アリストテレス · Aristotle
動物誌
History of Animals
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Aristotle. Aristotelis Opera, Volume 1. Bekker, Immanuel, editor (Academia Regia Borussica). Berlin: Reimer, 1831. Transcribed by Humanitext from the page images.
原文データ出典
Humanitext Project · CC BY 4.0
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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要旨
本作は、地球上の多様な動物たちの身体構造、生活様式、行動、気質における「差異」を網羅的かつ体系的に記述・分類した、古代の壮大な自然研究書です。全編を通じて、人間を基準としつつ、有血動物(哺乳類、鳥類、魚類など)と無血動物(甲殻類、昆虫類など)の構造が細部まで比較されます。前半部では、骨や血液といった同質的部分から内臓や感覚器官などの異質的部分に至る解剖学的特徴が詳しく論じられます。中盤では生殖と発生が中心的なテーマとなり、交尾の習性から、卵内や子宮内での胚の成長プロセス、さらには人間の思春期や不妊にいたるまでが詳細に追究されます。後半部では、動物たちの食性や好む環境、季節移動(渡り)、冬眠、疾病、そしてミツバチの社会性や鳥類の営巣に見られる驚くべき知恵や本能が描かれます。無生物から植物、動物へと連続的につながる自然界の秩序を、徹底的な観察眼で描き出した作品です。
目次
189 チャンク
引用方式:book.chapter
- §1.1#1
動物の身体部分の区分と同異の様態
動物の体の部分を不複合(同質部分)と複合(異質部分)に分類し、種、類、類比、および配置による部分の同一性と差異について論じる。また、同質部分を流動的なものと固形的なものに分類する。
- §1.1#2
生活様式と行動様式による動物の分類
動物の生活様式、行動、性格、部分の違いに基づく分類が提示され、水生動物と陸生動物、定着性と移動性の区別、そして飛行・歩行・遊泳の相互関係が詳細に論じられる。
- §1.1#3
社会性や食性と気質による動物の分類
動物の生活様式、行動、気質に基づく様々な分類が提示され、社会性、食性、声、人間特有の「想起する」能力などが論じられる。
- §1.2-1.4
動物の共通器官と触覚および部分の性質
動物に共通する器官(消化器官、排泄器官、生殖器官)の構造的な差異や、唯一共通する触覚、および同質的部分と異質的部分の機能的な違いを論じ、有血動物と無血動物を分類する。
- §1.5#1
生殖様式と移動器官の差異による動物の分類
動物を生殖方法(胎生、卵生、蠕虫生)によって分類し、卵と蠕虫の定義の違いについて述べた後、足や鰭などの移動器官の有無や形状、数に基づいた詳細な分類を提示する。
- §1.5#2
飛翔・遊泳器官の差異と歩行の対角線運動
甲殻類やイモリ、飛翔動物(鳥類・昆虫類・コウモリ類)の移動器官の特徴、および翅や針の有無による昆虫の分類を説明し、さらに動物の運動点が基本的に偶数であることや歩行時の対角線運動について論じている。
- §1.6
動物の主要な属の区分と人間を基準とする研究法
動物の主要な属(有血の鳥類・魚類・鯨類、および無血の殻皮類・軟甲類・軟体類・昆虫類)を提示した上で、個別の種を研究する前提として、まず最もなじみ深い人間を基準にその部分から詳細に観察する研究方法を表明する。
- §1.7-1.10
人間の頭部・顔面・目の構造と特徴
人間の頭部、顔面、目の構造を各部ごとに解説し、目の特徴(色、大きさ、位置、瞬きの癖など)と気質の関係についても言及する。
- §1.11
頭部の感覚器官である耳・鼻・口の構造
本節では、頭部の感覚器官(耳・鼻・口)について、その構造、運動性、各器官の接続、および多様な動物種間における相違点を詳細に記述する。
- §1.12-1.14
首から胴体にかけての器官の構造と男女差
首から胴体にかけての外部および内部の各器官(食道、胸、乳房、腹部、生殖器など)の名称と構造を説明し、男女の身体的特徴の差異についても論じる。
- §1.15
背部と四肢の構造および身体の方向性
身体部位(背部、四肢、手足の関節など)の構造を詳細に記述し、人間の身体の「上下・前後・左右」が宇宙の自然な位置関係に最も一致していること、触覚などの感覚器官の特徴を論じている。
- §1.16#1
頭部と頸部の内部構造と脳の特徴
人間の内部器官の観察方法として他の動物との比較の必要性を提示し、頭部(脳、小脳、頭頂骨、感覚の管)および頸部(食道、気管)の内部構造を説明する。
- §1.16#2
肺と呼吸器系および消化器官の構造
アリストテレスは喉頭蓋、肺、および呼吸の仕組み(気管と肺・心臓の接続)について説明し、続いて食道、胃、腸、網膜、腸間膜などの消化器官の構造を他の動物と比較しながら解説している。
- §1.17#1
心臓の空洞構造と胸腔・腹腔内臓の配置
心臓の三つの空洞(心室)の構造と配置、および肺への通路について述べ、さらに肺が多孔質で血液を豊富に含むこと、横隔膜や肝臓・脾臓の位置関係を解説している。
- §1.17#2
肝臓と脾臓や泌尿生殖器の構造と雌雄の差
人間および動物における脾臓、肝臓、腎臓、膀胱、生殖器などの構造、位置、および血管との繋がりについて詳述し、雌雄の解剖学的差異が主に子宮の有無にあることを示す。
- §2.1#1
胎生四肢動物の特徴と関節屈曲の多様性
動物間の器官の共通性と相違性を論じ、特に胎生四肢動物(ライオンやゾウ)の身体的特徴と、脊椎動物、鳥類、アザラシなどの四肢の屈曲方向の違いについて説明している。
- §2.1#2
動物の歩行様式と体毛の特徴およびラクダの形態
四肢動物や多足動物の歩行運動、およびそれらの毛やまつ毛の特徴について人間と比較しつつ論じ、さらにイッペラポスやラクダの特異な身体構造について詳しく記述する。
- §2.1#3
蹄や角と距骨および生殖器官の多様性
四肢動物の指の分裂状態(多指、偶蹄、単蹄)や角の有無、骨の構造(特に距骨の配置)の特徴について論じ、続いて乳房の数や位置、雄の生殖器の配置など、動物ごとの解剖学的相違を説明する。
