アリストテレス · Aristotle
天界について
On the Heavens
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底本
Aristotle. Aristoteles de coelo et de generatione et corruptione. Prantl, Carl von, editor. Leipzig: Teubner, 1881.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0086.tlg005.1st1K-grc1
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
アリストテレスの『天体論』は、宇宙全体の構造、天体、および地上の物質の性質と運動を体系的に論じた、古代自然学の記念碑的な著作です。全4巻からなる本書は、幾何学的かつ論理的な分析を用いながら、当時の天文学や宇宙論の諸説を鋭く検証します。前半では、天界が地上の四元素とは異なる不生不滅の「第五元素(アイテール)」で構成され、永遠に円運動していること、そして宇宙が有限・唯一・永遠のものであることが証明されます。後半では、天球の運動や星々の性質、および宇宙の中心に不動の球体として位置する地球について詳しく論じられます。さらに、地上を構成する四元素(火・空気・水・土)の生成消滅と、それらの固有の運動を支配する「重さと軽さ」の物理学的理論が展開されます。天から地へと至る物理的・哲学的秩序を整合的に描き出した、自然探究の基本文献です。
目次
62 チャンク
引用方式:book.chapter
- §1.1
三次元の物体と宇宙の完全性
自然学の対象は物体、大きさ、運動、原理であり、三次元を持つ物体だけが「全体」であり「完全」である。ピタゴラス学派の説や言語習慣、類間の移行の不可能性を根拠に、宇宙の完全性が論じられる。
- §1.2#1
単純運動の分類と単純物体の存在
宇宙全体の有限性についての議論を後回しにし、場所的運動が直線・円・混合の3種のみであること、およびそれらに対応する単純物体の存在を提起する。
- §1.2#2
円運動を行う第一の単純物体の論証
円運動という最も本源的で完成された単純な運動に対応する、地上のどの元素とも異なる「神聖で先立つ単純な物体」が天界に存在することを論証する。
- §1.3#1
第一の物体の無重・無軽性と不変不滅性
アリストテレスは重さと軽さの定義を与えた上で、円運動する物体(天体)がそれらを持たず上昇も下降もしないことを論じ、さらに対立する運動が存在しないため不変不滅であることを結論づける。
- §1.3#2
第一の物体の不変性とアイテールの語源
アリストテレスは第一の物体(のちの第五元素、アイテール)が増大や変化を被らない不変のものであることを論証し、歴史的・語源的な背景(「常に走る」という性質)から最上方の領域が古来「アイテール」と呼ばれて神聖視されてきた理由を説明する。さらに、単純な物体の種類は運動の単純性に対応して有限であることを述べる。
- §1.4
円運動に反対の運動が存在しないことの証明
著者は、幾何学的対立(直線と円弧の対立)および物理的な場所の対立(上下、前後、左右)の観点から複数の議論を用いて、円運動には対立するいかなる運動も存在しないことを証明する。
- §1.5#1
円運動する第一の物体の有限性
著者は宇宙が無限であるかという問いを導入し、微小な原理の誤りが深刻な結果を招くことを説明した上で、第一の物体(円運動する天上物質)が無限ではありえないことを、幾何学的な不可能性および運動に要する時間の観点から論じ始める。
- §1.5#2
無限な物体の円運動の不可能性と天の有限性
無限な物体が円運動あるいは並進運動をすることの幾何学的・時間的な不可能性を論じ、天(円運動するもの)は有限でなければならないと結論づける。
- §1.6#1
直線運動する物体の有限性と無限な重量の不可能性
中心に向かう/から離れる方向の直線運動をする物体が無限でありえないことを、場所の有限性と中間領域の性質から論じ、さらに無限な物体の重量が無限になるという前提のもと、背理法を用いて物体の重量が無限になりえないことを証明する。
