アリストテレス · Aristotle
分析論前書
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底本
Aristotle. Analytica Priora et Posteriora. Ross, W. D., editor. Oxford: E. Typographeo Clarendoniano, 1964.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0086.tlg001.1st1K-grc2
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要旨
本作は、思考と学問の基盤となる論理的推論(シロギズム)と、それを用いた科学的証明の構造を体系的に明らかにする哲学書である。前半では、前提と結論の関係を規定する三段論法の基礎定義から始まり、第一、第二、第三の格における推論の成立条件や、必然・可能といった様相を伴う混合推論の妥当性を詳細に分類・検討する。また、不完全な推論を第一格に還元する方法や、帰謬法などの仮説的推論の仕組み、議論における誤謬の回避方法についても論じる。後半では、単なる推論を超えた「証明」と「学問的知識」の性質に焦点を当て、前提が備えるべき無媒介性や必然性を論じる。そして、事物に固有の原因を明らかにする中間項(媒辞)の役割を通じて定義と証明の関係や四原因を分析し、最終的には感覚と経験の蓄積から直観(ヌース nous)が普遍的な第一原理を把握する認識のプロセスで締めくくられる。
目次
123 チャンク
引用方式:book.part.chapter
- §1.1.1
前提と項および三段論法の定義
『分析論前書』の冒頭として、証明や学問を探究の目的とし、前提、項、三段論法の基礎定義、およびそれらの種類(完全・不完全など)を導入する。
- §1.1.2-1.1.3
前提の様相的分類と換位の規則
アリストテレスは前提を実有・必然・可能の様相に分類した上で、実有、必然、および可能における肯定・否定前提の換位(項の入れ替え)規則とその証明を示す。
- §1.1.4#1
第一格における完全な三段論法の成立条件
アリストテレスは証明よりも普遍的な三段論法について論じることを宣言し、第一格の定義を示す。全称前提同士から完全な三段論法が成立する条件(Barbara, Celarent)と、全称と特称の組み合わせから成立する条件(Darii, Ferio)を明らかにする。
- §1.1.4#2
第一格の不成立条件と特徴の総括
第1格において全称前提が小端項に置かれた場合や、両前提が特称・不定称の場合、また大前提が全称で小前提が特称否定の場合には、三段論法が成立しないことを示す。最後に第1格の特徴(完全性、全称・特称・肯定・否定のすべての種類の結論を証明できる唯一の格であること)を総括する。
- §1.1.5#1
第二格の定義と三段論法の成立条件
この章において著者は第二の格を定義し、前提がともに全称である場合、および一方が全称で他方が特称である場合について、どのような組み合わせにおいて妥当な三段論法が成立するかを解説する。
- §1.1.5#2
第二格の不成立条件と特徴の総括
第二格において前提の質が一致する場合、および両前提が特称や不定である場合には三段論法が成立しないことを論証し、最後に第二格の三段論法の特徴(すべて不完全であり、否定の結論のみを導くこと)を総括する。
- §1.1.6#1
第三格の定義と三段論法の成立条件
アリストテレスは第三格(中項が両前提の主語となる格)を導入・定義し、前提がともに全称である場合、および一方が全称で他方が特称である場合について、どのような組み合わせで妥当な三段論法が成立するかを分析する。
- §1.1.6#2
第三格における特称前提と格の特徴の総括
第三格において前提の一方が特称である場合、肯定的前提が全称で小前提が肯定的であるとき、または否定的前提が全称で大前提が否定的であるときにのみ三段論法が成立することを示し、不完全性と全称結論の不可能性を結論づける。
- §1.1.7
不完全な三段論法の第一格への還元
アリストテレスはすべての格における三段論法の不成立条件、および特称・不定前提の換位についてまとめる。続いて、不完全な三段論法がすべて第一格に還元でき、さらには第一格の全称三段論法にすべての推論を集約できることを論証し、存在・非存在の三段論法の分析を締めくくる。
- §1.1.8-1.1.9
様相の区別と第一格における必然的推論
単純な属託、必然的属託、可能的な属託の違いを提示し、必然的な前提に基づく三段論法の規則を定め、第一格において大前提または小前提が必然的である場合の結論の必然性を論じる。
- §1.1.10
第二格における必然前提と実然前提の混合
第二格における必然前提と実然前提の混合三段論法を検討し、否定前提が必然的な場合は結論も必然的になるが、肯定前提が必然的な場合は結論は絶対的には必然的にならないことを論じる。
- §1.1.11#1
第三格における必然前提と実然前提の結合