- §2.1#4
排尿様式と身体比率の変化および歯の構造
ゾウなどの動物の生殖器の形態や材質、後方への排尿習性、および成長に伴う身体の上下比率の変化について論じる。さらに、動物の歯の構造や生え替わりの特徴を比較し、クテシアスによる伝説上の生物マルティコラス(マンティコア)の記述を引く。
- §2.2-2.7
動物の歯の生え替わりと特徴およびカバの形態
犬や馬の歯の生え替わりと経年変化、人間における知歯(親知らず)の萌出時期やその例外、そしてゾウの歯やカバの独特な身体的特徴に見られる各動物の部位の多様性について議論される。
- §2.8-2.10
サルの身体構造と卵生四肢動物およびワニの特徴
人間と四肢動物の中間的な性質を持つサル類の身体構造を詳細に比較・説明し、続いて卵生・有血の四肢動物(特にエジプトのワニ)の特異な内外の器官を解説する。
- §2.11
カメレオンの外形的特徴と特異な内部構造
カメレオンの独特な身体的特徴(トカゲに似た体、対向する足指、360度動く目、気体の吸引による体色変化など)と、その極めて特異な解剖学的特徴(肉や血液の少なさ、強靭な膜組織、切開後の生存力の強さ)を詳述する。
- §2.12
鳥類の脚や翼と各器官の解剖学的特徴
鳥類の身体的特徴について記述し、特に脚の構造、足指の多様性、アリスイという鳥の特殊な生態、嘴や感覚器官、羽、飛行の動作、喉頭蓋の欠如などの解剖学的特異性を、人間や他の動物と比較しつつ詳述する。
- §2.13
魚類の身体構造と鰓および諸器官の特徴
魚類の特徴(首や肢、乳房、精巣の欠如)と、イルカの授乳器官について述べ、続いて魚類の呼吸器官である鰓の数と構造、鱗や皮膚の特徴、歯や舌、感覚器官(瞼のない目)の特徴、および卵生・胎生の区分を整理している。
- §2.14
蛇類とウミムカデの特徴および有血動物外躯の総括
有血動物のうち、蛇、海蛇、および海のムカデ(ウミムカデ)の特徴と生息地について説明し、エケネーイス(コバンザメ)の俗信に言及した上で、有血動物の外的器官に関する記述を締めくくる。
- §2.15
有血動物の内部器官と胆嚢の配置の比較
本章では有血動物の内部器官について、食道、気管、肺、心臓、横隔膜、肝臓、脾臓などの有無や配置の相違を比較し、多様な動物(特に鹿、象、魚、鳥など)における胆嚢の有無と配置を詳細に述べる。
- §2.16
動物各種の腎臓と膀胱および内臓の形態
四肢獣、鳥、魚、海亀、ボナソスにおける腎臓と膀胱の有無と、海亀および牛、ボナソスの内臓の特徴について述べる。
- §2.17#1
魚類と反芻類などの内臓配置と胃の構造
心臓、肝臓、脾臓、胃など、動物の内臓の配置と、魚類や反芻類におけるそれらの特異な構造について説明する。
- §2.17#2
両顎有歯類や象と蛇の内臓と消化管
両側に歯を持つ動物の胃腸の多様性を述べ、続いて象、卵生四肢獣、そして特に蛇の細長い内臓の構造について詳述している。
- §2.17#3
蛇の再生能力と魚類・鳥類の消化器官の比較
蛇の鋸歯や肋骨の数、および眼や尾の再生能力に言及した後、魚類と鳥類における胃、食道、そのう、盲嚢などの消化器官の多様な構造を比較・記述する。
- §3.1#1
有血動物における雄の生殖器官と睾丸の構造
生殖に関与する器官、特に有血動物の雄の睾丸と交尾器官の有無や位置の相違について論じ、魚類、鳥類、卵生・胎生の四肢動物における多様な構造と交尾期の変化を説明する。
- §3.1#2
睾丸の管と陰嚢および子宮の内部構造
前方に睾丸を持つ動物の解剖学的構造、特に管の経路や陰嚢の有無を説明し、後半では子宮の二又構造と部位ごとの名称の区別について論じる。
- §3.1#3
卵生および胎生動物における子宮の比較構造
卵生動物、軟骨魚類、ヘビ、胎生動物などの子宮の位置や構造の比較が行われ、子宮における胚の付着方法(コテュレドーンの有無)などの解剖学的相違が説明される。また、不均等部分(異質器官)の記述がこれで締めくくられる。
- §3.2#1
血管の観察の困難と初期の学説
均等部分(同質器官)である血液や血管、その他の諸組織について概説し、解剖と生体観察双方における血管系の解明の困難さを指摘した上で、古代の医師シュエンネシスとディオゲネスによる血管走行に関する学説を引用して紹介する。
- §3.2#2
ディオゲネスによる血管の走行と分布の説
ディオゲネスの説に基づき、手足、腹部、頭部、および生殖器に至るまでの詳細な血管の分岐と走行、そして血液の精製について説明する。
- §3.3#1
ポリュボスの血管説と心臓起源論
ポリュボスによる血管の四つの対に関する詳細な学説が紹介され、次いで著者自身の見解として、血管の起始が頭ではなく心臓にあること、および胸腔内の主要な二本の血管と心室の構造が記述される。
- §3.3#2
大血管と大動脈の構造と頭部への分岐
心臓の各空洞から出発する大血管(大静脈)と大動脈の構造を解説し、それらが肺や脊椎、全身の器官(四肢・翼・鰭)や頭部、脳膜へと分岐していく詳細な走行を説明する。また、首で頸静脈が圧迫されると失神することや、脳自体には血管が進入しないことを指摘する。
- §3.4#1
心臓より下の大血管と大動脈の内臓への分岐
心臓より下方における大血管(静脈系)と大動脈の走行について、肝臓、脾臓、消化管、および腎臓への分岐や背骨との位置関係を詳述する。
- §3.4#2
大血管と大動脈の腎臓や下肢への分岐
大動脈と大血管から腎臓、膀胱、子宮、下肢へと至る血管の分岐パターンと接続関係を説明し、有血動物におけるこれらの血管系の共通性と、動物の大きさや脂肪による観察の難易度の違いを指摘する。
- §3.5-3.6
動物の腱の構造と血液中の繊維の性質
動物における腱(および神経)の起始、構造、分布と物理的性質を論じ、さらに腱と血管の中間に位置する「繊維」の役割や、血液の凝固における繊維の有無による動物種ごとの違いを説明する。
- §3.7
動物の骨格の構造と種による差異
動物の骨格系について、背骨を共通の起点とする連続的な構造や、頭蓋骨の男女差、各部位の骨(顎、肋骨、肢骨)、さらに動物種(哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類)による骨・軟骨・棘の差異や骨髄の有無について解説される。
- §3.8-3.10
軟骨と角や爪および毛皮などの付属器官の性質
軟骨の性質とその分布、ならびに爪、蹄、角、くちばし、歯などの付属器官の特徴と性質の違いを説明する。さらに、毛、鱗、皮膚の性質と、それらが環境や栄養状態によってどのように変化するかを論じる。
