コルネリウス・ネポス · Cornelius Nepos
エウメネス伝
Eumenes
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底本
Cornelius Nepos. Cornelii Nepotis Vitae. Fleckeisen, Alfred; Halm, Karl, editors. Leipzig: Teubner, 1886.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
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要旨
本作は、アレクサンドロス大王の急逝後に生じた後継者(ディアドコイ)たちの覇権争いの中で、非マケドニア人という出自の逆境に抗い続けた智将エウメネスの波乱に満ちた生涯を描く伝記です。著者は、マケドニア王家への忠誠を貫いたエウメネスを主人公とし、アンティゴノスなどの強力なライバルたちとの知略を尽くした戦いを描きます。エウメネスは、マケドニア人将軍たちの激しい嫉妬に直面しながらも、ノラ砦での籠城戦や偽のたき火を用いた欺瞞作戦など、独自の優れた計略を駆使して度重なる窮地を切り抜けていきます。しかし最後は、味方の裏切りによって宿敵アンティゴノスに引き渡され、その非凡な軍事能力を惜しまれつつも処刑されます。彼の死後、それまで遠慮していた将軍たちが一斉に王を自称し始めたという事実を通じて、エウメネスの存在がいかに大きかったかが印象的に描き出されます。
目次
13 チャンク
引用方式:chapter.section
- §1.1-1.6
エウメネスの出自と両王への仕官
著者はカルディア出身のエウメネスを紹介し、非マケドニア人という出自の逆境にもかかわらず、その優れた才知によってフィリッポスおよびアレクサンドロス両王に重用され、多大な信頼を得た経歴を述べる。
- §2.1-2.5
大王死後の帝国分割とカッパドキア配分
アレクサンドロス大王の急逝後に帝国が分割される中、エウメネスにはカッパドキアが割り当てられた。最高権力を握るペルディッカスはエウメネスを味方に引き入れようとし、他の将軍たちも覇権を争う中でエウメネスはレオンナトスの暗殺計画から辛うじて逃れた。
- §3.1-3.6
ペルディッカスへの忠誠と対クラテロス戦の策略
ディあドコイ戦争が勃発する中、エウメネスは窮地のペルディッカスへの忠誠を保ち、敵の強力なマケドニア軍から自軍の動揺を防ぐため、目的地を隠して進軍し、地形を利用して有利な騎兵戦に持ち込む策略を実行する。
- §4.1-4.4
ネオプトレモスとの一騎打ちとクラテロスの埋葬
エウメネスは敵将ネオプトレモスと一騎打ちをして彼を討ち取るが、自身も負傷する。また、戦死したクラテロスを手厚く葬り、その遺骨を遺族に送る。
- §5.1-5.7
死刑宣告とノラ砦での籠城および脱出
エウメネスが欠席裁判で死刑を宣告される一方、アンティゴノスの追撃を逃れてノラの砦に籠城し、狭い砦内で軍馬を運動させる奇妙なアイデアを実行して窮地を凌ぎ、最後は敵を欺いて無傷で脱出する。
- §6.1-6.5
オリンピアスからの要請と王家救済の決意
アレクサンドロスの母オリンピアスが、エウメネスにマケドニア帰還の是非を相談し、後に王家救済の援助を要請する。エウメネスは、自らの身の危険を顧みず、恩義に報いるためにこの要請を引き受ける決意をする。
- §7.1-7.3
アレクサンドロスの天幕と指揮権の掌握
エウメネスは、異邦人である自分が最高指揮権を握ることによる反感を避けるため、アレクサンドロスの遺品を置いた天幕を設営し、そこを形式上の会議場とすることで実質的な指揮を執る。
- §8.1-8.7
冬営での軍の分散とアンティゴノスの砂漠進軍
エウメネスはパライタケネでの戦闘後にペルシスに冬営するが、兵士たちの勝手な要望により軍は分散する。これを知ったアンティゴノスは、虚を突いて急襲するために砂漠地帯を強行突破する作戦を決行する。
- §9.1-9.6
偽の篝火によるアンティゴノスの足止め
アンティゴノスの不意打ちの接近を察知したエウメネスは、偽のたき火を燃やす計略を立て、敵に軍勢が待ち構えていると錯覚させて進路を変更させ、味方の集結時間を稼ぐことに成功する。
- §10.1-10.4
味方の裏切りとエウメネスの捕縛
エウメネスは計略によってアンティゴノスを遅らせることに成功したものの、味方の将軍たちの嫉妬とマケドニア兵の裏切りにより敵に引き渡される。アンティゴノスは彼の軍事能力を評価して助命を望んだが、周囲の部下たちの強固な反対により断念せざるを得なかった。
- §11.1-11.5
囚われのエウメネスとオノマルコスへの要求
監禁されたエウメネスは、彼に敵対する者や旧友、その姿を見ようとする多くの人々の訪問を受ける。彼は看守のオノマルコスに自身の処遇の決定を促し、自身の不敗の誇りを語る。
- §12.1-12.4
アンティゴノスの軍議とエウメネスの殺害
アンティゴノスはエウメネスの処遇を評議会に諮るが、評議会は彼の処刑を強く求める。アンティゴノスは決断を留保しつつも食事を絶たせ、最終的にエウメネスは軍営の移動中に看守によって殺害される。
- §13.1-13.4
エウメネスの生涯の総括と遺骨の返還
エウメネスの生涯の歩みと最期を総括し、彼の生存中は王を称さなかった将軍たちがその死後に一斉に王を自称した事実を示す。また彼の遺骨がカッパドキアの家族へ送られた最期が記される。