第三格の必然性三段論法について、両前提が肯定の場合と、一方が否定で一方が肯定の場合に分けて結論の必然性を検証し、反例として具体的な項を示す。
- §1.1.11#2
第三格における全称と特称の混合と必然的帰結
第三格において、前提の一方が全称で他方が特称である場合について、両前提が肯定の場合と肯定・否定混合の場合のそれぞれで結論が必然的になる条件を論じ、反例となる具体的な項を示す。
- §1.1.12-1.1.13
前提と結論の様相の規則と可能の定義
アリストテレスは前提の様相(事実、必然、可能)と結論の様相の関係を整理し、可能(偶然)の定義とその二つの意味(大体において生じるものと不定なもの)を区別した上で、可能的前提からなる三段論法の分析に着手する。
- §1.1.14
第一格における可能前提同士の三段論法
可能的前提から構成される第1図形三段論法の有効性を検討し、全称前提同士、あるいは全称と特称前提の組み合わせにおける完全および不完全な三段論法の成立条件と、不成立となる場合の具体例を論じる。
- §1.1.15#1
第一格における事実前提と可能前提の混合
事実を表す前提と可能性を表す前提を組み合わせた三段論法を検討し、前提の配置によって推論が完全になる場合と不完全になる場合を区別した上で、帰謬法を用いた証明に必要な論理的前提として、可能性の帰結に関する必然性と、偽であるが不可能ではない仮定の性質を提示する。
- §1.1.15#2
第一格における事実の大前提と可能の小前提
大前提が事実で小前提が可能性の場合の第一格三段論法を考察し、肯定・否定の全称結論が成り立つことを不可能性による証明(帰謬法)で示す。また、前提が特定の時間に限定されない端的なものである必要性を論じる。
- §1.1.15#3
第一格における可能小前提の換位と特称前提
一方の前提が「属する」で他方が「可能である」場合において、小名辞側の前提が可能性を意味するときの三段論法の成立条件と、一方が全称で他方が特称の場合、あるいは両方が特称の場合の三段論法の成立・不成立の規則を体系的に論じる。
- §1.1.16#1
第一格における必然前提と可能前提の混合
一方の前提が必然的で、他方が可能的である場合の三段論法において、前提の肯定・否定の組み合わせや全称・特称の配置に基づく結論の様相の性質(可能または実然)と、三段論法の成立条件を分類・証明する。
- §1.1.16#2
第一格における必然と可能の否定小前提と特称前提
必然前提と可能前提が混交する三段論法のパターンのうち、否定前提が小名辞の側に来る場合、特称前提を含む場合、および不定・特称のみの場合における、三段論法の成立・不成立の条件を具体的な名辞例を用いて論じ、結論を整理している。
- §1.1.17
第二格における両前提が可能な三段論法の不成立
第二格において両前提が「可能」を示す場合、いかなる三段論法も成立しないことを示す。その証明の基礎として、可能における否定前提が換位しないことを論証し、具体的な名辞を用いていかなる結論も成立しえないことを明らかにする。
- §1.1.18
第二格における現実前提と可能前提の混合
第二格において、一方が「属する」で他方が「可能である」という混合前提の場合の三段論法の成否を論じる。肯定前提が「可能」で否定前提が「属する」場合に換位を通じて成立し、特称前提や不定前提の場合の諸規則も規定される。
- §1.1.19
第二格における必然前提と可能前提の結合
本チャンクでは、前提の一方が「必然」で他方が「可能」である場合の全称・特称三段論法の成立条件が論じられる。否定前提が必然で肯定前提が可能であるときのみ、結論として可能否定と単純否定の両方が得られる有効な三段論法が成立することが示される。
- §1.1.20
第三格における可能前提を含む三段論法
第三格における可能前提の三段論法を扱う。両方の前提が可能である場合、および一方が可能で他方が事実または必然である場合について、三段論法の成立条件と結論の性質を解説する。
- §1.1.21
第三格における実在前提と可能前提の結合
第三格において一方の前提が「属すること」(実在)を、他方が「可能であること」を意味する場合の三段論法について、全称・特称、肯定・否定の様々な組み合わせのもとでの成立条件と証明方法(換位や背理法)を論じている。
- §1.1.22
第三格における必然前提と可能前提の結合
第三格における必然前提と可能前提の組み合わせによる様相三段論法を分析する。前提が肯定的な場合、また否定前提の種類(必然的か可能的か)によって結論がどのようになるかを示し、結論が「可能」あるいは「事実」として導かれる条件を明らかにする。
- §1.1.23
あらゆる三段論法における三つの格の普遍性
アリストテレスは、いかなる三段論法も前述の三つの格のいずれかによって成立することを示す。直接証明における中端名辞の必要性を明らかにするとともに、帰謬法を含むすべての仮設による推論もこれらの格に依存していることを示す。
- §1.1.24
三段論法における肯定前提と全称前提の必要性