- §3.11#1
皮膚の性質と毛の硬さおよび白髪化の現象
毛の硬さや皮膚の膠成分などの身体的特徴を説明し、白髪化のプロセスや、人間特有の先天的および後天的な毛の発生部位とその抜けやすさについて論じている。
- §3.11#2
禿頭の原因と去勢や加齢による毛髪の変化
禿頭現象の発生条件、去勢や性交が毛髪の発達や脱落に与える影響について述べ、併せて加齢に伴う毛髪、爪、鱗などの硬化や成長の変化について論じる。
- §3.12-3.15
羽毛と体毛の変色および膜や大網と膀胱の特徴
鳥類などの羽毛や動物の毛の色が、加齢、季節、あるいは地域の水源によって変化する現象について述べ、続いて有血動物における膜、大網、および膀胱の解剖学的特徴とその性質について解説する。
- §3.16-3.18
肉の特質と軟脂および硬脂の性質と分布
肉の特質と、軟脂(ピメレー)および硬脂(ステアル)という二種類の脂肪の物理的性質、体内における配置、各種の動物における分布や肥満・生殖能力への影響を説明する。
- §3.19
血液の性質と凝固および健康と年齢による差異
血液の基本的な性質と生体内の特徴について解説される。感覚を持たないこと、凝固の特性、健康状態・性別・年齢の違いによる量や密度の差異、血液病変から生じる病気、そして漿液との関係が語られている。
- §3.20
骨髄の性質と乳の成分および凝固の特徴
第20章では、有血動物における骨髄の性質(年齢や動物のタイプによる変化、骨髄のない骨の例)を論じ、さらに後天的な流体である乳について、乳を持つ動物の分類や乳の成分(漿液とチーズ分)、雌雄における乳の特異的な分泌例、およびチーズ製造と乳を凝固させる方法(イチジクの樹液やレンネット)について説明している。
- §3.21-3.22
レンネットの性質と泌乳量および精液の特徴
レンネットの性質と用途、飼料や環境による各動物の泌乳量の違い、および健康的な乳の条件を述べ、続けて有血動物の精液の性質や状態変化について解説している。
- §4.1#1
無血動物の分類と頭足類の外部形態
無血動物の4つの主要な分類(軟体類、軟甲類、殻皮類、昆虫類)を提示し、特に軟体類(イカ・タコ類)の身体構造、運動機能、およびタコの触手の生態学的特徴について詳述している。
- §4.1#2
頭足類の内部構造と雌雄の差異およびタコ類の多様性
大ヤリイカとヤリイカの形態的差異に始まり、軟体類の内部消化器官、ミュティス、墨汁嚢、内殻(甲)の構造、雌雄の形態的・生殖器官的な違い、そしてエレドーネーやアオイガイ(ナウティロス)を含むタコ類の多様な属について説明する。
- §4.2#1
軟甲類の四主要属と形態的特徴
軟甲類(甲殻類)の主要な四つの属(イセエビ、ロブスター、エビ、カニ)の基本的な形態的分類を示し、その付属肢の構造、雌雄の差異、そしてロブスターの鋏脚における非対称な特徴などを解説する。
- §4.2#2
ロブスターの形態と軟甲類の内部器官の構造
本章では、ロブスターの外部形態の特徴(目、胸甲、脚の構造)や雌雄の類似性に加え、甲殻類全般の呼吸、消化管(歯、胃、腸など)、および生殖器(雄の輸精管・螺旋器官や雌の卵巣)の内部構造を比較・記述している。
- §4.3
カニの頭部器官と排水機構および雌雄の差異
有血動物と無血動物の内部器官の名称と構造の差異を概説したうえで、カニの目や口、歯の構造、鰓に代わる独自の排水機構、消化器官、および雌雄の差異について詳述する。
- §4.4#1
殻皮類の分類と殻および肉の形態的特徴
殻皮類(貝類やウニなど)の分類と外観的・生態的な特徴について、一、二枚貝や螺旋状などの差異を挙げつつ説明する。
- §4.4#2
巻貝など殻皮類の内臓構造と消化器官
巻貝をはじめとする殻皮類(一枚貝、二枚貝を含む)の内臓構造(頭部、触角、口、消化管、ミーコーン、生殖巣など)の詳細を解説し、それらの器官の位置や発達度合いが動物の大きさや種類によってどのように異なるかを記述している。
- §4.4#3
殻皮類の排泄口とヤドカリの構造と生態
様々な貝類の排泄腔の位置や構造の違いを説明し、さらに軟甲類と殻皮類の中間的な性質を持つヤドカリとその近似種の身体構造や生態について述べる。
- §4.5
ウニ類の多様な種類と特異な内部構造および移動方法
ウニ類のさまざまな種類、その独特な身体構造(内部の肉の欠如、口と肛門の位置、五つの部分からなる歯や胃と卵の構造)、および棘を用いた移動方法について記述する。
- §4.6
ホヤ類とイソギンチャク類の身体構造と生態
ホヤ類の殻と膜の構造、液体を出入する二つの細孔などの特異な身体組織について論じたのち、イソギンチャク類の身体的特徴、摂食行動、二つの種類、および季節による変化を説明し、無脊椎動物に関する議論を締めくくる。
- §4.7#1
昆虫類の三つの身体部位と感覚器官の特徴
有節動物(昆虫類)の身体構造について論じる。それらは頭部、胴体、腹部の三つの主要部分からなり、分割されても一定時間生存できること、また感覚器官として眼や、一部は舌、針、翅などの特徴を有することを示す。
- §4.7#2
昆虫類の身体構造と未分類の海洋生物
昆虫類の外部構造(翅、触角、脚、外皮の特性)と内部構造(消化管、内臓・脂肪の欠如、特にセミの特異な吸汁器官と発音器官)について述べ、続いて海に生息する特定の類に分類しがたい稀少な怪生物の目撃例を紹介し、動物の全器官に関する記述を締めくくる。
- §4.8#1
動物の五感とモグラや魚類の感覚器官
本節では動物の五感の有無について論じられ、モグラの不完全な眼の構造や、魚類が特定の感覚器官を欠きながらも味覚や聴覚、嗅覚を有していることが、具体的な生態や漁法の観察から説明される。
- §4.8#2
魚類および無脊椎動物の聴覚と嗅覚
魚類の聴覚と嗅覚の鋭さ、および各種の餌やおびき寄せ法について説明する。さらに、軟体類、軟甲類、殻皮類、昆虫類などの無脊椎動物における感覚器官とその働きについて述べる。
- §4.9#1
声と音と話し言葉の区別と動物の発音機構
声、音、話し言葉の違いを定義し、昆虫や魚類、貝類、イルカ、卵生四脚類などの発音メカニズム(摩擦や体内の気による振動など)について詳述する。
- §4.9#2
カエルと鳥の発声機構と声と話し言葉の差異
カエル特有の舌の構造と発声のメカニズム、および交尾期の鳴き声について説明し、続いて鳥類の声や、人間・動物における声(自然な音)と話し言葉(後天的に学習される分節音)の根本的な違いについて論じる。
