底本
Theophrastus. Theophrasti Eresii Opera, Quae Supersunt, Omnia. Wimmer, Friedrich, editor. Paris: A.F. Didot, 1866.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0093.tlg010x09.1st1K-grc1
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要旨
本書は、アリストテレスの後継者である逍遥学派の哲学者テオフラストスの多様な著作から遺された広範な思想的・科学的探究の軌跡を集約した断片群である。前半では、感覚を認識の出発点とする立場から、自然の基本原理や運動、場所、時間の定義について、先行するプラトンやアリストテレスの学説を批判的に検討しつつ考察を展開する。中盤では、論理学における推論の諸法則や命題の多義性、そして弁論術のあり方に触れた後、美徳や快楽、音楽による精神の治癒といった倫理的・心理的な主題を取り上げる。後半では、古代の様々な都市の法制度や歴史的逸話を紹介し、さらに動物の生態、植物の寄生、気象や水の物理的特性といった自然界の多様な現象を、神話を排して合理的な視点から子細に解明しようとする。本書全体は、抽象的な哲学思索から微細な経験的観察に至るまで、万物の秩序を包括的に理解しようとした思索の全貌を伝えている。
目次
196 チャンク
引用方式:fragment.section
- §13.1
信念の始まりとしての感覚と理性の原理
テオフラストスが、認識において感覚が信念の始まりであり、そこから内なる理性や思考へと諸原理が延びていくという説を述べている。
- §14.1
天あるいは息としての神の概念
テオフラストスが、神を天、あるいは息と考えているという説を紹介する。
- §15.1
反対のものの原理と同一の類に属さないこと
テオフラストスが『トピカ』において、反対のものの原理が同一の類に属さないこと、また過多と不足、形相と欠如も原理になりうることを議論している箇所。
- §16.1
同種・反対・現実態による生成の三分説
テオフラストスは生成の原因を「同種のもの」「反対のもの」「現実態にあるもの」の3つに区分する。彼はこの区分を、雷電の生成や鞭による打痕、太陽の作用を例に挙げて説明している。
- §17.1
自然物の複合性と構成原理の証明
テオフラストスが『自然学』の冒頭において、自然なものはすべて物体であるか物体を伴うがゆえに複合的であり、したがってすべて構成要素としての原理をもつという命題を証明したことを記述する。
- §18.1
自然の探求における感覚と現象からの出発
テオフラストスの『自然学』第1巻からの引用を通じて、自然の原理を探求する際には、感覚や現象といった私たちにとってより知られた出発点から始めるべきであることが論じられる。
- §19.1
運動の共通の定義と現実活動との区別
テオフラストスが『自然学』第一巻において、運動を範疇の各類における可能的なものの未完の現実活動として定義し、さらに広義の運動が狭義の運動と現実活動に区別されるかについて探求の必要性を述べていることを示す。
- §20.20
範疇ごとの運動の定義と関係における運動
テオフラストスが『運動について』の第二巻および第三巻において、運動を範疇ごとの現実活動あるいは完全現実態として定義し、関係の範疇における運動の有無を区別している箇所。
- §21.1
アリストテレスの場所の定義をめぐる五つのアポリア
テオプラストスが、アリストテレスによる場所の定義から生じる5つの困難な帰結(アポリア)を提示している。
- §22.1
物体の秩序と配置としての場所の定義
テオプラストスが場所を自存する実体ではなく、物体の秩序と配置(関係性)として捉える見解を提示し、それが生物や物体の部分にも適用可能であることを論じている。
- §22b.1
場所の公理と不動性の前提
テオプラストスとエウデモスが、場所に関する前提において、場所の不動性をあらかじめ前提していることを指摘する。
- §23.1
不完全な現実活動としての運動の普遍的定義
『物理学』第14巻から、運動とは可能的なものの不完全な現実活動(現実態)であるという、アリストテレスに基づく普遍的な運動の定義について説明している箇所。
- §24.1
運動と現実活動の区別と不動の形相
テオプラストスの説に基づき、運動と現実活動の関係性を論じ、すべての運動は現実活動であるものの、本質や形相などの現実活動は運動を伴わない不動のものであり得ること、およびその例として知性的なものや彫像の形相を挙げている。
- §25.1
運動の始まりと終わりの二重の意味と非対称性
テオプラストスが運動の始まりと終わりの間に生じる非対称性の難問を提起し、始まりと終わりという概念が「部分としての境界」と「部分ではない極限」という二重の意味を持つことを示してその解決を図る。
- §26.1
運動の始点の非存在または不可知性の検討
テオクラストスの「運動に始まりはないが終わりはある」という説に伴う不条理さを歩行や航海などを例に指摘し、彼が言わんとしたのは運動の始まりの不存在なのか、それとも認識の不可能性なのかを問う。
- §26b.1
質的変化と運動の一挙的な生起の可能性
テオクラストスが『運動について』第一巻で同様の見解を述べていることが示され、運動や完了した動きについても、質的変化のように常に半分から始まるわけではなく、一挙に起こる場合があるのではないかと問いかけられる。
- §27.1
感覚と知性の二重の基準と明白性
逍遥学派が、感覚対象と知性対象という二重の本性に対応して、感覚と知性という二重の判定基準を認め、さらに両者の共通基準としてテオプラストスの言う「明白性」を置いたことを説明している。
- §28.1
プラトンの宇宙生成説に対する異議と解釈
テオプラストスが『自然学説誌』において、プラトンは説明の明瞭さのために宇宙が生成されたと仮定しているにすぎないという解釈を暗に示しつつ、プラトンの宇宙生成説に対する異議を述べている。
