アリストテレス · Aristotle
異聞集
On Marvellous Things Heard
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Aristotle. Aristotelis Opera, Volume 6. Bekker, Immanuel, editor. Oxford: Oxford University Press, 1837.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0086.tlg027.1st1K-grc1
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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要旨
本作は、世界各地から報告された動植物の奇妙な生態、不思議な自然現象、そして神話や歴史にまつわる「驚異的な事柄」を網羅的に収集した博物学的な著作です。全178章からなる短い記述の集積であり、特定の主人公や一貫した物語を持たず、伝聞の形で淡々と綴られます。叙述の舞台はギリシア本土にとどまらず、イタリア、シケリア、小アジア、さらには遠くインドやケルトといった当時の世界全体に及んでいます。冒頭では野生動物の自己防衛や托卵といった珍しい習性が紹介され、中盤では燃え続ける地熱や成長する金属、誓いを検証する不思議な泉、そして英雄ヘラクレスの足跡といった地誌や鉱物の驚異が語られます。後半に進むにつれ、特定の民族の奇妙な習慣や、人々に狂気や治癒をもたらす不思議な石や川の性質、強力な毒蛇の生態などが次々と提示されます。本作は体系的な結論を提示するのではなく、人間の理解を超える自然界の多様性と不可思議な現象そのものを記録し、読者に驚異を伝えることに終始しています。
目次
178 チャンク
引用方式:chapter.section
- §1.1-1.5
パイオニアの野獣ボリントスの特徴
パイオニア地方の野生動物ボリントス(モナイポス)の、牛に似た外見や特徴的な角、そして自衛のために用いられる熱い糞の性質について記述される。
- §2.1
母親との交配を拒むアラビアのラクダ
アラビアのラクダが母親との交配を拒む性質と、世話係が母親を覆い隠して若いオスに交配させた結果、真実を知ったラクダが世話係を噛み殺したという逸話を紹介している。
- §3.1
ヘリケのカッコウの托卵と養親の習性
ヘリケのカッコウが他種の鳥の巣に托卵すること、および成長したカッコウの雛が本来の雛を追い出す際に養親がそれに加担する奇妙な習性を説明している。
- §4.1
薬草で矢を落とすクレタ島のヤギ
クレタ島のヤギが矢で射られた際、特定の薬草を食べて体から矢を落とすという習性を紹介している。
- §5.1
角を落としたアカイアの鹿の習性と蔦の発生
アカイアの鹿が角を落とした際、身を守るため、また痛みを避けるために身を隠す習性と、その部位に蔦が生える現象について述べる。
- §6.1
毒草を用いたアルメニアの豹の捕獲法
アルメニアに自生する「パルダレイオン」という毒草を用いた、豹の奇妙な捕獲法について。毒に触れた豹が人間の糞を求める習性を利用し、猟師が罠を仕掛けて豹を捕らえるプロセスが記述されている。
- §7.1
エジプトのワニとトロキロス鳥の共生関係
エジプトにおいて、トロキロスという鳥がワニの口に入り込んで歯の掃除をし、ワニもそれを喜んで害さないという共生関係を記述している。
- §8.1
風向きに応じて巣穴を変えるビザンティオンのハリネズミ
ビザンティオンのハリネズミが風向きを察知し、南風か北風かに応じて巣穴の開口部の位置を地面側か壁側かへと切り替える習性について。
- §9.1
水を飲まず風を吸い込むケファレニアのヤギ
ケファレニアのヤギが、他の動物のように水を飲まず、毎日海に向かって口を開け、風を吸い込んでいる習性について記述している。
- §10.1
若い雄を去勢するシリアの野生のロバ
シリアの野生のロバの群れにおいて、リーダーが若い雄の交尾を拒み、生殖器を噛みちぎるまで追跡するという生態について。
- §11.1
マムシの毒をオレガノで解毒するカメ
カメがマムシを食べた後に解毒薬としてオレガノを食べる習性と、人間がその草を抜くことでカメが死に至る実験について。
- §12.1
イタチの骨のように硬い生殖器と尿閉の薬効
イタチの生殖器が常に骨のように硬いこと、およびそれが尿閉の特効薬として削って用いられることを記述している。
- §13.1
木を這い虫を掘って倒すキツツキの習性
キツツキという鳥の生態について、ヤモリのように木を這い回ることや、木の中の虫を深く掘って食べるために木を倒してしまうことが述べられる。
- §14.1
川の貝を丸呑みして吐き出し肉を食べるペリカン
ペリカンが川の貝を掘り出して一度丸のみにし、吐き出してから肉だけを食べて殻を残す習性について説明される。
- §15.1
キュレーネー山に棲む白いクロウタドリの習性
アルカディアのキュレーネー山に生息する白いクロウタドリの珍しい生態について、彼らが様々な声を出して月夜に活動することや、昼間は捕らえるのが極めて困難であることを述べる。
