底本
Aristotle. Aristotelis Meteorologicorum Libri Quattuor. Fobes, Francis H., editor. Cambridge, MA: Harvard University Press, 1919
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0086.tlg026.1st1K-grc2
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要旨
本作は、天体と地上の間にある領域で起こる様々な自然現象を対象とする、アリストテレスによる自然科学・自然哲学の著作です。第一巻では、宇宙を構成する四大元素の相互変化と「二重の呼気(気化物)」の理論に基づき、彗星や天の川、雨、雹などの気象現象や、河川の生成と大地の長期的な乾燥・湿潤の周期変化を解き明かします。第二巻と第三巻では、海の塩分、風の性質、地震の要因となる地中の「プネウマ(風)」、さらには雷や稲妻、虹や暈(かさ)といった光学現象のメカニズムが幾何学的な視覚の反射モデルを用いて系統的に論じられます。最終章にあたる第四巻では、熱・冷・乾・湿という四つの基本性質の相互作用による物体の固化や融解、生成消滅の物理的プロセスが詳細に分析されます。全体を通じて、自然界の動的な気象・物理現象が統一的な原理によって説明され、最終的にすべての自然物がその機能と目的によって規定されているという目的論的な自然観へと到達します。
目次
68 チャンク
引用方式:book.chapter
- §1.1-1.2
気象学の主題と範囲およびその基礎的原因
これまでに論じた自然科学的著作に続き、天体と地上の間にある領域の現象を扱う「気象学」の定義と範囲を定め、その構成を示すとともに、宇宙を構成する四大元素と天体の円環運動の関係から、物質的(質料)原因と動力原因を規定する。
- §1.3#1
大気と天体の間を満たす元素の構造
元素の相互変化という前提を確認した上で、大地の周囲を満たす空気の本性や、大地と星々の間の領域(中間領域)の構造について問題提起を行う。古代の「エーテル」の語源に触れつつ、中間領域が単一の元素だけで満ちているとする説を批判し、各元素の量的均衡を論じる。
- §1.3#2
四大元素の配置と天体運動による発熱
アリストテレスは、元素の変換における体積比から中間領域が空気や火のみで満たされているわけではないことを示し、月以下の領域における四大元素の同心円的配置と、第一元素(エーテル)の運動による熱の発生を説明する。
- §1.3#3
大気の上下層の性質と太陽による摩擦熱
大気の下層(湿熱)と上層(乾熱)の性質の違いや、天体の円運動による大気の回転と摩擦熱の発生原理について説明し、なぜ上空で雲が形成されないのか、また太陽が熱を生み出すメカニズムについて論じる。
- §1.4
二重の呼気と流れ星や天空の炎の成因
大地から生じる二重の呼気(湿った蒸気と乾いた煙)の理論に基づき、天に見える燃える炎、流れ星、松明や牝山羊と呼ばれる気象現象の発生原因を説明する。
- §1.5
夜空の裂け目や赤い幻像の成因
夜空に現れる様々な幻像(裂け目、穴、血のような色)の発生原因について論じ、上空の空気の凝縮と光の反射・遮蔽によって多種多様な色彩や深みが生まれる仕組みを説明する。
- §1.6#1
彗星に関する先人たちの諸説とその論駁
アリストテレスは彗星についての検討を開始し、アナクサゴラス、デモクリトス、ピュタゴラス派、そしてキオスのヒッポクラテスらの説を紹介した上で、彗星が惑星の一種であるとする説に反論する。
- §1.6#2
観測と歴史的事例による彗星諸説の反証
アリストテレスは、彗星が北半球の夏にしか現れないという説をアカイアの地震時の大彗星などの歴史的実例で反駁し、さらに恒星が尾を持つ現象や実際の惑星合の観察結果を用いて、先行する彗星説(反射説・惑星合説)の誤りを論証する。
- §1.7#1
高温の気化物による彗星の生成メカニズム
アリストテレスは彗星の形成メカニズムを説明する。地球を取り巻く上層の乾燥した高温の気化物が天球の回転によって熱せられて発火し、流れ星や、持続的な燃料に火が点くことで彗星が生じること、また彗星には自立的なものと既存の星に尾が伴うもの(暈のような現象)があることを論じる。
