底本
Aristotle. Aristotelis Quae Feruntur Problemata Physica. Ruelle, Charles, editor. Leipzig: Teubner, 1922.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0086.tlg036.1st1K-grc1
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要旨
本書は、日常の自然現象や人体の生理現象、動植物の生態、音楽、数学、倫理に至るまでの多様な疑問に対し、物理的・生理的な因果関係を追究する百科全書的な問答集である。全38巻からなり、アリストテレス自然学や古代医学の知見に基づいて「なぜ〜なのか」という問いに仮説を提示する形式で構成されている。前半では、気候が健康に与える影響や、発汗、飲酒、性行為、疲労、感覚器官(視覚や聴覚)のメカニズムなど、主に身体と病理をめぐる問題が議論される。中盤では、幾何学や力学、音楽の調律、植物の栽培、波や風といった気象現象など、数理的・自然科学的な領域へと関心が広がる。後半では、恐れや怒りなどの感情、メランコリー(黒胆汁)と天才の関連、そして微細な触覚や呼吸の仕組みが解き明かされる。系統的な結論を導くのではなく、網羅的な問いと探究のプロセスそのものが提示されており、古代の知性が世界の理をいかに見出そうとしたかを示す一冊である。
目次
148 チャンク
引用方式:book.chapter
- §1.1-1.8
過剰と不足による病気と季節や風の影響
このチャンクでは、過剰や不足が病気を引き起こす仕組み、季節や風の変化が健康に与える影響、特定の病気(急性疾患、疫病、熱病、眼炎)の発生メカニズムについて論じられている。
- §1.9-1.14
季節変化と体質に応じた病気と水食の変容
気候(冬と春、夏と秋)の急激な変化や偏りが、人々の体質(胆汁質や粘液質)や性別、年齢に応じてどのような病気を引き起こすか、また、空気の変化に比して水や食事の変化がなぜ病をもたらしやすいのかを論じる。
- §1.15-1.19
環境と食の変化がもたらす病気と季節の極端な影響
変化(特に水や食物)が健康に与える影響、季節の極端な変化が老人や病人に及ぼす致命的損害、および湿地での傷の治り方と気候変動による病理(赤痢や四日熱)について論じている。
- §1.20-1.25
夏秋の気候と冬の疾患および風や蒸気の影響
夏と秋の気候条件(雨と温かさ)が冬の病気(急性疾患や稽留熱)の発生に及ぼす影響を分析し、続いて地中の蒸気、カエルの発生、南風などの自然的・気候的要因が身体組織や健康に及ぼす影響、および冬と夏における病気の重症度の違いを論じる。
- §1.26-1.34
季節変化と体液の動態および外傷と外科的処置
季節変化と体内の温熱・一冷の動態、特に胆汁と粘液の働きから生じる疾病(稽留熱や悪寒など)の因果関係を解き明かし、さらに湿布、切開、焼灼、外傷薬といった外傷・腫物に対する各種外科的治療法の基準を問答形式で規定している。
- §1.35-1.40
金属の創傷治癒と養生法および排泄性薬剤
青銅製器具による傷の速やかな治癒、大麦粥の有用性、スベリヒユによる歯の浮きの解消、季節ごとの疲労回復法、および経口薬が消化管と膀胱のどちらを緩めるかについて論じている。
- §1.41-1.43
瀉下薬の作用機序と上下の腹を動かす原理
薬が上下の腹(胃や腸)のどちらを動かすかの原理、瀉下薬の作用機序が「未消化性」にあること、および胡椒とスカンモーニアの量による作用の違いを論じる。
- §1.44-1.51
炎症治療と生活養生および薬剤と尿の診断
炎症に対する温冷治療の作用機序や貼付薬の変更意義、健康を保つための食事と運動のバランス、瀉下薬の本質と各食材の作用、利尿を促す香料、潰瘍の進行度に応じた薬剤の使い分け、粘液性疾患における性交や病初期の食事療法の功罪、そして尿の色の観察による消化判定の仕組みを論じている。
- §1.52-1.56
肉体の通気性と熱湿の相互作用および発熱の治療
健康維持のために肉体を多孔性に保つ重要性と、日光や衣服の管理方法を説明し、次いでしもやけ、発熱、間欠熱、四日熱に対する温冷刺激や養生法、および体内における熱と湿気の相互作用に基づく治療原理を解説する。
- §2.1-2.10
発汗の機序と汗の性質および部位による差異
汗が放出されるメカニズムや、汗が塩辛い理由、頭部や顔から発汗しやすい原因、衣服の有無による発汗の違いなどを生理学的に考察する。
- §2.11-2.18
熱の段階的増加と身体部位による発汗の違い
熱が徐々に加えられる際の発汗の増加、垢擦りによる発汗促進、特定の植物や香油が及ぼす汗の臭いへの影響、背中や顔などの特定部位で多く発汗する解剖学的理由、睡眠中の発汗、および発汗時の冷却が吐き気を引き起こす仕組みを論じる。
- §2.19-2.24
頭足部の発汗と労働後の発汗および季節の影響
温められたときに頭と足から多く発汗する理由、労働(運動)中よりもそれをやめた後に多く発汗するメカニズム、夏と冬のどちらに発汗を促すべきかの議論。
- §2.25-2.30
飲食や精神状態と睡眠や運動による発汗の違い
本篇では、飲食後の食事による発汗の減少、緊張時の足の発汗メカニズム、睡眠中やサウナにおける発汗、裸での運動時の発汗の有益性と血色の変化について、体内熱の動態と風通しの影響から説明される。
- §2.31-2.35
不安による足の発汗と蒸し風呂や季節の発汗
不安による足の発汗のメカニズム、蒸し風呂での効果的な発汗の条件、夏と冬における発汗を促す必要性の違い、そして発汗時に生じる寒気や汗の温度が示す健康状態について論じる。
- §2.36-2.42
熱や衣服と歩行傾斜による発汗と冬の発汗
熱や衣服、傾斜の登り下り、季節、労作の有無が発汗に与える影響や、それぞれの汗の健康上の意味、冬の発汗が不健康とされる理由を問答形式で説明する。