- §29.1
宇宙の生成と図形作図の相違についての検討
テオプラストスは、プラトンが説明のために宇宙を生成されたものと仮定した可能性を認めつつも、宇宙の生成と図形の描画プロセスは同様ではないと指摘している。
- §30.1-30.6
世界の生成と消滅を主張する四つの論拠
テオプラストスは、世界の生成と消滅を主張する人々が依拠する4つの主要な議論(大地の起伏、海の縮小、各部分の消滅、人類と動物の遅い出現)を提示し、それぞれの論証過程を説明する。
- §31.1
惑星天球の運行と星なき天球の役割
アリストテレスの宇宙論における惑星天球の運動システムと、それを打ち消す還元天球(テオプラストスの言う「星なき天球」)の関係についての言及。
- §32.1
太陽の運行に関わる三つの星なき天球
太陽自体が運行する三つの天球について、人々が主張したことと、テオプラストスがそれらを「星なき天球」と呼んだ理由を説明している。
- §33.1
太陽の構成に関するクセノパネスの学説
クセノパネスによる太陽の構成(火に燃える雲、または湿った蒸気から集まり太陽を形成する火の小粒子)について、テオプラストスの言及を交えて記述している。
- §34.1
プラトンによる世界の唯一性と摂理的証明
プラトンが世界の唯一性を証明するために摂理的な原因を徹底して用いたことについて、テオプラストスが適切に評価・証言している記述。
- §35.1
天体の構成元素と円運動する第五元素
テオプラストスはプラトンの宇宙組成論(火と土による構成)に触れ、天体や星々がこれらから構成されるという帰結を否定し、円運動する第五元素の導入を示唆した。
- §36.1
地球の自転による天体現象とヒケタスの説
シラクサのヒケタスが唱えた宇宙論について、地球以外の天体はすべて静止しており、地球の高速な自転運動によって天動説と同様の現象が説明されるという説を紹介している。
- §37.1
宇宙全体の回転としての時間とプラトンの説
時間の定義を全体の運動と回転とする説について、エウデモス、テオプラストス、アレクサンドロスが、プラトンもそう考えていたとみなしていることを記述する。
- §38.1
時間の本質と運動の偶有性に関する説
プラトンが時間を運動から切り離せない量としたのに対し、テオプラストスはそれを運動の偶有性とみなしたことを説明する。
- §39.1
海の起源と塩分形成に関するアナクシマンドロスの説
アナクシマンドロスとディオゲネスによる、海が原初の湿気の残余であるという宇宙論的見解と、太陽の熱による乾燥および塩分形成のプロセスを説明する。
- §40.1
最初の自然探究者としてのタレスとその卓越性
タレスがギリシア人に対して最初に自然哲学の探究を明らかにしたこと、および彼が先人たちを圧倒するほど優れた存在であったことを述べる。
- §41.1
アポロニアのディオゲネスによる空気の根源説
アポロニアのディオゲネスが先行思想家を折衷しつつ、無限で永遠の空気が濃密化・希薄化によって万物を生成する本性であると論じたことを、テオプラストスの記録として紹介する。
- §42.1
パルメニデスの宇宙論と人間および知性の生成
パルメニデスが地球の球体説や位置、火と土の二元素、人間の泥からの発生、熱と冷および知性と魂の同一性について述べた教説を、テオプラストスによる言及と共に紹介する。
- §43.1
パルメニデスによる存在するものの唯一性の論証
アレクサンドロスの証言に基づき、テオプラストスが『自然学の歴史』第1巻で提示した、存在のみが真にあり、それは一つであるとするパルメニデスの存在論の論理を要約する。
- §44.1
パルメニデスの真理と意見の二重の探究の道
テオプラストスによるパルメニデスの二重の探究ルート(真理と意見)についての記述であり、真理においては万物を一・球形とし、意見においては火と土の二原理から生成を説明することを説明している。
- §45.1
クセノパネスによる一なるものの原理
テオプラストスは、クセノパネスが「一なるもの」を唯一の原理とし、それが有限でも無限でもなく、動くことも静止することもないとした学説について言及している。
- §46.1
アナクサゴラスの無限の原理と知性
テオプラストスによるアナクサゴラスの学説の紹介。アナクサゴラスが無限の物質的原理の分離と「知性」(ヌース)による世界の生成を説いたこと、および解釈次第で彼が二つの原理(無限なる自然と知性)を立てたとも見なせることを指摘する。
- §47.1
アナクサゴラスの最小と最大の否定への論駁
アナクサゴラスの「最小も最大もない」という主張と、それを引用したテオプラストスの記述をもとに、アリストテレスがその説を論駁していることを示す。
- §48.1
プラトンによる二つの自然学的原理
テオプラストスは先人に続いて現れたプラトンについて言及し、彼が自然についての探究において、質料としての基底(受容者)と、神や善の力に結びついた原因(動因)の二つの原理を立てたことを説明している。
- §49.1
第一原因の探究と無限遡行への批判
テオプラストスは、原理の原理や自己原因的なものの生成を求めるプラトンの姿勢を非難し、そのような問いは無限遡行を招き認識の基礎を破壊すると警告する。さらに彼は、自然界の基礎的な現象すべてに対して「なぜ」を問うことは不必要であり、滑稽であると主張する。
- §50.1
プロメテウスが授けた哲学と火の神話
テオプラストスが、プロメテウスが人類に最初に与えたのは「火」ではなく「哲学」であり、火の神話はそこから派生したものであると主張していることを伝える。
- §51.1
自然学の蓋然性と人間の探究能力の限界
プラトンが自然学を蓋然的なものと見なし、アリストテレスも厳密な証明の条件からこれに同意したことを紹介し、それでも自然学を軽んじるべきではなく、人間の能力の限界に応じた探究に満足すべきであるというテオプラストスの見解を示す。
- §52.1
デモクリトスによる原子への原因遡及
テオプラストスの証言に基づき、デモクリトスが熱や冷による説明を不十分と見なし、原子の概念へとさかのぼったことが述べられている。