- §16.1
メーロスとクニドスの香り高い花蜜とエリタケー
メーロスとクニドスの周辺で、香りは良いが長持ちしない「花蜜」と呼ばれる蜜が生じ、その中にエリタケーも生じると言われていることを紹介する。
- §17.1
カッパドキアの蜂の巣なしで作られる油状の蜜
カッパドキアの特定の地域において、蜂の巣なしに作られ、油のような粘り気を持つ蜜について報告している。
- §18.1
トラペズスにおけるツゲの蜜の特異な効能
ポントスのトラペズスにおけるツゲの蜜の特性について、健康な人を狂わせるが、てんかん患者を治療する効果があると述べる。
- §19.1
リュディアとトラキアの蜜と凝固時の性質
リュディアとトラキアにおける特異な蜂蜜の採取・利用法と形状、および蜂蜜が凝固する際に水などの液体とは異なり体積が変わらないという物理的性質について説明している。
- §20.1
カルキディケの草と扁桃による蜂の繁殖と蜜の生産
カルキディケの草と扁桃が蜜の生産に極めて有用であり、そこから最も多くの蜂の幼虫が生まれるという説を紹介する。
- §21.1
香油の匂いに対する蜜蜂の麻痺と刺傷の習性
蜜蜂が香油の匂いを嫌って麻痺すること、および香油を塗った人々を特に刺すという説について述べている。
- §22.1
タウランティオイ人の蜂蜜酒の製法とギリシアの例
イリュリアのタウランティオイ人による蜂蜜酒の製法と、ギリシアでの同様の成功例およびその後の再現の失敗について述べている。
- §23.1
テッサリアの蛇退治とコウノトリ保護の法
テッサリアでコウノトリが大量の蛇を退治して人々を救ったという伝承と、そのためにコウノトリを殺すことが殺人同様の重罪とされている法について述べている。
- §24.1
ラケダイモンの蛇の大量発生と住民の食蛇
ラケダイモンにおいて、ある時期に大量の蛇が発生し、食糧不足から住民がそれを食べたため、ピュティアが彼らを「蛇を食らう者」と呼んだという伝承を伝える。
- §25.1
キプロス島で鉄を食べるネズミの噂
キプロス島において、ネズミが鉄を食べるという奇妙な噂について記述している。
- §26.1
ハリュベス人の小島で金を集めるネズミ
ハリュベス人近くの小島で金が多くのネズミによって集められており、人々は金を取り出すために鉱山にいるネズミを切り開くと言われている。
- §27.1
スサからメディアへの道におけるサソリの退治
スサからメディアへの道中にある第二の宿駅で大量のサソリが発生するため、ペルシア王はそこを通る際、3日間滞在して従者に退治させ、最も多く退治した者に褒美を与えていたという記述。
- §28.1
キュレネにおける多様なネズミの種
キュレネには多様なネズミの種が存在し、イタチのように平らな顔をしたものや、ハリネズミと呼ばれるトゲだらけのものがいると伝える。
- §29.1
窒息した動物を蘇生させるキリキアの水たまり
キリキアにあるとされる、窒息死した動物を浸すと再び生き返らせる不思議な水たまりについて記述している。
- §30.1-30.2
周囲に合わせて毛色を変える野獣タランドス
ゲローノイと呼ばれるスキタイ人の地域に生息する、周囲の環境に合わせて毛色を変化させる驚異の野獣タランドス(トナカイ)について記述している。
- §31.1
無人の劇場で幻の劇を観劇したアビュドスの狂人
アビュドスで正気を失い、無人の劇場で幻影の劇を見て何日も楽しんでいた男が、正気に戻った後にその時こそが最も幸福な時間だったと回想した奇談。
- §32.1
夜に正気を失い昼に酒を売るタレントゥムの酒売り
夜は正気を失い昼は正常に酒を売るタレントゥムの酒売りについて。彼は狂気の中にありながらも、店の鍵を帯に身につけて決して他人に奪わせなかった。
- §33.1
テノスの点火する小鉢と鉱石スピノス
テノス島にある、火を容易に点火できる混合物の入った小鉢と、トラキアのビテュニアの鉱山で産出する、火がつくという「スピノス」と呼ばれるものについて述べている。
- §34.1
リパラ島の煮炊きができる地熱の通気口
リパラ島にある、中に食材を入れた土鍋を置くだけで煮炊きができる地熱の通気口について記述している。
- §35.1
メディアとペルシアの平坦地で燃える火
メディアとペルシアのプシッタケネにある、平坦な場所で燃え続ける二つの火について記述し、プシッタケネの火のそばにペルシア王が調理場を建てたこと、およびパムピュリアの火が夜しか見えないのに対しこれらは昼夜問わず見えることを説明している。
- §36.1
アティタニアの油を注ぐと燃える岩
アティタニア付近にある、油を注ぐと燃え上がる不思議な岩について記述されている。
- §37.1
ヘラクレスの柱の彼方やリパラ等の特異な火
ヘラクレスの柱の外側、リパラ、ピテクサイにおける、火山活動や熱を帯びた自然現象の特異な燃焼状態について記述している。
- §38.1
リパラの火の休止とエトナの間欠的溶岩流
クセノパネスによるリパラの火の長期的な活動停止の記録と、エトナの溶岩流が間欠的に発生する性質について述べる。
- §39.1
リュディア周辺で噴出し七日間燃えた火
リュディア周辺でおびただしい火が噴き出し、七日間にわたって燃え続けたという伝承について伝える。
- §40.1
シケリアの溶岩流と火の噴出規模