- §3.1-3.5
飲酒による寒気や悪酔いと手の震えの生理的要因
飲酒による身体の生理的・心理的影響について、酔っている者が寒さを感じやすい理由、ほろ酔いの方が悪酔いする理由、二日酔い、精液の不妊、そして大酒飲みの手が震える機序(過剰な熱による体内固有の熱の消滅と燃料枯渇)を論じる。
- §3.6-3.9
酔いによる冷えと味覚や視覚への影響
酔っている人が寒さを感じやすい理由、年齢や体質による酒好みの違い、酔っているとしらふの時で味覚の感じ方が異なる理由、および酔うと視界が回転し遠くが見えなくなる仕組み(視覚の円錐構造)を説明する。
- §3.10-3.15
複視や性交不能と酒の性質による酔いの差異
酔っているときに一つのものが複数に見える現象、交わりが困難になる理由、および甘いワインや生のワインが酔いに与える影響や、鍛え方の違いによる飲酒への耐性の差について論じる。
- §3.16-3.19
気質への相反する影響とキャベツによる宿酔解消
ワインが人の精神に与える相反する影響の仕組みや、キャベツが二日酔いを解消する生理学的な理由、さらには水っぽいワインが吐き気を誘発する原因や、酔っている時としらふの時の味覚の感度の違いについて論じている。
- §3.20-3.25a
泥酔時の視覚の乱れと身体への諸影響
ひどく酔ったときにすべてが回転して見える現象や遠くのものが数えられない現象を視線の運動から説明し、続いて飲酒量や濃度が胃腸の乾燥や二日酔いに与える影響、過剰な生ワインの摂取による死の危険性、酔っ払いの涙もろさ、杯の大きさと酔いやすさ、そして酔っているときの睡眠不全のメカニズムを論じている。
- §3.26-3.28
飲酒による震えと微酔状態での乱行の原因
3.26では過度な飲酒が体を震えさせる原因を体内の固有の熱の枯渇として説明する。3.27と3.28では、それぞれほろ酔いの人が最も悪酔いする理由と、甘口のワインでは酒溺者にならない理由を考察する。
- §3.29-3.35
泥酔時の複視や言語障害と油による酔い止め
酔ったときに生じる複視、舌のもつれ、性機能の低下、若年者の遺尿(おねしょ)の原因を、熱や湿気、体内起点の動きなど身体的な観点から説明する。また、オリーブオイルが酩酊防止に役立つ理由についても論じている。
- §4.1-4.5
性行為と目や腰への影響および陰毛の発生
性行為や死、睡眠時の目の動きのメカニズムを論じ、頻繁な性行為が目や腰、肛門周辺の部位に与える影響、去勢が視力や身体に及ぼす乾燥効果、人間の思春期における陰毛の発毛理由、および裸足が性行為に及ぼす悪影響について究明する。
- §4.6-4.12
性交後の疲労と射精の仕組みおよび性欲の諸条件
性交後の疲労の理由や、恐怖や死の際に精液が漏れるメカニズム、欲求がないときの身体活動の害、空腹時や乗馬時の性欲への影響、思春期以降の肌のにおいの変化について論じる。
- §4.13-4.15
精液による生殖と水中での性交および性快感の原理
なぜ精液からのみ固有の子孫が生まれるのかという生殖の性質を論じ、水中で人間の性交が困難な理由、そして性交に伴う最大の快感のメカニズムを自然の熱や排泄の観点から説明する。
- §4.16-4.24
性交の生理的影響と勃起や体臭の生じる原因
性行為が身体に及ぼす多様な生理的影響や、尿意・坐骨神経痛が性機能に与える効果、さらには勃起の物理的・気力的なメカニズムと独特の体臭が生じる原因について、熱や気(プネウマ)の動態から説明している。
- §4.25-4.26
夏の性欲の男女差と受動的同性愛の生理的原因
夏に男の性欲が衰え女の性欲が盛んになる現象を、熱と冷などの身体的性質の調和から説明し、さらに受動的同性愛の成因を精液の管の生理的歪みと習慣形成の両面から論じる。
- §4.27-4.32
性欲を恥じる理由と好色の原因および視力への影響
性欲が恥とされる生理的理由、男女の季節的な性欲の差異、好色な人々の性質、鳥や体毛の濃い者・歩行の不自由な者が多淫になる原因、そして性交と視力の衰えの関係について、熱と湿気(プネウマ)の観点から生物学的に考察する。
- §5.1-5.7
歩行と運動による疲労の生理的影響とその対処
散歩の長さや地形の違いが疲労に与える影響、運動後の身体の容積や声の変化、腹部の脂肪蓄積の理由、油と水の混合液による疲労回復効果、そして疲労時の治療法としての嘔吐の有効性について、生理学的な仮説を提示して論じている。
- §5.8-5.13
投擲や走歩行と乗馬による疲労および身体への影響
空中での腕振りと投石の疲労度の違い、速走が頭部に与える病気の影響、平地と起伏地での歩行速度と疲労、寝具の形状による疲労の違い、短い散歩が疲れる理由、乗馬時の速度と落涙の関係について論じる。
- §5.14-5.18
腹部脂肪の減少と走行時の呼吸や転倒の原因
運動や摩擦が腹部の脂肪や他の身体部位に与える影響、長距離の移動後につま先立ちをした際の身体の震え、小走りにおける呼吸のリズムと空気の体感、および走る際と歩く際での転びやすさの違いについて論じる。
- §5.19-5.24
歩行時の下肢への負荷と起伏による疲労の差異
坂の上り下りや歩行における膝、太腿、下腿への物理的負荷の差異、多湿な体質における過熱と息苦しさのメカニズム、均整の取れた身体の罹病と回復の容易さ、平坦な道と起伏のある道における疲労の違いを論じる。
- §5.25-5.32
道のりの認識と運動後の身体反応や疲労
道のりの長さに関する心理的認知、太腿の疲労の原因、運動後の皮膚の異常や食事制限、走ることと歩くことの力学的負荷の違い、運動後の食欲喪失、疲労や結核における夢精の機序、左右の脚をマッサージする際の手足の非対称的な働きについて論じる。
- §5.33-5.37
食事制限と労作による余剰物の排出と健康
