底本
Cicero. M. Tullii Ciceronis Scripta quae manserunt omnia, Partis IV, Vol III. Mueller, C. F. W., editor. Leipzig: Teubner, 1900.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:latinLit:phi0474.phi072.perseus-lat1
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、キケロが学友たちとの交流を回顧することから始まり、プラトンの宇宙論対話篇『ティマイオス』をラテン語へと翻案・紹介する形式をとる哲学・科学の書である。物語は、造物主(デミウルゴス)が永遠の模範に基づき、この世界を最も美しく善いものとして創造する決意を語る場面から始まる。造物主は火、土、水、空気の四元素を比例関係によって結合して球体の宇宙の肉体を形作り、さらに「同一なるもの」と「他なるもの」からなる宇宙の魂を吹き込んで調和ある運動を与えた。続いて、天体の運行による時の測定や「完全な年」の成立、そして星々や鳥、陸上生物などの多様な生命の創造が語られる。後半では、人間の肉体形成が下位の神々に委ねられ、魂が辿るべき輪廻の秩序や、視覚のメカニズムが説明される。最終的に、視覚を通じて天体の秩序を知ることが人間に哲学という最大の恩恵をもたらすという結論に至り、肉体と魂の調和の重要性が示唆される。
目次
8 チャンク
引用方式:section
- §1-8
宇宙の生成と永遠の模範および制作者
キケロが学友ニギディウスとクラティッポスとの交流を回顧した後、プラトンの『ティマイオス』から、宇宙の生成、その不変なる模範、そして製作者について語り、議論の性質を述べる。
- §9-14
宇宙の構築理由と比例による身体の結合
神が世界を最も美しく善いものとして創造しようと決意し、知性を持つ唯一の生き物として、火と土を比例(アナロギア)によって結合させて全宇宙の身体を構築したことを語る。
- §15-20
四大元素による宇宙の球体と魂の付与
神が水と空気を火と土の中間に置くことで四つの要素による宇宙の肉体を完成させ、病や老いのない球体として形作ったこと、さらに自足的な球体に回転運動と魂を与えて完成させたことを説明している。
- §21-26
宇宙の魂の調合と分割および二つの天球円環
永遠の神は、肉体よりも優れた(年長の)存在として宇宙の魂を「同一なるもの」と「他なるもの」の中間素材から作り、それを数学的な比率(メソテース)に従って分割・調合した。神はこれを交差する二つの円環(同一なるものの円と他なるものの円)にして肉体を内包させ、宇宙の自己完結的な運動と神的な生を開始させた。
- §27-33
魂の認識と天体の運行による時の尺度および完全な年
魂の認識能力と、天体の運行(太陽、月、その他の惑う星々)が時の尺度を形成することについて。また、すべての天体の運行が同一の起点に戻ることで「完全な年」が成立することが説明される。
- §34-39
四種の生物の創造と伝統的な神々の系譜
造物主は宇宙を完成させるために、神的な星々、鳥、魚、陸上生物の四つの生命を創造する。そして天体(地球など)の運行を説明し、伝統的な神々やダイモーンの系譜については古代の伝承に従うべきであると論じる。
- §40-45
死すべき生物の創造の委託と星々への魂の配分
造物主が諸神に向けて、死すべき運命をもつ残りの生物の創造を委ねること、および魂が星々に配分され、肉体に宿った後に辿るべき道と輪廻の秩序について語る。
- §46-52
若い神々による肉体形成と視覚の機能および哲学
造物主が魂を星々に配分した後の若い神々による肉体形成と、視覚のメカニズム、および視覚から得られる最大の恩賜としての哲学の重要性が語られる。
