デモステネス · Demosthenes
第四十二弁論 パイニッポスへの抗弁
Against Phaenippus
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Demosthenes. Orationes, Vol. III. Rennie, W., editor. Oxford: Clarendon Press, 1931.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
要旨
本作は、古代アテナイの法廷で用いられた、財産交換手続き(アンティドシス)をめぐる弁論です。原告である語り手は、鉱山事業の失敗により困窮していると主張し、裕福でありながら公的奉仕(レイトゥルギア)を怠ってきた被告フェニッポスを告発します。原告は、フェニッポスが財産目録の提出を引き延ばし、領地の封印を破るなどの不法行為を行ったと主張します。さらに、フェニッポスが母の持参金や架空の債務をでっち上げて財産を隠蔽しようとしていると厳しく批判します。原告は、相手の領地が当初の無借金の状態で引き渡されるなら自身の全財産を諦めてもよいという大胆な妥協案を提示しつつ、不誠実な富裕者を罰し、困窮した自分に救済の手を差し伸べるよう裁判員に切実に懇願します。
目次
5 チャンク
引用方式:section
- §1-5
財産交換の要求とフェニッポスの不法行為
原告は被告フェニッポスが法を破って財産目録の提出を遅らせ、領地の封印を破った不法行為を非難し、自身の困窮と被告の富を対比させ、財産交換手続きの経緯を語り始める。
- §6-12
フェニッポスによる財産の隠匿と法律違反
語り手はフェニッポスの領地での大麦や木材の管理をめぐる彼の不正を暴き、証言を提出する。さらに、フェニッポスが和解と目録提出の延期を願い出ながら約束を破り、二つの法律に違反したことを非難する。
- §13-19
合意の破棄に対する非難と領地引渡しの提案
弁論者は、当事者間の合意による延期が合法かつ日常的であることを説明し、フェニッポスが合意を破ったことを非難する。そして、もし領地が当初の無借金かつ封印時の状態で引き渡されるなら、他の財産をすべて諦めてもよいという大胆な妥協案を改めて提示する。
- §20-26
貧富の差とフェニッポスの公的奉仕の忌避
告発者はフェニッポスとの経済的格差や彼が怠ってきた公的奉仕(レイトゥルギア)の実態を告発し、裁判員に対して不誠実な富裕者を厳しく処遇するよう求める。
- §27-32
フェニッポスの虚偽債務の告発と裁判員への懇願
弁論者は、フェニッポスが母の持参金や架空の債務をでっち上げて財産目録を偽り、財産交換を逃れようとしていると批判する。そして、鉱山事業で困窮した自分に対し、救済の手を差し伸べるよう裁判員に懇願する。