シケリアの溶岩流の周囲で起こる驚くべき現象と、その火の噴出の幅および流れの高さの規模について。
- §41.1
トラキアのスピノス石とマリエウス石の燃焼性質
トラキアのスピノス石とマリエウス石が、分割されたり水をかけられたりした際に示す、奇妙な燃焼の性質について。
- §42.1
ピリッポイの鉱山で削り屑から成長する金
マケドニアのピリッポイ周辺の鉱山において、廃棄された削り屑が成長して金を産み出すという現象について記述している。
- §43.1
キプロスで蒔かれて成長する銅の伝承
キプロスのテュリアスにおいて、細かく刻んで蒔いた銅が雨の後に成長して収穫されるという奇妙な現象について報告する。
- §44.1
メロス島で掘り出された土の自然補充
メロス島において、土を掘り出した場所が自然と元通りに補充される現象について述べる。
- §45.1
パイオニアの雨流土から得られる天然金
パイオニア地方において、長雨で土が洗い流されると精錬不要の天然金が見つかることや、非常に重い金塊が発見されて王に献上され、儀礼に用いられているという話を紹介する。
- §46.1
オクソス川とテオドロス川が運ぶ大量の金
バクトリアのオクソス川とイベリアのテオドロス川が、大量の金(金塊)を流したり岸に打ち上げたりすることについて述べている。
- §47.1
ピエリアで地中から生え出た金塊
マケドニアのピエリアにおいて、古代の王たちが埋めた無刻印の金から、地割れの1つを通じて1スパン大の金が生え出たという不思議な出来事を伝えている。
- §48.1
カリュプス人とアミソスの鉄の製法と特質
ハリュベス(カリュプス)とアミソスの鉄の独特な製法、すなわち川砂からの製錬および耐火石の混入と、錆びないというその優れた特性について記述している。
- §49.1
金と見分けがつかないインドの銅とダレイオスの杯
インドの非常に優れた銅の性質について述べられ、ダレイオスの宝物である杯が金製か銅製か、匂い以外では区別できなかったという逸話が紹介される。
- §50.1
ケルトの錫の融けやすさと寒さで融ける性質
ケルトの錫が鉛よりも極めて融けやすく、水の中や、寒さで熱が内部に閉じ込められることによって霜の中でも融けるという性質を説明している。
- §51.1
競技者の冠となるオリーブの木とその移植
パンテイオンにある「美しき冠の」と呼ばれる特異なオリーブの木の特徴と、それがヘラクレスやエリース人によってオリンピアに移植され、オリンピックの冠の起源となった伝承を記す。
- §52.1
ペルガモン近郊の鉱山で発見された石化した器と人骨
ペルガモン近郊の鉱山で、戦争中に閉じ込められて窒息死した鉱夫たちの遺品や骨が、後世に石化して発見されたことを報告する。
- §53.1
アスカニア湖のソーダ分を含む水と衣服の洗濯
アスカニア湖の水はソーダ分が非常に強いため、洗剤なしで衣服を洗うことができる一方で、長く浸けすぎると衣類がボロボロになってしまうことを紹介する。
- §54.1
ピュトポリスの冬に干上がり夏に満ちる井戸
アスカニア湖近くのピュトポリス村にある、冬に干上がり夏に満ちるという不思議な井戸について記述している。
- §55.1
月の満ち欠けに伴うシケリア海峡の水流の増減
シケリアとイタリアの間の海峡の水流が、月の満ち欠けに伴って増減する現象について。
- §56.1
シュラクサイ途上で群衆に水を供給した小泉
シュラクサイへの道中にある小さな泉が、大勢の群衆が集まった際に不思議と豊かな水を湧き出させたという現象について報告する。
- §57.1-57.2
シケリアのパリコイの泉と偽りの誓いへの罰
シケリアのパリコイにある、一定の高さまで水を噴き上げる不思議な泉と、そこでの誓いの儀式において偽りの誓いをした者に下る神罰および神殿の清めについて記述している。
- §58.1-58.3
デモネソス島の鉱物と海中から採れる銅の薬効
デモネソス島の名の由来と、そこで採れる優れたクリュソコッラ(珪孔雀石)や海中から潜水して採取される銅、そしてその銅の効能について説明する。
- §59.1
デモネソス島の洞窟と水滴から生じた石柱
デモネソス島にある、水滴の凝固によって形成された鍾乳石の柱を持つ洞窟について説明している。
- §60.1
鷲の子孫の変化と大きなハゲワシの不妊
鷲の番いから生まれる子がウミワシ、ヒゲワシ、ハゲワシへと順次変化して発生する連鎖と、最終段階の大きなハゲワシが生殖能力を持たないことについて述べている。
- §61.1
冷水から飛び出すインドの鉛の奇異
インドの鉛について、溶かして冷たい水に注ぐと水から飛び出すという奇妙な現象について。
- §62.1
モッスィノイコイの白い青銅と秘伝の土
モッスィノイコイの白く輝く青銅の製法において、錫の代わりに現地の土が混ぜ合わされたこと、またその製法が秘匿されたために古い青銅器だけが優秀であることを語る。
- §63.1
ポントスで冬眠する鳥や魚の熱による感覚回復
ポントス地方で冬眠する鳥や魚が、羽を抜かれたり切り刻まれたりしても熱を加えるまで感覚を失っている現象について述べる。
- §64.1
ミツバチとセミによる至点の到来の感知
ミツバチが活動を開始することによって至点(夏至)を知らせること、およびセミが至点の後に鳴き始めることについて記述している。