アリストテレスは、すべての三段論法において少なくとも一つの肯定前提と全称前提が必要であることを論じ、幾何学の二等辺三角形の証明を例に挙げつつ、前提と結論の全称性やモダリティ(様相)の一致関係について分析する。
- §1.1.25#1
三段論法が三つの名辞から成ることの証明
すべての証明および三段論法が3つの名辞(および2つの前提)から構成されることを論じ、複数の名辞が使われる場合には、複数の三段論法が介在しているか、無駄な名辞が含まれていることを示す。
- §1.1.25#2
前提と名辞と結論の数量的関係
三段論法が3つの名辞と2つの前提から成り立つことを証明し、媒名辞(中間項)が追加された場合の前提示・名辞・結論の数の数学的・論理的関係を分析する。
- §1.1.26
命題の確立と反駁における難易の比較
アリストテレスは各格における命題の成立パターンの多寡に基づき、全称・特称、肯定・否定の各命題の確立(証明)と破棄(反駁)の難易度を比較し、一般に破棄の方が確立よりも容易であることを示す。
- §1.1.27
三段論法を構成するための前提の選定法
三段論法を具体的に構成するために必要な前提をどのように収集すべきか、その方法論を論じる。存在物を個物・最高類・中間の概念に分類した上で、ある項に付随するものや、それに対して随伴するものなどの前提の選び出し方の具体的なルールを提示する。
- §1.1.28#1
命題の種類に応じた項の選定と普遍の重視
立証したい命題の種類(全称/特称の肯定/否定)に応じて、主語と述語のそれぞれに付随するもの、随伴するもの、属し得ないものを探索する方法を記号を用いて説明する。さらに、これらを探索する際には、より上位の普遍的な概念から見るべきであることを論じている。
- §1.1.28#2
三段論法の三つの格への帰着と項の選択
アリストテレスは、三段論法が3つの格のいずれかによって形成されることを示し、名辞選択において無用な組み合わせを指摘するとともに、反対関係や排他関係に基づく証明も結局は基本的な同一性の発見へと還元されることを論じる。
- §1.1.29
帰謬法と仮定推論における中項の適用
不可能性に導く帰謬法が直接証明と同じ仕組みで成り立つこと、また仮定による他の推論や必然性・許容性の推論も同様に中間項の選定に基づくことを示し、すべての三段論法がこの単一の経路でのみ成立することを結論づける。
- §1.1.30
諸学問における探究方法の共通性と経験の役割
哲学や諸科学における一般的な探究方法が共通であること、および、各学問の固有の原理は経験を通じて獲得されるべきものであることを論じている。
- §1.1.31
分割法の限界と弱い三段論法としての性格
類による分割法が、前提をあらかじめ要求してしまう「弱い三段論法」にすぎないことを指摘し、それが実体定義や固有性、未決の問題の証明には役に立たない理由を論じる。
- §1.1.32
議論の三段論法の諸格への還元と中項の識別
三段論法を既存の格へ還元する方法について論じ、まず提示された議論から二つの前提を正確に抽出し、不必要なものを取り除き欠けているものを補う手順を説明する。さらに、前提から何らかの結論が必然的に導かれるからといって直ちに三段論法が成立するわけではないことを示し、中間項の位置に基づいて第一、第二、第三の格を識別する方法を述べる。
- §1.1.33-1.1.34
前提の量に関する誤謬と状態を表す項の修正
第33章では、全称前提と特称前提の混同による推論の誤りがアリストメネスとミッカロスの例で分析され、第34章では、抽象的な「状態」を項にする代わりに、それに対応する「状態を持つもの(有態者)」を項として設定すべきであることが健康と病気の例を用いて論じられます。
- §1.1.35-1.1.36
複合的な表現としての項と文法的格の選定
アリストテレスは三段論法の項が単一の語ではなく定義的な表現(ロゴス)になりうることを指摘し、「属する」あるいは「属さない」という関係が前提において様々な文法的格変化をとりうるため、項設定や前提の解釈の際には格の特性に注意すべきであることを論じている。
- §1.1.37-1.1.40
限定表現の配置と等価な項の置換による還元
推論における「重複付加される制限」の第一極項への設定方法と、等価な項や定義的表現の置き換えによる還元の容易化、および「ある性質であること」と「まさにそれ自体であること」の項設定の区別を論じる。
- §1.1.41-1.1.44
項の指示範囲の相違と仮定による推論の還元不能性
アリストテレスは、「Bが属するものすべてにAが属する」と「Bがすべて属するものにAがすべて属する」の論理的相違を明確にし、名辞提示の便法を説明する。さらに、定義に関する論法における項の設定方法や、仮定に基づく三段論法(背理法を含む)は標準的な三段論法の格に直接還元できないことを指摘する。
- §1.1.45#1
三つの格における推論の相互還元可能性
複数の格において証明可能な課題について、一方の格の推論を他方の格へ還元する方法を、第一格・第二格・第三格のそれぞれにおける具体的な還元可能性・不可能性の事例とともに解説している。
- §1.1.45#2
第三格の還元と背理法を要する推論
