底本
Isocrates, Vol. 3. Van Hook, Larue, editor. Cambridge, MA, Harvard University Press; London, William Heinemann Ltd., 1945 (printing).
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
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要旨
本作は、ソフィストであるポリュクラテスの拙劣な弁論を批判し、正しい修辞技法の手本を示すために書かれた書簡体の弁論です。著者は、ポリュクラテスによる神話的なエジプト王ブシリスの弁護とソクラテスの告発が自己矛盾に陥っていると指摘します。その上で、著者は自ら正しい弁護の実例として、ブシリスを高貴な出自とエジプトの国制・法制度の優れた創始者として称賛します。特に、エジプトにおける職業の分業制度や祭司階級による学問の発展、そして人々の敬虔さを描き出します。さらに、世間に広まるブシリスの悪名が年代的矛盾をはらむ虚偽の神話であることを論証し、神々をおとしめる詩人たちを厳しく批判します。最後に、不適切な弁論が修辞学や哲学全体の評判をおとしめることを警告し、相手に謙虚な自己改善を促して締めくくられます。
目次
6 チャンク
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- §1-7
ポリュクラテスの著作への批判と助言の趣旨
著者はポリュクラテスに対し、彼が執筆した『ブシリス弁護』と『ソクラテス告発』が本来の弁護・告発の目的から外れて自己矛盾に陥っていることを指摘し、書簡を通じて助言を与える意図を述べる。
- §8-15
ブシリスの家柄とエジプト統治の端緒
著者はポリュクラテスによるブシリスの弁護とオルペウスらの比較の矛盾、および時代錯誤の系譜を批判する。続いて、正しい弁護の手本を示すために、ブシリスの高貴な生まれと、彼がエジプトの地を支配地として選んだ地理的利点、および初期の制度設計について論じ始める。
- §16-24
ブシリスによる分業制度と祭司階級の功績
ブシリスが定めた職業の分業制度の利点を語り、哲学者たちの賛辞やラケダイモン(スパルタ)による模倣に触れる。また、エジプトの祭司階級が優れた医療や哲学、天文学などを発展させ、彼らの神々への敬虔さが社会に益していることを賞賛する。
- §25-32
エジプトの敬虔さと理に適った称賛のあり方
神々への恐れの重要性と、エジプト人の敬虔さを称賛してそれを学んだピタゴラスの例を挙げ、相手が証拠なしにブーシーリスを不条理な神話で称賛しているのに対し、自分は人間として可能な法律と国制の創始者として称賛していると反論する。
- §33-41
年代的矛盾による俗説の論破と詩人たちの不敬
著者は対話相手が用いた非難の議論を退け、ブーシーリスの高貴な血統と力量こそがエジプトの国制の創始者にふさわしいと論じる。また、ブーシーリスとヘラクレスの決定的な年代的矛盾を挙げて世間の非難の虚偽性を暴き、神々を貶める詩人たちの不敬な中傷とその悲惨な末路を批判する。
- §42-50
拙劣な弁解への批判と哲学の評判に関する忠告
著者は、神々が子供たちの悪行を放任したとする相手の不条理な主張を退け、相手の弁明がむしろ罪を容認する拙劣なものであると批判する。そして不適切な弁論が哲学全体の評判を害することを警告し、若輩の身ながらも忠告を受け入れるよう相手に促す。