- §4.10
多様な動物における睡眠と覚醒および夢の現象
陸生、卵生、水生、昆虫など様々な動物における睡眠と覚醒の観察例を挙げ、特に魚類やクジラ類の睡眠の兆候を解説した上で、人間や動物が睡眠中に見る夢の有無やその例外について述べる。
- §4.11
動物における雌雄の有無と性差による身体的特徴
様々な動物群における雌雄の有無と、雌雄間の身体的・解剖学的特徴(サイズ、寿命、体の部位の強さ、肉質、声、武装器官など)の差異について論じる。
- §5.1
動物の生成の考察順序と発生様式の区分
動物の生成(生殖と発生)に関する探究を始めるにあたり、殻皮類から順に人間までを考察する順序を定め、さらに親由来の生殖と自発的発生(自然発生)の区別、および交尾を伴う不完全な発生について提示する。
- §5.2-5.4
多様な四足動物や蛇類における交尾の姿勢と習性
さまざまな有血の胎生・陸生動物(ライオン、ウサギ、クマ、ハリネズミ、シカ、牛、ネコ、ラクダ、ゾウなど)および卵生動物、無足で長い動物(ヘビやウツボ、トカゲなど)の、多様な交尾姿勢や交配習性について論じている。
- §5.5
軟骨魚類や鯨類の交尾法と魚類の受胎に関する俗説の検証
軟骨魚類や鯨類の多様な交尾方法(特に扁平なものやサメ類の違い)および生殖管の構造が説明される。また、卵生魚類が交尾の際に雄の精液を飲み込んで受胎するという俗説について、おとり漁やイワシャコの風下受胎などの観察例を交えて検証し、実際の交尾は素早いために見えにくいことを指摘する。
- §5.6-5.7
軟体類および甲殻類の交尾方法と身体構造
軟体類(タコやイカ)および甲殻類(エビやカニ)の交尾方法を、触手や尾、殻の構造(蓋)の差異を含めて説明する。
- §5.8
昆虫類の交尾方法と動物の交尾の季節
昆虫やクモの独特な交尾方法について説明し、続けて動物全体の交尾時期、人間の性欲の季節変動、ハルキオン(カワセミ)の冬の繁殖期と「ハルキオンの日々」の由来について論じる。
- §5.9-5.10
海鳥や昆虫および魚類の産卵時期と繁殖習性
§5.9–5.10では、様々な海鳥、昆虫、魚類の産卵頻度、時期、成長速度、雌雄の身体的特徴の違い、および産卵に適した地理的環境について記述される。
- §5.11-5.13
魚類や鳥類の産卵期と生息地による生殖への影響
魚類、軟体動物、貝類、および鳥類の産卵・交尾の時期や、環境(地域)がその生殖活動に与える影響について述べる。
- §5.14#1
動物の性的成熟に伴う身体変化と胎生動物の繁殖年齢
動物が性的成熟に至る年齢と、それに伴って生じる音声や身体各部の変化を説明し、羊、山羊、豚、犬、馬などの具体的な性的成熟期や妊娠期間の違いについて論じる。
- §5.14#2
大型胎生動物と人間における生殖可能年齢と妊娠
馬、ラクダ、象などの哺乳類や人間における、年齢に応じた生殖能力の限界、交尾の期間、妊娠期間、そして気候や栄養状態が生殖に与える影響について詳述している。
- §5.15#1
殻皮類の発生とプルプラの生態および染料
著者は交尾しない動物の例として殻皮類を挙げ、特にプルプラ(紫貝)が春に「メリケーラ」と呼ばれる塊を形成する生態や、彼らの自然発生の仕組み、生息地による種類の違い、紫の染料(アトンス)の抽出方法について詳しく論じている。
- §5.15#2
殻皮類の自然発生と生態およびヤドカリの習性
螺旋状の貝類の特性や生態、様々な殻皮類の発生環境と自然発生の仕組み、およびヤドカリの生態について論じている。
- §5.16
イソギンチャクと海綿の発生と分類および生態
殻を持たないイソギンチャクや海綿の発生を扱い、海綿の三つの分類(目の粗いもの、密なもの、アキレオス)や、感覚や生態、さらには「アプリュシアイ」と呼ばれる別の類について説明している。
- §5.17
軟甲類の産卵と抱卵および脱皮習性
軟甲類であるイセエビ、ロブスター、エビなどの妊娠期間、抱卵および産卵の方法について詳述し、それぞれの生息環境の好み、季節ごとの移動習性、脱皮について説明する。
- §5.18
頭足類の産卵と卵の孵化および雌雄の差異
タコやコウイカ、ヤリイカなどの頭足類における交尾後の産卵方法、卵の形状や孵化のプロセス、抱卵時の習性、および雌雄の形態的な違いについて述べている。
- §5.19#1
昆虫類の発生と幼虫からの変態過程
昆虫類の生殖と多様な発生経路について述べ、幼虫(ウジ)から不完全・完全な形態への成長プロセスや、チョウ、ハチ、カイコなどの具体的な変態過程を説明する。
- §5.19#2
カやハエなど各種昆虫の自然発生と変態
昆虫や小動物のさまざまな自然発生や変態のプロセス(カ、ハエ、アブ、火の中の虫、一日しか生きないカゲロウなど)を説明する。
- §5.20-5.21
ハチや甲虫の変態周期とミツバチの生殖説
イクネウモーン・スズメバチや甲虫の発生プロセス、変態周期、昆虫の死因(しなびることなど)について述べた後、ミツバチ、雄バチ、指導者バチ(女王バチ)の発生に関する古代の様々な説や形態的特徴を説明している。
- §5.22#1
ミツバチの種類と巣の生態および蜜の生成
ミツバチの四つの種類(最良のもの、長いもの、泥棒バチ、雄バチ)と、その生態(指導者の数、天候による変化、蝋とハチミツの起源、ハチミツの熟成)について説明する。
- §5.22#2
ミツバチの幼虫の発生と蜜の採取および寿命
ミツバチの巣からのハチミツ採取時期、幼虫の成長過程、王(指導バチ)の発生メカニズムについて説明し、続いてミツバチの寿命や、ポントスなど様々な地域の特殊なハチミツや巣の性質について述べる。
- §5.23-5.27
スズメバチやアリおよびクモなどの繁殖と習性
野バチやスズメバチの巣作りと繁殖プロセス、ある種のハチの粘土質の巣、アリ、サソリ、およびクモの繁殖と成長過程、特に毒グモ(ファランギオン)の生態について説明する。
- §5.28-5.30
バッタとセミの交尾と産卵および発生
バッタとアッテラボスの交尾、産卵、ふ化のプロセスや気候による影響、および大小2種のセミの分類、交尾・産卵様式、土中からの羽化と生態的特徴について記述されている。
- §5.31
シラミやノミなどの寄生虫の発生と宿主
生きている動物の液汁を吸う寄生虫(シラミ、ノミ、トコジラミ)の発生プロセスや、様々な動物における寄生シラミ・ダニの有無について説明し、最後に海中の寄生虫やイルカに付随する魚に言及する。
- §5.32-5.34
微小昆虫の発生と卵生四肢動物および蛇類の生殖
