アリストテレス · Aristotle
動物の運動について
Movement of Animals
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Aristotle. De animalium motione et De animalium incessu. Jaeger, Werner, editor. Leipzig: Teubner, 1913.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0086.tlg021.1st1K-grc1
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 2 件・原文 3 件を修正
反映した修正(日本語訳と原文):表記の統一 10 件・AI校閲 5 件
日本語訳を再翻訳したチャンク:1
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、すべての動物に共通する場所的移動の物理的・生理的・心理的メカニズムを究明した自然哲学書である。まず、運動が成立するためには身体の関節のような内部の静止点だけでなく、動物の外部にも絶対的な「不動の支点」が必要であることを示し、これを天体の運行を支える第一の動者との対比で論じる。続いて、動物を実際に動かす心理的始原として知性と欲求の役割を分析し、実践三段論法を用いて、思考や欲求がいかにして直接的な行動へと結びつくかを解明する。その身体的連動プロセスは、心臓付近の微小な熱的変化が身体全体を動かす自動機械に例えられる。最終的に、運動の物質的媒体であるプネウマ(気)の役割と、身体の中心(心臓)にある魂の始原を特定し、動物の身体がよく統治された国家のように秩序立って機能していることを提示して、全体の議論を締めくくる。
目次
8 チャンク
引用方式:chapter
- §1-2
動物の運動における関節と外部の静止点
動物の運動一般における関節(可能態と現実態での一と多)の役割と内部の静止の必要性について述べた後、運動が可能となるためには、船を内部から押すことの不可能性というアナロジーが示す通り、動物の外部にも絶対的に静止した支点が必要であることを論じる。
- §3
宇宙を動かす不動の第一動者とその外部性
天を動かす第一の動者が不動であり天の外部に存在する必要性を論じ、アトラスの神話や地球の静止に要する力の不可能性を通じて、天の内部の動者による運動の不合理を明らかにする。
- §4
天体の運動と運動を支える不動の静止点
天体の不滅性と解体の可能性をめぐる難問を考察し、宇宙全体および動物の運動において、その外部や内部に「不動の支え」が必要であることを論じる。
- §5-6
自己運動における静止と知性・欲求の動因
第5章では、事物の自己運動における静止部分の必要性を、場所的移動、変化、成長、生成・消滅の様々な変化の観点から検討する。第6章では、動物を動かす内的始原として知性と欲求の役割を分析し、行為の目的となる善や快が不動の動者として動物の欲求を呼び起こし、場所的移動をもたらす仕組みを解明する。
- §7
実践三段論法と自動機械に似た身体運動機構
アリストテレスは実践三段論法を導入し、前提の思考がどのように直接的な行動という結論に結びつくかを説明する。さらに、動物の肉体的運動メカニズムを自動機械(からくり)や玩具に例え、心臓周辺の微小な熱的変化が身体全体の大きな運動を引き起こすプロセスを論じる。
- §8
熱冷の変化と運動の究極の始原の所在
運動の始原が追求・回避の対象とそれに伴う温冷の変化であることを説明し、魂による運動の究極の始原は、末梢の関節のように「他の部分の終点でもある始原」には存在せず、より中枢になければならないことを論じる。
- §9-10
身体の中間の始原とプネウマによる運動伝達
左右および上下の身体運動の対称性から、運動を引き起こす魂の始原が身体の中間(心臓やそれに相当する部位)にあるべきことを証明し、その物質的媒体としてのプネウマ(気)の膨張・収縮の特性、およびよく治められた国家に似た動物身体の有機的秩序について述べている。
- §11
非自発的・非自主的運動の原因と全体の総括
非自発的運動と非自主的運動が定義され、心臓や生殖器が理性の命令に反して動く原因や、始原と部分との相互の運動伝達モデルを解説した上で、著作全体のまとめを行う。
