デモステネス · Demosthenes
第四十九弁論 ティモテオスへの抗弁
Against Timotheus
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Demosthenes. Orationes, Vol. III. Rennie, W., editor. Oxford: Clarendon Press, 1931.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0014.tlg049.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 3 件を修正
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 3 件
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、銀行家パシオンの息子アポロドロスが、アテナイの著名な将軍ティモテオスに対し、父から借り入れた多額の債務の返済を求めて起訴した法廷弁論です。原告アポロドロスは、かつてティモテオスが政治的・財政的な窮地にあった際、パシオンから受けた多大な援助への恩義を忘れ、借用を否認している不誠実さを激しく非難します。弁論の中盤では、正確な銀行の台帳記録や状況証拠、証人の証言を交え、木材の運賃や銀杯の代金といった具体的な債務の発生過程が緻密に説明されます。アポロドロスは、借金は部下のものであるとするティモテオス側の反論の矛盾を次々と暴き、被告が不利な証言を避けるために従者の引き渡しすら拒んでいる実態を暴露します。最終的に、被告の数々の不誠実な虚偽と過去の偽誓を指摘し、裁判員に対して正当な貸金の回収を支援するよう訴えて弁論を締めくくります。
目次
9 チャンク
引用方式:section
- §1-8
ティモテオスの恩知らずと最初の借入
原告は、被告ティモテオスがかつて困窮し、自らの命にかかわる最大の危機にあった際に原告の父から多大な金銭的援助を受けたにもかかわらず、その恩を忘れ、債務の存在を否定して原告を騙そうとしていると非難する。これに伴い、正確な銀行記録に基づく、ティモテオスの最初の借入(1351ドラクメ2オボロス)の経緯を説明し始める。
- §9-17
ティモテオスの罷免と窮地での再度の借入
ティモテオスが将軍職を罷免され財政的にも窮地に陥った際、裁判を乗り切るためにカラウレイアで借りた金をアテナイで返済するため、原告の父から再び資金援助を受けた経緯が説明される。
- §18-25
仲裁手続きの顛末と来客に伴う新たな借入
原告の父がティモテオスの借金を肩代わりした一件をめぐる仲裁手続きの顛末と、その後アルケタスらが訪ねてきた際にさらに物資と資金を貸した経緯を詳述する。
- §26-33
木材の運賃立替えと未返還の銀杯を巡る負債
アポロドロスは、ティモテオスがペルシア王のもとへ出帆する前にパスィオンに依頼した木材の運賃の支払い、および返還されなかった銀杯の代金弁済によって生じた債務について、証言を交えて説明する。
- §34-41
木材の私的利用と運賃立替えを裏付ける証拠
原告(アポロドロス)は、ピロンダスが運んだ木材が実際にはティモテオスの私邸の建築に使われたこと、そしてその運賃を支払ったのが自分の父(パシオン)以外にあり得ないことを、当時の状況証拠やティモテオスの親族たちの沈黙(偽証も不利な証言も避けたこと)を挙げて論証する。
- §42-48
父の帳簿記録とアンティマコスの私債説への論駁
アポロドロスは父が残したティモテオスの債務記録と誓いの用意があることを示し、ティモテオスが主張する、一部の債務が自身の財務官アンティマコスの私的借財であるという反論を、もしそうなら父は没収財産から回収したはずだと述べて論破する。
- §49-55
ボイオティア提督の借財説への反論と担保の青銅
語り手は、ティモテオスがボイオティアの提督名義で借財したとする弁明の不自然さを指摘し、担保とされた青銅の取引実態が証明されていないことを論じ、さらにアイスクリオンを介した借財について言及する。
- §56-62
従者の証言拒否と不在の主張に対する反駁
原告は、被告が従者の引き渡しや証言を拒んだのは自身の嘘が露呈するのを恐れたからだと主張し、また被告が不在を理由に銀行帳簿の借入記録を否定しようとすることに対し、材木取引や杯借用の時系列の矛盾を突いて反論する。
- §63-69
帳簿記録への反論と宣誓拒否の理由および結語
アポロドロスは、ティモテオスが銀行帳簿の記録時期を理由にする弁明を予想してそれに反論し、また互いに行われた宣誓の提示を自分が拒否した理由を、彼の過去の数々の偽誓の経歴を挙げて説明する。最後に裁判員に対して、不誠実な債務者に立ち向かい、貸金の回収を支援するよう求める。