食事の制限や労作、肉体の通気性が健康に与える影響を論じ、短い散歩での疲労や太陽光の下での熱の留まり方、そして高速移動時に生じる涙の生理的メカニズムについて考察している。
- §5.38-5.42
季節に応じた疲労回復と歩行時の地面や負荷の影響
本セクションでは、季節による疲労回復方法の違い、急停止時の筋肉の痙攣の原因、散歩する地面の起伏や硬軟が身体に与える影響、上り坂の歩行の困難さ、および落馬の防止について論じている。
- §6.1-6.7
身体の姿勢や安静が及ぼす生理的影響
座位と体質の影響、運動時のストレッチ、就寝時の姿勢(丸まることや左右の向き)、立ち上がる際の見当識障害(めまい)、手足の痺れなど、身体の姿勢や安静が健康と生理現象に与える影響について多角的に論じている。
- §7.1-7.5
あくびの伝染と感覚刺激による身体反応
あくびの伝染、火や水の近くでの排尿衝動、病気と健康の伝播の違い、そして特定の音や視覚的兆候が身体に与える影響や身震い(寒気)のメカニズムについて、気(プネウマ)や水分の動き、記憶や予測の働きから説明している。
- §7.6-7.9
動物の模倣行動と精神的共感および病気感染の機序
荷役獣におけるあくびや排尿の連鎖が嗅覚によるものであることを説明し、他者の苦痛への共感の理由、病気の伝染経路の違い、スベリヒユや塩が歯の浮くのを抑える仕組みについて論じる。
- §8.1-8.9
寒気や冷えが肉体と生理に及ぼす多様な影響
寒気や冷えが肉体に及ぼすさまざまな生理的影響、例えば皮膚の変色、不眠、四肢末端の冷え、太った人やアスリートが感じる寒さ、そして冬場や寒冷期に生じる激しい飢えとその迅速な回復メカニズムについて論じる。
- §8.10-8.17
身震いの原因と寒冷刺激による身体の反応
鍛錬した身体が寒さを感じやすい理由、温水や冷水を浴びたとき、あるいは排尿時に身震いが生じる身体生理学的メカニズム、寒さによる発言障害や、夜明け前(太陽が近いとき)に最も寒くなる理由について考察する。
- §8.18-8.22
急な加温による痛みと情動や寒冷による体内熱の移動
急激な加温による痛みや、冷やされた肉体の熱伝導について論じ、怒りと臆病による体内熱の変化、毛の直立のメカニズム、凍えた人が眠れない理由を呼吸の観点から考察する。
- §9.1-9.5
打撃による青あざと皮膚や傷跡の変色の原因
本チャンクでは、打撃や疾病、加齢が皮膚や血液に及ぼす生理的影響について論じられている。具体的には、青あざの予防法、身体の部位や打撃用具(ナルテクスと木)の違いによる傷跡や赤みの現れ方の差、脾臓疾患や老化に伴う皮膚の黒化のメカニズムが熱と水分の観点から説明される。
- §9.6-9.14
青あざの治癒機構と打撃による腫れや傷跡の性質
青あざを治す複数の治療素材の異なる作用機構、オオウイキョウの打撃がより痛い物理的理由、冷やす手段(銅製カップ)と温める手段(タプシア)が共に青あざを消す生理学的メカニズム、何度も傷を負うと傷跡が黒くなる理由、傷跡に毛が生えない理由、打撃によって腫れが生じる理由を論じる。
- §10.1-10.9
人間と動物の身体的特徴と生理現象の差異
人間と動物の身体的・生理的な差異(咳、鼻血、脂肪の蓄積位置、白斑の発生傾向、搾乳量、水質による体色の変化、雌雄の体格差、妊娠期間の長短)とその原因を多角的に検証する。
- §10.10-10.15
子の親への類似と体色や体格の個体差の原因
本チャンクは、なぜ人間の子は他の動物に比べて親に似にくいのかという疑問から始まり、白い体の生物が青い目を持つ理由、矮小化(小人症)が生じる物理的および栄養的要因、自生的な発生と種子(胚芽)の役割、多産な動物とそうでない動物の解剖学的相違、そして人間を含む様々な動物の両目の間隔と視野の特徴について、自然学的な観点から解明を試みています。
- §10.16-10.22
動物の夢精やくしゃみと毛髪の再生特性
動物の夢精や首の運動、人間のくしゃみの頻度、舌の組織構造、雌雄の排尿の違い、換毛期の有無、および羊と人間の毛の再生特性について科学的に探究している。
- §10.23-10.27
体毛の硬軟や好色さの原因と動物の足の数
毛の長さが及ぼす硬さへの影響、毛深い人間や鳥などの好色さの理由、人間がたてがみを持たない理由、動物の足が偶数である理由、そして人間と役獣における傷跡からの毛の再生の違いについて論じている。
- §10.28-10.35
双子の生存と睡眠や行動における人間と動物の差異
動物の足の偶数性や睡眠時間の短さ、出生後の親への追従、白斑の発生、出産後の獰猛さなど、人間と他の動物の身体的・行動的特徴の違いについて論じる。
- §10.36-10.42
去勢による変容と人間の発声や発生異常の原因
去勢された人間や動物に見られる身体的・生理的変化(体格、声、特定の病気への罹患傾向など)の原因、人間の言語活動と言声の多様性の背景、および人間の発生期間と先天的障害との関係について論じている。
- §10.43-10.45
結石とげっぷの有無および動物の馴化
尿路結石が人間特有の疾患である理由、一部の動物がおくびをしない理由、そして野生と家畜化(馴化)の関係および自然が優れたものを作る困難さについて論じる。
- §10.46-10.52
臍の差異と交尾習性および寿命の身体的徴候
臍の大きさの種差、動物の交尾頻度、歯の間隔や手相の線と寿命の関係、人間が身体的に歪みやすく煙に影響されやすい理由、および美と快楽と同類への愛着について論じる。
- §10.53-10.54
体毛の分布の差異と人間がくしゃみをする原因
§10.53では人間と四肢動物における毛深さの分布の違い(前面と後面)とその自然学的な理由を論じ、§10.54では人間が最もくしゃみをしやすい理由を、直立姿勢に起因する体内熱の流れと水分の頭部への蓄積(カタル)の観点から詳細に説明する。
- §10.55-10.61
海の生物の巨大化と宦官の頭髪および奇形の原因