- §1.7#2
彗星の性質と暴風や乾燥との相関
アリストテレスは、彗星の尾が光の反射現象ではないことを説明し、彗星の多発が乾燥や暴風をもたらすという気象的相関関係を歴史的実例とともに論じ、さらに彗星の発生頻度が低い原因を天体運動に帰している。
- §1.8#1
天の川の本質に関する先行諸説とその批判
天の川(銀河)の起源と本質に関する先行学説(ピュタゴラス派、アナクサゴラスとデモクリトス、視線の反射説)を紹介し、それぞれの物理的・天文学的な矛盾点を挙げて批判する。
- §1.8#2
天の川の成因と星々の運動による空気の点火
アリストテレスは天の川の正体に関する自説を提示し、それが最大の円道において多数の星々の運動によって生じる空気の摩擦と点火による、一種の巨大な彗星の尾(彗)のような現象であることを説明して、第一巻前半の気象現象に関する議論を締め括る。
- §1.9
水の蒸発と凝縮による雨と霧の循環運動
アリストテレスは地球を取り囲む第二の領域(気圏・水圏)について論じ、太陽の熱による水の蒸発と冷却、雨や霧の発生メカニズムを、太陽の運行に倣う循環運動として説明する。
- §1.10-1.11
露と霜の成因および雨や雪との対応関係
地上付近における露と霜の生成メカニズム、風や特定の地域(ポントス地方)における影響の違いを説明し、さらにそれらを上空で生じる雨・雪・雹という気象現象と対応づけて論じる。
- §1.12#1
雹の生成をめぐる難点と発生時期や地域の検討
雹の生成に関する事実と不合理と思われる点、特に季節や場所による発生傾向の違い、上空で水が凍結するメカニズムについての難点や既存の学説の批判的検討を始める。
- §1.12#2
アンティペリスタシスによる雹の急速な生成機構
アリストテレスは、熱と冷が互いに反発し合う「アンティペリスタシス」の理論を用いて、雹が地表近くで急速に凍結して生じるメカニズムを説明し、水が事前に温められているとより早く凍結することを実例を挙げて論じる。
- §1.13#1
風の単一説批判と地中における河川の水の生成
風、河川、海の議論を開始し、風が全て一種類であるとする説や、河川の水が地中の巨大な空洞に集まった雨水に由来するという先行説を批判し、地上と同様に地中でも水が新たに生成され続けていると主張する。
- §1.13#2
山岳による水の凝結と河川の源泉の形成
著者は河川の源泉が地下の湖ではなく、地上が雨水を集めるのと同様に地中が徐々に水を凝結させ集める仕組みであると主張し、山がスポンジの役割を果たしていることをアジアやヨーロッパの巨大な山脈と河川の事例を通じて説明する。
- §1.13#3
山脈から生じる河川の源流と地下水路の事例
北方のリパイ山脈やリビュア、ギリシア等の山脈が河川の源流であることを紹介し、河川の源流は地下の空洞ではなく、山地で湿気が集まり配給される仕組みであると論じる。また、河川が地下に吸い込まれる現象や、海中からの湧水、地下水路の事例を挙げてこれを実証する。
- §1.14#1
大地の乾燥と湿潤の周期変化および陸と海の交代
大地の湿潤と乾燥の長期的・周期的な交代メカニズムを説明し、河川の消長が陸と海の交代を引き起こすことを述べる。この変化は極めて緩やかであるため人間に感知されず、エジプトやギリシアの例が示すように、局所的な変化を宇宙全体の乾燥化と誤認してはならないと指摘する。
- §1.14#2
大いなる冬による周期的な地形変化と河川の消長
地球上の湿潤と乾燥の周期的な局所的変化は、宇宙の生成消滅ではなく長大な時間周期の「大いなる冬」によるものであり、エジプトやマイオティス湖、ボスポラス海峡の地形変化、河川の生成消滅がその証拠として議論される。
- §2.1
海の起源に関する先行学説と源泉の否定
海の起源や塩辛さに関する先行学説(神話的見解や初期自然哲学者の説)を概観した後、海に源泉が存在することを否定し、海流が生じる真の原因を地球の地形(北側の高地)や海峡の往復運動から説明する。
- §2.2#1
水循環の仕組みと太陽が水分を糧とする説の論駁
アリストテレスは、海が水全体の源泉であるという前人の説を批判し、水循環のメカニズムを説明することで、太陽が水分を糧にして燃えているという見解を論駁し、海水が塩辛い理由の解明へ向けて前提を整理する。
- §2.2#2
海の終極性と蒸発均衡およびタルタロス説の批判
