底本
Aristophanes. Aristophanis Comoediae, Vol. 2. Hall, F. W. and Geldart, William M., editors. Oxford: Clarendon Press, 1907.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
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要旨
本作は、長引く戦争を終わらせるためにギリシアの女性たちが立ち上がる様子を描いた古代ギリシアの喜劇です。主人公のアテナイの女性リュシストラテ(Lysistrata)は、ギリシア各地の女性を集め、戦争終結を目的とした「セックス・ストライキ」と同盟の誓いを提案し、最年長の女性たちとともにアクロポリスを占拠します。男性たちが力ずくで彼女たちを排除しようとする中、リュシストラテは女性による国家管理の正当性を理路整然と主張し、行政官を圧倒します。劇中では、性的な欲求不満に苦しむ女性たちの脱走騒ぎや、夫を焦らす誘惑作戦がユーモラスに描かれます。やがて限界に達したスパルタとアテナイの使節が和平を懇願し、擬人化された「和解(ディアラゲー)」の仲介によって両国はついに和平合意に至ります。最後は男女の対立も解消され、敵味方双方が手を取り合って神々を讃え、祝宴の踊りで大団円を迎えます。
目次
16 チャンク
引用方式:line
- §1-79
リシストラテの招集と女性たちの集結
アテナイの女リシストラテが、戦争を止めるための重大な計画を相談すべくギリシア各地の女性を招集するが、時間になっても現れないことに苛立っている場面。やがて隣人のカロニケを皮切りに、女性たちが集まり始める。
- §80-154
リシストラテの同盟提案と女たちの合意
スパルタのランピトたちが合流し、様々な都市から女たちが一堂に会する。リシストラテは戦争終結を目的とした「セックス・ストライキ」を提案し、当初は強く反対されるものの、平和への渇望から最終的には全員の賛同を得る。
- §155-236
アクロポリス占拠の策とワインによる誓約
リシストラテたちはセックス・ストライキの戦術について議論し、最年長の女性たちがアクロポリスを占拠する計画を明かす。さらに、ワインの杯を犠牲獣に見立てて、全員で同盟の固い誓いを立てる。
- §237-321
アクロポリス占拠と老人合唱隊の襲来
誓いの儀式を終えた女性たちがアクロポリスの占拠に成功する一方、怒れる老人たちの合唱隊が薪と火を持って城門を焼き払おうと押し寄せる。
- §322-402
女合唱隊の救援と老人たちへの放水
女声合唱がアクロポリスの女たちを救うために水を運んで急ぎ到着し、丸太と火を持つ男声合唱と激しい罵り合いや水の掛け合いを演じる。その後登場した行政官は、女たちの横暴と狂信的な熱狂を非難する。
- §403-485
行政官の嘆きと弓兵に対する女性たちの反撃
行政官が、アテナイの男たちが妻たちを甘やかしたせいでこのような反乱が起きたと嘆き、スキュティアの弓兵部隊にアクロポリスの門をこじ開けさせようとするが、リュシストラテら女性たちの激しい反撃を前に敗退する。
- §486-547
占拠の動機と女性による国家管理の宣言
行政官は女性たちがアクロポリスを占拠した真意を尋ね、リュシストラテは国家資金を確保して戦争を止めるためだと答える。さらにリュシストラテは、これまで男性たちの愚かな戦争政策に対して女性たちが忍従を強いられてきた歴史を語り、今や女性たちがギリシアを救い、管理を行う時が来たと宣言する。
- §549-611
羊毛紡ぎの比喩による国政改革と行政官の埋葬
リュシストラテは、もつれた糸を紡錘で解きほぐすように、また羊毛から不純物や害虫を排除して温かい外套を織るように、国家の病理を治療してギリシア全土を再統合できると説きます。自らの不当を訴える行政官に対し、女たちは死装束の供え物を投げつけ、彼の政治的敗北を決定づけます。
- §612-700
老人たちの半合唱による非難と女性たちの反論
リュシストラテに追放された行政官が去った後、男と女の老人半合唱が対立を深め、男たちが女の政治的陰謀を非難するのに対し、女たちは国政への自らの宗教的貢献を根拠に反論して一触即発の争いを繰り広げます。
- §701-779
女たちの脱走の企てとリュシストラテの神託
アクロポリスを占拠した女たちが、性的な欲求不満から次々と口実を作って脱走を図るため、リュシストラテは彼女たちを引き留めるのに苦労する。そこで彼女は勝利を約束する神託を読み上げ、女たちを励ます。
- §780-879
男女の合唱隊の罵り合いとキネシアスの到来
アクロポリスに入った女たちを見届ける男と女の半コーラスが、女嫌い・男嫌いの神話を歌いながら互いを罵り合う。そこへ、ミルリネの夫キネシアスが情欲に苦しみながら現れ、リュシストラテとミルリネは彼を誘惑して焦らす作戦を開始する。
- §880-955
ミルリネによるキネシアスの焦らしと逃走
ミルリネは夫キネシアスを誘惑しつつ、ベッドやござ、枕、香油などを次々と取りにいく口実で行為を極限まで引き延ばす。最終的に彼女は和平への投票を約束させようとした後、夫を欲求不満のまま置き去りにしてアクロポリスへ逃げ帰る。
- §956-1036c
スパルタ使者の到着と男女合唱隊の和解の兆し
欲求不満に悶えるキネシアスが去った後、スパルタから勃起を隠した使者が到着し、ギリシア全土で女たちの同盟によるセックスストライキが猛威を振るっている惨状を報告する。一方、アテナイでは対立していた男女のコーラスが、互いに衣服を着せかけたり目のゴミを取ったりして和解の兆しを見せ始める。
- §1037-1123
合唱隊の和解と使節たちによる和平の懇願
男女のコーラスが和解して市民を祝宴に誘う歌を歌い、続いてひどい勃起状態に苦しむスパルタとアテナイの両使節が到着して、リュシストラテーに和平交渉の仲介を懇願する。
- §1124-1211
リュシストラテーの調停と両軍による和平の合意
リュシストラテーはアテナイ人とスパルタ人双方の過去の恩義を語って彼らの身勝手な戦争を非難し、擬人化された「和解(ディアラゲー)」の肉体的な部位(領土の比喩)をめぐる猥雑な交渉を経て、両者に和解を合意させアクロポリスでの祝宴へと招きます。
- §1212-1320
和解の酒宴と両軍による平和を祝う歌舞
アテナイの使節が酒宴の楽しさと外交における泥酔の効能を説き、アテナイとスパルタの人々が和解を喜んでともに踊る。スパルタ人とアテナイ人の混成合唱が諸神を讃え、最後はスパルタの歌がアポローン、アテーナー、ヘレネーを讃えつつ大団円を迎える。
