キケロ · Cicero
ラビリウス・ポストゥムス弁護
In Defense of Rabirius Postumus
ラテン語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Cicero. M. Tulli Ciceronis Orationes, Vol. IV. Clark, Albert Curtis, editor. Oxford: Clarendon Press, 1909.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:latinLit:phi0474.phi030.perseus-lat2
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 3 件を修正
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 3 件
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、共和政ローマ末期の弁護士・政治家キケロによる、騎士階級の商人ラビリウス・ポストゥムスを擁護するための弁論である。被告ポストゥムスは、エジプト王に巨額の資金を融資した結果、破滅に追い込まれた上、元総督ガビニウスの不当利得事件に関与したとして告発されていた。キケロはまず、ポストゥムスの融資は合法的なものであったこと、そして不当利得返還法は騎士階級に適用されないという法的な一線を主張する。さらに、彼がエジプトで財務長官に就任したのも、資産回収のためのやむを得ない措置であったと釈明する。最後にキケロは、カエサルが彼に寄せる友情と、ポストゥムス自身がかつて困難にあった自分を救ってくれた恩義に触れ、陪審員に無罪と救済を熱烈に懇願して弁論を締めくくる。
目次
8 チャンク
引用方式:section
- §1-5
ラビリウスの王への融資と父からの遺風
弁護人キケロは、エジプト王に資金を貸し付けて破滅したラビリウス・ポストゥムスを擁護し、彼の行動が父C・クルティウスの持つ寛大で高潔な精神を継承したものであることを説明して同情を誘う。
- §6-10
元老院買収の否定とユリウス法に基づく無実の主張
キケロは元老院への贈賄の嫌疑を強く否定し、ポストゥムスの資金提供は合法的な王に対する通常の融資であったと弁護する。さらに、ユリウス法の「金がどこへ渡ったか」という追及規定に基づき、ガビニウスの裁判でポストゥムスの名前が一度も挙がらなかったことを強調して、彼の無罪を訴える。
- §11-16
騎士階級に対する不当利得法の適用除外と警告
キケロは、ポストゥムスへの告発が証拠も法的根拠も欠いていることを示し、彼が属する騎士階級が不当利得返還法の適用外であることを主張して、騎士たち自身が不利な前例を作らないよう警告する。
- §17-23
騎士の特権の保護と王への仕官に関する弁明
キケロは騎士階級が不当利得返還法に縛られるべきでないと論じ、過去の慣行と元老院の意図を引くとともに、エジプト王に仕えて苦難を味わったポストゥムスの愚行を歴史上のギリシアの賢者たちの失策になぞらえて弁護する。
- §24-29
債権回収のための仕官と衣装の着用に対する弁護
キケロは、ポストゥムスがエジプト王の財務長官に就き、ギリシア風の衣装をまとったのは、差し押さえられた自らの資産を回収するための不可避の必要性によるものであったと弁護する。彼は歴史上の著名な先例を引き、強要された状況下での行為は罪とはみなされないことを主張する。
- §30-36
1割徴収の告発の矛盾と証人の不誠実さ
キケロは、ポストゥムスがガビニウスのために行った不当徴収(1割)の告発に内在する論理的矛盾を突く。そして、かつての敵ガビニウスを自らが弁護した背景(ポンペイウスとの和解)を弁明しつつ、裁判ごとに証言を覆すアレクサンドリアの使節たちの不誠実さと虚偽性を激しく攻撃する。
- §37-42
資金追徴訴訟の不当性とカエサルの寛大さ
キケロは「金がどこに渡ったか」という二次訴訟の法的性質と、ポストゥムスに対する不条理な告発内容を分析します。また、カエサルの並外れた寛大さによって彼が破滅から救い出されていることを強調し、カエサルの美徳を称賛します。
- §43-48
カエサルの友情と過去の恩義に基づく無罪の嘆願
キケロは、苦境にあるポストゥムスを支え続けるカエサルの稀有な友情と寛大さを真の称賛に値するものとして称え、かつて自身の追放期にポストゥムスが全財産を投じて示してくれた献身的な援助を回想しながら、審判人に彼の無罪とローマ市民としての生存を熱切に懇願する。