- §53.1
魂の固有な働きとしての判断や理知の運動
テオプラストスが『運動について』第1巻において、欲求等は身体的運動だが、判断や観想、そして理知(ヌース)は魂そのものに由来し外から入るものでありながら、それらもまたある種の運動であることを論じている旨を紹介する。
- §53b.1
可能態の理知と能動理知の本性および受動
テオプラストスによる可能態の理知と能動理知に関する議論が引用され、理知が外来のものでありながら同生的であること、非物質的な理知の受動の本質、および身体と結合した消滅しうる理知と分離可能な不滅の理知の区別が検討される。
- §54.1
光の瞬間的伝播と時間内の変化への疑問
テオプラストスが、ランプを部屋に持ち込んだ際に光が瞬時に満ちる現象を例に挙げ、すべての変化が時間内で行われるという説に疑問を呈している様子を描写している。
- §55.1
時間なしに生じる変化の可能性とアレクサンドロスへの異論
すべての変化が時間内で行われるとするアレクサンドロスの見解に対し、光の拡散などを例に時間なしに起こる変化の可能性を疑うテオプラストスの態度が対比される。
- §56.1
肯定における命題の多義性
テオプラストスが著作『肯定について』において、命題が多様な意味を持つと考えていることを示す。
- §57.1
単独時と結合時における語の多義性の変化
単独では多義的だが、結合されると一意になる言葉の存在について、テオプラストスの著作を引いて説明する。
- §57b.1
普遍と個別におけるすべての三角形という表現の多義性
テオプラストスが『いくつの意味で言われるかについて』で挙げた例を引き、「すべての三角形が二直角に等しい内角を持つ」という知識における「すべて」が、普遍と個別のいずれを指すかで多義的になることを示す。
- §57c.1
個別的なものと部分的なものの定義と普遍との対立
テオプラストスが「個別的なもの」と「部分的なもの」をそれぞれ「限定されたもの」「限定されないもの」と定義し、普遍的なものとの対置においてそれらの関係を整理している。
- §57d.1
限定されない命題とその真理性に関する論述
テオプラストスが著作『肯定について』において「何かが存在すること」と「他方が存在すること」を限定されないものと呼んだ理由を、それぞれの存在条件に応じた真偽性から説明している。
- §57e.1
述語の限定と矛盾対立する命題の両立可能性
テオプラストスは、述語に限定が加えられない場合、矛盾する二つの命題が同時に真になりうることを指摘し、ファイニアスの知識の有無を例に挙げる。
- §58.1
必然的なもの・現実に存在するもの・可能的なものの定義
テオプラストスが『分析論前書』に基づき、必然的なもの、現実に存在するもの、可能的なものの定義と区別について述べている。
- §59.1
完全仮言推論の三つの格への還元と定義
テオプラストスが完全に仮言的な推論も三つの格に還元されると論じたことを紹介し、その第二の格と第三の格の定義を説明している。
- §60.1
完全仮言推論の定義に対するアレクサンドロスの疑問
アレクサンドロスは、テオプラストスが「完全に仮言的な推論」と呼んだものについて疑問を呈しており、テオプラストスによるその定義と三つの格への還元可能性が示される。
- §61.1
議論の格への還元と一般的分析法の区別
特定の議論を個別に格へ還元することと、あらゆる問題を分析・還元するための一般的な方法を提示することとの違いを指摘し、テオプラストスの著作におけるそれらの扱いを説明する。
- §62.1
付加前提を措定する四つの方法
テオプラストスが『分析論前書』において、付加前提が措定される4つの経路(帰納、仮定、直接の明白さ、推論)を挙げていることを示す。
- §63.1
全称否定命題の換位に関する単純な証明法
テオプラストスとエウデモスが、全称否定命題が換位可能であることを示すための簡潔な証明方法を提示したことを説明する。
- §63b.1
可能否定命題の換位についての見解
テオプラストスが、可能否定命題も他の否定命題と同様に換位するという説を唱えていることを示す。
- §63c.1
可能の全称否定命題における換位の成立
テオプラストスとエウデモスが、可能の全称否定命題も、事実や必然の全称否定命題と同様にそれ自体と換位すると主張していることを示す。
- §63d.1
付加による命題の定義と定言命題との同等性
アリストテレスとテオプラストスにおける「付加による命題」の定義、3つの名辞の包摂関係、およびそれが定言命題と実質的に同一であることについて論じる。
- §63e.1
類比による完全仮言推論とその本質
テオプラストスが「類比による」と呼ぶ完全仮言推論の特徴と、それが厳密な意味での推論(三段論法)とは言えず、むしろ仮言による推論である理由について議論している。
- §64.1
言説における聴衆への関係と事物への関係の区別
テオプラストスは、言説が持つ二つの関係、すなわち聴衆に対する関係と事物に対する関係を区別し、前者を詩人や弁論家が、後者を哲学者が追求すると述べる。
- §65.1
詩学と弁論術が担う聴衆に対する言説の関係
テオプラストスの規定に基づき、言説の二重の関係(聴衆に対する関係と事物に対する関係)を提示し、聴衆に対する関係に詩学と弁論術が携わることを説明する。
- §66.1
定義の単一性と発話の連続性の条件
テオプラストスによる定義の単一性に関する議論であり、定義が一つの言説であるためには、一つの主体を定義し、発話が連続していなければならないことを示す。
- §67.1
それ自体としてとそれ自体である限りの区別
アリストテレスが「それ自体として」と「それ自体である限りにおいて」を同一視したのに対し、テオプラストスらは前者がより普遍的であるとして区別したことを、三角形や二等辺三角形の性質を例に説明する。
- §68.1
トポスの定義と議論の前提導出における役割
テオプラストスによるトポス(論点)の定義が提示され、トポスが普遍的な規定においては限定的でありつつも、個別的事例に対しては不特定な原理として、議論の前提を導き出す出発点となることが説明される。