海の生物が陸の生物よりも巨大である理由、人間の水分摂取、宦官の禿、動物の自立、排泄物の水分量、勇敢さと体の硬さ、そして多産な動物における奇形の発生についての一連の生物学的な問いと説明。
- §10.62-10.67
頭髪の濃淡と体型による寿命および身体的差異の原因
§10.62–67では、人間の頭髪の毛深さや白髪の有無、体型と寿命の関係、動物の生殖方法(自然発生と生殖)、エチオピア人の歯と爪の色、頭部切断後の生存能力など、人間や動物の身体的特徴に関する様々な疑問とその生物学的な原因を論じている。
- §11.1-11.6
聴覚の損なわれやすさと声の伝達や質の原因
感覚のうち聴覚が最も先天的に損なわれやすい理由、聾者が鼻声で発声するメカニズム、熱い気質と大声の関係、夜間の聴こえやすさ、および遠距離からの声が高くか細く聴こえる物理的理由を論じる。
- §11.7-11.13
音の反響の仕組みと状態による声の変化
漆喰の家や地中の空き瓶が音を反響させる仕組み、注ぎ出る水の温度と音の高さの関係、睡眠不足や食事および感情の変化(泣くこと・笑うこと)が呼吸や声の音色に与える影響について物理的・生理的な原因を多角的に解説する。
- §11.14-11.18
年齢や季節と身体状態による声の高低の原因
幼い動物や泣く人が高い声を出す理由を空気の運動速度と体熱から分析し、生殖能力のない人の高い声、冬や飲酒後に声が低くなる原因を喉の狭窄や空気の密度、睡眠時間の長さから物理的に解釈する。
- §11.19-11.23
音の高低による伝達の差と発声および反響の仕組み
音の高低がもたらす伝達距離の差、訓練された者と弱者が共に高い声を出す理由、食後の発声による気管の荒れ、そしてエコー(反響)が元の形を保つ反射の仕組みについて論じている。
- §11.24-11.28
子牛の声と音の減衰や微小な変化の累積
子牛の声の特異性、円形舞台への藁の散布が声の響きに与える影響、塩が火の中で弾ける原因、幼児が通常より早く言葉を発する現象とその一時性、そして感知できない小さな変化が蓄積して突然感知できる運動や消滅を生み出す物理的現象について論じている。
- §11.29-11.33
あくび時の難聴と小児の言語障害および夜間の聴こえ
あくびの際の聞こえにくさ、子供の発声(吃音やつっかえ等)の原因、緊張や恐怖による声の震えや高低の変化、そして夜間に音がよく聞こえる理由について、物理的および心理的要因から考察している。
- §11.34-11.41
高声の身体的要因と吃音の性質および聴覚の生理
生殖能力のない者の声が高くなる身体的要因や、吃音者が大きな声しか出せない理由、吃音と憂鬱質(メランコリック)の連関、また内外の音の聞こえ方の違い、息を止めることと聴覚能力の関係などの疑問が、身体の生理的メカニズムを用いて考察される。
- §11.42-11.49
塩の爆裂音と呼吸による聴覚変化および音の伝播
塩の大きさによる音や弾け方の違い、あくびや息を止めることが聴覚に与える影響、声が上下方向に伝わる仕組みや、飲酒・高音・光と音の透過性の違いについて物理的・生理的な観点から論じている。
- §11.50-11.57
笑いと泣きの声質および反響と合声の伝播
本チャンクでは、笑い声と泣き声の高低の生理的要因、反射現象としての反響(エコー)が消失しない理由、大人数の声が距離に比例して遠くまで届かない物理的構造、そして精神状態(不安や恐怖)、吃音の要因、季節や飲酒による身体の弛緩・凝縮が声に及ぼす影響について、解剖学的かつ物理的な理論をもって説明している。
- §11.58-11.62
音の透過と吃音の原因および年齢による声質の変化
視覚と声の障害物(固体や液体)通過の違い、発声器官の損傷による声の変化、吃音の二大原因(熱説と冷却説)、冬の声の変化、そして子供や老人が高い声や震える声を出す物理的要因を論じる。
- §12.1-12.4
遠近による香りの知覚の違いと芳香の生成
お香や花の匂いが近くよりも遠くでより芳しく感じられる理由を説明し、虹が降り立った木が芳しくなるという俗説を、熱と適度な水分による成熟のプロセスから物理的に解釈する。
- §12.5-12.13
運動や温度による匂いの変化と生理的作用
匂いの伝達や性質が、物体の運動、気温、加熱方法(灰か火か)、植物の本性(バラの粗さや摩擦)、あるいは液体の希釈といった物理的要因によってどのように変化し、利尿作用などの生理的効果をもたらすかを論じる。
- §13.1-13.5
排泄物や植物の悪臭と腐敗および嗅覚の順応
尿と糞便の悪臭の違い、食べた物に対する嗅覚の順応、揉まれた花が臭う理由、動植物の香気と腐敗のメカニズム、熱が匂いの拡散を促す仕組みについて考察している。
- §13.6-13.12
尿や息や汗など人体から生じる多様な悪臭の原因
ニンニクを食べた後の尿の臭いや断食中の口臭の原因、脇の下の悪臭や香油と汗の混ざり合いによる変化など、人体から発せられる様々な臭いのメカニズムについて熱、気体、水分の観点から説明している。
- §14.1-14.8
気候環境が身体や性格と穀物保存に及ぼす影響
極端な気候や特定の自然環境(寒冷地、湿地、温暖地など)が、穀物の保存、人間の病気、身体的特徴、老化、成長、さらには性格(勇敢さや臆病さ)にどのような物理的影響を及ぼすかを考察している。
- §14.9-14.16
温暖な地域の人々の長命と気候による体質や性質の差
温暖な地域に住む人々が長命で知性的(賢い)である理由、および寒冷な地域と温暖な地域における人々の体質(目の色、肌の色、勇敢さや臆病さ)の違いを、体内熱の逆流(逆囲繞作用)や水分の腐敗・凝縮という物理的メカニズムを用いて説明している。
- §15.1-15.4
対角線の呼称と十進法の起源および宇宙の中心の地球
幾何学における「対角線」の定義と語源、人類が十進法で数を数える自然な理由やピタゴラス派の数学的説明、そして天体観測から地球が宇宙の中心に位置していることを示す論証について考察する。
- §15.5-15.6
