底本
Lucian, Vol. 1. Harmon, Austin Morris, editor. London: William Heinemann, Ltd.; Cambridge, MA: Harvard University Press, 1913.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0062.tlg012.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、古典古代の作家たちの嘘や誇張を風刺するために、著者自身が最初から「すべて嘘である」と宣言して語る、奇想天外な架空の航海記です。大洋へと乗り出した語り手とその一行は、嵐によって空へと巻き上げられ、月へと到達します。そこで彼らは月の王と太陽の王との宇宙戦争に巻き込まれ、月の奇妙な生態系や風習を目撃することになります。その後、地球に戻るも巨大なクジラに呑み込まれ、その腹の中での数々の部族との戦争を経て、死後の世界である「福者の島」(エリーシオン)を訪れ、ホメロスなどの英雄たちや哲学者たちと交流します。さらに、夢の島や奇妙な海を巡る冒険を重ね、最後は新大陸の手前で難破し、続編を予告する嘘の約束をもって唐突に物語は幕を閉じます。
目次
22 チャンク
引用方式:book.section
- §1.1-1.5
虚構の宣言と大洋への航海の始まり
著者は身体の鍛錬における休息を文学の読解における娯楽の必要性になぞらえ、過去の作家たちの嘘を諷刺しつつ、自身も全く架空の物語を「嘘である」と宣言して大洋への航海を語り始める。
- §1.6-1.8
未知の島への漂着とワインの川や葡萄の女たち
嵐の後に到着した未知の島で、一行はディオニュソスとヘラクレスの足跡とワインの川を発見し、さらに上流で上半身が女性の不思議な葡萄の木の一群に遭遇する。
- §1.9-1.12
空中への漂流と月王エンデュミオンとの出会い
ルシアノスらは島を出帆するが、突風によって船ごと空中に吹き上げられ、八日目に月に到達する。そこで彼らは月の王エンデュミオンに捕らえられ、太陽の王ファエトンとの戦争への協力を求められる。
- §1.13-1.16
月軍と太陽軍の奇妙な兵種および戦場の構築
エンデュミオン王率いる月軍の奇妙な動植物からなる兵種や装備、蜘蛛の糸で構築された戦場、そしてファエトン王率いる太陽軍の怪物じみた多種多様な兵力配置について詳述される。
- §1.17-1.20
宇宙戦争の終結と太陽と月の和平条約
戦況はネペロケンタウロイの参戦によって劇的に変化し、セレニタイは敗北し語り手は捕虜となる。その後、双方の間で和平協定が結ばれ、条文が記録される。
- §1.21-1.23
月の住民の特異な身体的特徴と生殖習俗
セレニタイとヘリオタイの間に和平が結ばれ、解放された語り手は月での滞在中に、男性のみによる生殖やふくらはぎでの妊娠、デンドリタイ(樹人)の誕生、空気や煙を摂取する特殊な生態など、月の住民の奇妙な風習や身体的特徴を観察する。
- §1.24-1.28
地球を映す月の鏡と一行の出発
著者は月の住人の奇妙な生理機能や社会、宮殿にある地球を映し出す鏡について述べた後、エンデュミオンから贈り物を受け取って出発し、明けの明星や太陽の近くを航行して地球への帰路をたどる。
- §1.29-1.31
灯火市への立ち寄りと巨大海獣による呑み込み
一行は「灯火市」に立ち寄った後、大気圏からついに海へと戻る。しかし、そこで突如現れた全長千五百スタディオンの巨大な怪獣に、船ごと飲み込まれてしまう。
- §1.32-1.34
海獣の胎内の探索とキプロス人親子との遭遇
クジラの腹の中を探索した主人公たちは、そこで自給自足の生活を送りポセイドンを祀るキプロス人親子に出会い、互いのこれまでの数奇な経緯を語り合う。