- §69.1
限定性と非限定性によるトポスの定義
著者は、以前に言及したテオプラストスによるトポス(論題)の定義を、原理と元素、および限定性と非限定性の観点から改めて引用する。
- §70.1
指針とトポスの区別と推論の原理
テオプラストスによる「指針」と「トポス」の区別を説明し、指針がトポスの原理であり、トポスがエピケイレーマの原理であることを示す。
- §70b.1
同一性と差異の属に関する論題への帰属
テオプラストスが同一性と差異に関する問題を「属」の論題の下に分類したことを説明し、彼の言葉を引用する。
- §70c.1
関係的なものとその基底に関する個別規定
テオプラストスの『トピカ』第2巻からの引用に基づき、関係的な概念がそれが存在する基底となる対象に対して語られるという性質と、個別の事例に応じた区別の必要性について説明している。
- §70d.1
格言の定義と三つの分類
テオプラストスによる格言の定義と、その三つの分類(逆説的なもの、通説的なもの、異論のあるもの)が示されている。
- §71.1
公理の定義と二つの分類
テオプラストスによる公理の定義。同種のものに適用される特殊な公理と、あらゆるものに適用される一般的な公理の二つのタイプが提示される。
- §72.1
非難と怒りと激憤における程度の差異
テオプラストスが著作『感情について』において、非難、怒り、激憤の三者は同種のものではなく、程度の差によって区別されると論じていることを示す。
- §73.1
繁栄を覆す運命の気まぐれな性質
運命の気まぐれで予測不可能な性質について、過去の労苦を台無しにし、定まった時を持たずに繁栄を覆すものであるとテオプラストスが語る。
- §74.1
友を愛する前に吟味すべきこと
テオプラストスによる、他人を友とする前にまず吟味すべきであるという教え。
- §75.1
友人とその財産の共有についての言葉
テオプラストスによる「友人のものが共通なら、友人自身もまた共通であるべきだ」という言葉を引用する。
- §76.1
理髪店を酒なき饗宴と呼ぶ機知
テオプラストスが、理髪店にたむろする人々のおしゃべりを揶揄して、そこを「酒なき饗宴」と呼んだという逸話を紹介している。
- §77.1
欲望による過ちと怒りによる過ちの軽重
テオプラストスは、怒りによる過ちよりも快楽に溺れた欲望による過ちの方が、より放縦で軟弱であり、したがってより重い罪であると主張する。
- §78.1
富の盲目性と羨望に値しない理由
富が盲目で羨むに値しないものであることを、アテナイのカリアスやテーバイのイスメニアスといった富豪が、ソクラテスやエパメイノンダスと同じ物しか用いていなかったという例を通して主張する。
- §79.1
歌いながら絵筆をとるパッラシオスの仕事ぶり
画家パッラシオスが芸術活動を苦痛とせず、絵を描きながら歌を歌うほど容易に行っていたことを、テオプラストスの『幸福について』の記述に基づき紹介する。
- §80.1
幸運を教えると説いたキュレネのテオマンドロス
テオプラストスが『幸福について』の中で、各地を巡回して「幸運」を教えると言い触れていたキュレネのテオマンドロスについて言及していることを示す。
- §81.1
金と銅の例からみる価値判断における量の重要性
ある性質が類として優れていてもその極小部分が他方の膨大な量より望ましいとは限らないことを金と銅を例に説明し、量や大きさが価値判断に影響を及ぼすことを示す。
- §82.1
過度の愛が憎しみを生む危険性
過度の愛が憎しみの原因になりうるというテオフラストスの言葉を引用して述べている。
- §83.1
クレオニュモスをつまみ出したアルゴス人ミュルティス
テオフラストスの『媚びへつらいについて』から、アルゴス人のミュルティスが、裁判官に取り入ろうとした舞踏手クレオニュモスを耳をつかんでつまみ出した逸話が引用される。
- §84.1
文明の発達と快い生涯についての考察
著者はアリスティデスやアゲシラオス、古代の半神たちの質素な生涯よりも、スミンデュリデスや現代人のように物質的に整えられた生涯の方が「快い」と一般に評される理由を、技術の発達と社会の充足の観点から説明する。
- §85.1
快楽の真偽をめぐるプラトンへの反論
テオフラストスが、快楽には真偽の区別がなくすべて真であると主張してプラトンに反論したこと、およびその反論の論拠を説明している。
- §86.1
イオニア人の極度の贅沢と黄金の諺
テオフラストスが『快楽について』において、イオニア人の極度の贅沢と、それに関連して今なお残る黄金の諺について言及している。
- §86b.1
高尚なものの渇望と世俗の快楽への溺惑
テオフラストスの言葉を引用し、高尚なものを渇望することは非難に値しないが、大衆のように世俗的な快楽に溺れることは非難されるべきであると論じる。
- §86c.1
快楽による苦痛の解消とアナクサゴラス批判
テオフラストスが『倫理学』において、快楽が反対の苦痛(渇きなど)を追い払うという説を理由にアナクサゴラスを非難していることを示す。
- §86d.1
若者の美徳を育む称賛と過度の危険
テオフラストスの所説を引きつつ、若い世代において芽生える美徳が称賛によって強化され成長すること、およびあらゆる過度が危険であることを指摘している。
- §86e.1
人間の生を維持する恩恵と名誉と処罰
テオフラストスが、人間の共同生活を維持する三つの要素として、恩恵、名誉、処罰を挙げる。
- §86f.1
共同の食事と質素な生活による富の無力化
テオフラストスの言葉として、共同の食事と生活の簡素さによって富の価値や羨望をなくすことの重要性を述べている。
- §87.1
音楽による坐骨神経痛の治癒と旋法
テオフラストスが『熱狂について』において、フリュギア旋法の音楽を患部に聴かせることで坐骨神経痛を治療できると述べ、音楽の治癒力を記録していることを紹介する。
- §88.1
音楽による心身の病の治療とテーバイの男の治癒