第三格における推論の第一格への分析方法を検証し、特称否定の前提を持つBocardoを除くすべてが分析可能であることを示し、さらに第二格と第三格の相互的な分析可能性と、第一格へ直接分析できない推論(BarocoとBocardo)が背理法による証明を要することを示す。
- §1.1.46#1
否定命題と無限名辞を伴う肯定命題の区別
否定(~でない)と無限名辞を伴う肯定(~以外である)の論理的・構文的相違を明らかにし、それらの概念間の四角関係的な包含・対立関係を整理して図式化する。
- §1.1.46#2
肯定と否定の証明方法の違いと項の対立
肯定と否定、欠如態の区別に基づき、肯定・否定の証明方法の相違を論じ、項の対立関係の誤認によって生じる論理的誤謬の原因を解説する。
- §1.2.1
三段論法が導く複数の結論と格ごとの適用
全称三段論法と一部の特称三段論法が結論以上の事柄を証明すること、また中間概念や結論の下にある事物に対してどのように同一の推論が適用されるか、格ごとの違いを論じている。
- §1.2.2#1
前提と結論の真偽関係と第一格における検証
前提の真偽と結論の真偽との関係について論じ、真なる前提からは決して偽なる結論は生じないが、偽なる前提からは真なる結論が生じうることを示す。その上で、第一格において大前提(第一前提)が完全に偽である場合などに、結論がどのように決定されるかを検証し始める。
- §1.2.2#2
第一格において前提の一部または全部が偽のとき真となる結論
本チャンクでは、第一格の全称三段論法および特称三段論法において、大前提(第一前提)が部分的に偽である場合、または小前提(第二前提)が全体的もしくは部分的に偽である場合に、結論が真となり得る具体例を、類・種・種差の関係や具体名辞(動物、白鳥、雪など)を用いて体系的に解説している。
- §1.2.2#3
第一格の特称三段論法における偽の前提と真の結論
特殊三段論法において、前提の一方(ABまたはBC)が全体的・部分的に偽である場合、あるいは両方の前提が偽である場合であっても、結論が真となり得ることを、具体的な項の例を用いて論証する。
- §1.2.3#1
第二格において偽の前提から真の結論を導く推論
第二図形(中間の図形)の三段論法において、偽の前提から真の結論が導かれる様々なケースについて、前提の真偽の組み合わせ(両方または一方が全体的あるいは部分的に偽である場合など)とその具体例を用いて論じる。
- §1.2.3#2
第二格の特称推論における偽の前提と真の結論
第二図形における特称の推論(特定称三段論法)において、一方の前提が真で他方が偽である場合や、両方の前提が偽である場合であっても、真なる結論が得られることを具体例を提示しながら論じる。
- §1.2.4#1
第三格において偽の前提から真の結論を導く推論
第三格の三段論法において、前提の両方が偽である場合や、一方が真で他方が偽である場合など、様々なケースで偽の前提から真の結論が導かれうることを、具体的な名辞の例を用いて証明している。
- §1.2.4#2
第三格の特称推論と相反する前提からの帰結の不可能性
最後の格において前提の一方が真で他方が一部において偽である場合や特称三段論法の場合に偽の前提から真の結論が導かれる例を説明し、さらに、同一の事柄の存在と非存在の両方から同一の結論が必然的に導かれることの不可能性を論理的に証明する。
- §1.2.5#1
円環的・相互的証明の定義と名辞の換位可能性
円環的かつ相互的な証明の方法を定義し、名辞が互いに換位可能である(逆転して成り立つ)場合にのみ、前提を相互に証明し尽くすことができることを論じる。
- §1.2.5#2
否定的・特称推論における円環的証明の限界
換位可能な名辞における円環的証明が、結局は証明すべき事柄自体を前提することを示す。さらに、否定的な三段論法や特称の三段論法において、円環的証明が成立する条件と不可能な範囲を定義する。
- §1.2.6
第二格における円環的証明と否定的前提の論証
第二格における巡回証明の適用可能性について論じ、肯定的な前提は証明できないが、否定的な前提は証明可能であることを示す。また、特称三段論法において各前提が証明される条件についても説明する。
- §1.2.7
第三格における相互証明の限界と成立条件
第三格における相互証明の可能性について論じる。両前提が全称の場合は常に結論が特称となるため相互証明は不可能であるが、一方が全称で他方が特称の場合には、前提の肯定・否定の配置や特定の追加仮定の導入によって、相互証明が可能となる条件を示す。
- §1.2.8
第一格における結論の換位による前提の論駁
アリストテレスは「換位」による論駁の定義を提示し、第一格の全称三段論法および特称三段論法において、結論の矛盾対立または反対対立を仮定した場合に前提がどのように論駁されるかを検証する。
- §1.2.9
第二格における結論の換位による前提の論駁
第二格の三段論法における換位と前提の否定について論じる。全称三段論法と特称三段論法において、結論の反対対立的あるいは矛盾対立的な換位が前提の否定にどのように影響するかを示す。