- §65.1
ハリネズミの絶食による長期生存
ハリネズミが食べ物なしで1年間も生き延びるという説について記述している。
- §66.1
ヤモリの脱皮殻の嚥下とてんかん治療の効能
ヤモリが脱皮した皮を自分で飲み込んでしまう習性と、その皮がてんかん治療に役立つため医師たちに狙われていることを説明する。
- §67.1
冬眠期における熊の脂肪の膨張と溢出
熊の脂肪が、冬眠期の冬の寒さで固まっている間に体積を増し、容器から溢れ出るという説を紹介する。
- §68.1
キュレネの無声の蛙とエマティアの一蹄の豚
キュレネの蛙が全く鳴かないこと、およびマケドニアのエマティア地方の豚が一蹄であるという奇妙な生態について記述している。
- §69.1
生殖能力あるラバと実を結ぶ黒ポプラ
カッパドキアの生殖能力のあるラバと、クレタ島の果実を実らせる黒ポプラに関する奇妙な噂を伝える。
- §70.1
他所に移されると鳴くセリーポスの蛙
セリーポス島のカエルが島内では鳴かないが、別の場所に移されると鳴くようになるという奇妙な習性を紹介している。
- §71.1
陸上を歩き川へ戻るインドの小魚
インドのケラスと呼ばれる場所において、陸上を動き回ったのちに川へ戻るという奇妙な小魚の生態について。
- §72.1
穴に潜み陸を歩くバビロンの魚
バビロン周辺の川が干上がるときに湿った穴に留まる、陸上を歩いたり尾を動かしたりする特殊な魚の生態について記述している。
- §73.1
ヘラクレアとレギオンの土中魚の生態
ヘラクレアやレギオンに生息する土中魚が、土地の乾燥に伴って湿り気を求めて泥の奥深くへ潜り、再び水が戻る前に掘り起こされても動き出すという独特の生態を紹介している。
- §74.1
パプラゴニアの地中で掘り出される魚
パプラゴニア地方の地中深くにも掘り出される魚が存在し、付近に水源がないにもかかわらず大地そのものの生命力によって質の良い魚が生じると語られる。
- §75.1
エペイロスの鹿が右の角を埋める習性
エペイロスの鹿が落とした右の角を地面に埋めるという習性と、その角が多用途に役立つという噂について。
- §76.1
有用な尿を隠すオオヤマネコの習性
オオヤマネコがその有用な尿を隠す習性について記述している。
- §77.1
アザラシが吐き出す凝乳の薬効
アザラシが捕獲される際に吐き出す凝乳に薬効があり、てんかん患者に有用であるという伝承について。
- §78.1
キルケイオン山の猛毒草と暗殺計画
イタリアのキルケイオン山に生える、触れると体を融解させる強力な毒草について述べ、スパルタのクレオニュモスを暗殺しようとして捕らえられた者たちの歴史的事件を紹介する。
- §79.1-79.3
ディオメデイア島の神殿と鳥たちの伝説
ディオメデイア島にあるディオメデスの神殿と、そこに生息する不思議な鳥たちについて述べる。この鳥たちはギリシア人には懐くが蛮族を襲うとされ、難破したディオメデスの仲間たちが変身したものという伝説を紹介する。
- §80.1
オンブリコイ人の地の著しい多産と豊饒
オンブリコイ人(ウンブリア人)の地において、家畜が年に3回出産し、作物も豊作であり、女性たちも非常に多産で大半が一度に2人や3人を産むという報告。
- §81.1-81.4
エレクトリス諸島の彫像と琥珀とパエトン神話
アドリア海のエレクトリス諸島にあるダイダロスの彫像の由来や、琥珀の産出にまつわるパエトンの神話、そしてペラスゴイ人の襲来によるダイダロスの逃亡について語る。
- §82.1-82.2
エンナの洞窟とコレ略奪の伝承および特異な小麦
シケリアのエンナ近郊にある豊かな自然を持つ洞窟と、そこからプルートンがコレを略奪したという神話的伝承、およびその地に見られる特異な小麦とデメテル信仰との結びつきについて記述している。
- §83.1
クレタ島に有害な野生動物が存在しない伝承
クレタ島にはゼウス誕生の地であるために、狼や熊、毒蛇などの有害な野生動物が存在しないという伝承を紹介する。
- §84.1
カルタゴ人による大西洋の孤島発見と航海禁止
カルタゴ人がヘラクレスの柱の外側で豊かな無人島を発見し往来したが、指導者たちは情報の漏洩と大衆の自立を防ぐため、島への航海を禁止し居住者を抹殺した。
- §85.1
ヘラクレスの道と旅人の安全を守る住民の制度
イタリアからイベリアに至る「ヘラクレスの道」が存在し、そこを旅する者は周辺住民によって安全が確保され、万一被害が生じた場合はその地域の住民が罰金を支払う制度があることを説明する。
- §86.1-86.2
ケルト人の強力な矢毒とその解毒剤
ケルト人の用いる強力な矢毒「トクシコン」の性質と、その解毒剤として知られるオークの樹皮、およびカラスの行動から発見された「コラキオン」と呼ばれる葉について説明する。
- §87.1
イベリアの山火事と流出した銀の富
イベリアの山火事によって地中から銀が流れ出し、のちの地震で露出した大量の銀が回収され、マッサリアの人々に巨額の富をもたらしたという伝承を語る。
- §88.1-88.2
ギュムネシアイ諸島の特異な油と住民の習俗
ギュムネシアイ諸島における特異な製油事情や、女性一人に対して男性数人を差し出す住民の女狂いな交易習慣が紹介される。さらに、彼らが金銀の所有を禁じられ、傭兵の給料を女性の購入のみに充てる理由として、ヘラクレスの遠征に関する逸話が述べられる。