海が水の始まりではなく終わりであること、また、川から流入する大量の水が蒸発によって均衡を保っていることを動物の体内組織を例に説明し、プラトンの『パイドン』に記述されている地下のタルタロスを水源とする循環説の矛盾を批判する。
- §2.3#1
海の乾燥消滅説の批判と塩分の起源をめぐる難点
海が乾燥して最後には消滅するという説(デモクリトスやイソップの寓話)を批判し、水循環の永遠性を論じる。さらに、海が一度だけ生成したとする説や、大地の混入によって海が塩辛くなるとする説の矛盾を指摘する。
- §2.3#2
大地の汗説の批判と塩辛さの原因および循環
エンペドクレスの「海は地球の汗である」という比喩を批判し、汗や尿などの排泄物が塩辛くなる原因との類比から、海水の塩分は大地の混入物によるものであると論じる。また、塩分を含む蒸気(発気)が循環しつつ変化するプロセスを提起する。
- §2.3#3
海の塩分の生成過程と諸実験による実証
大地から生じる乾燥した蒸気が雨水に混入することで海が塩分を持つプロセスと、その証拠となる現象(雨水や南風の性質、海水が蒸発すると淡水になる実験、蝋の容器を用いた実験)を説明し、海全体の水量は維持されつつ常に変化していることを論じる。
- §2.3#4
塩水の浮力の実例と地中の火による泉の生成
塩水の濃度と浮力の関係を実例(船の吃水、卵の浮上、パレスティナの湖など)を挙げて論じ、塩分や様々な味わいを持つ泉・河川の生成原因が地中の火の力によるものであることを明らかにして、水と海に関する議論を完結させる。
- §2.4#1
風の起源と乾湿二種類の蒸発気
アリストテレスは風の起源について論じ、蒸発気には湿った「蒸気」と乾いた「煙」の二種類があることを説明する。そして、風は動く空気そのものではなく、大地の熱によって生じる乾いた蒸発気を源泉とするものであると主張し、気候の地域差や不均一性の原因をこの二種類の蒸発気の動態から解明する。
- §2.4#2
雨と風の相互関係および南北風の優勢
身体の器官の対比に模して地域ごとの蒸発気の交代現象(対向発生)を説明し、雨の後に風が吹き、雨によって風が止む理由を解説する。さらに太陽の軌道との関係から北風と南風が優勢である理由を述べ、風の運動の始原が上方、物質の始原が下方にあることを論じて章を締めくくる。
- §2.5#1
太陽による風の抑制と季節風の発生原因
太陽がその熱量によって風を消滅させ、あるいは先手を打って乾燥を促すことで風の発生を左右するメカニズムを説明し、さらにエテシアイや白南風、鳥風といった季節風が北極や南極周辺の水分量と太陽の距離の関係から生じる理由を論じている。
- §2.5#2
可住地帯の地理的対称性と南風の起源
地球上の居住可能領域が二つの極に面した対称的な地域に限られることを示し、南半球の風の配置が北半球と類比的であることを論じる。また、南風が南極からではなく熱帯地方(灼熱地帯)から吹くものであると説明する。
- §2.6#1
地平圏図による風の配置と相反する風の対
地平線を表す円の図を用いて諸方角とそこから吹く主要な風を定義し、対角線上の相反する風の対を説明するとともに、北からの風が南からの風よりも多く吹く物理的原因を述べている。
- §2.6#2
風の南北分類と温熱特性および気象的影響
アリストテレスは風の北系・南系への分類と温熱特性、相反する風の性質や同時送風の可否、各風の気象への影響(快晴、雲、雹、稲妻、突風など)、および季節風(エテーシアイ)の移行傾向を記述し、風に関する全体的な議論を締めくくっている。
- §2.7
地震の原因に関する先行学説とその批判
地震の原因に関する三つの先行説(アナクサゴラス、デモクリトス、アナクシメネス)を紹介し、それぞれの物理的仮定の矛盾や現象との不一致を論理的に批判する。
- §2.8#1
地下の風による地震の発生とその諸特徴
アリストテレスは地震の真の原因を、湿気と熱から地中に生じる「風(プネウマ)」であると規定し、最も動きやすいこの性質が大地に閉じ込められることで地震を引き起こすと論じる。さらに、地震が風のない時、夜間や正午、海峡の近くなどの特定の場所で多発する理由をその理論から説明する。
- §2.8#2
地震が起きる気候条件と地中の風の証拠
アリストテレスは、地震が特定の季節や気候において発生する仕組みを説明し、人体の震えや脈拍と大地の風を比較するとともに、ヘラクレイアやヒエラ島などの噴火事例や、前兆としての静穏や冷え込みを地中の風の動きの証拠として挙げる。