- §1.2.10
第三格における結論の換位による前提の論駁
第三格における結論の逆転(換位)による前提の否定について論じ、反対対立的な換位では前提は否定されないが、矛盾対立的な換位では両方の前提が否定されることを示す。最後に、各格において結論が換位されるときの三段論法の発生と前提否定の対応関係を総括する。
- §1.2.11#1
帰留法の定義と第一格における証明の限界
帰留法(不可能による三段論法)の定義と、それが前提の換位とどのように異なるかを説明し、全称肯定命題が第一格においては帰留法によって証明できないことを示す。
- §1.2.11#2
帰謬法で矛盾対立命題を仮定すべき理由
不可能による証明において、反対の命題ではなく矛盾対立する命題を仮定しなければならない理由を、排中律などの論理的公理を交えながら第一格の具体例を通して論じている。
- §1.2.12-1.2.13
第二格と第三格における帰謬法による証明
第二格および第三格における不可能性を通じた証明(背理法)の適用を分析し、第一格では不可能だった全称肯定命題や肯定命題、全称命題が、これら二つの格においてはそれぞれどのように証明され得るかを示し、背理法では常に矛盾対立するものを仮定すべきであると結論する。
- §1.2.14#1
直接証明と帰謬法の相違と相互の変換
直接証明と帰謬法の相違点を前提の設定と結論の既知性から説明し、両者の証明が同じ名辞を用いて相互に変換可能であることを各格の対応関係を通じて論じる。
- §1.2.14#2
第二格と第三格での直接証明と帰謬法の変換
第二格および第三格における直接証明と帰謬法の相互変換の具体例を示し、すべての問題が両方の方法で証明可能であり、それらが相互に密接に関連していることを結論づける。
- §1.2.15#1
第一格と第二格での対立前提からの推論
第一格と第二格における、対立する前提からの推論構築の可能性を検討する。第一格では不可能だが、第二格では、媒介名辞の下にある名辞の関係が同一であるか、あるいは全体と部分の関係にある場合に対立する前提からの推論が成立しうることを示す。
- §1.2.15#2
第三格における対立する前提からの推論
アリストテレスは第三格における対立する前提からの推論の可能性を検討し、否定的な推論のみが可能であることを示す。また、前提の対立の取り方の多様性や、誤謬推論における仮定の矛盾について論じている。
- §1.2.16
論点先取りの定義と各格における生起条件
アリストテレスは「論点先取り(仮定)」を、それ自体では明らかでないものをそれ自体によって証明することと定義し、幾何学の平行線作図における誤りなどの具体例を挙げる。また、各三段論法の格(第一、第二、第三格)において論点先取りが生じる条件を、肯定・否定の形式に分類して提示する。
- §1.2.17
非原因を原因とする誤謬と帰謬法における条件
本チャンクにおいてアリストテレスは、「偽りが特定の仮定のせいではない(non causa ut causa)」という論理的誤謬の定義を論じ、これが帰謬法においてどのように発生するかを説明する。さらに、前提の連鎖における名辞の結合関係(上方および下方への追跡)を分析し、偽りが真に仮定に起因するための条件を明らかにする。
- §1.2.18-1.2.20
誤りの原因と論戦における論駁と防衛の技術
アリストテレスは、偽の結論が常に最初の偽の前提に起因することを示し、次に対話において論破を免れるための注意点と、相手を論破するための前提提示の順序に関する技術を説き、最後に駁論が成立する条件を推論の成立条件に基づいて説明する。
- §1.2.21#1
普遍と個別に関する知識と無知の共存
普遍的な知識と個別的な知識の区別を通じて、同一の事物について相反する判断や、知識と無知を同時に持つことがどのように生じ、また生じないかを論じる。
- §1.2.21#2
普遍的知識と個別的認識の不一致による誤謬
アリストテレスは普遍的知識と個別的知識の区別によって同時に知りかつ知らないことの可能性を説明し、さらに「善であること」を「悪であること」と誤認する判断の論理構造を検証する。
- §1.2.22
端語の換位に伴う中間項の換位と好ましさの基準
端語が換位する場合の中間名辞の換位、および選言的命題における換位の論理的規則を論じる。さらに、選択の好ましさ(価値比較)の基準を、愛において「愛されること」が「交際すること」よりも本質的で好ましいという具体例を用いて説明する。
- §1.2.23-1.2.24
帰納の論理構造と例証による論証
帰納(帰納による三段論法)の論理的構造と三段論法との対比を示し、次いで例証(パラデイグマ)の定義と仕組み、および帰納との相違点を論じる。
- §1.2.25-1.2.26
還元による推論と異議の構造
アパゴーゲー(還元)の性質と、不確実な中間項の数に基づき科学的知識に接近するプロセスを定義し、続いて前提に反論する異議(エンスタシス)の構造およびそれが第一格と第三格のみから生じる理由を解説している。
- §1.2.27#1
エンテュメーマの定義と徴標に基づく三格の推論