- §89.1
リグリア近辺の湖と固まる湖面での漁
リグリア近辺にある不思議な湖について語られる。この湖は大量の魚を放出し、季節風が吹くと表面が土砂で固まるため、住民はそこを突き破って魚を獲るという。
- §90.1
リグリア人の巧みな投石器の技と鳥猟
リグリア人が投石器を極めて巧みに操り、鳥の群れを見つけると、誰がどの鳥を仕留めるかを互いに競い合う様子を伝える。
- §91.1
リグリア人女性の出産直後の労働の慣習
リグリア人の女性が出産後すぐに労働に戻るという、彼らの独特な出産と労働の慣習について記述している。
- §92.1
空中に持ち上がって流れるリグリアの川
リグリア地方にある、流れが空中に高く持ち上がって流れるために対岸が見えなくなるという不思議な川について。
- §93.1
アイタレイア島で銅の後に鉄を生じた鉱山
テュレニアのアイタレイア島において、同じ鉱床からかつては銅が、のちには鉄が産出するようになり、現在でも住民たちに利用されているという驚異について述べている。
- §94.1
オイナレアの堅固な地形と解放民による統治
テュレニアの堅固な都市オイナレアの地形的特徴と、僭主の出現を恐れる住民たちが元奴隷の解放民を毎年交代で指導者に据える独特な統治体制を説明する。
- §95.1-95.2
クマイのシビュラの地下室とケトス川の石化現象
イタリアのクマイにある予言者シビュラの地下の部屋と、投げ込まれたものが時間をかけて石化するという近くのケトス川についての不思議が語られる。
- §96.1-96.2
アルキメネスの豪華な外套とその売却
シュバリスのアルキメネスのために作られた、極めて豪華な外套の驚くべき意匠と、それがシラクサの僭主ディオニュシオスによってカルタゴ人に売却された経緯について語られている。
- §97.1
ヤピュギアの巨人戦の跡地とヘラクレスの記念碑
ヤピュギア岬近辺のヘラクレスと巨人の戦場跡から悪臭を放つ液体が流れていること、イタリア各地にあるヘラクレスの記念碑、およびパンドシアにある立ち入り禁止の神の足跡について記述される。
- §98.1
ヤピュギアの指一本で動く巨石
ヘラクレスによって持ち上げられ移動させられたと言われる、ヤピュギアの岬の周辺にある巨大な石と、それが指一本で動くという奇妙な性質について述べる。
- §99.1
オルコメノスの地下道の発見
ボイオティアのオルコメノスで、狐と犬が入り込んだ地下道を猟師たちが探索し、発見した広い空間の様子を政務官に報告した。
- §100.1-100.3
サルディニア島の建築物と支配者の変遷
サルディニア島の古代ギリシア式建造物と、イオラオスやアリスタイオスによる島の統治の歴史、そしてカルタゴの支配による農作物の根絶と再植樹の禁止令について述べる。
- §101.1-101.3
リパラ島の怪奇な墓と蘇生した男の伝承
アイオロス諸島のリパラ島にある、夜間に怪奇現象が起きるとされる墓の伝説と、泥酔して墓に運ばれた男が蘇生したという奇妙な事件について言及する。
- §102.1-102.3
クマイ近郊のアオルノス湖の澄んだ水と俗説の否定
イタリアのクマイ近郊にあるアオルノス湖の地形と、落葉が一切水面に浮かばないという不思議な性質を記述し、鳥が飛べないという俗説を現地の白鳥の存在を挙げて否定している。
- §103.1
セイレーヌーサイ諸島とセイレーンの神殿
イタリアの岬近くにあるセイレーヌーサイ諸島の位置と地勢、およびそこにあるセイレーンの神殿と三体のセイレーンの名前について説明する。
- §104.1-104.2
デルピオン山の眺望と中間地帯の共同市場
アドリア海と黒海の中間に位置するデルピオン山について語られ、その山頂から黒海の船が見えるという噂や、中間地帯の共同市場で双方の特産品が取引される様子が記される。
- §105.1-105.5
イストロス川のアドリア海への分岐とアルゴノーツの航路
イストロス川が分岐してアドリア海に注ぐという説の根拠として、アルゴノーツがこの川を通りアドリア海へ抜けた神話や、その途上の記念碑、およびホメロスの描写が挙げられる。
- §106.1-106.2
タレントゥムの英雄崇拝と居住地の変遷
タレントゥムにおける様々なギリシア英雄への崇拝活動と、彼らが住む土地の名称の歴史的変遷(ヘラクレア、プレイオン、シゲオン)について記述している。
- §107.1-107.2
フィロクテテスの弓の奉納とシュバリスでの埋葬
シュバリスにおけるフィロクテテスへの崇拝と、彼がヘラクレスの弓をアポロン神殿に奉納した伝承、そしてロドス人を救援した後にシュバリス川のほとりに葬られた経緯を語る。
- §108.1
ガルガリアのアテナ神殿とエペイオスの道具
イタリアのメタポンティオン近郊のガルガリアにある「ヘレニア」アテナ神殿について、トロイアの木馬の製作者エペイオスが道具を奉納したという伝説とその名前の由来が語られる。
- §109.1-109.2
ダウニアのアテナ神殿の犬と黒衣の起源
ダウニア地方のアカイア・アテナ神殿にまつわる、ギリシア人を歓迎する犬の奇妙な習性と、地元住民が黒い服をまとう起源となったトロイア人女性による船の放火の逸話が語られる。