日影の非一様な変化と角孔を通る光の円形化
§15.5では太陽の等速運動に対して影の増減が非一様である理由を幾何学的に説明し、§15.6では四角い隙間を通る太陽光が円形になる現象を、視線の円錐モデルと遠距離における強度の低下によって説明する。
- §15.7-15.9
半月の直線的境界と天体の平坦視および日影の長短
月が半月のときに境界が直線に見える幾何学的理由(15.7)、球形の天体が平らに見える視覚的理由(15.8)、および太陽の高さによって影の長さが変化する幾何学的理由(15.9)について論じている。
- §15.10-15.13
日月の影の相違と食の投影像および幻日
月の影が太陽の影より大きい理由、日食時にピンホール効果で光が三日月状になる機構、幻日が発生する幾何学的・気象的条件、および影の輪郭が空気中の塵の運動により震えて見える現象を論じる。
- §16.1-16.4
気泡の形状と影および物体の回転と跳ね返り
気泡が水中で半球形になる物理的要因や影を作らない現象、重量配置が不均等な物体の回転、そして落下する物体が跳ね返る際に入射角と反射角が等しくなる物理的・幾何学的原理について論じる。
- §16.5-16.7
円柱と円錐の転動と切断された巻物の展開
円柱と円錐の転がり方の違い、巻物を斜めに切ったときの展開線の歪み、そして分割された物体が全体よりも小さく見える理由を数学的・物理的観点から論じる。
- §16.8
水時計における水の出入りと空気の作用
水時計(クレプシドラ)に水が入る、または水が流れ出る現象における空気(気流)の働きについて、アナクサゴラスの説を検討しつつ、空気の直進性と圧迫による流体の力学的挙動を説明する。
- §16.9-16.13
生物の丸みと転がる輪の軌道および反射角
植物や動物の器官でない部分、および末端部が円形である理由と、投げられた輪の描く軌跡が直線から曲線へと変化する力学的理由、さらには不均等な物体の回転運動や物体の反射角の等しさについて論じる。
- §17.1-17.3
不釣り合いなものの対比と成長の順序および時間の循環
大きさの不釣り合いなものが並べられたときに大きく見える錯覚の理由、動植物の三次元的な成長の優先順位、および時間の円環的循環から生じる歴史における「先」と「後」の相対性について探究している。
- §18.1-18.5
読書時の眠気と議論の効用および哲学者と弁論家
読書時の眠気の生理的原因、論争的問答がもたらす訓練効果、具体例(例証)が好まれる理由、弁論家と芸術家の呼び名の違い、および哲学者と弁論家の関心の違いについて論じる。
- §18.6-18.10
低俗な活動への執着と読書による眠気および物語の好み
低俗な活動に執着してしまう人間の心理、読書が睡眠を誘う原因と不眠をもたらす理由の気質・魂の運動による詳細な説明、論争的な議論において無駄話が成立しない理由、および主題の統一された歴史や、遠すぎず近すぎない時代の物語が好まれる理由を論じる。
- §19.1-19.11
合唱の音量と発声の難度および旋律の心理
合唱による声の伝達、特定音階(パリュパテー)の歌いにくさ、既知の旋律を好む心理、朗唱の効果、楽器と声の対比、反響の性質など、音楽と音響に関する様々な問いについて、身体的・力学的な観点から原因を考究する。
- §19.12-19.19
低音の優位とオクターブの同音性および歌唱形態
音階における低音の支配力、オクターブ(ディ・ア・パソーン)が同音に聞こえる原理、および歌唱形態としての競技者の歌(ノモス)と合唱隊の歌(対瓶)の社会的・構造的相違について論じる。
- §19.20-19.27
メーセーの重要性と音の倫理的影響
旋律におけるメーセーの構造的かつ接続詞的な重要性と、低音や遅いリズムにおける誤りが際立つ理由について考察する。また、オクターブの物理的比例、共鳴現象、および聴覚(音)のみが魂のエートス(品格)に影響を与える動的な理由を探求する。
- §19.28-19.36
旋律の呼称とエートスの模倣および協和音の比率
歌の旋律を「ノモイ(法律)」と呼ぶ由来や、音の運動がエートスを模倣する仕組み、悲劇における旋法の実践的な不採用について議論する。さらに、オクターブ(ディア・パソーン)をはじめとする諸協和音の数学的整数比の美しさと、中心音としてのメーセーの全般的な調律維持における決定的な役割を物理的・数学的観点から究明する。
- §19.37-19.40
高音歌唱の困難と協和音や旋律の受容
高音を歌うことが低音に比べて困難である理由を、声の物理的・身体的メカニズムから説明する。さらに、人間がリズムや旋律、協和音を愛好する心理的・自然的な理由や、オクターブでの協和(マガディス奏法)や既知の旋律を好む現象について考察する。
- §19.41-19.43
音程の比率と共鳴および楽器伴奏の効果
二重五度や二重四度が協和しない数学的理由、高音弦を止めた際に低音弦が共鳴する物理的・心理的現象、および独唱よりもアウロスやリュラーなどの楽器伴奏を伴う歌唱が好まれる理由を論じている。
- §19.44-19.50
音階の構造と合唱のリズムおよび音響特性
第44節から第50節では、オクターブ音階における中間音(メセー)の名称の由来、合唱における人数とリズム保持の関係、歌がより高音側にずれやすい性質、七弦調律の歴史的構成、悲劇の合唱隊に適した旋法、低い音の持つ「柔らかさ」、そして容器の容積比とオクターブ反響の共鳴原理について、音響学や心理学的側面から探究されている。
- §20.1-20.8
植物の栽培と食用特性および結実の仕組み
植物や作物の栽培、食用としての性質(茹でる・焼く・生食)、寿命と種子の結実、およびセロリの栽培技術に関する植物学的な疑問とその原因を論じている。
- §20.9-20.12
果実の肥大化と辛味の要因および野生植物の性質
