オリゲネス · Origen
アフリカヌス宛書簡
Letter to Africanus
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底本
Origenes. Origenis Opera Omnia, Volume 1 (Patrologia Graeca, Tomus 11). La Rue, Charles de, editor; La Rue, Charles Vincent de, editor. Paris: J. P. Migne, 1857.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
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要旨
本作は、初期キリスト教の神学者オリゲネスが、友人ユリウス・アフリカヌスからの書簡に答える形で執筆した神学的な手紙です。議論の中心となるのは、ギリシア語聖書(七十人訳)のダニエル書に収録されているものの、ヘブライ語聖書には存在しない「スザンナの物語」などの正統性です。オリゲネスはまず、ギリシア語写本とヘブライ語写本の間に存在する多くの相違点を挙げ、教会における聖書テクスト研究の重要性を説きます。続いて、スザンナの物語がヘブライ語で成り立たない言葉遊びを含んでいるという批判や、捕囚期のユダヤ人の社会的状況に関する不自然さといったアフリカヌスの疑念に対し、ヨブ記、トビト書、歴史的事実などを引き合いに出しながら精緻な反論を展開します。最終的に、ユダヤ人の指導者たちが不都合な記述を排除した可能性や、神の霊感の現れ方の多様性を論じ、教会が用いる聖書の信憑性を擁護して手紙を締めくくります。
目次
8 チャンク
引用方式:epistle.paragraph
- §1.1-1.2
スザンナの物語とダニエル書補遺の真偽
オリゲネスはアフリカヌスからの書簡に答え、ダニエル書のスザンナの物語や他の追加部分の真偽について議論し、ギリシア語写本とヘブライ語写本の相違を指摘する。
- §1.3-1.7
ヘブライ語本文と七十人訳聖書の異同の例証
オリゲネスは、ヨブ記、エレミヤ書、創世記などを例に挙げ、ヘブライ語写本とギリシア語写本(七十人訳等)の間には多くの追加や欠落などの相違が存在することを指摘する。彼は、教会への配慮とユダヤ人との議論での備えのために、これらの相違を深く研究し理解することの重要性を説く。
- §1.8-1.10
スザンナの言葉遊びへの反論と長老たちの伝承
オリゲネスは、スザンナの物語にあるギリシア語の言葉遊びがヘブライ語で成り立たないというアフリカヌスの批判に対し、ヘブライ語での語彙が不明確であるとして疑問を呈し、さらにヘブライ人の伝承を用いて物語の長老たちがエレミヤ書などの預言とどのように一致するかを解説する。
- §1.11
ユダヤ教指導者による聖書記述の隠蔽と正典外伝承
オリゲネスは、スザンナの物語がヘブライ語聖書に含まれていないのは当時の指導者たちが自分たちに都合の悪い記述を意図的に排除したためであるとし、イザヤの殉教やイエス、ステファノ、パウロによる非難の言葉を証拠に挙げて、正典外に真実の歴史が伝わっている可能性を論じる。
- §1.12
ヤコブの例に見る預言者への多様な神の啓示方法
ダニエル書には他の預言書のような霊感が描かれていないというアフリカヌスの批判に対して、オリゲネスは聖書が語るヤコブの多様な神体験(夢、顕現、霊感による預言)を引用し、同一の聖者が多様な方法で神の言葉を受け取ることは一般的であると反論する。
- §1.13
スザンナの審問とソロモンの知恵の裁判の比較
オリゲネスは、アプリカヌスによるスザンナ書の言葉遊びへの嘲笑を引用し、ソロモンの知恵の裁判(二人の遊女の争い)との類似性を示すことで反論します。彼は、神の知恵の現れには単なる霊感だけでなく、当事者の矛盾を直接暴くプロセスが必要不可欠であったと論じます。
- §1.14-1.16
捕囚期のユダヤ人の自治と裁判権についての弁駁
オリゲネスは、アフラカヌスが提起したスザンナの物語における語彙の対応や、捕囚期におけるユダヤ人の裁判権や富(ヨアキムの庭園など)についての疑念に対し、トビト書やネヘミヤ記などの聖書の記述およびローマ支配下のユダヤ人の実情を挙げて反論する。
- §1.17-1.18
預言者相互の引用と文体の弁護および結びの挨拶
オリゲネスは、預言者たちが相互に他の預言者の言葉を引用している例を提示してアフリカヌスの主張に反論し、さらにスザンナの物語の文体の差異を否定して、協力者アンブロシオスらの挨拶を伝えて手紙を締めくくる。
