底本
Theophrastus. Theophrasti Eresii opera quae supersunt omnia, vol. III. Wimmer, Friedrich, editor. Leipzig: Teubner, 1862.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0093.tlg006.1st1K-grc1
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-12・変更履歴の一覧
要旨
本作は、知性によってのみ捉えられる第一原理と、感覚される自然界との結びつきをめぐる難問(アポリア)を徹底的に検討する哲学書である。著者は、第一原理がどのように天体の運動を引き起こすのかという問題や、天球の複数性と魂の有無について問いを投げかける。続いて、ピタゴラス派やプラトンなど先哲の宇宙階層論の不十分さを批判しつつ、存在が質料と形相に分割される仕組みや、原理そのものが規定を持つべきか否かを検証する。また、認識論的な問題として、感覚に基づく知見と直接的な知性的直観が捉える第一原理との区分を示し、あらゆるものに根拠を求める探求の限界を指摘する。最後に、自然界における目的論的説明の適用範囲に言及し、偶然や例外が満ちる現実において、目的因と最善への衝動の限界を正しく画定することこそが宇宙論の基本原理であると結論づける。
目次
7 チャンク
引用方式:section
- §1-7
第一原理と自然の結合および運動の原因
第一の原理(知性に捉えられるもの)と自然(感覚されるもの)との結びつき、および運動の原因としての第一の原理の性格について論じ、さらに天体の複数性と欲求の調和に関する難問を提示する。
- §8-11
天球の運動の原因と包括的説明の要請
テオフラストスは、天球の数と運動の関係における難問を提起し、天球が静止ではなく運動を追求する原因や魂の有無について考察する。さらに、全存在を体系的に説明せず、一定の段階で立ち止まってしまう学問的態度を批判し、ピュタゴラス派のエウリュトスの例を挙げて徹底的な説明の必要性を説く。
- §12-15
第一原理からの階層導出と目的論の限界
ピタゴラス派、プラトン、スペウシッポス、クセノクラテスなどの先哲が第一原理からそれ以降の宇宙の諸階層をどのように導出したか(あるいは不十分にしか説明しなかったか)を検討し、個別科学との違いを論じる。また、原理が規定(形)を持つべきか、それとも無規定(無形)であるべきかという問い、さらに自然界における秩序と目的論的説明の及ぶ範囲について論じる。
- §16-19
第一原理の静止と活動および対立者の難問
テオプラストスは、第一原理における「静止」や「活動」の概念について検討し、実在が質料と形相へ分割される仕組みを分析する。また、宇宙に対立するものが満ちているというアポリアや、感覚が認識において果たす役割について論じている。
- §20-26
知識の把握方法と第一原理の認識限界
知識の固有性と認識の多様な方法(類比や分割など)を検討し、感覚から得られる出発点と、直接的な知性的直観のみが把握しうる最初の原理の区分、および万物に根拠を求める探求の限界について論じる。
- §27-30
天体の運動と目的論的説明の困難
天文学の記述対象から自然学や第一原理への移行を論じ、天の回転を生命に例える一方、自然における「何のために」という目的論的な画定の困難さや、潮汐、動物の無用な器官、無生物の性質に見られる偶発的・必然的な例外について検証する。
- §31-34
最善への志向の限界と目的因の適用範囲
テオプラストスは目的論的原則(最善の追求)の適用限界を論じる。自然界には無生物、物質、あるいは対立する原理(不定の二者)が多数存在し、神であってもすべてを最善に導くことはできないが、天体や数学的対象には高い秩序が見出されるため、目的因と最善への衝動の限界を正しく画定することが宇宙論の基本原理となると結論づける。
