底本
Sallust. C. Sallusti Crispi Catilina, Iugurtha, orationes et epistulae excerptae de historiis. Ahlberg, Axel Wilhelm, editor. Leipzig: Teubner, 1919.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
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要旨
本作は、共和政ローマ末期の激動期における内憂外患を、当時の政治家や将軍、外国の君主たちによる演説や書簡を通じて描き出した歴史作品です。スッラ没後の混乱を背景に、ローマの国内政治における自由の喪失と寡頭支配への不満、そして深刻な対外戦争が多角的に捉えられています。作品内では、レピドゥスやマケルが市民に向けてスッラ体制の残虐性を告発し、失われた自由と護民官の権利を回復するために決起することを促します。これに対し、フィリップスは元老院に向けてレピドゥスらの叛乱に対抗する断固たる決議を求め、執政官コッタや将軍ポンペイウスは困窮する国家と軍隊の現状を訴えて支援を要請します。さらに、東方の宿敵ポントス王ミトリダテスによる書簡は、ローマのあくなき支配欲を告発し、パルティアとの共同戦線を呼びかけています。これら緊迫感に満ちた生々しい言葉の数々は、内政の分裂と外征の激化に揺れる共和国の危機的状況を鮮明に描き出しています。
目次
10 チャンク
引用方式:book.section
- §Lep.1-Lep.16
スッラの独裁に対するレピドゥスの演説
レピドゥスがローマ市民に向けて演説し、スッラによる専制政治の残虐性と、それに対する市民の沈黙や妥協を批判し、自由を回復するために決起することを強く促している。
- §Lep.17-Lep.27
自由回復のための蜂起を呼びかけるレピドゥス
レピドゥスは、自らが購入したプロスクリプティオ犠牲者の財産を返還していることを明かし、スッラによる支配が兵士や市民の権利を奪い、卑しい奴隷たちだけを富ませている実態を告発して、自由の回復のために執政官である自らに従うよう人々に呼びかける。
- §Phil.1-Phil.11
レピドゥスへの対抗を促すフィリップスの演説
フィリップスは元老院に対し、レピドゥスが自由を圧殺するために軍勢を集め、国家を危うくしている現状を警告する。彼は、元老院の怠惰と生ぬるい対応がレピドゥスを増長させていると非難し、手遅れになる前に断固たる行動を起こすよう促す。
- §Phil.12-Phil.22
フィリップスによる元老院批判と非常事態決議の提案
フィリップスは元老院の消極的な姿勢を痛烈に批判し、反逆者レピドゥスの欺瞞に満ちた要求を反駁した上で、即座の対抗措置をとるべきだと主張する。彼は、国家の危機を防ぐために臨時執政官や前執政官らに全権を与える決議を提案して演説を結ぶ。
- §Cott.1-Cott.14
危機の克服を訴える執政官コッタの演説
執政官ガイウス・コッタがローマ市民に対し、国内外での深刻な軍事・財政危機を説明し、自らの過去の労苦と国家への忠誠を訴えつつ、危機を克服するために自身を国家に捧げる覚悟(デウォティオ)を示して協力を求めている。
- §Pomp.1-Pomp.10
元老院への支援要請と警告を行うポンペイウスの書簡
ポンペイウスが元老院に対し、自分たちの軍隊が極度の困窮と飢餓に陥っていることを不当に訴え、即時の支援がなければ戦争がイタリア本土へと波及すると警告する。
- §Macr.1-Macr.13
自由と護民官の権利回復を訴えるマケルの演説
護民官リキニウス・マケルがローマ市民に対し、貴族による寡頭支配を糾弾し、先祖伝来の護民官の権利と自由を回復するために一致団結して闘うよう促す。
- §Macr.14-Macr.28
市民に行動と自由の奪還を促すマケル
マケルは市民に対し、言葉だけでなく行動を起こすよう促し、少数の支配者が提供する穀物配給などの懐柔策に騙されず、ポンペイウスの支持を得て先祖の自由を取り戻すべきだと訴える。
- §Mithr.1-Mithr.12
パルティア王に同盟を訴えるミトリダテスの書簡
ポンティス王ミトリダテスがパルティアのアルサケス王に宛てた書簡であり、ローマ人の飽くなき支配欲と他国への不義・裏切りの歴史を列挙して、共同戦線を張るよう同盟を呼びかける。
- §Mithr.13-Mithr.23
対ローマ共同戦線を呼びかけるミトリダテス
ミトリダテスは自らの直近の戦況とローマの果てしない征服欲を分析し、アルサケス王に対して、ローマと同盟を結ぶこと、あるいは傍観することの危険性を説き、共同でローマに対抗する同盟に加わるよう強く促す。