- §1.6#2
無限な物体の重量の不可能性と天の複数性
著者は無限な物体の重さが有限でありえないことを示し、さらに運動の比例関係を用いて無限な重さや軽さが存在しえないことを論証し、天体が複数存在する可能性について提起する。
- §1.7#1
物体の構造と作用反作用からみる無限の不可能性
アリストテレスは、無限な物体が存在しないことを、それが不均等質である場合、均等質である場合、および円運動をする場合について検証し、さらに有限と無限の間には物理的な作用・反作用の比率が成立しないことを論理的に示す。
- §1.7#2
天球外の物体の非存在と宇宙の有限性の証明
無限な時間における運動や、無限なもの同士の相互作用の不可能性が示され、天球の外には無限な物体も有限な物体も存在しないことが論じられる。また、円運動や直線運動の分析、およびデモクリトスらの原子論批判を通じて、宇宙が無限の物体からなることの不可能性が多角的に検証される。
- §1.8#1
元素の自然本性的運動からみた複数世界の不可能性
複数の世界(宇宙)が存在し得ないことを証明するため、他の世界を構成する元素も我々の世界と同じ自然本性(重さや軽さ、固有の運動方向)を持つはずであり、その場合、場所の配置上、運動の法則に矛盾が生じることを論じる。
- §1.8#2
天の唯一性と自然運動の限定性による証明
アリストテレスは天が唯一であるという結論を導き、それを示すために、事物の自然な移動、落下の際の速度変化(中心に近づくほど加速する性質)、および3つの身体的元素の場所の限定性について論じる。
- §1.9#1
形相と質料の区分からみた天の唯一性
天の唯一性と永遠性に関する探究を開始し、形相と質料の区分から天が複数存在しうるというアポリアを提示した上で、天のすべての質料が使われているなら複数の天は存在しえないという反論を準備する。
- §1.9#2
天の三つの定義と天の外側における真空の否定
アリストテレスは「天」の3つの定義を示し、天の外側には自然的・感覚的な物体が存在しないため、宇宙は全質料からなる唯一かつ完全なものであること、また外側には場所、真空、時間も存在せず、第一の神的な存在が不変のまま永遠に自足して存在することを論じる。
- §1.10
天の生成消滅に関する先行諸説の検討
アリストテレスは天(宇宙)が不生不滅であるか生成消滅するものであるかという問いを提示し、先行思想家たちの諸説(生成して永遠に続く説、消滅する説、結合と解体を繰り返す循環説など)を分類する。そして、生成されながら不滅であるとする説や、宇宙そのものが生成消滅を繰り返すとする説の自己矛盾や不整合を指摘し、今後の詳細な検証への道を開く。
- §1.11
生成不生と可滅不滅の多義性と可能性の定義
不生・生成・可滅・不滅という基本概念の多義性を区分し、それらの定義に関連する「可能」と「不可能」の概念について、能力の最高度(最大値)を基準にする観点から考察する。
- §1.12#1
無限に存在するものの生成と可滅性の不可能性
アリストテレスは「不可能」と「偽」の区別を確立し、無限の時間にわたって存在するものが可滅的、あるいは生成されたものであることは、現実態において存在と非存在の矛盾をもたらすために不可能であることを論証する。
- §1.12#2
論理的推論による不生と不滅の相互含意の証明
著者は記号を用いた論理的推論によって、不生と不滅が互いに伴い合うこと、そしてそれらが永遠であることと不可分であることを証明する。
- §1.12#3
能力の限界と過去の事実から見た生成物の可滅性
生成されたものが不滅であること、あるいは不生なるものが可滅的であることは、能力の共存や時間的制約の観点から不可能であることを示す。さらに、過去の事実に対する能力は成立しないという原理に基づき、かつて存在しなかったものが後に永遠になることの不可能性を論証する。
- §2.1
天の永遠性と労苦なき円運動の必然性
天が不生不滅であり無限の時間を包摂していることについて、従来の他説(アトラスの支え、渦巻き運動、魂による強制的運動)を批判し、天の円運動が強制的必然を伴わない労苦なき永遠のものであることを論じる。
- §2.2#1
ピュタゴラス派の左右説と空間の六方向の検討