エンテュメーマの定義を提示し、それが蓋然的なものと徴標からなる三段論法であることを示す。さらに徴標の三通りの取り方を三つの三段論法の格に対応させ、それぞれの妥当性と反駁可能性の相違を分析する。
- §1.2.27#2
確証の性質と三段論法による観相学の可能性
徴標と確証の語彙的区別を論じた後、身体と魂の同調変化を前提として、第一の格の三段論法を用いた観相学の論理的可能性とその条件を解説する。
- §2.1.1
既知の知識からの学習とメノンのパラドクス
すべての知的学習は既存の知識から生じることを論じ、推論や帰納などの学問的手法がこれを前提としていること、および普遍的知識と個別的事例の認識との関係を『メノン』の難問を交えて説明する。
- §2.1.2
学問的知識の定義と証明の前提条件
アリストテレスは学問的知識(科学的理解)の定義を提示し、それが「証明」を通じて獲得されること、また証明の前提(原理)が備えるべき条件(真であり、媒介がなく、結論の原因であることなど)や、原理の分類(公理、設定、仮定、定義)および結論に対する原理の認識の優先性について論じている。
- §2.1.3
第一原理の非証明的認識と循環証明の不可能性
知識の可能性をめぐって、第一原理の証明不可能性から知識そのものを否定する立場と、循環証明によりすべての知識が証明可能であるとする立場の双方を批判し、媒介のない基本原理の非証明的な認識の必要性と、循環証明の構造的な不可能性・限定性を論じる。
- §2.1.4
証明的前提における全称・自体・普遍の定義
アリストテレスは証明的知識の必然性を基礎づけるため、「すべてのものについて」、「それ自体において」、そして「普遍的に」という三つの概念を定義する。特に「それ自体において」については四つの意味を区分し、「普遍的」とは任意の最初のものに属性が属することであると説明する。
- §2.1.5
普遍性の誤認の要因と第一の主体の特定法
属性が「普遍的かつ第一に」属していると誤認される要因(高次の概念がない、名がない等)を挙げ、比例の交互性や三角形の二直角を例に、具体的な属性の剥離を通じて第一の主体を特定する手法を説明する。
- §2.1.6
証明的前提と中項における必然性の要求
科学的・証明的な知識をもたらす前提(原理)が必然的でなければならないこと、および「それ自体として」属する性質のみが証明の対象となることを論じる。さらに、前提や中項(媒介概念)が必然的でなければ、結論が必然的であっても真の意味での「原因(なぜそうなのか)」を知ることはできないことを示す。
- §2.1.7-2.1.8
類を越えた証明の不可性と消滅するものへの証明
類を異にする証明の移行の不可能性(幾何学と算術の区別など)と、証明における三つの構成要素を論じる。また、普遍的・永遠な前提からは永遠な結論しか得られず、消滅し得るものに対する無条件の証明は存在しないことを示す。
- §2.1.9
固有原理からの証明と共通原理の不十分さ
各学問の証明はその対象となる固有の類・原理に基づくべきであり、共通の性質による証明(ブリュソンの円積問題など)は真の認識を与えないこと、また従属関係にある学問間での事実(ὅτι)と原因(διότι)の証明の分担、そして固有の第一原理自体の証明の不可能性を論じている。
- §2.1.10
固有の原理と共通の原理および仮定・要請・定義
証明的科学における固有の原理と共通の原理(公理)の役割、および仮定・要請・定義の相違について論じる。また、幾何学者が図面や仮定として述べる言説が、偽なる前提に基づいているという批判に対して反論する。
- §2.1.11
証明における普遍の必要性と共通原理の用いられ方
証明においてプラトン的なイデアは不要だが普遍は不可欠であること、矛盾律や排中律は証明において限定された形で用いられること、そして全ての科学に共通する原理を扱う弁証術の問いを立てる性質を論じている。
- §2.1.12
個別科学における学術的問いと誤謬および異議
科学における問いと証明の領域的限定性を論じ、数学的な誤謬推理の性質、帰納的命題に対する異議、および逆転可能性がもたらす分析の容易さについて説明している。
- §2.1.13#1
事実の知識と根拠の知識の違い
事実の知識(そうであること)と根拠の知識(なぜそうであるか)の違いについて、同一科学内において媒辞の選択や換位の可否によって生じる二つのケースを、天文学の具体例(惑星の近さと瞬き、月の球形と満ち欠け)を用いて説明し、さらに媒辞が外側に置かれる場合にも同様の違いが生じることを指摘する。
- §2.1.13#2
誤った原因提示と諸科学間の従属関係
壁が呼吸しない例を通じて不適切な原因提示の仕組みを第二図形の推論として説明し、次いで、下位の経験科学が事実(ὅτι)を扱い、上位の数学的科学がその根拠(διότι)を提示するという異なる科学間の従属関係を論じる。
- §2.1.14-2.1.15
第一図形の科学的優位性と無媒介的な否定
第一図形が「なぜそうなのか」という根拠を示す上で最も科学的であり、「それが何であるか」の本質を証明できる唯一の図形であることを説明し、次いで、二つの項が無媒介的(アトモス)に属さない関係が成立する条件と、それが前提の包含関係によっていかに決定されるかを議論する。