- §110.1
ディオメデスの首飾りとアルテミスに捧げられた牝鹿
ペウケティア人の地にあるアルテミス神殿に奉納された、ディオメデスの銘入りの青銅の首飾りと、それにまつわる牝鹿の伝説、およびその後のアガトクレスによる発見と再奉納について語る。
- §111.1
シケリアのペロリアス岬におけるサフランの群生
シケリアのペロリアス岬においてサフランが極めて豊富に自生していることと、現地の人々がそれを贅沢に利用している様子が語られる。
- §112.1-112.2
入浴者の数に応じて伸縮するシケリアの池
叙事詩人ポリュクリトスが伝える内陸の不思議な池についてであり、入浴する人の数に応じて池自体が拡大し、五十人に達すると人々を空中に放り出して元の大きさに戻るという性質を説明している。
- §113.1
カルタゴのウラニオン山と清らかさに応じる油の泉
カルタゴ領内にある、心地よい芳香を放つウラニオン山と、そこに近づく者の清らかさに反応して油を湧き出させるという不思議な泉について記述する。
- §114.1
夏に火を冬に冷水を噴出するカルタゴの巨岩
カルタゴの油の泉の近くにある巨大な奇岩について、夏には火を吹き出し、冬には雪のように冷たい水をそれぞれ季節を通じて噴き出し続けるという不思議な現象を紹介する。
- §115.1
水で燃え風で消えるトラキアのポントス川の石
トラキアのポントス川に流れる不思議な石について記述される。この石は風を当てると消え、水をかけるとよく燃え、燃焼時には這う生き物を追い払うほどの強い悪臭を放つ。
- §116.1
動物が口にしないシントイ族の土地の大麦
シントイ族とマイドイ族の地にある特別な場所と、そこで採れる人間しか食べられない不思議な大麦について語る。
- §117.1
傷を治し木を結合させるスコトゥサの泉
テッサリアのスコトゥサにある小さな泉についての記述。その水は傷を素早く治し、裂け目の入った木を再び結合させる不思議な力を持つと語られる。
- §118.1-118.2
アンフィポリス近郊におけるタカとの小鳥狩り
アンフィポリス近郊のトラキア地方において、少年たちが野生のタカと協力して小鳥を狩る不思議な方法と、獲物を分け合うタカとの共生関係について記述されている。
- §119.1
ヴェネト人によるコクマルガラスを用いた吉凶の占い
ヴェネト人の土地にコクマルガラスの大群が襲来する際、境界線に作物の種子を撒いて、鳥たちの動向から平和か敵の襲来かを予期する奇妙な習俗について。
- §120.1
甲虫が脱出できず死ぬカンタローレトロンの地
カルキディケのオリントス近郊にある、侵入した甲虫が脱出できずに飢え死にする「カンタローレトロン」と呼ばれる奇妙な場所について説明している。
- §121.1
飲むと即死するトラキアのキュクロプスの泉
トラキアのキュクロプス人の土地にある、見た目は普通だが飲むと即死する毒の水を持つ泉について記述している。
- §122.1-122.2
クレストニアの奇異な現象とディオニュソスの聖域
クレストニアにおける、二つの肝臓を持つ野ウサギと、立ち入る動物を死に至らしめる場所、および同地にあるディオニュソスの聖域における、豊作と不作を予兆する火の奇跡について記述している。
- §123.1-123.2
エリスのワインで満ちる大釜と祭肉を襲わぬトビ
エリスのディオニュソス祭において、密閉された空の大釜が翌日には不思議とワインで満たされる奇跡と、生贄の肉を決して襲わない賢いトビの習性について述べる。
- §124.1
コロネイアでモグラが生息できない現象
ボイオティアのコロネイアではモグラが生息・活動できない一方で、その他の地域には大量に生息しているという奇妙な自然現象について記述している。
- §125.1
ルソイの泉に生息し泳ぐ陸生のネズミ
アルカディアのルソイにある泉で陸生のネズミが生息して泳いでいること、および同様の現象がラミュアコスでも見られるという噂を紹介する。
- §126.1
クランノンで常に二羽のみ残るワタリガラス
テッサリアのクランノンに生息する、常に二羽のつがいしか留まらず、雛が育つと親が去るというワタリガラスの奇妙な習性について。
- §127.1-127.2
アポロニアのアスファルトと絶えぬ火
アポロニア近郊の地中から湧き出るアスファルトと絶えず燃える火の性質、およびその周囲の豊かな植生について記述し、類似の火がリュキア等にも存在することに言及する。
- §128.1
イリュリアにおける家畜の多産と頻繁な産卵
イリュリア地方における家畜の驚くべき多産性と搾乳量、および雌鶏が1日に複数回産卵する現象について記述している。
- §129.1
パイオニアの巨大な野生牛と角の容量
パイオニアにおける非常に巨大な野生の牛と、その角の驚くべき容量について記述している。
- §130.1-130.4
シチリア海峡の激しい潮流と渦
シチリア海峡の激しい潮流と波の衝突、その結果生じる恐るべき光景や海の色の変化、および大波が収まった後の渦の動きについて説明している。
- §131.1
エレウシスで発見された青銅碑とデイオペーの墓
エレウシスのデメテル神殿建設中に発見された青銅の碑と、そこに記されたデイオペーという人物の出自をめぐる諸説。
- §132.1-132.2