ヒョウタンやキュウリを土や容器で覆い乾燥から守ることで大きく育つ仕組み、辛い植物の種子や細い大根が強い刺激を持つ原因、そしてケッパーが耕作地ではなく墓地のような荒地を好む野生の性質について論じている。
- §20.13-20.17
野菜の肥大化と保存法および芳香植物の利尿作用
大根やキュウリを大きく美味しく育てるための栽培・保存の工夫、灌漑の適切な時間帯、香りのよい植物が持つ利尿作用の理由、および種子の古さと作物の抽苔の早さとの関係について論じている。
- §20.18-20.22
ヘンルーダの接ぎ木と中空茎および植物の性質
ヘンルーダの接ぎ木や中空の茎の理由、アッティカ地方における果実とタイムの味の対比、至の時期に開花する植物の原理、そしてタマネギが涙を誘う原因となる熱や粘り気といった性質について説明しています。
- §20.23-20.30
果実の甘味と種子および球根植物の発芽要因
マートルやブドウなどの果実の甘さや種の有無の仕組み、果実の部位による苦味の分布、球根植物が土の外で発芽する原因、乾燥させて植えるニンニクの特性、灌漑用の水の温度が野菜の甘さに与える影響、ニンニクの成熟度と香りの強さの秘密を植物生理学的に説明する。
- §20.31-20.36
マートルの実の保存とメロン栽培および薬草の効能
マートルの実の保存や、湿地でのメロン栽培、ヘンルーダによる汗の臭いへの影響と邪視防止、オレガノによるワインの甘味化、野生マートルの葉の密度など、植物の生理現象に関する疑問が探求される。
- §21.1-21.9
大麦や小麦の調理とパンの性質
大麦や小麦から作られる粥、麺粉、パンの調理過程における物理的・化学的変化について、水分、塩、揉み方、加熱がその色や粘性、重さ、消化のしやすさに与える影響を解説する。
- §21.10-21.13
パン生地の膨張と硬度および美味への飽き
小麦生地が焼かれて膨らむ仕組み、蜂蜜水による粉の性質、二度焼きのパンが硬くならない理由、そしてなぜ日常の主食や飲み物には飽きず、贅沢で美味しいものにはすぐに飽きてしまうのかという食物の性質に関する疑問を論じる。
- §21.14-21.18
習慣による快楽と生地の混練やパンの性質
習慣と連続的な摂取の違いによる快感の変化について論じ、続いて小麦と大麦の性質の差、水と油の結合力、捏ね方の度合いによるパンのひび割れ、捏ねた生地の重量変化といった製パンに関する物理的・化学的疑問とその原因を探る。
- §21.19-21.26
穀粉の吸水や体積変化と加工者の身体
大麦粉、小麦粉、各種生地の水分吸収や体積変化、加熱・冷却による影響、およびそれらを加工する職人の健康への影響について多角的に考察する。
- §22.1-22.7
果物の摂食順序と満腹感および味覚の生理作用
果物や主食を食べる順序が満腹感に与える影響や、甘味と辛味が満腹感を生む生理的メカニズム、密閉容器内での防腐原理、食後の飲酒とデザートの役割、温度変化が食物の風味に及ぼす影響を考察する。
- §22.8-22.14
果物食後の飲水とイチジクの甘みや性質
果物の摂取後に相反する水やワインを飲むべき理由を身体の熱と湿気の観点から論じ、さらに干しイチジクの甘さの度合い、窯での冷却による硬化、渋いものの後の甘み、温かい甘味の減退、籾殻の防腐・熟成作用、およびイチジクによる歯痛の原因など、食物や味覚に関する多様な疑問について医学的・自然学的な観点から説明する。
- §23.1-23.5
波の発生と砕波および船舶の浮力と渦の力学
海の波、港と外海における船の浮力、海に物を投げ入れたときの消波現象、そして海底の洞窟や潮流によって発生する強力な吸い込み渦のメカニズムについて論じる。
- §23.6-23.11
海水と淡水の色の違いと波による風の前兆
海水と真水の物理的・視覚的違い(色の白さ、温度、透明度、乾燥の早さ)および、波が風の予兆となる理由についての考察。
- §23.12-23.19
波の伝播と海水の浮力や塩水の性質
波が風に先んじて押し寄せる現象や、海水が川の水よりも泳ぎやすい原因、海水の燃えやすさ、海風と川風の性質の違い、塩水が温められたり濾過されたりしたときの変化など、海や塩水に関する様々な物理・化学的疑問について原因を探る。
- §23.20-23.28
塩水の濾過と流動性および波の泡立ち
塩水の流動性と地中での濾過、溶解のメカニズム、光の反射と色の見え方、波の泡立ちなどの物理的現象について、その性質と原因を論じる。
- §23.29-23.34
波打ち際の硬化と海水表層の塩分や湖の性質
波打ち際の土地が硬化するプロセス、海水や井戸水の表面が深部より塩辛い物理的要因、海水の可燃性と湖で砂が生じにくい理由、さらには湖の乾燥と作物の霜害との関係について議論されている。
- §23.35-23.41
海水の苦味と海中石の円形化および海面の色
海水が塩辛く苦い理由や、海の中の石が丸くなる仕組み、海岸付近での真水と塩水の出現、海水の透明性、海中を泳ぐことによる肉体への影響、特定の湖の水が衣類を洗浄する力、波の状態による海面色の変化を論じている。
- §24.1-24.9
温水と沸騰および温度変化に関する諸問題
温水や沸騰に関する物理的・生理学的な諸問題(油を塗った体への温度感覚、井戸水の温度変化、消火や消化のメカニズム、容器の底の温度、冬の沸騰、皮膚のしわ、スープの飛び散りなど)を考察する。
- §24.10-24.19
熱冷による物体の膨張収縮と石化や温泉の性質
熱と冷たさが水や身体に与える様々な物理的影響について論じる。温水に浸した物体の膨張と収縮の理由、石化プロセス、日なたでの冷却、温泉の塩気、温泉の神聖な起源などが説明される。
- §25.1-25.7
空気の圧力と湿地の異音および気象現象
膨らんだ革袋内部の圧力や、湿地から生じる雄牛のような音(ブーミュクス)の物理的原因について考察する。また、空気の乾燥性、真夜中や正午の静穏、朝方の寒さ、ポントス地方の気候、夜間の晴天など、気象現象と大気の物理的性質について論じる。
- §25.8-25.12