毛織物や蝋、本の中に発生する様々な極小の昆虫や、木食い虫、イチジクコバチの生態が語られ、続いて卵生の四肢動物(カメ、トカゲ、クロコダイル)および蛇類の産卵と孵化、とりわけクサリヘビの卵胎生的特徴が説明される。
- §6.1
鳥類の交尾と産卵の頻度および営巣習性
鳥類の繁殖について、ニワトリやハト科、猛禽類の産卵頻度と数の違いを述べ、様々な鳥類の多様な営巣習性を説明する。
- §6.2#1
鳥類の卵の構造と性別の決定および孵化
アリストテレスは鳥の卵の物理的特徴、雌雄の決定要因、孵化の方法(自然熱による孵化の例を含む)、および卵の形成過程や無精卵(風卵)の性質、環境要因が卵に与える影響について説明している。
- §6.2#2
卵の受精と変容および黄身と白身の物理的性質
無精卵や有精卵が交尾によってどのように変化するか、また卵黄と卵白の冷温に対する相反する性質について説明する。さらに、雌鳥の交尾後の行動やシャコの受胎の速さ、ハトの特有の交尾習性について述べる。
- §6.3#1
孵化初期における鳥類の胚発生過程
鳥類の卵における胚の発生過程について、孵化開始から3日目と10日目の詳細な解剖学的変化、ならびに卵黄と卵白の配置の変化を詳述する。
- §6.3#2
孵化直前の胚の配置と無精卵および双黄卵
孵化直前の雛の卵内での姿勢や器官、膜や血管の配置の変化、そして卵黄の吸収プロセスについて説明し、交尾によっても生じる無精卵や、双黄卵(二重卵)の構造と発生の観察結果について記述する。
- §6.4-6.5
ハト類の繁殖習性とハゲワシおよびツバメの生態
ハト類を主とする鳥類の産卵数、抱卵の交代制、発育や寿命について述べ、さらに崖の上に営巣するハゲワシの観察の困難さと、肉食鳥の中で例外的に年二回営巣し雛の眼に再生力を持つツバメの習性を紹介する。
- §6.6-6.7
ワシの育雛と抱卵期間およびカッコウの托卵習性
ワシが3個の卵を産むが1つの雛を捨てることや、様々な鳥類の抱卵期間を説明する。また、カッコウがタカから変身するという俗説を身体的特徴の比較から否定し、他鳥の巣への托卵の習性を詳述する。
- §6.8-6.9
多様な鳥類の抱卵習性とクジャクの繁殖生態
鳥類各種(ガチョウ、水鳥、カラス、モリバト、イワシャコ、クジャクなど)の抱卵の習性、交代の有無、およびクジャクの生態や飼育下での抱卵対策について述べ、鳥類の繁殖期における生理的変化に言及する。
- §6.10#1
魚類の生殖様式と卵の発生および子宮の構造
魚類の生殖と卵からの発生プロセスについて、卵生と胎生の違いや、鳥類の卵との発生上の共通点・相違点(臍帯の数など)を比較し、子宮の構造の多様性を解剖に言及しつつ説明する。
- §6.10#2
軟骨魚類の卵殻と胚発生および幼生の体内保護
軟骨魚類における多様な卵殻の形状と発生プロセス、特に胎生のホシザメにおける擬似胎盤(胎盤様組織)の構造について詳述し、さらに母親による幼生の体内保護行動とその例外種について説明する。
- §6.11
軟骨魚類の雄の生殖器と繁殖周期および重複妊娠
軟骨魚類の雄の生殖器の構造と季節的変化について説明し、重複妊娠や各魚類の繁殖周期、出産場所、およびサカタザメなどの生殖の特徴について述べている。
- §6.12
鯨類とアザラシの胎生生殖と呼吸生態
イルカやクジラなどの鯨類と、アザラシの生態、身体的特徴、生殖周期、およびその出産について説明している。
- §6.13
卵生魚類の産卵と体外受精および胚の発達
卵生魚類の生殖器官の構造と産卵プロセス、特にオスの放精による受精メカニズム、甲イカなどの軟体動物における同様の性質、および産卵後の胚から稚魚への発達段階が説明される。
- §6.14
淡水魚の性成熟と産卵習性および稚魚の発生
淡水魚の性成熟の時期や産卵の頻度、ナマズやコイなど様々な魚類の産卵の生態、受精と稚魚の発生過程、そして産卵時におけるオスとメスの行動の違いについて記述される。
- §6.15
魚類の自然発生とアピュエーの諸分類
一部の魚が卵や交尾を介さずに泥や砂、水溜りなどから自生的に発生する現象について述べ、特に「アプロス」と呼ばれるアピュエーの発生生態や、他のアピュエーの種類について解説する。
- §6.16
ウナギの自生的発生と観察証拠
ウナギが交尾や卵からではなく、「大地の腸」と呼ばれるものなどから自生的に発生することを説明し、環境面と観察事実からその証拠を挙げる。
- §6.17#1
魚類の産卵期と抱卵期間および季節的順序
様々な魚類の産卵期、妊娠(抱卵)期間の差異、産卵時の興奮行動、そして各種の魚が産卵する具体的な季節順について記述している。
- §6.17#2
多様な魚類の産卵様式と成長速度の差異
バトラコス、ベローネー、マグロ、サバ、アナゴなどの魚類の、産卵特性、成長速度の地域差、およびアナゴにおける脂肪と卵の識別方法について論じる。
- §6.18#1
胎生動物の発情期における凶暴化と習性
卵生動物に関する記述を終えて胎生動物(人間を含む)の繁殖を論じ始め、交尾期における各種野生動物・家畜(特に馬や牛)の激しい発情状態や特有の生態・身体的変化を詳しく記述する。
- §6.18#2
大型家畜の交尾習性と豚の繁殖生理
アリストテレスは、馬や牛、野生動物の交尾期における行動、生殖器の生理的な変化(分泌物、尿、経血)、および豚の妊娠、分娩、発情の特徴について論じている。
- §6.19
羊と山羊の繁殖生理と子の性別や毛色への影響
羊と山羊の生殖特性について、妊娠期間、寿命、群れのリーダーの存在のほか、水、風、親の遺伝(舌の下の血管など)が産まれる子の性別や毛色に与える影響を論じる。
- §6.20
犬の交尾と妊娠期間および寿命と品種差
犬の繁殖、妊娠期間、発情期の兆候、産仔数、寿命、および歯の生え変わりについて、品種による違い(特にラコニア種)を交えて述べている。
- §6.21
牛の繁殖と妊娠期間および寿命と初乳
牛の繁殖能力、妊娠期間、寿命、初乳の特徴、および交尾に適した時期や天候の兆候について論じる。
- §6.22#1
馬の交尾と妊娠期間および換歯と寿命
馬の繁殖(交尾可能年齢、妊娠期間、繁殖力)や換歯のプロセス、さらには立ったまま行う出産の特徴やその寿命について記述している。
- §6.22#2
馬とラバの成長と繁殖習性およびイッポマネス
馬とラバの成長、寿命、交尾・出産の生理的特徴を説明し、不妊の兆候や「イッポマネス」と呼ばれる物質、および馬群に指導者を置かない理由について記述している。
- §6.23-6.26
ロバとラクダの繁殖と寿命および四肢動物の年齢