アリストテレスは、天に右と左があるとするピュタゴラス派の主張を検証し、本来生物にのみ適用されるべき空間的な六つの方向性(上・下、前・後、右・左)が無生物では相対的なものにすぎないことを指摘し、彼らの二分法的な不十分さを批判する。
- §2.2#2
天の上下左右の決定と南極が上であることの論証
アリストテレスは「上」が「右」より本質的に優先することを説明し、天が球体であっても各方向を割り当てられると述べ、見えない極(南極)が「上」に当たると結論づける。
- §2.3
複数の天球運動の存在理由と元素の生成
天が神的なものとして永遠に運動する一方で、なぜ複数の天球(回転運動)が存在するのかを、四元素の存在とそれらの間での生成の必然性から説明する。
- §2.4#1
第一の図形としての球と天の球形性
アリストテレスは、平面図形において円が、立体図形において球が最も単純かつ完全な第一の図形であることを幾何学的・哲学的に論証し、それに基づいて天および宇宙全体が球形であるべき理由を説明する。
- §2.4#2
空虚の否定と元素の配置による天の球形の論証
天が他の形状である場合に生じる空虚や場所の不都合、および運動の速さから天の球形を証明し、さらに中心に配置された元素(特に水)の配置からその球形性を幾何学的に裏付け、宇宙が人工物を凌駕する極限の精度で丸く形成されていることを主張する。
- §2.5
天の円運動が一方向のみに向かう理由
天がなぜ特定の方向にのみ円運動するのかという疑問を提示し、天が最善の状態として空間的な「前方」に向かって運動しているという仮説によってこれを説明する。
- §2.6
第一の天の運動の一様性と等速性の論証
天(第一の天)の運動が一様(等速)であることを証明するため、運動の本性、動因と被動因の不変性、自然に反する状態の不可能性などから、不等速運動の仮定が不合理であることを論じる。
- §2.7
星々の構成素材とその熱や光が生じる原因
星々の構成成分、形状、運動についての探究を開始する。星々はそれらが運行する天球と同じ元素から作られており、それらの熱と光は、その運動に伴う下方の空気の摩擦・発火によって生じることを説明する。
- §2.8#1
星々の静止と円軌道の回転による天の運動
星々と天の運動について想定される諸可能性を検討し、星自体は静止して円軌道に固定されており、円軌道自体が回転運動しているという説が最も合理的であることを論証する。
- §2.8#2
星々の球形と自力運動の否定
アリストテレスは星々が球形であると仮定し、球体の自己運動(自転と転がり運動)がいずれも星々において観測されないことから、星々が自らの力で運動しているのではなく、円軌道に固定されて運ばれているのだと論じる。さらに、天や星々が球形であるのは、天の自転には最も適しており、星々の前進運動の欠如には最も好都合だからであると説明する。
- §2.9
天体の調和音説の検討と天体の無音の論証
アリストテレスは天体が運行によって「天体の音楽」と呼ばれる調和した音を発するというピュタゴラス派の説を検討し、巨大な音が地上で知覚されず破壊を引き起こさないのは天体が自ら運動して音を立てているわけではないからだと論じて、自身の説を補強する。
- §2.10-2.11
天体の配置と距離に応じた速度および球形の論証
天体の配置と運動速度がその距離に比例する関係について論じ、外側の天球に近いものほど運行周期が長いことを説明した上で、自律運動の不在と月の満ち欠けの観測事実に基づき全天体が球形であることを証明する。
- §2.12#1
天体の運動数と星の数に関する二つの難問
アリストテレスは天界に関する二つのアポリア(第一天球に近い太陽や月が多くの運動を行わないこと、および第一天球に無数の星があるのに対し他は単一であること)を提示し、天体を生命と活動にあずかるものと見なすことで、この困難を解決しようとする。
- §2.12#2
天体の運動数と星の数の差異に関する難問の解決
星々の運動の多様性を人間の健康獲得プロセス等との類比によって説明し、最初の天球、中間天球(惑星)、地球の運動数の差異を目的への近さから合理化する。また恒星天に多くの星があり惑星天に一つしかない理由を、自然の相補的秩序と多重天球の力学的限界から明らかにする。
- §2.13#1