ナツメヤシとフェニキア人の語源
アイオロスの島の一つにナツメヤシ(ポイニクス)が生い茂っていることから、植物名と民族名フェニキア人の語源的関係についてカリステネスの説を否定し、フェニキア人の名の別の語源(殺戮、ペッライボイ方言の「血に染める」)を提示する。
- §133.1-133.4
アイニアで出土した碑文とヘラクレスの詩行
アイニア地方で発見された古い碑文がテーバイの神殿で解読され、ヘラクレスの遠征に関する詩行が明らかになったこと、そしてその内容が地理的名称(エリュトス)と一致していることを伝える。
- §134.1
ウティカで産出する日光で硬化する岩塩
リビュアのウティカにおける、太陽光に当たると硬化してパロス産大理石のようになる特殊な岩塩の産出と、それを用いた彫刻の制作について紹介している。
- §135.1
タルテッソスで大量の銀を得たフェニキア人
タルテッソスに航海したフェニキア人が、持ち込んだ貨物の見返りとしてあまりに大量の銀を得たため、錨を含めてあらゆる私物を銀で作らざるを得なくなったという逸話が語られる。
- §136.1
大西洋の無人島に座礁する巨大マグロとカルタゴ
ガデイラのフェニキア人がヘラクレスの柱の外側で発見した、潮の満ち引きで冠水する無人島と、そこに座礁する巨大マグロの塩蔵・カルタゴへの輸送について記述している。
- §137.1
ペダシアのゼウス祭儀におけるヤギと二羽のカラス
カリアのペダシアで執り行われるゼウスの祭儀において、生贄のヤギが群衆の中を乱れることなく自ら進む奇跡と、神殿に留まる二羽の奇妙なカラスについて記述する。
- §138.1
アルディアイオイ族の湧水からの製塩と家畜
イリュリアのアルディアイオイ族の地にある山と谷、そこで春に湧き出る水から塩を作る彼らの独自の製法と、家畜におけるその塩の重要性について。
- §139.1
アルゴスでサソリを捕食するイナゴとその薬効
アルゴスに生息する「サソリ退治」と呼ばれるイナゴがサソリを翻弄して退治する様子と、そのイナゴがサソリの毒の治療薬になるという伝承について。
- §140.1
クサリヘビを食べるナクソスのスズメバチの猛毒
ナクソスのスズメバチが、クサリヘビの肉を食べた後に人を刺すと、その刺し傷はクサリヘビによる傷よりも激しい痛みをもたらすという話を伝えている。
- §141.1
スキタイ人の矢毒の製法と腐敗した毒液
スキタイ人が矢に塗る致命的な毒の製法が説明される。それは出産期のクサリヘビの腐敗物と、人間の血を腐らせて得た上澄み液を混ぜ合わせたものである。
- §142.1
冬には毒の効力が消えるキプロスの蛇
キプロスのクリオンに生息する、冬の間は寒さのために毒の効力がなくなる蛇について。
- §143.1
刺されると死に至るケオース島のアケルドス
ケオース島に自生する、刺されると死に至る棘を持つ植物アケルドスについて記述している。
- §144.1
毒の息と粘液を放つミュシアの白い熊
ミュシアの白い熊が、狩猟の際に放つ肉を腐らせる息や、接近された際に口から吹きかける窒息・失明を誘発する粘液について記述している。
- §145.1
相手を硬直させ失声させるアラビアのハイエナ
アラビアのハイエナが、他の獣を先に見たり人間の影を踏んだりすることで、相手に失声と身体の硬直をもたらすという特性、および犬にも同様の効果を及ぼすことを説明する。
- §146.1
ライオンを殺すシリアの動物レオントポノス
シリアに生息する、ライオンを死に至らしめる「レオントポノス」という動物の生態と、それを利用した猟師によるライオン退治の方法について記述される。
- §147.1
香油を嫌うハゲワシとバラの匂いで死ぬコガネムシ
香油の匂いによってハゲワシが死に、バラの匂いによってコガネムシが死ぬという話について述べている。
- §148.1
シチリアとイタリアの猛毒のヤモリと飛ぶネズミ
シチリアとイタリアにおけるヤモリの毒性の強さと、噛むと死をもたらすという飛ぶネズミの一種について記述する。
- §149.1
よそ者だけを害するメソポタミアの小蛇
シリアのメソポタミアとイストルンに生息する、地元住民は襲わずよそ者だけを激しく害する奇妙な小蛇について記述している。
- §150.1
ギリシア人だけを襲うユーフラテス川の蛇
ユーフラテス川周辺に生息する蛇が両岸を泳ぎ渡ること、そしてシリア人には危害を加えないが、ギリシア人には容赦なく襲いかかるという奇妙な習性について。
- §151.1-151.3
テッサリアの聖なる蛇の猛毒と退治の顛末
テッサリアの「聖なる蛇」の強力な毒性と、かつてテノスで一人の女性が息子とともに、声真似をしてこの蛇をおびき寄せて退治したという顛末。
- §152.1
偽誓者を罰するテュアナのアズバマイオンの泉
カッパドキアのテュアナ近郊にある、誓いのゼウスの「アズバマイオン」と呼ばれる水源について記述している。この水は誓いを守る者には慈悲深いが、偽誓者には即座に奇病をもたらし拘束する力を持つ。
- §153.1
一日のうちに急成長し縮んだアテナイの聖なるオリーブ
アテナイにおいて、神聖なオリーブの若枝が一日のうちに急成長し、すぐにまた縮んだという奇妙な現象について記述している。
- §154.1
エトナ火山の溶岩から救われた敬虔な若者たち