ロバ、ラバ、ラクダの生殖、成長、寿命、および交配における特性について記述し、さらに四肢動物の年齢を見分ける簡便な方法を紹介する。
- §6.27-6.29
ゾウやイノシシおよびシカの繁殖と生態
ゾウ、野生の豚、および鹿の交尾、妊娠期間、出産、そして身体的特徴や特有の生態、寿命に関する様々な説を記述している。
- §6.30-6.34
クマやライオンなど肉食獣の生殖と習性
クマ、ライオン、ハイエナ、野ウサギ、キツネの生殖と出産、身体的特徴、およびそれらにまつわる伝承の真偽について論じる。
- §6.35-6.37
オオカミや野ネズミの生殖とシリアの半ロバ
オオカミや猫、ジャッカルなどの妊娠・出産と生態、シリアにおける特有のラバ(半ロバ)の自己繁殖力、および野ネズミの驚異的な繁殖力と急速な消滅の謎について説明している。
- §7.1#1
人間の思春期における身体変化と節制
人間の二次性徴(男性の精液放出や声変わり、女性の乳房の発達や月経の開始)の生理的プロセスを説明し、この時期における青少年の性的保護と節制の重要性を論じている。
- §7.1#2
思春期後の体質変化と生殖能力の成熟
思春期における男女の体質や乳房の変化、および体内余剰物の排出と健康状態の関連について論じ、さらに21歳(3×7歳)を境とした生殖能力の成熟と、早すぎる生殖・多産が身体に与える影響、精液の性質と子の性別の関係について述べる。
- §7.2
女性の月経周期と動物の余剰物排出の比較
女性の月経周期が月の満ち欠けと連動していることや、月経の期間・随伴症状について説明する。また、余剰物の排出メカニズムを人間と他の動物(胎生・卵生)とで比較し、人間の月経や精液の量が格段に多い理由を体質や身体構造(無毛であること等)と関連付けて論じる。
- §7.3
受胎の兆候と初期胎児の発育および流産
受胎の身体的兆候、子宮の適正な状態や避妊方法について述べ、さらに胚の初期発生と流産の分類、および男女における身体の完成速度と老化の早さの違いを説明する。
- §7.4#1
妊娠期間と胎児の生存可能性および妊婦の症状
受胎に伴う子宮の変化や、妊娠期間(七か月から十一か月)の違いによる胎児の生存可能性、妊婦の身体的症状や男児・女児の妊娠による違いについて詳述している。
- §7.4#2
多胎出産と重複受胎および妊娠中の生活の影響
人間の多胎出産の多様性と、人間における重重複胎(重複妊娠)の様々な事例、および妊娠後期の性交渉や塩分の過剰摂取が胎児に与える影響について論じている。
- §7.5-7.6
生殖可能年齢の限界と身体的特徴の遺伝
妊娠中における母乳の変化や、男女の生殖可能年齢の限界について述べ、身体的特徴や障害、あるいは不義による形質が世代を超えて遺伝する現象や、夫婦の相性による不妊と解決策、そして遺伝の多様性について解説している。
- §7.7-7.9
胎膜と胚の構造および陣痛と分娩の経過
精液放出時の気(プネウマ)の役割と子宮内での膜の形成プロセスについて説明し、胚の姿勢や臍帯、血管の構造を様々な動物で比較する。さらに女性の陣痛の特徴と、難産になる要因や出産の過程について述べる。
- §7.10-7.12
新生児の処置と乳汁分泌および乳児の痙攣
助産師による臍帯の適切な処置手順や新生児の身体的特徴を説明し、続いて産後の乳汁分泌とそれに伴う乳房の症状、さらに乳児に発生しやすい痙攣の病因と生存を左右する危険な時期について論じる。
- §8.1
自然界の連続性と魂の特質における人間との類比
動物の魂の性質や生活様式における人間との連続性と類比関係を提示し、無生物から植物、動物へと段階的に移行する自然界の連続性と、感覚の有無による生活の複雑化について説明する。
- §8.2#1
陸生動物と水生動物の区分と呼吸や生息環境の基準
動物の陸生と水生の区分について、呼吸や水分摂取の有無だけでなく、温度調節や生活様式をも加味した二通りの定義を提示し、イルカやコルドゥロスなどの例外的な性質を持つ動物や、去勢や生殖における雌雄の決定メカニズムとの類比を論じている。
- §8.2#2
水生動物の食性と捕食関係および生活様式
動物の三通りの分類方法(呼吸、体の混合状態、食物)に基づいて、殻皮類、軟甲類、軟体類、魚類などの具体的な生活様式や食性、捕食関係(エビ、タコ、アナゴの三すくみなど)が詳述される。
- §8.2#3
ケファロスなどの非肉食魚と魚類の食性や生態
ケファロスやケストレウスといった一部の魚の非肉食的な生態や特徴が説明され、さらに他の魚類やウナギの食性、生息環境、窒息のメカニズムなどが詳細に語られる。
- §8.3#1
鳥類の分類と鉤爪を持つ猛禽類などの食性
魚の食性の議論を終え、鳥類の分類と食性、特に鉤爪を持つ猛禽類の肉食性と、様々な小鳥類の虫食性・植物食性の特徴を説明する。
- §8.3#2
植物食の鳥類と水鳥の習性および飲水
果実や草を食べるハト類などの生態と、水辺や海辺に生息する蹼足・趾裂の様々な鳥類の習性および分類について論じ、最後に鳥類の飲水習慣について触れる。
- §8.4-8.5
爬虫類と肉食性四肢動物の食性と飲水習慣
爬虫類(ヘビやトカゲなど)および哺乳類の四肢動物(オオカミ、ハイエナ、クマ、ライオン、ビーバー、カワウソなど)の食性、飲水習慣、および特定の狩猟行動や生理学的特徴について説明する。
- §8.6-8.7
動物の飲水方法と豚や牛の飼育と肥育
動物の歯の構造による水の飲み方の分類、および豚と牛の性質、飼育・肥育方法、さらにエペイロスの巨躯の牛(アポタウロイ)について論じている。
- §8.8-8.11
使役獣や象の食性と肥育および昆虫の食餌
馬や象、羊などの家畜の食性、好む水質、肥育方法、さらに昆虫の食性の分類について説明している。
- §8.12
寒暖の変化に応じた鳥類や魚類の季節的移動
本章では、様々な動物が季節の寒暖の変化に応じて行う移動(渡りや移住)の生態について論じられる。ツルやペリカンなどの鳥類、魚類、ウズラなどの具体的な移動行動、および特定の鳥の形態や捕獲法が紹介されている。
- §8.13#1
沿岸魚と遠洋魚の性質差と黒海への回流
沿岸の魚と外洋の魚の性質や生息環境の違いを論じ、黒海に回流する魚の生態とその動機について解説する。
- §8.13#2
魚類の特殊な回流と多様な動物の休眠習性
本チャンクでは、冬の風向による魚の回出速度の違いやトリキアス、マグロの独特な回流習性を述べ、続いて陸上動物や殻皮類の冬眠・夏眠(潜伏)の多様な習性を説明している。
- §8.14-8.16
