底本
Bacchylides. The Poems and Fragments. Jebb, Richard C., editor. Cambridge: Cambridge University Press, 1905.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
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要旨
本作は、古代ギリシアの四大競技会(オリンピア、ピュティア、ネメア、イストミア)における勝者たちを称えるために作られた合唱抒情詩(祝勝歌)集です。詩人はシラクサの僭主ヒエロンや、自身の故郷ケオス島、アイギナなどの競技者たちの栄誉ある勝利を活き活きと歌い上げます。各詩は、現実の勝利者の称賛から出発し、アポロンに救われたクロイソス王や、冥界でのヘラクレスとメレアグロスの対話、トロイア戦争の英雄アイアコスの系譜といった、豊かな神話的エピソードへと展開していきます。作品全体を通じて、人間の生命や運命の儚さと、卓越性(アレテー)がもたらす永続的な価値が対比されます。そして、神々への敬虔さと、定命の優れた人間の功績を不滅の記憶に変える「詩歌の力」が、力強く肯定されます。
目次
16 チャンク
引用方式:poem.line
- §1.1-1.184
ミノスとケオスの神話およびアルゲイオスの勝利
ミノス王がケオス島を訪れてデクシテアを娶りエウクサンティオスが生まれた神話を語った後、勝利者アルゲイオスの家系を讃え、富に勝る徳(アレテー)の永続的な価値について論じる。
- §2.1-2.14
ケオス島に届くアルゲイオスの勝利の報
アルゲイオスがイストミア競技会の拳闘で収めた勝利の報が、擬人化された「噂」によって彼の故郷ケオス島へともたらされる。地元のミューズやアウロスの音色とともに、彼の勝利と一族の栄光が讃えられる。
- §3.1-3.98
ヒエロンの勝利と救われたクロイソスの神話
ムーサに対するヒエロンとそのオリンピア祝勝馬の賛美、デルポイへの寛大な寄進が歌われ、敬虔さゆえにアポロンに救われたリディア王クロイソスの神話が語られます。続いて、人生の儚さと徳の不滅性、そして詩歌がもたらす不朽の栄光がヒエロンへの称賛とともに提示されます。
- §4.1-4.20
ヒエロンのピュティア競技における三度目の勝利
詩人はヒエロンがピュティア祭で3度目の勝利を収めたことを称え、アポロンの加護とヒエロンのこれまでの偉大な栄光を讃える。
- §5.1-5.103
ヒエロンへの賛美と冥界のヘラクレス
詩人はシラクサの僭主ヒエロンに讃歌を捧げ、自身の詩才を空を飛ぶ鷲に例える。その後、名馬フェレニコスの勝利を称え、さらにヘラクレスが冥界でメレアグロスの亡霊と出会う神話へと語り進める。
- §5.104-5.200
メレアグロスの悲話とヒエロンの勝利への祈念
メレアグロスはヘラクレスにカリュドンの猪退治と自身の死を巡る運命を語り、深く同情したヘラクレスは彼の妹を妻に望む。続いて詩人は再び現実のヒエロンへの讃美に戻り、勝利と平和の継続を祈念して歌を結ぶ。
- §6.1-6.16
ラーコーンのオリンピア短距離走での勝利
ケオス島出身の陸上選手ラーコーンが、オリンピア競技会のスタディオン走(短距離走)で獲得した勝利を祝福し、彼の故郷ケオスの栄光の歴史を讃える。
- §7.1-7.11
競技の日への賛辞とラーコーンの栄冠
詩人は、オリンピア競技会の開催日を「時と夜の娘」として讃え、彼女が勝者ラーコーンに勝利の栄冠を授けたことを歌う。
- §8.17-8.32
ラーコーンの数多の勝利とゼウスの加護
詩人はラコンの少年期から成人期にかけての比類なき勝利数を称えることを誓い、ゼウスが彼の祈りを聞き届けてオリンピアでオリーブの冠を授けたことを歌う。
- §9.1-9.104
オートメーデースの勝利とアソーポスの娘たち
詩人はネメア競技会の神話的起源であるアルケモロスの死について語り、五種競技で圧倒的な勝利を収めたオートメーデースを称え、さらにアイギナの守護神アソーポスとその娘たちの名声を不滅の詩の力とともに歌う。
- §10.1-10.56
アグラーオスの勝利と人生の諸道
アグラーオスのアテナイやイストミア等での数々の勝利を讃え、詩人は様々な人間の進む道と富の力について論じつつ、勝利の後の喜びの歌の意義を強調する。
- §11.1-11.126
アレクシダモスの勝利とプロイトスの娘たち
ピュティア競技のレスリングで勝利したアレクシダモスを祝し、かつてプロイトスの娘たちの狂気を癒したアルテミスの神話と、メタポンティオンの起源を歌う。
- §12.1-12.42
クレイオへの祈願とアイギナの人々の勝利
詩人はミューズのクレイオに歌の導きを求め、アイギナ島へと赴き、ギリシアの様々な競技会での輝かしい勝利を振り返って称える。
- §13.8-13.231
ピュテアースの勝利とアイアコス一族の神話
この歌は、ネメア競技でのピュテアースの勝利を讃えるもので、ヘラクレースの獅子退治や、トロイア戦争におけるアイアコスの末裔(アキレウスやアイアース)の勇猛な活躍といった神話的系譜を語る。さらに、真実と美徳の不滅性を強調し、勝利を支えた指導者メナンドロスや、詩を捧げる歓待に感謝を示している。
- §14.1-14.23
好機の重要性とクレオプトレモスの競馬勝利
人間の運命や美徳の多様性と適切な時期(カイロス)の重要性を説いた後、テッサリアの競馬勝者クレオプトレモスとポセイドン・ペトレイオスの聖域の称揚へと移行する。
- §14b.1-14b.10
ヘスティアへの祈祷とアリストテレスの勝利
ヘスティア女神への呼びかけから始まり、彼女がテッサリアのペネイオス川のほとりでアガトクレアダイ一族の繁栄を守護していることを讃える。そして、その一族のアリストテレスがキルラでの競技で二度の勝利を収め、祖国ラリサに栄誉をもたらしたことを歌う。
