プルタルコス · Plutarch
テセウスとロムルスの比較
Comparison of Theseus and Romulus
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底本
Plutarch. Plutarch's Lives, Vol. I. Perrin, Bernadotte, editor. Cambridge, MA: Harvard University Press; London: William Heinemann Ltd., 1914.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
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要旨
本書は、アテナイの伝説的英雄テセウスと、ローマの建国者ロムルスの生涯と功績を直接対比し、その優劣を論じた比較論考である。著者は、クレタ島の怪物退治に自ら赴いたテセウスの無私で勇敢な決断を称賛する一方、何もない状態から偉大な国家を築き上げたロムルスの建国者としての卓越性を高く評価する。また、両者が辿った政治的運命に焦点を当て、テセウスが民主化に傾き、ロムルスが専制化に走るという、異なる方向で支配者の正道から逸脱したことを指摘する。さらに、肉親への不注意や暴力が招いた悲劇、女性の略奪という共通の行為の動機、そして彼らの出自にまつわる神の加護の有無を綿密に対比する。本書は、歴史上の二大建国英雄の光と影を浮き彫りにし、支配者の資質と国家形成のあり方を鋭く問いかけている。
目次
6 チャンク
引用方式:chapter.section
- §1.1-1.5
功績と動機の比較およびテセウスの無私
ロムルスとテセウスの事績、動機、および功績の比較が行われ、特にクレタへの貢ぎ物にまつわるテセウスの無私で勇敢な決断と、アリアドネの愛を通じた神の救済が称賛される。
- §2.1-2.2
王権からの逸脱と支配権の維持に関する比較
テセウスとロムルスがともに王としての正道から逸脱し、それぞれ民主化と専制化という逆の過ちを犯したことを指摘し、真の支配権の維持について論じる。
- §3.1-3.2
親族に対する怒りと過ちの比較
ロムルスとテセウスがそれぞれ親族に対して犯した過ちを比較し、その引き金となった動機や結果の重さを論じる。妻の謀略による情状酌量の余地があり、かつ破滅的な結果が直接の暴力ではなく呪いによって生じたテセウスの方に、判定の軍配を上げる。
- §4.1-4.2
無からの建国と都市統合の業績の比較
ロムルスが極小の発端から出発して無から国家を築き上げた偉大な業績を称え、既存の都市群を解体して統合したテセウスの事績と対比する。
- §5.1-5.2
親族への恩義とアイゲウスの死をめぐる責任
ロムルスが親族に対して果たした功績と、テセウスの不注意が招いた父アイゲウスの死、およびその死をめぐるアッティカの弁護的な創作について語られます。
- §6.1-6.5
女性の略奪の動機と神の加護の比較
テセウスとロムルスによる女性の略奪の動機と結末、および二人の出自や成育にまつわる神の好意の有無を対比する。
