デモステネス · Demosthenes
第九弁論 ピリッポス弾劾 第三演説
The Third Philippic
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Demosthenes. Orationes, Vol. I. Butcher, S. H., editor. Oxford: Clarendon Press, 1903.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0014.tlg009.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 4 件
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、古代ギリシアの弁論家デモステネスがアテナイ市民に向けて行なった、マケドニア王フィリッポス2世の脅威を訴える政治演説です。デモステネスはまず、アテナイ市民の怠慢が現状の危機を招いたと厳しく指摘する一方、今から行動を起こせば事態は改善可能であると説得を試みます。彼は、フィリッポスが平和を装いながら着実に侵略を進めている実態を暴き、かつてのギリシア人が持っていた自由への熱意と、賄賂や内紛に塗れた現在の退廃ぶりを対比させます。さらに、敵の新たな戦術や、マケドニアに懐柔された裏切り者によって他都市が辿った悲惨な滅亡の歴史を警告として提示します。最終的に演説は、アテナイが防備を固めて主体的に行動し、他都市やペルシアとも同盟を構築してフィリッポスに立ち向かうべきであるという強い決意と具体的な提案で締めくくられます。
目次
9 チャンク
引用方式:section
- §1-6
アテナイ人の怠慢の批判と状況改善の可能性
デモステネスは、フィリッポスの不義に対するアテナイ人の怠慢を厳しく批判しつつ、現下の状況悪化の原因が何も手を打たなかったことにある以上、行動を起こせば状況は改善可能であると説得を試みる。
- §7-15
フィリッポスの欺瞞と行動による開戦の事実
フィリッポスが平和を標榜しつつ実際には戦争行為を重ねている現実を指摘し、彼の真意を言葉ではなく、過去の侵略行為などの実際の行動から見抜くべきであることを論じる。
- §16-23
ギリシア全体への脅威と過去の覇権との比較
デモステネスはフィリッポスの行動を平和の維持ではなく実質的な開戦と規定し、ギリシア全体が直面する危機にアテナイが早急に対処すべきであると訴える。そして、かつてのアテナイや他都市の覇権期と比較しながら彼の横暴さを糾弾する。
- §24-31
フィリッポスの暴虐とギリシア諸都市の無為
デモステネスは、アテナイやスパルタによる過去の支配とフィリッポスの暴虐を対比し、彼がギリシア人でないマケドニア人であることを非難するとともに、対抗を怠り分断されたギリシア諸都市の現状を批判する。
- §32-40
フィリッポスの不遜と賄賂による自由の衰退
デモステネスは、フィリッポスによる神聖なピュティア競技会の主催やギリシア諸都市への侵略行為を糾弾する。そして、かつてペルシアに勝利したギリシア人たちの自由への熱意が、今や賄賂の横行によって失われ、奴隷状態を甘んじて受け入れるまでに衰退してしまった原因を論じる。
- §41-48
アルトミオスの処罰と戦争様式の変容
デモステネスは、先祖たちがペルシアの金を持ち込んだアルトミオスを厳しく処罰した碑文を引き、かつての愛国的気概と現在の怠惰を対比する。さらに、現在の戦争技術やフィリッポスの手法が、かつてのスパルタ主導の戦争とは全く異なる次元に進歩していることを指摘する。
- §49-58
フィリッポスの戦略と諸都市の滅亡の警告
デモステネスは、フィリッポスが従来の会戦を避け、国内の内紛や多兵種の機動力を利用して瞬く間に都市を包囲・破滅させている実態を指摘する。さらに、彼に融和的な弁論家を優遇し続けたオリュントスやエレトリアが辿った悲惨な滅亡の歴史を実例に挙げ、国内の裏切り者を排除するよう訴える。
- §59-67
オレオスの裏切りと裏切り者の言論を好む民衆
デモステネスはオレオスでの裏切りとエウプライオスの悲劇的な最後を語り、なぜ人々が自国のためではなくフィリッポスのために語る者たちを好むのか、その心理的・構造的理由を分析し、アテナイに警告する。
- §68-76
アテナイ自身の軍備と対フィリッポス同盟の結成
デモステネスは、将来の後悔を避けるためにアテナイが今すぐ防備を固めて主体的に行動すべきであると説き、自らが範を示した上で他のギリシア諸国やペルシア王に使節を送って同盟を築き、フィリッポスに立ち向かうべきであると強く訴える。