- §2.8#3
地震の前兆現象と余震および地中の音
地震の前に風が地中へ退くことで静穏や冷え込み、細い直線状の雲が生じる理由を説明し、月食時の地震や余震、地中の音のメカニズムも風の運動によって解明する。
- §2.8#4
津波を伴う地震と局所性および島での少なさ
地震の音の発生原因、津波を伴う地震のメカニズム、局所的な地震発生の理由、垂直方向の揺れの稀少性、および外洋の島々で地震が起こりにくい理由を論じている。
- §2.9#1
雷鳴と稲妻の成因と先行学説の反論
雷、稲妻、台風などの諸現象が、雲の中に乾いた蒸発気が閉じ込められ排出されるという同一の始原を持つことを示し、雷鳴と稲妻の発生メカニズムを解説するとともに、雲の中に火が閉じ込められているとする他学説の不合理性を論じる。
- §2.9#2
乾いた蒸発気による風と地震と雷鳴の共通性
他者による雷鳴と稲妻の説明(火の封入説や海の叩打による発光との比喩など)を退け、地上における風、地中における地震、雲の中における雷鳴と稲妻がすべて同じ「乾いた蒸発気」という本性に基づく現象であることを提示する。
- §3.1#1
エクレピアスとタイフォンの成因と発生条件
排出された乾いた蒸気(風)の量や密度の違いによって生じるエクレピアスやタイフォン(竜巻)の発生メカニズムについて説明し、それらが寒冷な状況下では発生しない理由を解説する。
- §3.1#2
タイフォンとプレステールと落雷の分類と性質
タイフォンやプレステール、各種の落雷の発生メカニズムと、それらの物理的な性質の違いが説明され、すべてが風に起因する同一の現象であることが神殿の火災などの具体例を交えて論じられる。
- §3.2
暈と虹と幻日と光棒の観察事実と反射の原理
暈(かさ)、虹、幻日、光棒について、それぞれの形状や色の配置、出現時間などの観察される事実を整理し、これらがすべて視線の反射という共通の原因に由来することを提示する。
- §3.3
暈の円形形成の幾何学的証明と天気の兆候
暈の形状がなぜ円になるのかを、幾何学的なモデルを用いて証明する。あわせて、空気の凝結状態(暈の形成や分裂、消退)がもたらす天気の兆候(雨、風、晴天)の物理的メカニズムについて説明する。
- §3.4#1
虹の反射の仕組みと鏡としての雨滴および色彩の原因
虹が視線の反射によって生じる仕組みを説明し、空気や水、特に凝結しつつある雨滴が鏡として機能するプロセスを論じる。また、反射の距離や媒体の性質の違いにより、虹と暈で色彩が異なる理由を明らかにする。
- §3.4#2
光棒と視線の弱まりによる色彩の変化原理
アリストテレスは、「光棒」と呼ばれる部分的な光の現象や、ともし火や櫂の水しぶきから生じる虹の例を挙げ、それらがどのように微小な雨滴による光の反射として生じるかを説明する。さらに、視線が反射や距離によって弱まることで、色彩の現れが本来の白から暗い色(深紅色や紫色)へと変化する一般的原理を提示する。
- §3.4#3
虹の三色の構成原理と副虹の色彩の逆転
アリストテレスは視線の強弱と色の見え方の関係から、虹が深紅、緑、紫の三色からなる理由、および色が隣接することによって生じる黄色の見え方を説明する。また、外側の虹が二重の反射によってより淡く、逆順の色配置になる原理を示し、三つ以上の虹が生じない理由を論じる。
- §3.5#1
虹の形状が半円以下となる幾何学的証明の準備
虹の形状が半円以下になる理由を、地平線と太陽の位置に基づく幾何学的なモデルを用いて証明し始め、比率の定義と極の導入を通じて証明の準備を整える。
- §3.5#2
虹の半円形と太陽高度および季節による出現条件
円錐投影の幾何学的モデルを用いて虹の見える部分が最大で半円であり、太陽の高度が高くなるにつれて減少することを証明し、季節による日の長さや太陽の軌道(北寄り・南寄り)の違いによって正午付近に虹が発生するか否かが決まる天文学的・幾何学的理由を論じる。
- §3.6#1
幻日と光棒の成因および気象上の前兆
アリストテレスは幻日と光棒の形成原因を説明し、これらが不均一な雲(光棒)や均一な空気(幻日)における視線の反射によって生じることを示す。また、現れる位置や気象上の前兆としての重要性についても言及する。
- §3.6#2
幻日・光棒の出現条件と地中の二種の排出物