地球の位置と運動および形状をめぐる先行諸説
地球の位置や形状、運動・静止に関する諸説(ピタゴラス派の中心火説や、地球が平らであるとする説など)を紹介し、地球の静止をめぐるアポリアとその奇妙な解決策について論じる。
- §2.13#2
地球の静止と支持に関する先行学説の批判
クセノファネス、タレス、アナクシメネス、デモクリトスらの地球の静止に関する先行説(地球の下部無限説、水上浮遊説、空気支持説)を順に紹介し、これらを批判するとともに、宇宙生成における渦運動説やエンペドクレスの説について検討を始める。
- §2.13#3
地球静止の諸説批判と元素の本性的な運動
アリストテレスは、宇宙の回転(渦)や地球の扁平さ、あるいは周囲への「均等性」を理由とする従来の地球静止説を批判する。そして、地球や火にはそれぞれ本性上の場所と運動が備わっていることを論じる。
- §2.14#1
地球の不動性と中心位置および球形の論証
アリストテレスは地球が不動で宇宙の中心にあることを証明する。円運動が地球に帰属できないことや恒星の観察、重いものが平行ではなく鉛直に落下する事実に依拠し、さらに地球が球体であることを、各部分が本性上等しく中心へと向かい圧迫し合うプロセスから論じる。
- §2.14#2
地球が球形である物理的論証と観測的根拠
地球の形状が球体であることを、重量を持つ部分が中心へ向かって集まる理論的分析や、重いものが地球に向かって等角度で落下する物理的事実から証明する。さらに、月食時の丸い影や、緯度の移動に伴う星空の急激な変化という観測的証拠を提示し、地球がそれほど大きくない球体であることを示す。
- §3.1#1
生成消滅と物体の構成に関する初期諸説の検討
第一の天と星々に関する議論を終え、下生界の元素と生成消滅の有無に関する探究を開始する。生成消滅を完全に否定するエレア派から、絶えざる流転を説くヘラクレイトス、さらに立体を平面から構成する学説までの諸説を整理し、数学との整合性の観点から批判的検討の緒口を開く。
- §3.1#2
不可分な線や面から物体を構成する説の批判
アリストテレスは、分割不可能な線や点などの要素を前提とする立場に対して、物体の属性である重さや軽さが点や線に帰属しえないこと、また平面の合成から物体が生じるという仮定が数学的あるいは自然学的に不合理であることを論じる。
- §3.2#1
単純な物体における固有の自然運動の論証
アリストテレスは、単純な物体には本性上固有の運動が属していることを、運動や静止の対比、第一の動者の必要性、無秩序な運動の矛盾などを挙げて論証する。
- §3.2#2
物体の重さと軽さの傾向と生成論の批判
アリストテレスは、離散し運動する状態からの生成やエンペドクレスの愛の理論を批判し、すべての物体には重さか軽さの傾向が必然的に備わっていることを思考実験を通じて証明する。また、力の媒介としての空気の役割や、全物体の生成という仮定が分離した空虚の存在を要求するため不合理であることを論じる。
- §3.3
元素の定義と存在および先行学説の対立
アリストテレスは物体の元素(エレメント)の定義と存在理由について、また、元素に関するエンペドクレスとアナクサゴラスの対立する説について議論する。
- §3.4
元素の無限説への批判と有限性の論証
元素の数が有限か無限かを論じ、まずアナクサゴラスの同質部分説を批判する。続いてデモクリトスとレウキッポスの原子論を論駁し、数学・感覚的経験との対立、元素相互の変転における不合理、形や運動の有限性から、元素は有限でなければならないことを証明する。
- §3.5#1
単一元素説と希薄・濃厚による説明の批判
元素が有限であるという前提のもと、元素の数が単一であるとする立場を検討する。希薄さと濃厚さなどの性質によって単一の元素から他のものを説明しようとする試みは、結局のところ物理的な大きさに還元され、元素の定義を相対化してしまう矛盾をはらんでいることを示す。
- §3.5#2
火を一元とする説の批判と元素の複数性
火を最初の元素とする一元論的学説、特に形や大きさに依拠する議論に対して、分割可能性の観点から論駁を行い、さらに「自然な運動」の単一性を強いる誤りを指摘することで、元素が複数かつ有限でなければならないと結論付ける。
- §3.6