テオフラストスは音楽が心身の様々な病を癒やすと述べ、その具体例として、テーバイでラッパの音により狂乱状態に陥っていた男を、音楽家がフルートを用いて段階的に治療した逸話を紹介している。
- §89.1-89.4
音程の数的還元への批判と音の質的差異
テオフラストスは、音楽の音程を数の比率に還元するピタゴラス派的な見解を紹介し、それに反論する。彼は、音の高さの違いを単なる量的・運動的な数の多寡に帰するならば声そのものの固有性が失われると述べ、音自体の質的な本性的差異を重視すべきだと主張する。
- §89.5-89.9
音の力量の同等性と協和音の成立
著者は高い音と低い音の違いが物理的な運動の「量」に起因するという説を否定し、歌唱や楽器演奏の観察から、低音・高音双方に力的なエネルギー(強度)の同等性があることを示す。協和(シンフォニア)は両音の力量の均衡によって生じ、高い音の伝播の速さは量ではなく音自体の固有性によるものだと論じる。
- §89.10-89.14
音の伝播の形態と音程の役割および音楽の本質
音の高低が数の多少や運動速度の違いによるのではなく、音の伝播する形状や方向性の違い(高い音は直進的、低い音は全方位的)によることを楽器や身体の振動の例から論じる。さらに、音程(間隔)は調和の能動的な原因ではなく、不調和を排除し妨げないための否定的な原因にすぎないと説き、音楽の本質を情念の悪から魂を解放する運動と定義する。
- §90.1
音楽の三つの原理としての苦痛と快楽と熱狂
テオプラストスが『音楽について』において、音楽の3つの原理として苦痛、快楽、熱狂を挙げ、それらが声を通常の状態から変化させる理由を説明している。
- §91.1
あらゆる感覚の中で最も影響を受けやすい聴覚
テオプラストスが、聴覚はあらゆる感覚の中で最も受動的であり、影響を受けやすいものであると主張する一節。
- §92.1-92.96
舞踊の起源と適切な修辞的表現の基準
テオプラストスによる、初期の舞踊の創始者に関する言及、および、ふさわしい表現(美、冷淡さ、過不足のない説得的言辞)などの修辞学的定義や原則が提示されている。
- §97.1-97.5
不動産売買の公示制度と手付金の法的効力
不動産取引における公示制度や手付金(契約金)の法的効力、契約不履行時のペナルティについて、アテナイ、トゥリオイ、クジコス等の様々な都市国家の法制度を比較しつつ論じる。
- §98.1
市場監督官の責務と売買における秩序と誠実さ
テオプラストスが『法について』において、市場監督官が配慮すべき二つの任務、すなわち市場の秩序維持と売買双方の誠実さの確保について述べている。
- §99.1
ペイシストラトスの怠惰禁止法とその効果
テオプラストスの記述に基づき、怠惰に対する法律がソロンではなくペイシストラトスによって制定されたことと、その法律が地方と都市にもたらした効果を述べる。
- §100.1
アテナイにおける傲慢と無恥の祭壇
テオプラストスが『法について』において、アテナイに傲慢と無恥の祭壇が存在したと言及していることを示す。
- §101.1
アテナイにおける弾劾の罪状と告訴人の罰則
アテナイにおける弾劾(エイサンゲリア)の対象となる罪状と、敗訴した告訴人に科される罰則についての規定、およびヒュペレイデスとテオプラストスの見解の相違について。
- §102.1
等価課税特権保持者と諸都市に対する免税特権
テオプラストス『法について』第11巻の記述。等価課税特権保持者の免除規定と、アテナイ人が特定の都市国家全体に対して免税を決議した例に言及する。
- §103.1
盆持ちと在留外国人に由来する慣用表現
テオプラストスの『法について』から、「盆よりも口を閉じて」という慣用表現の由来が、アテナイにおける在留外国人の地位や、公的行列での盆の運搬義務と関連しているという説明を紹介している。
- §104.1
過失致死罪の有罪者による財産管理の権能
過失致死(非自発的な殺人)で有罪となった者が自身の財産を管理する権能を有していたことを、テオプラストスが『法について』第13巻で述べていることを示す。
- §105.1
薬物に冒された者を意味する語の法解釈
『法について』第15巻を引用し、「薬物に冒されている者」という語が「薬物によって害された者」を意味することを示す。
- §106.1
善人に必要な法律の少なさと法の本来のあり方
善人が必要とする法律はわずかであり、それは法律が実態に合わせて制定されるべきものだからであると説明する。
- §107.1
愛とワインの類似性と中庸の重要性
テオフラストスが伝える悲劇作家カイレモンの言葉として、ワインが飲む人の気質に合わせるように、愛も中庸であれば優美だが過度になれば破滅をもたらすことを示す。
- §108.1
エリス人アマシスの恋愛における卓越性
テオフラストスが『恋愛論』において、エリス人アマシスが恋愛に長けた人物であったと述べていることを紹介する。
- §109.1
オーレノス出身の少年に恋したガチョウ
アイギオンにおいて、一羽のガチョウが少年に恋をする。テオフラストスは、この少年がアムピロコスという名でオーレノス出身であったと記録している。
- §110.1
カルキスの女性たちの美しさとヘシオドス
ヘシオドスがエウボイアのカルキスを美人の地と呼んだこと、およびテオフラストスも同様にそこの女性たちの美しさに言及していることを記す。
- §111.1
エリス人の美の競い合いとアテナへの武具奉納
テオフラストスが、エリスで行われる美の競い合いと、その勝者に与えられる武具がアテナに奉納されるという伝承について語っている。
- §112.1
女性の徳と美を競う様々な審査
テオフラストスが、異民族の間で行われる女性の節制と家政管理の審査、およびテネドスやレスボスで行われる美の審査について述べている箇所。
- §113.1
レウココマスとエウクシンテトスの愛の試練
テオフラストスの『愛について』に記されたレベノス出身のレウココマスとエウクシンテトスの愛の試練(プライソスの犬を連れてくること)を記述している。
- §114.1
愛についての暇な魂の情念という定義
テオフラストスが「愛とは何か」という問いに対し、「暇な魂の情念である」と定義した言葉を伝える。