太陽の位置(上方、下方、中天)によって幻日や光棒の発生が制限される理由を説明し、次いで地中の二種類の排出物(乾燥した煙気と湿った蒸気)がそれぞれ採掘物と金属物を生成する過程を概説する。
- §4.1
四大性質の能動と受動および腐敗の成因
四大性質(能動的な熱と冷、受動的な乾と湿)の分類と役割を概説し、特に自然な消滅である「腐敗」が生じる仕組みと条件を詳しく説明している。
- §4.2
熟成と未熟の諸形態および熟成の定義
熱と冷の相互作用によって生じる「熟成(熟化)」と「未熟(未熟化)」という自然界における基本形態について提起し、熱による「熟成」が固有の熱による素材の完成プロセスであることを定義する。
- §4.3#1
成熟と未成熟の定義および煮沸のプロセス
著者は成熟(πέπανσις)と未成熟(ὠμότης)、および煮沸(ἕψησις)を定義し、それぞれの完成の基準と物理的なプロセス、そしてそれを引き起こす熱と湿の相互作用を詳しく解説する。
- §4.3#2
液体の煮沸と煮え損ないおよび焙焼と生焼け
煮沸の定義を液体にも拡張し、その不完全な形態である「煮え損ない」と対比するとともに、乾燥した外部の熱による「焙焼」およびその不完全な形態である「生焼け」の定義と性質を、自然界と人工技術の両面から説明している。
- §4.4-4.5
受動的性質である湿と乾および固化と乾燥
物体の受動的原理である湿と乾、およびそれに基づく硬さと柔らかさの定義が論じられ、引き続いて固化と乾燥のプロセスとその原因が分析される。
- §4.6
液化の様態と物体が固化および融解する原因
物体の液化(湿潤化)の2つの様態、および水や土と水からなる合成物の固化・融解のメカニズムを、熱と冷、乾燥と湿潤の相互作用から説明し、鉄の製鋼プロセスや石・土の融解・非融解の特性に言及する。
- §4.7#1
油の特異な性質と水と地からなる混合物
油の性質とその特異な凝固・濃縮プロセスについて説明し、水と地からなる様々な混合物の性質を分類・解説する。
- §4.7#2
乳と血液の凝固分離と固化および融解の総括
牛乳や血液の分離と固化の仕組み、そして相反する属性(冷・乾と熱・湿)に基づく固化・融解の法則を、木材や陶器などの具体例を交えて解説し、固化と融解の議論を総括している。
- §4.8
同質的物体の形成と受動的性質の分類
熱・冷(能動)と湿・乾(受動)という四つの基本性質によって自然界の同質的物体が形成されるプロセスが総括され、能動的性質と受動的性質(固化可能、融解可能などの18組)の分類が提示される。
- §4.9#1
固化した物体の様々な受動的性質と微細構造
固化した物体の様々な能動・受動的性質(軟化可能、浸湿可能、屈曲可能、折れ可能、凹み可能など)の定義と、それらが通路(孔)の構造や構成元素の違いによってどのように生じるかを説明している。
- §4.9#2
物体の圧縮性や延性など様々な物理的性質の定義
物質の様々な物理的特性(圧縮可能性、延性、展性、割れやすさ、切断可能性、粘性、フェルト化可能性)を定義し、それらの発生メカニズムを物体の内部構造(通路の構成など)に基づいて説明する。
- §4.9#3
可燃性と燻煙性の定義および蒸発と煙の性質
可燃性と不燃性の定義に続き、湿気と乾燥した成分の割合から、蒸発と燻煙、さらに煙、煤、脂のにおいなどの放出物の違い、および引火性と可融性の関係を説明する。
- §4.10#1
同質部分の土と水と混合物による分類
熱や冷たさが及ぼす蒸発、濃縮、固化などの作用の違いに基づいて、物体の同質部分を土、水、あるいはそれらの混合のどれに属するかで分類する。
- §4.10#2
具体的な同質部分の凝固機構と構成元素の判定
著者は、様々な同質部分(琥珀、石灰華、各種金属、分泌物、血液、精液など)の凝固と融解のメカニズムを個別に分析し、それらが土、水、空気のいずれの元素に属するか、あるいは共通の性質を持つかを分類・決定している。
- §4.11
物体の熱冷と固有および外来の熱
固化している物質や液体の熱さと冷たさの性質を、水と土という元素、および固有の熱と外来の熱の観点から説明する。
- §4.12
同質部分と非同質部分および機能による事物の定義
アリストテレスは身体の同質部分と非同質部分の区別を論じ、すべての自然物はその本来の機能(目的)によって規定され、機能を失ったものは名ばかり(同名異義的)の存在にすぎないと指摘する。