- §2.1.16#1
無媒介な命題に関する推論の誤りと無知
無媒介に属する、あるいは属さない概念間において、誤謬推論(状態による無知)がどのように生じるかを分析し、前提の真偽の組み合わせを検討する。
- §2.1.16#2
偽なる前提からの誤った推論の成立条件
第一図形および第二図形において、前提の片方のみ、あるいは両方が偽(または部分的に偽)である場合に、どのようにして偽なる結論(誤り)を導く推論が成立するかを、項の包摂関係に基づいて検討している。
- §2.1.17
媒介的な命題における誤謬推論の生起条件
本章では、事物(名辞)の間に中間項が存在する「媒介的なもの」において、誤った(偽なる結論を導く)推論が生じる場合について、第一図形および第二図形における前提の真偽の組み合わせを、否定・肯定の各推論、固有の中間項およびそれ以外の中間項を用いる場合に分けて論じる。
- §2.1.18-2.1.19
感覚の欠如と知識の限界および項の無限連鎖の問い
感覚の欠如が普遍的知識の獲得(帰納と証明)を不可能にすることを論じ、推論における極(端辞)が無限に遡行あるいは下行しうるか、また中間項が無限に存在しうるかという問題を設定する。
- §2.1.20-2.1.21
中間項の有限性と三つの格における否定証明の有限性
肯定的な述説の系列が上下双方向に有限であるならば中間項もまた有限であることを証明し、これに基づいて三つの格における否定的な証明も有限であることを論じる。
- §2.1.22#1
本質的述説の有限性と付帯的述説との区別
本質において述説されるものは定義可能であり無限に進まないと論じ、本質的述説と付帯的述説の明確な区別を示す。実体以外のカテゴリーも無限に述説されることはなく、プラトンのイデア論は証明に無用であるとして退けられる。
- §2.1.22#2
述語系列の有限性と第一原理の必然性
述語系列が上方向にも下方向にも無限に続かないことを、弁証法的な論理的分析、および「それ自体において」属する属性の定義的性質という分析的観点から証明し、それによって証明不可能な第一原理(始原)が必然的に存在することを明らかにする。
- §2.1.23
中間項の縮減と証明の第一始原
二つの項に共通の属性がある場合でも常に別の共通項を媒介するわけではないことを説明し、肯定・否定の証明における中間項の縮減と、三段論法・証明の始原について論じる。
- §2.1.24#1
普遍的証明と個別的証明の比較
普遍的な証明と個別的な証明のどちらがより優れているかについて検討が開始され、まず個別的証明を優位とする二つの議論(個別的認識の優位、および普遍は個別のほかに実在しないため普遍的証明は偽りの思い込みを生むという批判)が紹介される。これに対して著者は、属性が属するのは普遍の次元(「三角形として」)においてであり、普遍を定義する共通の概念は不滅の性質を持つため、普遍的証明の方が本質的な学知を提供するとして反論する。
- §2.1.24#2
普遍的証明が個別的証明より優れる理由
著者は、原因の提示、探究の終止、有限性、包括的な知識、第一原理への近さ、および潜在的な認知といった複数の観点から、普遍的な証明が個別的な証明よりも優れていることを論証する。
- §2.1.25
肯定的証明が否定的証明より優れる理由
アリストテレスは、肯定的な証明(直截的な証明)が否定的な証明よりも優れている理由を、前提の少なさと、肯定命題が否定命題に対して持つ認識論的および本体論的な先先性に基づいて論じる。
- §2.1.26-2.1.28
直接証明の背理法に対する優位と学問の区分
直接的な否定証明が背理法(不可能への帰結)による証明より優れている理由を、前提の優先性と認知の速さから論じ、さらに学問の厳密性の基準と、対象とする類の同一性による学問の区分について規定する。
- §2.1.29-2.1.31
複数の証明の可能性と偶然や感覚の非証明性
同一の結論に対して複数の系列や中間項から証明が可能であることを説明し、偶然によるものや感覚による認識は普遍性を欠くため学問的証明になりえないことを論じる。
- §2.1.32
すべての推論に共通する同一原理の不可能性
アリストテレスは、すべての推論に対して同一の原理が存在することは論理的にも事実に即しても不可能であることを議論し、原理は類ごとに異なっており、また共通の原理と固有の原理の二重性があることを指摘する。
- §2.1.33-2.1.34
学知と思いの区別と機転の定義
学知と思いなし(意見)の違いについて、その対象の必然性と偶然性に基づき論じ、同一の事柄について同一の人間が同時に両方を抱くことは不可能であることを説明する。また、短い瞬間に原因である中間項を看破する能力としての「機転」の定義を示す。
- §2.2.1-2.2.2
探求の四つの型と中間項の探究への帰着
探求の4つの類型(事実、根拠、存在、本質)を提示し、すべての探求は結局のところ中間項(原因)の有無、あるいはその正体を解明することに帰着する。このことを、月食や協和音、さらに感覚知覚の有無の例を用いて説明する。