元素の生成消滅と相互生成の論証
元素が永遠に存在する可能性を分解と合成の無限後退の不可能性等から否定し、その生成消滅を示す。さらに、生成の起源として非物体的なものや他の物体という仮定を退け、元素は互いから生成し合うものであると結論づける。
- §3.7
元素生成に関する分離説と面分解説の批判
エンペドクレスやデモクリトスによる元素相互の生成(分離説)を批判し、さらにプラトンらの面分解説について、土の除外や、感覚される現象に反する仮定、数学的分割可能性との対立などの観点から批判する。
- §3.8#1
元素を幾何学的形状とする説への批判
単純な物体(元素)に幾何学的形状を割り当てるプラトンらの説に対し、空間充填の不可能性、流体の変形可能性、第一物質(基底)の無規定性、有機的組織の生成不可能性、および幾何学的属性と運動の不調和という観点から多角的な批判を行う。
- §3.8#2
形状による性質説明の矛盾と働きの重視
アリストテレスは、火の形状を原因とする熱の作用や、冷たさに形状を割り当てられないという矛盾から元素の形状説を論破し、元素の差異は形状ではなく、性質や働き、能力に基づいて分析されるべきだと主張する。
- §4.1
重さと軽さの探究と絶対的性質の定義
アリストテレスは重さと軽さの探究を始めるにあたり、運動との密接な関係を指摘しつつ、先行研究が相対的な重さしか定義しなかったことを批判する。宇宙の中心を「下」、最外縁を「上」と定め、これに基づいて「絶対的な重さ・軽さ」と「相対的な重さ・軽さ」の基礎的な区分を提示する。
- §4.2#1
重さと軽さをめぐる先人の諸説の検討と批判
アリストテレスは重さと軽さに関する先人の説を批判し、特に『ティマイオス』における構成要素(三角形)の多少による説明や、虚空の含有量による説明が、絶対的な重さと軽さを説明しえない不十分なものであることを論じる。
- §4.2#2
空虚と立体の比率による重さの説明への批判
アリストテレスは、空虚や立体の比率によって重さと軽さを説明しようとする原子論的アプローチの矛盾を突き、絶対的な軽さと重さが定義できないことや、運動の原因をめぐる不条理を批判する。また、大きさと小ささや単一の質料による説明も同様の困難に直面することを指摘する。
- §4.3#1
固有の場所への運動と形相への変化
アリストテレスは物体の自然な上下運動と重さ・軽さの原因を究明するため、運動一般の性質から議論を開始し、各エレメントが固有の場所へと運ばれることは、その形相へと運ばれることであると論じる。
- §4.3#2
固有の場所への運動と可能態から現実態への移行
アリストテレスは、物体が固有の場所に移動する原因は可能態から現実態への移行という自然な変化であり、本質的には質的変化や増大と同様の構造を持つことを説明した上で、何ものもそれ自体では自己を運動させないという前提を確認する。
- §4.4#1
絶対的・相対的な重さと軽さの定義と四元素
重さと軽さの定義(絶対的・相対的)を提示し、単純体(土・火)と中間的な元素(水・空気)の運動特性、空気の場所における空気の重さの証明、絶対的な軽さと重さの存在について論じている。
- §4.4#2
絶対的な重さと軽さおよび中間元素の性質
重いものと軽いものが単に相対的な存在ではなく、絶対的に中心へと向かう土と極限へと向かう火が存在することを論じ、その中間領域にある水と空気が位置に応じて両義的な性質を持つ理由を、質料と形相の本質的相違および病気と健康の比喩を交えて説明する。
- §4.5#1
四元素に対応する四つの質料と質料一元論の批判
軽い質料と重い質料が二つの極端であり、その中間にある水と空気は相対的な重さと軽さを持つことを論じる。さらに、万物の質料が一つのものであるとする一元論的な説を批判し、各元素に対応する四つの異なる質料(差異)が必要であることを示す。
- §4.5#2
質料二元論の批判と物体の形状が運動速度に与える影響
二つの相反する質料(真空と充満)のみを仮定する説の矛盾を突き、四元素にはそれぞれ対応する質料が必要であることを示す。後半では、物体の形状は上下運動自体の原因ではなく、媒介物を分割する容易さに依存して運動の速度を変化させる原因に過ぎないことを論じ、デモクリトス説を批判しつつ独自の連続体理論を展開する。