液体の体積変化と空気の透過性に関する諸問題
ピトスに革袋入りの液体や灰と水を混ぜる際の体積変化の謎、空気が固体を透過する理由、水に触れた空気が湿気を帯びない現象など、空気の性質に関する一連の物理的疑問を検討する。
- §25.13-25.22
空気の運動と温度変化および腐敗の原因
空気の運動特性、温度変化、腐敗のメカニズム、曇天が暖かい理由、家屋高所における空気の激しい流動の原因を論じる。
- §26.1-26.7
北東風や季節風の性質と風向による気象変化
北東風が雲を引き寄せる理由、エテシア風の性質、霜や降雪の後に吹く南風、回帰風が海から吹く物理的要因について論じ、降雨時の突風の平息や風がもたらす雨の地域差を解き明かす。
- §26.8-26.12
夕焼けによる天候予測と南北の風の発生傾向
夕焼けの状態による気候の予測原理、夜の北風の持続時間、南北の風の頻度の差について物理的に説明する。また、冬の夜の後の南風の特徴や、シリウス星および冬至の時期における南風の発生規則性を気象変化の観点から論じる。
- §26.13-26.21
オリオン座の時期の風と食の前の風の発生機構
オリオン座や北風、南風の吹く規則性、食の前に生じる風、および季節や昼夜による風の発生メカニズムについて気象学的な原因を説明している。
- §26.22-26.28
西風や雨をもたらす風の性質と風の様々な兆候
西風が猟犬の追跡を妨げる理由や、流星が風の予兆となる理由、西風が巨大な雲をもたらす理由を論じる。また、分点における南西風と降雨の関係、南風と東風が雨を伴うメカニズム、冷たい風が太陽以上に乾燥をもたらす理由を説明する。
- §26.29-26.32
北東風の雲の牽引と水辺の微風や西風の特性
北東風(カイキアス)がなぜ特異な動きで雲を引き寄せるのかという幾何学的気象モデルを論じ、続いて海と川からの明け方の風の温度差の原因、西風(ゼピュロス)が好まれる気候的・循環的背景、そして盛夏のシリウスの時期に吹く南風の性質について探究する。
- §26.33-26.37
太陽の動きによる風の生起と高山や海への影響
太陽の動きに伴う西風や東風の発生メカニズム、太陽の昇降による風の増減、風の源泉と高山での無風現象、そして南風と北風が海の色に与える影響について論じている。
- §26.38-26.46
南風と北風の強さの変化と局所風の諸性質
南風と北風の強さの変動パターン、地形が入地での戻り風(トロパイアイ)に与える影響、ことわざに表された風の性質、気候が身体機能や食欲に及ぼす効果、エジプトの局所的な風向の特性について論じている。
- §26.47-26.51
風の冷たさの原因とエテーシア風の吹く仕組み
本チャンクでは、風の発生源からの距離による北風と南風の到来の速さ、熱から生じる風が冷たい流体力学的および物理的理由、リビュアにおける南風の冷たさ、乾燥した南風が熱病を誘発する気候病理学的原因、そしてエテーシア風(季節風)が特定の季節や時間帯に吹く仕組みが気象学的に説明されている。
- §26.52-26.55
西風の穏やかさと気候の対称性による風向変化
西風の穏やかさや冷たさの物理的要因を論じ、東南風が事物を大きく見せる理由、地球の両半球間の気候の対称性に基づく風向きの季節的変化、そして西風が最も心地よいとされる性質の調和を解き明かす。
- §26.56-26.62
雨をもたらす風の地域差と雲の凝縮
雨をもたらす風の地域差や、陸地・海域での雲の発生、高地アルカディアの気候特性、朝の風の持続、北風の昼夜の変動、蜘蛛の糸と風の予兆関係、および冬の北風による雲の凍結と晴雨の地域差について論じる。
- §27.1-27.5
恐れと怒りの生理現象と勇敢さの本質
恐れと怒りが身体に与える熱的変化と、それに伴う震えや渇きといった生理現象のメカニズムを解説し、さらに勇敢な者がワインを好む理由や、ポリスが勇敢さを重んじる社会的理由を論じる。
- §27.6-27.11
恐怖と痛みがもたらす震えや生理的変化の機序
恐怖や痛みが身体に与える影響(声や手の震え、寒気と渇き、沈黙、胃腸や膀胱の弛緩、生殖器の収縮など)について、体内における熱と水分の移動という観点からその生理学的メカニズムを解説している。
- §28.1-28.8
放蕩や抑制の欠如と身体の生理的反応
放蕩な生活習慣を急に変えることで生じる身体の不調や、自制心の欠如とされる触覚・味覚の快楽の特異性について論じ、また渇きが飢えよりも耐え難い理由や、知人の前で笑いを抑えられない原因を究明する。
- §29.1-29.12
正義と不正および裁判と法慣習をめぐる問題
正義と不正の特質、寄託物の着服と借金未返済の重大さの比較、遺言と血統の確実性、貧困が優れた人々のもとに身を寄せる理由、教養ある人間の不正、盲目なる富の性質、死者の保護、善き人々との交わりによる魂の向上、女性殺害の重罪性、そして裁判での被告の右側配置について探求する。
- §29.13
裁判の投票が同数の際に被告が勝訴する理由
裁判において投票が同数となった場合に被告が勝訴となる理由について、被告の防御の難しさ、冤罪回避の重要性、不当な告発が持つ計画的な悪意などを挙げて多角的に考察する。
- §29.14-29.16
公共の場での窃盗と暴力に対する刑罰の差異
§29.14では浴場等の公共の場における窃盗が民家より重罰とされる理由を、監視の容易さや都市の名誉への影響から考察する。§29.15では裁判の同数投票で被告が勝つ理由、§29.16では窃盗が死刑であるのに対し不遜・暴力(ヒュブリス)の罰が査定にとどまる理由を論じる。
- §30.1#1
傑出した人物とメランコリー気質の関係
哲学、政治、詩、技術において卓越した人々がメランコリー(黒胆汁質)を天性として有する理由を、ワインが一時的に及ぼす精神的・身体的変化とのアナロジー、および熱とプネウマの作用を通じて説明する。
- §30.1#2
黒胆汁のプネウマ的性質と性格への影響
