マタイによる福音書11章11-12節の釈義。天の国で「より小さい者」とはキリスト自身を指すという神学的解釈を提示し、適切な文の区切り方と天の国の本質について解説する。
- §12.14-12.15
ファリサイ派の殺害計画とイエスの退避
ファリサイ派がイエスを殺す陰謀を企てたことに対し、イエスがその悪意を避けて立ち去り、奇跡を行って全能の力を示しつつも謙遜にそれを隠されたことを解説する。
- §13.44-13.47
隠された宝と真珠と地引き網の比喩の霊的解釈
マタイによる福音書13章の「隠された宝」「真珠」「地引き網」のたとえ話について、畑を聖書やキリスト、真珠をキリストの知識、地引き網を聖書の言葉や使徒の教え、そして世の終わりにおける裁きとして霊的に解釈・解説している。
- §18.5-18.21
つまずきへの警告と信徒の受け入れと許し
マタイ福音書18章5-21節の御言葉に基づき、信者を謙虚に受け入れることの重要性とつまずきに対する厳しい警告、二人または三人が集まることの霊的解釈(体・魂・霊などの三重構造や二つの契約)、そして悔い改める者に対する無限の許しの必要性について注解している。
- §21.33
ぶどう園と小作人のたとえのアレゴリー的解釈
マタイによる福音書21章33節の「ぶどう園と小作人」のたとえについて、ぶどう園をイスラエル、垣を律法、搾り場を祭壇、塔をシオンや天とし、農夫たちをユダヤ人の指導者、旅に出た主人を神、僕たちを歴代の預言者に見立てるアレゴリー的な釈義を提示している。
- §24.45
忠実で賢い僕の解釈と指導者の務め
マタイによる福音書24章45節の「忠実で賢い僕」について、それが究極的にはキリストご自身を指していること、そして教会における指導者や神から委託を受けたすべての人に求められる美徳を説明している。
- §25.1
十人の乙女のたとえの寓喩的解釈
マタイによる福音書25章1節の十人の乙女の譬えについて、乙女を魂の十の感覚とし、灯火と油を徳と理性(知識)になぞらえるアレゴリカルな初期キリスト教注解を示す。
- §27.11
ピラトの審問とバラバの名の意味
イエスが総督ピラトの前で「ユダヤ人の王」かと問われ、沈黙を保ちつつも肯定を仄めかしたこと、また古い写本において強盗バラバも「イエス」と呼ばれていたことの意味、そしてピラトの妻に下された夢の神秘的な解釈が論じられている。
- §27.45
十字架刑の際の暗闇とその霊的意義
キリストが十字架にかけられた際に生じた暗闇が、旧約の預言や異教の哲学者フレゴンの証言によっても裏付けられる超自然的な出来事であったことを解説し、その霊的な意義を説明する。
- §28.18
キリストに与えられた権能と三位一体の実体
マタイによる福音書28章18節の「権能が与えられた」という記述を、キリストの受肉と神性の両面から注解し、三位一体の神の本質と、肉体を持たない神の位格的出生について論じる。