昆虫や有血動物と魚類の冬期潜伏習性
昆虫、有血動物(爬虫類や様々な魚類)、そして一部の鳥類が冬や特定の季節にどのように潜伏(休眠)するか、またその生理的状態や捕獲される条件について論じている。
- §8.17
四足動物の潜伏習性と諸動物の脱皮
胎生・四足動物(クマやヤマアラシなど)の潜伏の習性、および様々な動物(ヘビ、昆虫、甲殻類など)の脱皮(「老い」を脱ぐこと)の時期や特徴を説明する。
- §8.18
気候の影響と鳥類や魚類の習性および健康
動物が季節や極端な気候から受ける影響の違いを説明し、鳥類への乾燥の恩恵と魚類への多雨の恩恵を対比した上で、猛禽類などの飲水習性や病気による羽毛の変化を述べる。
- §8.19
魚類の生育環境と雨水の影響および季節による健康
魚類の大部分が雨の多い年や川・湖などの淡水に近い環境を好むこと、および寒さに弱い種類があることを説明し、その生息適地、活動時間、疾病の有無について論じる。
- §8.20
淡水魚の病気と漁法および貝類への環境の影響
淡水魚に特有の病気と様々な淡水魚の漁法を説明し、さらに貝類(殻皮類)の生育と雨量・環境の関係について述べて水生動物に関する章を締めくくる。
- §8.21-8.23
豚や犬などの四肢動物の病気と治療法
豚、犬、牛、ラクダ、象などの陸生哺乳類が罹る特有の病気について、その症状や原因、治療法、および豚の飼育における飼料の影響を論じる。
- §8.24
馬の病気と治療法および害獣と飲水の好み
放牧馬と舎飼い馬の多様な病気とその兆候・治療法を解説し、ジネズミの害、馬と牛の水に対する対照的な好みを説明する。
- §8.25-8.27
ロバとゾウの疾患および昆虫の生態と害虫
ロバの特有の疾病(メリス)と寒冷な地域での不在、ゾウの各種疾患(鼓脹、土食、下痢、疲労)の治療法、および昆虫の好む気候とミツバチの巣を害する寄生虫や昆虫の弱点(油)について論じられている。
- §8.28
地域による動物の分布や体躯の差異と異種交配
生息地域による動物の生息有無、体躯や寿命の差異を、様々な具体例を挙げながら気候や食物の観点から説明する。さらに、リビア等の水場における異種交配の現象や、トラと犬の交配によるインド犬の誕生について解説する。
- §8.29-8.30
環境による習性や毒性の差異と魚介の体調変化
環境が動物の習性や有毒生物の毒性に与える影響と、妊娠中や加齢による魚介類の体調や食味の変化について論じる。
- §9.1#1
動物の習性における寿命と雌雄による差異
動物の習性の現れ方における寿命や雌雄による違いを論じ、特に人間や高等動物においてその違いが顕著であることを、具体例を挙げて説明する。
- §9.1#2
食物の獲得を巡る動物間の闘争と敵対関係
同じ地域を占め同じ食物を巡って争う動物たちの敵対関係について、アザラシや様々な鳥類、猛禽類、哺乳類の具体的な例を挙げて説明し、食物の多寡がその野生性や敵対性に与える影響を論じる。
- §9.1#3
動物同士の敵対関係とゾウの性質や捕獲法
様々な鳥類、哺乳類、爬虫類の間の相性の良さと、食物の競合などに起因する敵対関係を詳述する。また、ゾウの社会的な生態、性質の個体差、そしてインドにおける捕獲と使役の方法について論じる。
- §9.2-9.4
魚類の群棲と家畜に見られる習性や性質
魚類の群れを作る習性と特定の種間の敵対関係、ならびに羊や山羊、牛、馬などの家畜に見られる特有の性質や行動様式、仲間関係について記述する。
- §9.5
鹿の知恵と習性および角の成長と狩猟法
鹿が見せる驚くべき知恵や習性を説明し、出産時の特徴的な行動、年齢に応じた角の成長プロセス、および独特な狩猟方法について記述している。
- §9.6
動物たちの自己治療と防衛における賢い習性
熊や野生の山羊、パンサーなど、様々な動物が示す自己防衛や治療のための賢い習性、さらにハリネズミの気象感知やテンの特徴について説明する。
- §9.7
ツバメやハトの巣作りと育児に見られる知恵
小さな動物、特にツバメやハトに見られる、人間の生活に類する精巧な習性(巣作り、育児、夫婦関係など)を説明し、さらにスズメやハト類の寿命、雌雄の差異、キジバトやアトリ類の季節移動について述べる。
- §9.8
ウズラやイワシャコの営巣と繁殖習性および捕獲法
ウズラやイワシャコといった地上で営巣する鳥類の生態、特に対抗策を講じるメスの産卵行動、オスの極めて強い交尾欲、およびそれを利用した捕獲法と鳥たちの習性を説明する。
- §9.9-9.11
キツツキやツルなど野生鳥類の習性と営巣
キツツキの種類と、木をつついて虫を捕る独特な習性が述べられる。さらに、ツルの組織的な渡りや見張りの行動、ペリカンの捕食方法、そしてハゲワシをはじめとする野生の鳥たちの多様な営巣地や習性が紹介される。
- §9.12-9.13
水鳥の生態と各種鳥類の営巣および習性
水辺に生息する鳥たちの生態や、白鳥の歌、猛禽類の夜行性について記述し、さらにキッタ、メロプス、クローリス、シビトドリ(シナモン鳥)などの巣作りの習性を紹介する。
- §9.14-9.17
カワセミの巣の構造と各種小鳥の営巣習性
カワセミの特殊な巣の構造や生態、ヤツガシラやシジュウカラなど諸々の小鳥の営巣習慣、繁殖、習性、そして身体的特徴について記述されている。
- §9.18-9.25
サギやクロウタドリなど多様な鳥の分類と生態
サギ、クロウタドリ、ツグミ、クアノス、クローリオーン、コクマルガラス、ヒバリなど、多種多様な鳥類の分類、生態、外見的特徴、および生息地について詳細に記述している。
- §9.26-9.31
ヤマシギやカッコウなど各種鳥類の習性と托卵
本チャンクは、ヤマシギ、トキ、コノハズク、カッコウ、アマツバメ、ヨタカ、ワタリガラスといった様々な鳥類の生態や身体的特徴、繁殖行動(特にカッコウの托卵やその原因とされる臆病な性質)、およびその奇妙な伝達力について記録している。
- §9.32
ワシの種類と繁殖および狩猟の習性
著者はワシの様々な種類とその特徴を挙げ、さらにその繁殖、狩りの習性、待ち伏せを防ぐ飛行法や特徴的な長寿について解説している。
- §9.33-9.36
スキタイの鳥や夜行性鳥類と各種タカの習性
スキタイの鳥の独特な雛の隠匿行動、夜行性鳥類の捕食時間、ペーネーによるワシの雛の保護、ハリアエトスの過酷な選別、そして多様なタカの狩猟戦術とトラキアでの人間との共同捕獲について記述されている。
- §9.37#1
アンコウやシビレエイなど水生動物の巧妙な習性