- §115.1
非理性的な欲望の過剰としての愛の定義
テオフラストスによる愛(エロース)の定義。愛とは理性を欠いた欲望の過剰であり、急速に訪れるが去るのは遅いものであると説明される。
- §116.1
混合物の強さとエンペドクレスの引用
テオプラストスが『酩酊について』において、混ぜ合わされたものの方がより強いという自説を支持するために、エンペドクレスの詩句を引用している箇所。
- §117.1
飲酒を制限するロクロイ人と他都市の法律
ザレウコスが定めたロクロイ人の無許可生酒飲用に対する死刑規定と、マッサリアやミレトスにおいて女性に水飲用を義務付ける法律を、テオプラストスの記述から紹介する。
- §118.1
献酒とコッタボス遊びの伝統とシケリア起源
テオプラストスの『酩酊について』を引き、並々と杯を注ぐ新しい習慣と、古来の献酒やコッタボス遊びの伝統を対比し、コッタボスのシケリア起源に言及している。
- §119.1
詩人エウリピデスの酌人役と舞踊手たちの記録
テオプラストス『酩酊について』からの引用として、詩人エウリピデスがアテナイで『舞踊手たち』と呼ばれる主要な人々に対して酌人を務めたエピソード、およびアポロン神殿での活動とそれを記録する絵画について記述している。
- §120.1
七賢人の饗宴と老年の憂鬱を和らげるワイン
いわゆる七賢人が饗宴での集いを行っていたこと、およびワインが老年の憂鬱を和らげるというテオプラストスの言及を伝える。
- §121.1
葡萄の樹液とニンフがディオニュソスの乳母である理由
テオプラストスが、葡萄の木が剪定時に水分(涙)を放出することを根拠に、水(ニンフ)がワイン(ディオニュソス)の乳母であるという神話を物理学的に裏付けている。
- §122.1
英雄たちにのみ捧げられる杯リュトン
テオプラストスが、リュトンと呼ばれる杯は英雄たちにのみ捧げられるものであると述べていることを紹介する。
- §123.1
善きダイモーンに捧げる生酒と節度の儀礼
テオプラストスは『酩酊について』において、夕食時に供される「善きダイモーン」の生酒の儀礼的な飲み方と、節度を保つための神への懇願について述べている。
- §124.1
ティリュンス人の笑い癖と長年の習慣の難治性
テオプラストスが、笑い癖を治そうとして神託に従い犠牲を捧げようとしたティリュンス人たちの逸話を引き、一度身についた長年の習慣を改めることの困難さを論じている。
- §125.1
新たな快楽の発明者に対するペルシア王の懸賞
テオプラストスがカッサンドロス宛ての著作(真偽に疑義あり)において、ペルシアの王たちが新たな快楽の発明者に多額の賞金を提供していたと伝えている。
- §126.1
ヒエロンの天幕略奪を扇動するテミストクレス
テオプラストスが『王権について』において、テミストクレスがオリンピアでシラクサの僭主ヒエロンの天幕を略奪し、その馬の出走を阻むよう扇動した逸話を引用している。
- §127.1
選ばれた僭主としてのアイシュムネーテース
テオプラストスが『王権について』で述べた、古代ギリシアの「アイシュムネーテース」という職が、一種の民選僭主であったという記述。
- §128.1
陰謀防止と支配維持のための財産浪費と巨大建築
テオプラストスは、僭主ディオニュシオスが陰謀を防ぐために富を浪費したことや、エジプトのピラミッドなどの巨大建築も同様の支配維持の意図から作られたことを指摘している。
- §129.1
都市統治者の呼称としてのハルモステースの優位
テオプラストスが、ラケダイモン人が諸都市の統治者を「エピスコポス」や「ピュラクス」ではなく「ハルモステース」と呼んだことについて、名称の美しさの観点から評価している。
- §130.1
ストラトニコスによる諺の分割と俳優への揶揄
テオプラストスが『滑稽について』において、ストラトニコスが役者シミュカスを揶揄するためにことわざを区切って使った逸話を引用している。
- §131.1
アテナイで最初に陶片追放されたテセウス
テオプラストスが、テセウスをアテナイで最初に陶片追放された人物として記録していることを示す断片。
- §132.1
ビアスの格言とアイスキュロスによる諺の引用
アイスキュロスが用いた「不謹慎な舌には災いがもたらされる」という表現について、元来は七賢人ビアスの格言でありながら諺として通用している旨をテオプラストスが証言していることを紹介する。
- §133.1
タラスの将軍ディノンと右手に関する逸話
タラスの将軍ディノンが、自らの提案を市民に否決された際、可決された決定に対して右手を挙げ、「こちらのほうが強い」と言った逸話。
- §134.1
アルキビアデスの弁舌と表現へのこだわり
テオプラストスの証言を引用し、アルキビアデスが物事の理解には非常に優れていたものの、表現への強いこだわりから、しばしば言葉に詰まって沈黙や言い淀みを生じていたことを説明する。
- §135.1
ライサンドロスとアルキビアデスに対する評言
ラケダイモン人エテオクレスによるライサンドロスへの評言と、これと同様のアルケストラトスによるアルキビアデスへの評言をテオプラストスが紹介している。
- §136.1
アリスティデスの私的な公正さと国益の優先
テオプラストスはアリスティデスについて、私生活では公正であったが国益のために不義も認めたとし、デロス同盟の資金移動のエピソードや、彼が貧しい生活を貫き名声を博したことを紹介している。
- §137.1
フィロクレスの堂々たる処刑への臨み方
アテネの将軍フィロクレスがリュサンドロスに捕らえられた際、恐れることなく堂々と刑に臨んだ逸話を、テオプラストスの記述に基づいて伝える。
- §138.1
ニキアスによる講和条約の籤の買収
アテナイとスパルタが領土や捕虜の返還協定を結んだ際、ニキアスが秘密裏に金銭で抽選を買収し、スパルタ側に先に対象を返還させたことを記述している。
- §139.1
ヒュペルボロスの追放と対立候補の異説
著者は、ヒュペルボロスが陶片追放された際、アルキビアデスと対立していたのはニキアスではなくファイアクスであったとするテオプラストスの説に言及しつつ、大半の著述家は通説(ニキアス対立説)を支持していると指摘する。