- §2.2.3
定義と証明の対象の相違と両者の区別
定義と証明が同じものを対象としうるかという問題を提起し、定義があるところに必ずしも証明があるわけではなく、その逆もまた然りであり、これら二つは本質的に異なるものであることを論じる。
- §2.2.4
本質の証明の不可能性と先決問題要求の誤り
アリストテレスは「何であるか」についての三段論法や証明が不可能であることを、換位可能性や前提の二重化の条件から説明し、そのような証明を試みる者は証明すべき本質そのものを前提にする(先決問題要求の)誤りに陥ることを示す。
- §2.2.5-2.2.6
分割法による定義の推論不可能性と定義の統一性
分割法(分割による定義)が推論の体をなさないことを指摘し、また仮定に基づいて「何であるか」を証明しようとする試みも本質を先決問題として要求する点で無効であることを論じ、最後に定義において諸属性が統一された一なるものになる根拠が示されないという難点を提示する。
- §2.2.7
本質を捉える方法の不在と定義による存在証明の難点
アリストテレスは、定義する者が本質(「何であるか」)を示すことは、証明や帰納とは異なること、また「何であるか」を知るにはその存在を知る必要があるが、定義自体は対象の存在を証明できないことを論じ、定義が単なる名前の意味の言い換えに陥る困難を指摘する。
- §2.2.8
原因の認識としての本質と媒辞による解明
アリストテレスは、「何であるか」(本質)を知ることは、存在の原因を知ることと同じであることを示し、定義そのものは証明できないものの、証明の媒辞を介して「何であるか」が明らかになる過程を、月食や雷を例に挙げて論じる。
- §2.2.9-2.2.10
定義の三つの分類と証明との関係
原因を持たない直接的な原理と、原因を持つ媒介的な事柄における「何であるか」の認識の違いを整理し、定義の三つの定義(名目定義、事実の因果的定義、証明の結論としての定義)を提示して、証明と定義の関係を総括する。
- §2.2.11
四原因の媒辞による論証と必然性と目的因の併存
アリストテレスの四つの原因(形相因、必然因、始動因、目的因)がいずれも三段論法の媒辞を通じて説明されることを示し、幾何学、歴史的事件、および日常行動を例に挙げて証明する。さらに、同一の事象が必然性と目的因の双方から説明可能であることを示し、自然や技術における目的論的生成を分析する。
- §2.2.12#1
原因と結果の時間的一致と前後関係の推論
アリストテレスは、存在、生成、過去、未来のすべての事象において原因(媒辞)は結果と時間的に対応した同一の種類であることを論じ、さらに時間的に同時ではない事象間の因果推論が後の事象からしか成立しない理由を、時間の連続性や「すでに生じたこと」の不可分性に基づいて解明する。
- §2.2.12#2
非同時的な因果連鎖と循環的な生成の媒辞
過去や未来の非同時的な因果関係における媒辞の役割を論じ、生成の循環プロセスや、「大体において」起こる事象における媒辞のあり方を示す。
- §2.2.13#1
本質を捉える定義の構成と分割法による追究
定義を構成する属性を同定・結合して事物の本質を確立する手法と、類を差異に従って体系的に分割することで定義の遺漏を防ぐ方法を論じ、万物をあらかじめ知らなくても正しい定義が可能であることを示す。
- §2.2.13#2
分割法による定義の三要件と類似例の比較
アリストテレスは、分割法を用いた定義の構築において、不必要な知識を排除できること、定義の三つの目標(「何であるか」の把握、順序づけ、網羅性)、および類似した具体例の比較から普遍的な定義を導き出す方法を議論する。
- §2.2.14-2.2.15
問題の選択と中間項の共通性および階層関係
科学的探求における問題の選択方法(解剖表や分割、および類比の利用)を説明し、同じ中間項を持つ問題の同等性、および中間項の階層関係による問題の違いについて論じる。
- §2.2.16
原因と結果の共存性と相互証明および原因の先行性
原因と結果の同時共存性について、それらが互いに証明されうるものの、本質的な先行性から原因のみが「なぜ」の証明になりうることを示す。また、複数の原因の可能性と、普遍的問題における原因と結果の相互換位性(範囲の一致)について考察する。
- §2.2.17-2.2.18
同一の結果に対する原因の単一性と中間項の近接性
同一の結果に対する異なる原因の存否を論じ、本質的な証明では中間項が定義として一意である一方、類比的・同名異義的な状況では原因が異なりうることを示す。また、原因と結果の随伴関係や三段論法における中間項の優先順位を明確にし、個々のものに最も近い中間項が直接的な原因であることを明らかにする。
- §2.2.19
第一原理の把握と直観および経験からの成立
アリストテレスは『分析論後書』の締めくくりとして、証明の出発点となる最初の原理がどのように認識されるかを論じる。感覚から記憶、経験を経て、直観(ヌース)が普遍的な原理を把握し、これが科学(学問)の基礎となることを明らかにする。