エトナ火山の噴火の際、老いた親を救おうとして避難が遅れた敬虔な若者たちを、神霊が溶岩の流れを裂く奇跡によって無傷で救い出した逸話が語られる。
- §155.1
アテナ像の盾に隠されたフェイディアスの自画像
彫刻家フェイディアスがアテナ像の盾に自分の顔を刻み、それを取り外そうとすると像全体が破壊されるような仕掛けを施したという逸話を紹介している。
- §156.1
加害者を押しつぶしたアルゴスのビテュス像
アルゴスで起きた、ビテュスの像がその殺害犯の上に倒れて殺したという逸話を紹介し、このような出来事は偶然に起こるのではないと論じる。
- §157.1
黒い山の頂で獲物の追跡をやめる犬
犬たちが「黒い山」と呼ばれる山の山頂までしか獲物を追わず、そこに達すると引き返してしまうという奇妙な習性について説明される。
- §158.1
ファシス川の植物レウコピュロスと婚姻の純潔
ファシス川に生える植物「レウコピュロス」について、嫉妬深い男たちがそれを新婦の寝室の周りに撒いて婚姻の純潔を保つために用いるという伝承を記述する。
- §159.1
ティグリス川の野獣を避ける白石モードーン
ティグリス川に産出する、野獣の害から身を守る効能を持つ白い石「モードーン」について説明する。
- §160.1
スカマンドロス川の植物シストロンと魔除け
スカマンドロス川に自生する、揺れる種子を持つ「シストロン」という草の名称の由来と、それを持つ者がいかなる超自然的な怪異をも恐れなくなるという効能を説明する。
- §161.1
リビアの狂ったブドウとその特異な結実
リビアにある「狂ったブドウ」と呼ばれるブドウの木について、その果実が極めて短い期間に熟成、未熟、開花の異なる段階を同時に示すという奇妙な性質を記述している。
- §162.1
シピュロス山の円筒形の石と敬虔な息子の慣習
シピュロス山周辺で見つかる円筒に似た石と、それを見つけて神々の母の聖域に納める敬虔で親孝行な息子たちの習慣について。
- §163.1
タイゲトス山の草カリシアーと夫の情愛
タイゲトス山に生息する「カリシアー」という草と、それを身につける女性が夫からより深く愛されるという伝承について。
- §164.1
オトリュス山の蛇セプスとその変色と咬傷
テッサリアのオトリュス山に生息する、環境に合わせて体色を変化させ、噛まれると激しい渇きを引き起こす蛇「セプス」の特徴について。
- §165.1
クサリヘビの交尾と母の腹を破る子の誕生
クサリヘビの交尾において、雌が雄の頭を噛み切ることと、その報復として子ヘビが母の腹を破って生まれてくるという生態の伝承について。
- §166.1
ナイル川のソラマメに似た石と悪霊退散の効能
ナイル川で産出する、犬を吠えさせず、鼻に当てると悪霊を退散させるというソラマメに似た石について記述する。
- §167.1
マイアンドロス川の狂気を引き起こす石ソープローン
マイアンドロス川に存在するとされる、反意表現で「ソープローン」と呼ばれる不思議な石の効能(懐に入れられた者を狂気に陥れ親族を殺害させる)について記述している。
- §168.1
ライン川とイストロス川の流路と冬の結氷
ライン川とイストロス川の流路と、夏季は船が航行でき、冬季は結氷によってその上を馬で通行できるようになるという特徴を記述している。
- §169.1
シュバリス川とクラティス川の特異な性質
トゥリオイ近郊にあるシュバリス川とクラティス川という二つの川について、前者の水を飲むと臆病になり、後者で身を洗うと髪が金髪になるという特異な性質を記述している。
- §170.1
エウボイアの羊の毛色を変える二つの川
エウボイアにある二つの川、ケルベスとネレウスについて、それぞれの川の水を飲む羊の毛色が白または黒に変化するという奇妙な性質が紹介される。
- §171.1
弱視に効くリュコルマス川畔の槍に似た草
リュコルマス川のそばに生え、槍に似ていて弱視にきわめて効果があるという草について記述している。
- §172.1
五年ごとに動くシュラクサイのアレトゥーサの泉
シケリアのシュラクサイにあるアレトゥーサの泉が、5年周期で揺動するという伝承を記述している。
- §173.1
ヘカテの秘儀で発狂させるベレキュントス山の石
ベレキュントス山で産出する「マカイラ」という石と、それを手にした者がヘカテの秘儀の最中に発狂するという不思議な性質について、エウドクソスの説を引用して紹介する。
- §174.1
一日に四度色を変えるトモーロス山の石
トモーロス山で産出し、一日に四度色を変え、分別のない幼い処女にしか見えないという軽石に似た石について説明される。
- §175.1
猟師が近づくと声をあげる黄金の牡牛
オルティアーのアルテミスの祭壇に立つ、猟師が近づくと声をあげるという黄金の牡牛について記述されている。
- §176.1
アイトーリアのモグラの視覚と食性
アイトーリア地方のモグラの視覚と食性(土ではなくバッタを食べる)に関する噂。
- §177.1
ゾウの妊娠期間と難産の伝聞
ゾウの妊娠期間(2年または18ヶ月)と、出産時の難産についての伝聞を記述している。
- §178.1
病で失語したデマラトスの心地よい沈黙
病で10日間口がきけなくなったデマラトスが、意識を取り戻した後に、その沈黙の時間が最も心地よかったと語った逸話。