- §1.35-1.39
海獣の胎内の異形部族との戦争と平定
スキンタロスがクジラの中に住む数々の怪奇な部族について説明する。語り手の一行はスキンタロスと協力し、それらの部族を相手に戦争を起こして撃退し、最終的に彼らを一掃して平穏な生活を手に入れる。
- §1.40-1.42
海獣の口から目撃された島を船とする巨人たちの海戦
クジラの口の開口時に、島を船のように操る巨大な男たちの軍勢による大規模な海戦(島嶼戦)が目撃され、アイオロケンタウロスの軍勢が勝利を収める。
- §2.1-2.3
海獣からの脱出と牛乳の海に浮かぶチーズの島
主人公たちはクジラの森を焼き払ってこれを死に至らしめ、口を梁で支えて脱出に成功する。その後、凍りついた海を滑って渡り、牛乳の海に浮かぶ巨大なチーズの島に到達する。
- §2.4-2.9
福者の島への到着とラダマンテュスの裁判
主人公たちは「福者の島」に到着し、バラの冠で縛られて支配者ラダマンテュスの裁判の場に連行され、英雄たちの様々な争いに対する彼の判決を目撃する。
- §2.10-2.14
福者の島の黄金の都市とエリーシオンの饗宴
一行はラダマンテュスから七ヶ月の滞在を許され、黄金の都市と、肉体を持たない魂たちが住む「福者の島」の不思議な自然や気候、そしてエリーシオンの野で行われる贅沢な饗宴の様子を目にする。
- §2.15-2.19
福者の島での宴興と哲学者たちの暮らし
福者の島での饗宴の様子(詩や歌、二つの泉)が描かれ、ソクラテスやディオゲネスなどの著名な哲学者たちのその後の暮らしぶりや、学派ごとの滞在状況、彼らの奔放な性愛の習俗が紹介される。
- §2.20-2.23
ホメロスへの問答と不敬者たちの反乱鎮圧
語り手は詩人ホメロスと対話し、その出自や作品の創作背景について尋ねる。その後、島で開催された競技会と、不敬な者たちの反乱および英雄たちによるその鎮圧が語られる。
- §2.24-2.27
ヘレネー誘拐未遂と語り手一行への退去命令
不信仰者たちの反乱が鎮圧された後、キニュラスがヘレネーを誘拐して逃亡を企てる。ラダマンテュスは追手を送り彼らを捕らえて不信仰者の国に送り、さらに語り手一行に対しても速やかな退去処分を命じる。
- §2.28-2.32
不信仰者の島での懲罰と夢の島への到着
ラダマンテュスとの別れの後に不信仰者たちの島を訪れたルキアノス一行は、そこで嘘つきや虚偽の歴史家たちが受ける凄惨な罰を目撃し、その後、夢の島に到着してその不思議な性質と都市の様子を描写し始める。
- §2.33-2.35
夢の島の様子とオデュッセウスの手紙
ルキアノス一行は「夢の島」に上陸し、その都市の奇妙な景観、支配構造、様々な姿をした夢たちとの交流を詳しく記述する。その後、島を離れてオギュギア島に到着し、オデュッセウスがカリュプソーにあてた後悔と逃亡の意志を綴った手紙を開封して読む。
- §2.36-2.41
カリュプソーの島訪問と奇妙な海戦の目撃
カリュプソーの島に到着した一行は歓迎を受け、オデュッセウスの手紙を渡す。その後、出航した一行はカボチャ海賊やクルミ船員の海戦、巨大なアルキュオーンの巣、そして船に起こった奇妙な予兆を体験する。
- §2.42-2.44
海の森の踏破と牛頭人種族との遭遇
主人公たちは海上の巨大な森に遭遇し、船を梢の上に引き上げて航行する。その後、巨大な海の裂け目を水の橋を使って渡り、牛の頭を持つ野蛮な種族(ブーケパロイ)の島で彼らと戦い、人質と引き換えに食料を得て和解する。
- §2.45-2.47
オノスケレイスの島と新大陸への難破
語り手たちは風変わりな方法で航海する人々や、旅人を捕食するオノスケレイスの島に遭遇する。その後、新たな大陸を目前にしながら嵐で船が難破し、物語は今後の冒険を「次の巻」に譲るという嘘の約束で幕を閉じる。