- §140.1
将軍にふさわしい死のあり方
将軍たる者は、一兵卒のような死に方ではなく、将軍にふさわしい死に方をすべきであるというテオプラストスの言葉を伝える。
- §141.1
アルキダモスの小柄な妻と監督官の罰金
スパルタの王アルキダモスが小柄な女性を妻に娶ったため、小王しか産まれないと危惧した監督官たちから罰金を科されたという逸話を紹介している。
- §142.1
アゲシラオスによるエジプトの贈り物の選別
アゲシラオスは、エジプト側からの豪華な贈り物のうち実用的なものだけを受け取り、残りをヘイローテスたちに与え、簡素な冠用のパピルスのみを喜んで所望したというテオプラストスの逸話。
- §143.1
若者の徳の育成と称賛の効用
若い頃には立派な行いや名声を誇ることが許されるべきであり、称賛によって徳が確固たるものになり成長するというテオプラストスの見解を示す。
- §144.1
デモステネスとデマデスに対する評価
キオスの アリストンが伝える、アテナイの弁論家デモステネスとデマデスに対するテオプラストスの評価を記述している。
- §145.1
クロビュロスによる戦費と拠出金の言葉
同盟国たちが拠出金の制限を求めた際、民衆指導者クロビュロスが「戦争は定められた額で養えるものではない」と語ったという、テオプラストスの記述を紹介している。
- §146.1
病気とお守りによるペリクレスの衰弱の逸話
テオプラストスが『倫理学』で品性と身体の関係について論じ、病に伏したペリクレスが女たちの勧めるお守りを身につけて自らの衰弱を友人に示した逸話を紹介する。
- §147.1
性的な不調と女性化への懸念の逸話
テオプラストスの記述として、ある人物が性愛の営みに不調であったため、周囲がその人物の女性化を懸念していたという逸話を紹介する。
- §148.1
古代エジプト人の最初の捧げ物と香料
キリスト教信者に対する中傷者(ポルピュリオス)が、著書の中でテオプラストスを引用し、古代エジプト人が神々に捧げた最初の犠牲は高価な香料ではなかったと述べている箇所を提示する。
- §149.1
動物犠牲の対象とアポロンの神性への疑念
テオプラストスを引用する著者が、動物の生贄は神々ではなくダイモーンにのみふさわしいと論じ、その帰結としてアポロンは神ではなくダイモーンであると指摘する箇所。
- §150.1
真の敬虔さと動物犠牲の禁止
前文の議論を踏まえ、テオプラストスが真の敬虔さを望む人々に対して動物犠牲を禁じていることを述べる。
- §151.1
ユダヤ人の動物犠牲とその拒絶
話者は、ポルピュリオスの著作に引用されているテオプラストスの文章を読み上げるよう促す。そこでは、ユダヤ人が今なお生き物を犠牲にしていることが述べられ、同じ方法での犠牲を命じられたなら自分たちは拒絶するだろうと主張される。
- §152.1
神への敬虔と家族への義務および金銭の取引
神への敬虔、両親への孝行、妻子への配慮、そして賢明な金銭取引について論じ、それぞれの義務やその背後にある正義の本質を説く。
- §153.1
中傷や嫉妬による偽りの一時性と衰亡
中傷や嫉妬に由来する偽りは、一時的に勢力を得ることがあっても、すぐに衰えて消え去るということを示す。
- §154.1
怒りに任せた行動や処罰の戒めと理性の重視
怒りに任せて行動したり他者を罰したりすることの愚かしさを説き、理性を優先させて十分に時間をかけた慎重な対処を勧める。
- §155.1
自己尊重と他者に対する羞恥の克服
自己を尊重することこそが、他者に対して恥じない生き方につながることを説く。
- §156.1
ねたみ深い者が他人よりいっそう不幸である理由
ねたみ深い人が一般の人よりも不幸である理由として、一般人は自身の不幸のみを悲しむのに対し、ねたみ深い人は自らの不幸に加えて他人の幸福をも悲しみ続けるからだと説明する。
- §157.1
女性が見ることも見られることも避けるべき理由
女性は、特に美しく飾られた女性の場合、他者を見ることも他者から見られることもすべきではないと述べ、女性はそれらの行為を不適切な目的のために利用する術を知っているからだと主張する。
- §158.1
女性の能力が発揮されるべき家庭の管理
女性が政治の領域ではなく、家庭の管理においてその才能を発揮すべきであることを述べる。
- §159.1
各地の水や泉の性質と温度や重さの差異
テオプラストスの『水について』より、ナイル川をはじめとする世界各地の水や泉の様々な物理的・生理的特質、重量、温度変化、およびその原因を分析・記述した断片である。
- §160.1
ペネオスにおけるステュクスの水の性質と毒性
テオプラストスがステュクスの水について、それがペネオスに存在し、特殊な採取方法を要することや、その強烈な破壊力と毒性について述べている。
- §161.1
パンガイオン山の泉における水の季節的な重量変化
トラキアのパンガイオン山近くにある泉の水が、冬には夏に比べて同じ容器で二倍の重量になるというテオプラストスの報告を伝える。
- §162.1
動物の毛色を白くするクラティス川の水
クラティス川の水には動物の毛色を白く変化させる性質があるという、テオプラストスの報告を引用して紹介する。
- §163.1
冬に漁網が腐りやすい原因と深部の熱
冬に漁師の網が腐りやすい理由について、寒冷に押し込められた熱が海の深部に蓄積し、そこを温暖にするというテオプラストスの説を交えて考察する。
- §164.1
アイオロス諸島周辺における海水の沸騰
テオプラストスの記述として、アイオロス諸島周辺の海が熱さのため立ち入ることができないほど激しく沸き立っている様子を伝える。
- §165.1
アイオロス諸島の火の轟きとタウロメニオンの雷鳴
テオプラストスがアイオロス諸島での火の轟きを伴う燃焼と、タウロメニオン周辺での雷のような轟音について記述していることを紹介する。
- §166.1
窒息した者の蘇生法と酢や胡椒の効用
テオプラストスが著作『窒息について』において、窒息した者の蘇生・回復方法として、酢の注入やすりつぶした胡椒・イラクサの種を用いる治療法を記述している箇所。