アンコウ、シビレエイ、オスのナマズ、ウミムカデなど様々な海の生物が、捕食、生存、繁殖において用いる多種多様な巧妙な習性や、それらの生息地・移動パターンについて記述する。
- §9.37#2
海峡の魚類と頭足類の生殖および生態習性
ピュラ海峡における特定の魚類の不在と繁殖期を述べた後、コウイカ、タコ、アオイガイ(ナウティロス)といった軟体動物の偽装、捕食、生殖に伴う衰弱、および特異な航行行動について説明する。
- §9.38-9.39
アリやハチの勤勉さと多様なクモの生態
アリやミツバチなど有節動物の勤勉さと、多様なクモの生態や巣の作り方、狩りの方法について解説する。
- §9.40#1
ハチ類の分類とミツバチの営巣や採集習性
巣を造るハチ類を九つの属に分類した上で、ミツバチの食物の貯蔵、巣箱の構造やプロポリスを用いた隙間の補修、雄バチ・女王バチ・働きバチの生態と、前脚を用いた採蜜行動を詳細に論じる。
- §9.40#2
ミツバチ各階級の性質と巣作りおよび分蜂習性
ミツバチ、雄バチ、指導者バチの各種の性質や巣の作り方、また品種による巣板の形状や性質の違いについて説明し、不要なハチの排除や分蜂時の行動パターンを解説している。
- §9.40#3
ミツバチの巣内の役割分担と育児および防衛生態
ミツバチの群れの合流と王の淘汰、巣内での役割分担、育児や採餌の習慣、天敵や病気への対処、およびミツバチの生態(刺針の構造、清潔さ、加齢による役割変化など)を詳細に説明している。
- §9.40#4
ミツバチの病気と採餌活動および蜂蜜の生産
ミツバチに発生する病気とその対策、蜂蜜や蝋の製造工程、花の収集源、そして巣内での役割分担や一日の行動サイクル、天候の予知能力など、養蜂における実践的な観察と生態が詳しく説明される。
- §9.41#1
スズメバチの二種と巣作りおよび繁殖習性
スズメバチの二つの種類(野生種と温和な種)について、それぞれの形態的な特徴、女王バチと働きバチの区別や生態、そして彼らが季節ごとに巣を拡大し繁殖していくプロセスを説明する。
- §9.41#2
女王バチの特徴とスズメバチの雌雄差および生態
女王バチの形態的特徴や行動、針の有無をめぐる議論、そしてスズメバチの雌雄の区別方法や生息環境、食性、繁殖に関連する特徴について述べる。
- §9.42-9.43
アナバチの食性と巣作りおよびマルハナバチの生態
アナバチの肉食などの食性や地中での巣作り、群れの維持、およびマルハナバチやテントレドンの生態的特徴を説明する。
- §9.44
ライオンの習性と身体的特徴およびジャッカルの生態
ライオンの習性(性格、狩りや逃走の行動、人間との関係、寿命、身体的特徴、2つの種)を説明し、続いて人間と友好的なジャッカルの生態と季節による毛色の変化について述べる。
- §9.45-9.46
ボナソスの自衛手段とゾウの知性や生態
第45章では野生の牛の一種であるボナソスの生態、特にその肉の美味さや独特な糞を用いた自衛手段について述べられ、第46章では野生動物の中で最も従順とされるゾウの驚くべき知性、寿命、寒さへの弱さや水辺での行動について説明されている。
- §9.47-9.49
動物の近親交配忌避とイルカの習性および鳥類の変容
ラクダや馬に見られる、母親との交尾を嫌う本能的な忌避行動が語られ、さらにイルカの優しさ、速さ、つがいの行動が説明される。最後に、鳥類における行動の変化が習性や身体的特徴の変化をもたらす例が紹介される。
- §9.50
去勢が動物に及ぼす影響と反芻動物の生理的特徴
動物の年齢や季節による変化に加え、去勢が肉体や性質、声などに及ぼす影響(鳥類、人類、四肢獣、ラクダなど)を解説し、後半では反芻する動物の分類や特徴、体型と生理現象の関連を論じる。
- §9.49b
鳥類の季節的な色と鳴き声の変化および沐浴の習性
鳥類の季節による色彩や歌声の変化(クロウタドリ、ツグミ、サヨナキドリ、コマドリとジョウビタキなどの変化)を解説し、アイスキュロスの詩を引用してヤツガシラの変化を描写する。また、鳥類を砂浴び、水浴びなどの習性によって分類する。
- §10.1#1
不妊の原因の鑑別と子宮の健康状態および月経
本章では、男女間で子をなせない原因を見極めるため、特に女性の子宮の健康状態、位置の安定性、正常な月経のあり方、炎症による機能への影響について論じている。
- §10.1#2
子宮分泌物の性状による病態と健康な月経の鑑別
著者は子宮から排出される分泌物の性質、量、周期から、それが子宮自体の炎症などの病態によるものか、あるいは身体全体の健康状態の変化に伴う正常な反応であるかを区別し、健康な月経の推移を論じる。
- §10.2
妊娠に必要な子宮口の向きと開閉の状態
妊娠が成立するためには子宮の口(頸部)がまっすぐ前を向き、適切な順序と状態で開閉する必要があることを、月経周期の段階ごとの観察事実に基づき論じる。
- §10.3#1
受胎に適した子宮自体の健康状態とその兆候
子宮自体が受胎に適した健康な状態にあるときの兆候(睡眠中の排出、ガスの発生、伸縮性、適度な湿り気など)と、不全がもたらす流産等の悪影響について述べ、子宮の湿潤化は唾液や涙と同様の生理的な現象であることを説明する。
- §10.3#2
睡眠時の排出と精液の吸引および風胎の現象
睡眠中の夢精後の身体状態の観察について論じ、乾燥した子宮が精液を引き寄せる仕組みと、それに関連して「風をはらむ」と呼ばれる不妊や偽妊娠の現象とその治療可能性について説明している。
- §10.4
子宮の異常や放出の不一致による妊娠の阻害要因
子宮の痙攣や、潰瘍・癒着による子宮口の閉鎖といった、妊娠を阻害する様々な身体的要因とその判定兆候について説明し、男女の放出時期の不一致も不妊の原因となることを指摘する。
- §10.5
男性側の不妊原因と呼吸による精液の吸引構造
男性側の不妊原因の見分け方、男女の放出のタイミングの不一致による不妊、女性が自覚せずに懐妊するメカニズムについて論じ、さらに女性の生殖器官が息の力によって種子を吸引する解剖学的な構造を鼻の働きとの比較を交えて解説している。
- §10.6
無精卵や単為生殖の例と受胎における雌雄双方の排出の必要性
雌鶏の無精卵の発生やバッタの単為生殖、女性の夢精を根拠に、生殖能力のある発生には雌雄双方が等しく種子を放出する必要があることを論じる。
- §10.7
臼腫の発生機序と触診による鑑別診断
女性の夢精時の乾燥状態に関する主張に異議を唱え、偽妊娠の一種である「臼腫(モラ)」の発生機序や性質、および他疾患との触診による鑑別診断法を論じる。
