コルネリウス・ネポス · Cornelius Nepos
ミルティアデス伝
Miltiades
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底本
Cornelius Nepos. Cornelii Nepotis Vitae. Fleckeisen, Alfred; Halm, Karl, editors. Leipzig: Teubner, 1886.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
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要旨
本書は、アテナイの偉大な将軍ミルティアデスの生涯を描いた伝記的歴史叙述です。物語は、彼が神託によってヘルソネソスへの入植指導者に選ばれ、機知によってレムノス島を占領する初期の活躍から始まります。やがてペルシアの脅威が迫るなか、ミルティアデスはマラトンの戦いで早期出撃を強く主張し、地勢の利を活かした巧みな指揮によって圧倒的なペルシア大軍を撃破する不滅の功績を挙げます。しかし、その後のパロス島遠征で不慮の誤認から撤退を余儀なくされると、彼はアテナイ市民から反逆罪で告発され、獄中で悲劇的な最期を迎えます。著者は、彼が有罪とされた真の背景には、突出した英雄が僭主(テュランノス)となることを極度に恐れる市民たちの警戒心理があったことを示し、名誉の変遷と民衆の心理を浮き彫りにしています。
目次
8 チャンク
引用方式:chapter.section
- §1.1-1.6
ヘルソネソス入植の指導とレムノス島寄港
アテナイの若き名士ミルティアデスは、ヘルソネソス入植事業の指導者としてデルポイの神託に指名される。彼は現地へ向かう途中でレムノス島を降伏させようとするが、住民から不可能な気象条件を前提とした降伏条件を突きつけられ、そのまま目的地へ直行する。
- §2.1-2.5
ヘルソネソス支配の確立とレムノス島占領
ミルティアデスはヘルソネソスを平定して自らの支配を確立し、さらに新たな拠点を「故郷」とみなす機知によってレムノスを占領し、キクラデス諸島を支配下に置いた。
- §3.1-3.6
ダレイオスの橋の破壊提案とアテナイへの亡命
ペルシア王ダレイオスのスキタイ遠征において、ミルティアデスはギリシア解放のために退路の橋を破壊することを提案したが、独裁者たちの反対により退けられ、アテナイに亡命した。
- §4.1-4.5
ペルシア軍のマラトン上陸とミルティアデスの出撃論
ダレイオスがギリシア征服のために大軍を派遣し、エレトリアを攻略したのち、ペルシア軍がマラトンに上陸したため、アテナイはスパルタに支援を求めるとともに、出撃するか籠城するかを議論し、ミルティアデスは早期の出撃を強く主張した。
- §5.1-5.5
マラトンの戦いにおけるペルシア軍の撃退
アテナイ軍はプラタイアからの援軍を得て一万人となり、ミルティアデスの指揮下で地形上の利を活かしてマラトンの地でペルシアの大軍に挑み、これを撃破して敗走させた。
- §6.1-6.4
ミルティアデスへの栄誉と後世の変遷
ミルティアデスがマラトンの勝利の功績に対して受けたささやかながらも至高の栄誉を述べ、のちに堕落した市民たちがデメトリオスに過剰な像を贈ったことと比較して、国家における名誉の変遷を説明する。
- §7.1-7.6
パロス島遠征の失敗とミルティアデスの獄死
ミルティアデスはパロス島遠征を行うが、不慮の火災を敵艦隊の信号と誤認して撤退し、帰国後に反逆罪で告発されて牢獄で没する。
- §8.1-8.4
僭主政治への恐怖と処罰の真の理由
ミルティアデスの有罪判決の真の背景が、僭主政治を恐れるアテナイ市民の心理にあったこと、そして彼の人望や権威が強すぎたために無実の罪で処罰されたことが説明される。