- §167.1
ハイドノンなど地下生植物の発生と性質
テオフラストスがハイドノン(セイヨウショウロ)やミスュなどの地下生植物について述べた記述の断片。これらが秋の雨や雷によって発生すること、一年生であること、種子や砂質の生育環境に関する説を紹介している。
- §168.1
無根植物の構造と海辺で石化するキノコ
テオフラストスの『植物誌』を引用し、地下生および地上生である根のない植物(ペジアス)やキノコの構造上の特徴を述べるとともに、ヘラクレスの柱周辺の海で雨後に生じて太陽で石化するキノコについて言及する。
- §169.1
樹木の幹に寄生する植物の発生原因
テオフラストスが、ある樹木の幹に異なる種類の植物が寄生して成長する現象について、鳥の排泄物と雨による発芽プロセスから自然科学的な原因を解明したことを紹介する。
- §170.1
タプシアの根が持つ肉を凝固させる性質
テオフラストスが『植物研究』において、タプシアの根を肉と一緒に煮ると肉が一つに固まって器から取り出せなくなるという特異な性質について述べている。
- §171.1-171.5
魚類の陸上生存と環境適応の可能性
魚類が陸上で生存する現象について、エークソーコイトスやインド・バビロンの陸上を歩く魚の事例を引きつつ、その生物学的可能性と適応機構、また海水魚が淡水を避ける理由について考察する。
- §171.6-171.12
地中で発見される魚類の生存と熱の比較
空気と液体の温かさの比較と、地中から掘り出される魚(および氷に閉じ込められた魚)の生存機構および自然発生説、そして彼らにとって水が本性上適した場所であるかについて論じる。
- §172.1-172.4
タコとカメレオンとタランドスの体色変化
タコ、カメレオン、およびトナカイ(タランドス)の色変化能力について論じる。特にトナカイの毛色の変化の驚異性と、カメレオンの気(プネウマ)による色変化メカニズムに言及する。
- §173.1
タコの擬態の理由と陸上での習性および生息域
テオプラストスの逸文。タコが岩場に同化する理由(恐怖と自己防衛)、陸上生活時の海への拒否、およびヘレスポントスにタコが生息しない理由(海水温の低さと低塩分)について説明している。
- §174.1-174.8
小動物の大量発生と死滅の原因および特異な習性
テオプラストスは、ハエ、カタツムリ、カエル、イナゴ、ヘビ、ネズミなどの小動物が大量発生する自然環境的要因、それらの死滅の原因、さらには金を食うネズミや二足歩行のネズミといった特異な生態について説明している。
- §175.1
動物が薬効部位を隠すという俗説の否定
動物が人間への嫉妬から薬効のある部位を隠すという俗説に対し、著者はそれらが恐怖や本能的欲求などの自然な原因によるものであると論じる。
- §176.1
カタツムリの夏眠と秋の雨による出現
テオフラストスの『冬眠する動物について』からの引用として、カタツムリが冬だけでなく夏にも休眠(夏眠)すること、そして秋の雨の時期に最も多く出現することを説明している。
- §177.1
甲殻類の脱皮と殻の更新
テオフラストスが、ウミザリガニ、イセエビ、小エビなどの甲殻類が脱皮することについて述べている部分。
- §178.1
シビレエイの潜土習性と麻痺させる力
テオフラストスの著作から、シビレエイが寒さのために地中に潜ること、および木の棒や銛を通じて人間をしびれさせる力を放つことに関する記述。
- §179.1
キジにおける雄の雌に対する著しい優越
アリストテレスまたはテオフラストスが、キジのオスのメスに対する優越(大きさや外見の際立ち)が不釣り合いなほどに大きいことを指摘している記述。
- §180.1
キジ類など地上性鳥類の身体的特徴と習性
アリストテレスの弟子テオフラストスが、その著作の中でキジなどの地上性の鳥類(早成性の特徴を持つもの)の身体的特徴と言動の習性について説明している箇所を引用している。
- §181.1
コリュダロス山を境とするシャコの鳴き声の差異
テオフラストスが、コリュダロス山を境界とするアテナイのシャコの鳴き声の地理的な違いについて言及している。
- §182.1
パフラゴニアのシャコが持つ二つの心臓
テオフラストスがパフラゴニア地方のシャコには心臓が二つあると述べている記述。
- §183.1
野生の雄鶏の交尾欲と雌雄の時間差
野生の雄鶏が飼い慣らされたものよりも交尾を好むこと、また雄と雌で交尾を望む時間帯が異なるというテオフラストスの説を紹介する。
- §184.1
酷寒で凍りつき陶器のように砕ける魚
テオフラストスは、極寒で凍りついた魚は地面に落とされるとガラスや陶器のように砕け散ると伝えている。
- §185.1
オノスとイウルスと呼ばれる虫の名称
テオフラストスがファニアス宛ての手紙の中で、オノス(ワラジムシ)がイウルス(ヤスデ)とも呼ばれると述べている記述。
- §186.1
セリポスのカエルが鳴かない原因と水の冷たさ
テオフラストスが、神話を排してセリポス人の誇張を正し、セリポスのカエルが鳴かない原因は水の冷たさにあると説明している。
- §187.1
多湿な環境において雄鶏が鳴かない現象
テオフラストス説として、湿気の多い環境(湿地や多湿な空気)が雄鶏のさえずりを妨げることを示す。
- §188.1
タコが体の色を変える理由と臆病な性質
タコが色を変える理由について、テオフラストスの説(臆病な性質により、動揺した際に息の変化に伴って色が変わるというもの)を紹介し、人間との類似性を指摘する。
- §189.1
カメレオンが恐怖と気の多さにより体色を変える理由
カメレオンが色を変えるのは、策略や隠蔽のためではなく臆病さによるものであり、ほぼ全身が肺であるためプネウマが豊富であることが関係していると説明される。
- §190.1
蜂蜜の三つの起源と空気からの蜂蜜の性質
蜂蜜の三つの生成源(花、空気、葦)について説明し、特に空気から降下する蜂蜜がオークやシナノキの葉に付着する条件とその物理的特徴、およびミツバチとオークの親和性について述べている。
