底本
Platonis Opera, Tomus II: Tetralogia III-IV. Burnet, John, editor. Oxford: Clarendon Press, 1910.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
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要旨
本作は、ソクラテスと無名の「伴侶」との対話を通じ、「欲深さ(利益を愛すること、ピロケルデイア)」の真の意味とその道徳的評価について探求する対話篇です。対話は、伴侶が欲深き者を「無価値なものから利益を得ようとする卑しい者」と非難することから始まります。しかしソクラテスは、様々な専門技術の例を挙げてこの定義の矛盾を暴き、議論は「利益」と「善」の関係へと移行します。途中で挿入されるアテナイの賢明な支配者ヒッパルコスの教えに関する逸話を経て、二人は利益の本質についてさらに議論を重ねます。最終的に、利益とは有益なものである「善」に他ならず、すべての人が善を求めている以上、利益を愛することを他人への非難にすることはできないという結論に達します。
目次
4 チャンク
引用方式:section
- §225-226
利得を求める者の定義と技術の例証
ソクラテスと伴侶が「欲深き者」の定義について議論する。伴侶は無価値なものから利益を得ようとする者だと主張するが、ソクラテスは様々な専門技術(農業、馬術、航海、軍事、芸術)を例に挙げ、いかなる専門家も無価値な道具や素材から利益が得られないことを知っているはずだと指摘し、その定義の矛盾を暴く。
- §227-228
利益の善性とヒッパルコスの教化
ソクラテスは利益が善である以上、全ての人が善を愛するならば誰もが「利益を愛する者(欲深き人)」になるという矛盾を示す。伴侶がその定義の修正を試みると、ソクラテスはかつてのアテナイの賢明な支配者ヒッパルコスの教化政策や功績について語り始める。
- §229-230
前提の撤回と利益の本質についての検討
ソクラテスはヒッパルコスが騙すことを戒めたと語り、伴侶に先ほどの議論の前提を取り消す提案をする。伴侶は「すべての利益が善である」という前提の撤回を求め、ソクラテスは善悪にかかわらず「利益」としての本質は同じであると論じる。
- §231-232
善としての利益と万人における利得の追求
ソクラテスと伴侶は利益の本質を議論し、獲得するものに「価値」や「有益性」が伴うこと、すなわち有益なものである「善」が利益であることを確認する。この結論により、すべての利益は善であり、誰もが利益を求めているため、利益を好むことを他者への非難にすることはできないと合意する。
