底本
Suetonius. De Vita Caesarum Libri VIII. Ihm, Max, editor; Leipzig: Teubner, 1908.
原文データ出典
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要旨
本書は、古代ローマの偉大な政治家・軍人であるガイウス・ユリウス・カエサルの波乱に満ちた生涯を、その誕生から暗殺、そして神格化に至るまで詳細に描いた伝記作品である。物語は、カエサルの初期の私生活や軍歴、そして民衆の支持を集めて政界を昇り詰めていく過程から始まる。第一回三頭政治の結成とガリア征服を経て強大な権力を手にした彼は、元老院との対立からルビコン川を渡り、内乱へと突入する。内乱を制して独裁官となったカエサルは、数々の政治改革や壮大な事業、そして軍事的・私生活における様々な逸話を通じてその多面的な個性を発揮する。しかし、彼の傲慢な態度や権力の集中は共和派の強い反発を招き、紀元前44年の三月十五日に暗殺されるという悲劇的な結末を迎える。本書は、一人の天才の栄光と没落、そして彼の死後に訪れた神格化と暗殺者たちの運命までを冷徹かつ鮮やかに描き出している。
目次
19 チャンク
引用方式:chapter
- §1-6
スッラの迫害と初期の軍歴および政界進出
カエサルの初期の私生活、スッラによる迫害と彼への抵抗、アジアでの初期の軍歴と海賊の捕縛、そしてローマ帰還後の民政官・財務官としての初期のキャリアと婚姻関係について叙述している。
- §7-11
ヒスパニア赴任と按察官としての野心と台頭
カエサルは財務官としてヒスパニアに赴任したが、アレクサンドロス大王の像を見て野心を刺激され任期前に帰還し、按察官就任前後に様々な陰謀や大規模なイベント、記念碑の復元を通じて民衆の支持と影響力を拡大した。
- §12-17
法務官就任とカティリナ陰謀をめぐる政争
カエサルは按察官や法務官の職務を通じて民衆の支持を獲得しようとするが、元老院やオプティマテス(門閥派)と対立し、カティリナ陰謀事件の処理や護民官メテッルスとの政治闘争、さらにカティリナ一味としての告発など、数々の危機と政争に直面する。
- §18-20
第一回三頭政治の結成と執政官就任
カエサルは遠ヒスパニア属州を平定した後、凱旋式を断念して執政官選挙に立候補する。彼は同僚のビブルスや門閥派の妨害を退け、ポンペイウスおよびクラッススと同盟(第一回三頭政治)を結んで国政の実権を握り、独裁的な数々の法案を強行する。
- §21-25
同盟の強化とガリア遠征における征服
カエサルはピソの娘との結婚や娘ユリアとポンペイウスの婚姻によって同盟を強化し、ガリア属州の命令権を獲得してガリア征服へと乗り出す。その後、ルカの会談を通じて命令権の延長を得るとともに、9年間にわたる遠征でガリア全域の属州化やライン川渡河、ブリタンニア遠征などを成し遂げた。
- §26-28
不在立候補の特権獲得とマルケルスとの対立
カエサルは親族の死に直面しながらも不在立候補の特権を獲得し、多大な贈与や事業を通じて民衆や有力者を取り込んでいく。これに対し、対立する執政官マルケルスが元老院でカエサルの命令権早期終了や植民市市民権の剥奪を提案し、対立が先鋭化する。
- §29-32
元老院との交渉決裂とルビコン川渡河の決断
カエサルは自らの特権を守るため元老院の圧力に全力で抵抗したが、交渉が決裂したため、最終的にルビコン川を渡って内乱へと突入することを決意する。
- §33-37
内乱の諸戦役での勝利と凱旋式の挙行
カエサルは軍勢に支持を訴えて内乱を開始し、イタリア、ヒスパニア、エジプト、ポントス、アフリカで勝利を収め、戦後に壮麗な凱旋式を挙行した。
- §38-41
民衆への施しと改暦および内政改革
カエサルは兵士や民衆への寛大な施し、多様な見世物の挙行、神官たちの怠慢で乱れた暦の修正(ユリウス暦の導入)、および元老院の補充や人口調査などの国政改革を行った。
- §42-45
植民や司法の諸改革と構想および容姿と習慣
カエサルが行った海外植民、債務整理、司法改革、および彼が企図していた壮大なインフラ・軍事計画と、彼の容姿や身体的特徴、衣服の習慣について記述される。
- §46-51
私生活における贅沢と美術愛好および女性関係の噂
カエサルの私生活における贅沢さや美術品への執着、家庭内の厳格な規律が紹介された後、ニコメデス王との同性愛関係の噂や、数々の著名な既婚女性たちとの派手な不倫関係について語られる。
- §52-55
女王たちとの交際と節制および雄弁術の才能
カエサルの女王たちとの浮名や一夫多妻法案の噂、飲食における驚くべき節制と、一方で属州略奪や神殿からの窃盗を含む貪欲な資金集めの実態、そして優れた雄弁家としての彼の才能と著作の真偽について論じている。
- §56-59
著述活動とその文体および軍事指揮における特徴
The unworldly
- §60-67
カエサルの戦術と兵士の統率および部下との絆
カエサルの戦術的な果敢さと慎重さ、兵士の統率における厳格さと寛大さ、そして兵士たちとの強い絆を示す様々な逸話が語られる。
- §68-73
兵士たちの忠誠心と武勇および敵味方への寛容さ
カエサルの兵士たちの類稀なる忠誠心と勇敢さを、個々の武勲や反乱の迅速な収拾を通じて示し、また彼の被護民や友人、さらには彼を非難した敵対者に対する寛大で寛容な態度を記述する。
- §74-76
カエサルの寛容さと過剰な栄誉の享受
カエサルが政敵や裏切り者に対して示した異例の寛大さと温厚さを記述する一方で、彼が過剰な特権の享受や国家官職の私物化を進め、ついには暗殺を正当化されるに至った経緯を説明する。
- §77-80
カエサルの傲慢な振る舞いと暗殺計画の結成
カエサルの度重なる傲慢な言動、元老院や伝統の軽視、そして王位を熱望しているという噂が決定的な憎悪を生み、カッシウスやブルトゥスら60名以上による暗殺計画が三月十五日の元老院会議において実行されることが決定される。
- §81-83
死の前兆と三月十五日の暗殺および遺言書
カエサルの暗殺を予告する数々の不吉な前兆と、三月十五日にポンペイウスの議事堂で彼が暗殺される経緯、およびその後の彼の遺言書の開封と内容が記述されている。
- §84-89
カエサルの葬儀と神格化および暗殺者たちの最期
カエサルの壮麗な葬儀と、民衆・異邦人の哀悼、追悼のための柱の建立について描写し、彼の死への予見や態度、および神格化、そして暗殺者たちの最期について述べる。
