底本
Eurpides Epistulae. Epistolographi Graeci. Hercher, Rudolph, editor. Paris: A. F. Didot, 1873.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
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要旨
本作は、アテナイの悲劇詩人エウリピデスが、マケドニアのアルケラオス王の宮廷に赴いた時期を背景に、友人や王へと宛てて綴ったとされる書簡集です。書簡の中で筆者は、他者からの多額の資金や贈り物を辞退し、自足(アウタルケイア)の精神を重んじる自身の倫理的態度を繰り返し強調します。また、同時代の劇作家ソポクレスの海難事故を見舞い、彼の無事を喜ぶといった、アテナイの知識人同士の連帯も描かれます。さらに、アルケラオス王に対しては、学者や芸術家を厚遇する人道的な支配者としての統治を称賛します。後半では、老境にあって富を求めてマケドニアに下ったという世間の批判に対し、金銭欲や権力欲を否定し、高潔な動機から宮廷に滞在していることを強く弁明しています。
目次
6 チャンク
引用方式:epistle.section
- §1.1-1.2
資金返還の理由とペラの若者の釈放嘆願
著者が送り主からの資金を返還した理由を、虚栄心ではなく自足の精神と相手への配慮からだと説明し、次いでペラの若者たちを釈放するよう懇願する。
- §2.1
ソポクレスの海難事故への見舞いと帰還の勧め
ソポクレスがキオスへの航海中に遭った海難事故に対して見舞いの言葉を述べ、彼の生存を神の配慮として喜び、劇作品の損失を慰めつつ、安全な帰還を促す。
- §3.1-3.2
ペラの老人の息子救出に対する王への感謝
ペラ出身の老人が息子たちを伴ってアテナイの筆者のもとを訪れ、王の慈悲深い配慮によって息子たちが救出されたことに感謝している様子を報告する。筆者は、王のこの善行が双方の期待に応えるものであったことに深く感謝の意を表している。
- §4.1-4.4
アルケラオス王の善政と人道的な支配への称賛
筆者はアルケラオス王に対し、恵まれない人々やギリシアの学者・芸術家を厚遇し、国家を賢明に治めていることを称賛している。また、権力を善行と人道的な支配のために用い続けるよう勧め、それが後世の名声につながると説く。
- §5.1-5.3
ケピソポンへの近況報告と蓄財の批判に対する反論
ケピソポンに対し、マケドニアでの快適な暮らしとアルケラオスらの手厚いもてなしを伝えるとともに、周囲の批判や「老境の身で富を求めた」という誤解に反論する。
- §5.4-5.6
アルケラオスの贈り物の辞退とソポクレスとの和解
筆者がアルケラオスからの高額な贈り物を拒絶し、他の贈り物はすべてアテナイの友人に送った事実を伝える。また、自身の動機が金銭欲や権力欲ではなく、アテナイでも既に影響力を持っていたこと、そしてソポクレスとの和解と彼を取り巻く陰謀について弁明する。
