底本
Appianus. Appiani Historia romana, Volume 1. Mendelssohn, Ludwig, editor. Leipzig: Teubner, 1879.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0551.tlg012.perseus-grc2
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翻訳と校閲
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、古代ローマの歴史家アッピアノスが、ローマとイリュリア地方の諸部族との間で繰り広げられた一連の戦争を描いた歴史叙述です。物語はイリュリアの地理的範囲と神話に遡る諸部族の起源、そしてそれらの興亡の歴史から始まります。アグロン王やデメトリオスの裏切りによる初期の紛争を経て、ローマの支配力が徐々に浸透していく過程が叙述されます。特に、オクタウィアヌス(後のアウグストゥス)によるアルプスやダルマティア、パンノニア地方の徹底的な平定作戦が後半の主題となります。メトゥロスやセゲスタにおける激しい包囲戦、指導者自身の負傷や規律を正すための十分の一刑(デキマティオ)など、臨場感あふれる戦況が克明に描かれます。最終的にイリュリア全土が降伏し、ローマの支配下に組み込まれるまでの歴史的展開を一望できる作品です。
目次
10 チャンク
引用方式:chapter.section
- §11-13
イリュリアの地誌と起源および諸部族の歴史
イリュリア地方の地理的範囲と寸法を述べた後、ポリュペモスの息子イリュリオスに遡る諸部族の系譜的起源を説明し、スコルディスコイ人、トリバロイ人、アルディアィオイ人、リブルニア人の盛衰の歴史について語る。
- §14-16
デルポイ略奪の神罰とローマによるイリュリア統合
アウタリエウス人とケルト人がデルポイ略奪の報いとして神罰により破滅した経緯と、その後のイリュリア諸部族による再度の略奪、それに対するローマ軍の遠征および徴税区域としてのイリュリア全体の統合について語られます。
- §27-28
アグロン王との抗争とデメトリオス討伐
アグロン王のもとで勢力を拡大したイリュリア人とローマ人との間で最初の紛争が起こり、ローマ軍の介入によって講和条約が結ばれる。しかし、アグロンの部下であったデメトリオスの裏切りと不実な略奪行為により、ローマは再びイリュリアに遠征し彼を打倒する。
- §29-211
ゲンティオス王との戦いと諸部族への遠征
著者アッピアノスがイリュリアの各部族ごとの記述方針を述べた後、ゲンティオス王との戦争とアイミリウス・パウルスによる都市略奪、およびダルマタイなどへの各種遠征の経緯を記している。
- §312-315
カエサルとアウグストゥスによるイリュリア経略
ユリウス・カエサルの時代からアウグストゥスの時代に至る、ローマとダルマタイをはじめとするイリュリア人およびパイオニア人(パンノニア人)との戦争の経緯、およびアルプス諸部族の平定について概説する。
- §416-418
アウグストゥスによるアルプスおよび周辺諸部族の平定
アウグストゥスがイリュリア地方やアルプス周辺の諸部族を徹底的に平定し、特に激しく抵抗したサラッソイや、アルプスを越えた向こう側のイアポデス人を多様な戦術と兵糧攻めによって屈服させた経緯を記述する。
- §419-421
アウグストゥスによるメトゥロス攻略と陥落
カエサルがイアポデス人の中心都市メトゥロスを攻める。激しい抵抗と橋の崩落による負傷を乗り越えてカエサルが意志の強さを示した結果、メトゥロスは降伏し、最終的に自ら命を絶つ悲劇とともに滅亡する。
- §422-424
アウグストゥスによるセゲスタ攻略とダルマティア遠征
カエサルはパンノニア地方を通過してセゲスタへ進軍し、激しい抵抗を三十日間の包囲戦で破って同市を制圧する。ローマに帰還後、駐屯軍襲撃の報を受けて冬に急行し、事態を収拾した後にダルマティア人遠征へと向かう。
- §525-527
アウグストゥスによるプロモナ攻略とダルマティア平定
カエサルがダルマティアの要塞プロモナを包囲して攻略し、退却するテスティムスの軍を破り、守備を怠ったローマ軍コホルスに十分の一刑を科したこと。さらに、シノディオンを焼き払い、セトゥイア包囲戦で負傷しながらもローマに帰還した経緯を記す。
- §528-530
ダルマティア人の降伏とイリュリア全域の平定
カエサルがダルマティア人を降伏させてイリュリア全土を平定し元老院から凱旋式の栄誉を与えられたこと、およびイリュリアの一部とみなされるライティア、ノリクム、モエシアの征服の歴史が説明される。