著者は性欲や黒胆汁がプネウマによるものであることを説明し、冷たさと熱さの極端な混合が人々の性格や病理的・天才的な資質に与える影響について論じる。
- §30.1#3
黒胆汁の調合の度合いと天才の出現
黒胆汁のブレンド(熱と冷の気質混合)の度合いが、身体症状や精神状態(鬱病、狂気、自殺傾向)をどのように左右するかを論じ、この不安定さが調和しているメランコリー気質者が、病気ではなく天性によって傑出した人間になることを明らかにします。
- §30.2-30.5
知性と身体的特徴および年齢による学習の差異
本チャンクでは、人間において「ヘクシス(状態)」が発見と結びつくこと、身体比率による人間の知性の優位、道のりの未知性が引き起こす心理的な無限性の錯覚、そして身体的な道具と知的な道具の先後関係を基にした、加齢に伴う理性の獲得と若年期における学習速度の高さの理由が論じられています。
- §30.6-30.10
人間の特異性と観照の快楽および知的作用
人間が他の動物より優れている点、学問的観照と実践的出来事の記憶が与える快楽の違い、医術が健康を目標として立ち止まる理由、哲学者と弁論家の関心の相違、および芸能人が不品行になりがちな原因について論じる。
- §30.11-30.14
知恵の競技と睡眠中の魂の運動および夢の仕組み
身体の競技には賞があるのに知恵の競技には賞がない理由や、人間の思考と行動の乖離を論じ、さらに睡眠中における魂の運動と、感覚・思考、そして夢の生理学的メカニズムについて考察している。
- §31.1-31.7
目と視覚に関する生理学的諸問題
目と視覚に関する多様な生理学的・光学的な疑問を扱い、目をこするとくしゃみが止まる理由、両目より片目の方が正確に見える理由、生まれつきの盲人が禿げない理由、そして斜視や二重に見える現象のメカニズムなどを論じる。
- §31.8-31.16
近視やまぶたの動きと視力減退の原因
近視の人が小さな文字を書く原因やまぶたをすぼめる理由、片眼視による刺激緩和、斜視での二重写り、左右の感覚格差、運動や加齢が視力に与える乾燥の影響について論じる。
- §31.17-31.22
複視の条件と感覚の左右差や目に及ぶ影響
目が横に動くときに二つに見えない理由や、感覚器官の左右差、緑色が目に良い理由、片目で直線を見る利点、煙や寒さが目に及ぼす影響について論じている。
- §31.23-31.29
涙の温度や近視と老眼の距離に関する諸問題
涙の温度差と老廃物の未消化(熟成)状態の関係、左目の収縮傾向、近視と老眼が対象を置く距離の違いの光学的理由、人間にのみ斜視が起こる要因、光を遮ることによる視覚の保護、および手足と感覚器官の左右差の有無の物理的背景を論じている。
- §32.1-32.6
恥ずかしさによる紅潮や潜水時の破裂など耳の諸問題
耳に関する諸問題が論じられ、恥ずかしがるときに耳が赤くなる理由、潜水時に耳が破れる原因と海綿による防止、耳垢の苦さの要因、潜水漁師の切開手術、および耳の掃除の際に咳が出る現象について生理学的な解説がなされる。
- §32.7-32.13
耳の傷の癒合や耳鳴りおよび耳の掃除に関する諸問題
耳に関する生理学的・解剖学的な問題として、左耳の癒合の早さ、恥ずかしさや怒りによる部位の赤化現象、耳鳴りの解消法、耳の中の水や油の挙動、そしてあくび中の耳掃除の危険性について論じています。
- §33.1-33.7
くしゃみの生理的機構と神聖視される理由
本章では、くしゃみと他の生理現象(しゃっくり、げっぷ、咳、鼻血など)との医学的・生理的な関係や、それらが引き起こされるメカニズムについて論じられ、最後になぜくしゃみだけが神聖視されるのかが考察される。
- §33.8-33.14
くしゃみの抑制と兆候および鼻や呼吸の諸問題
目をこすることによるくしゃみの抑制、くしゃみの神聖さの由来、人間と他の動物におけるくしゃみの頻度の違い、時間帯によるくしゃみの吉凶、老人のくしゃみの困難さ、息止めによるしゃっくりの解消、そして聴覚障害者が鼻声で話す身体的なメカニズムについて論じている。
- §33.15-33.18
睡眠中のくしゃみとおならや排泄後の身震いの原因
睡眠中にくしゃみが起きず、代わりにおならが生じる理由を、熱と気の体内循環から説明する。さらに、くしゃみや排尿後の身震い、くしゃみによるしゃっくりの解消、縮れ毛の人々の鼻が低くなる生理的メカニズムについて考察する。
- §34.1-34.7
歯の感覚や寿命との関係および呼気の温度
歯、舌、口から吐き出される息の温度など、口腔内および呼吸に関する種々の身体的疑問とその生理学的・原因論的説明。
- §34.8-34.12
呼吸の反復の限界と窒息および掌線と寿命
連続した呼吸の不可能性、食物の嚥下時における窒息のメカニズム、手のひらの筋(分節化)と寿命の関係、深呼吸時における腹部の動きの理由、および生体内熱と空気の循環から見た呼吸の原理が論じられる。
- §35.1-35.10
くすぐったさや身震いと触覚の仕組み
皮膚、接触、くすぐったさ、寒けといった身体の触覚的・熱的反応の原因を問い、不意打ちによる笑いの発生や、指を交差させた際の錯覚など、感覚の仕組みを説明する。
- §36.1-36.3
顔の肖像と額の発汗およびにきびの原因
顔に関する諸問題が論じられる。第1章ではなぜ顔の肖像が作られるのか、第2章では肉の少ない顔(額)がなぜ最も汗をかくのか、第3章ではなぜ顔に最もにきびができやすいのかという身体的特徴の理由が追求される。
- §37.1-37.6
摩擦が身体組織の通気性と健康に及ぼす影響
摩擦が身体組織や水分量、熱の伝導に及ぼす影響を論じ、健康のためには組織の適切な稀薄さと通気性が必要であることを説明している。
- §38.1-38.11
日光や熱による皮膚や毛髪の色と状態の変化
太陽の光や火、肉体の活動状態が、皮膚や毛髪、油などの色や状態に与える多様な変化について、熱や水分の移動、体組織の通気性の観点から考察している。
