底本
Pindar. The Odes of Pindar. Sandys, John Edwin, editor. London: William Heinemann; Cambridge: Harvard University Press. 1937 (reprint).
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0033.tlg001.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、古代ギリシアの四大競技会の一つであるオリンピア競技会における、様々な戦車競走やレスリング、拳闘などの勝者たちを讃えるために作られた合唱抒情詩「勝利祝歌(エピニキオン)」の詩集です。シラクサの僭主ヒエロンやアクラガスのテロンといった有力な支配者から若い少年競技者まで、多様な勝利者とその一族、そして彼らの故郷の栄光が歌われます。各詩では、神々への祈りから始まり、ペロプスの神話やヘラクレスによるオリンピア競技会の創設など、それぞれの勝者の一族や土地に結びついた豊かなギリシア神話が語られます。ピンダロスは勝利をただ称賛するだけでなく、人間の運命の不確実さや、節度を守ることの重要性、そして労苦の末に勝ち得た栄光の尊さを教訓的に提示します。最終的に、束の間の勝利や一族の功績は、詩人の奏でる不滅の歌によって神聖化され、永遠の記憶として冥界の祖先たちにまで届けられることになります。
目次
15 チャンク
引用方式:poem.line
- §1.1-1.116
ヒエロンの勝利の賛美とペロプスの神話
詩人は水、黄金、太陽、そしてオリンピアの競技を最上のものとして称え、シラクサの僭主ヒエロンの競馬での勝利を祝う。続いて、ペロプスがポセイドンの助けを借りてオイノマオスとの戦車競走に勝ち、ヒッポダメイアを妻に得た神話を語り、人間の節度と詩の不滅の栄光を説く。
- §2.1-2.100
テロンの勝利と死後の応報と魂の転生
詩人はアクラガスの僭主テロンのオリンピア馬車競走での勝利を祝い、彼の祖先の労苦と栄光を称える。さらに、魂の転生と死後の賞罰の神話を提示し、テロンの寛大さを妬む者を退けながら、その功績を砂の数に例えて無限のものとして称賛する。
- §3.1-3.45
テロンの勝利とオリーブをもたらしたヘラクレス
詩人はディオスクロイとヘレネに祈りつつ、テロンの勝利を称える。ヘラクレスがハイパーボリア人からオリーブの木を持ち帰り、オリンピアの地に植えた起源神話が語られ、テロンの栄光の頂点が称えられる。
- §4.1-4.28
プサウミスの勝利とエルギノスの神話
詩人はゼウスに祈りを捧げ、カマリナのプサウミスのオリンピア勝利を祝う歌を受け入れるよう懇願する。また、若くして白髪を持つエルギノスの神話を例に引き、外見による侮辱を実力で撥ね退けた試練の価値を称える。
- §5.1-5.24
プサウミスのミュール競走の勝利とカマリナの繁栄
プサウミスのオリンピアにおけるミュール馬車競走での勝利を祝い、彼がカマリナの神々に捧げた供物、新都市の建設への貢献、そして幸福な老後を祈願する。
- §6.1-6.51
ハゲシアスへの賛辞とイアモスの誕生
詩人は、シラクサの勝者ハゲシアスの家系の輝かしさを、建物の壮麗な玄関に例えて称賛し、彼にふさわしい神話である予言者イアモスの誕生譚を語り始める。
- §6.52-6.105
イアモスの神託とハゲシアスの一族への祈り
予言者イアモスの誕生と彼に授けられた神託の系譜が語られた後、詩人ピンダロスは一族の繁栄を称え、自らの詩的霊感と歌の使命を宣言しつつ、勝利者ハゲシアスとヒエロンの幸運を祈る。
- §7.1-7.95
ディアゴラスの勝利とロドス島創始の神話
ディアゴラスのボクシングの勝利を婚礼の祝杯に例えて祝い、ロドス島の神話的起源やヘラクレスの血を引く先祖トラポレモスの伝説を語り、勝利者の一族の栄光を讃えゼウスに繁栄を祈る。
- §8.1-8.88
アルキメドンの勝利とトロイア城壁の神話
この歌はオリンピアで優勝した少年アルキメドンと彼の家系、そして故郷アイギナを賛美し、建国の祖アイアコスが関わったトロイア城壁建設の神話を描き出します。続いてトレーナーのメレシアスを称え、現在の一族と先祖たちの末永い幸運を祈願します。
- §9.1-9.112
エパルモストスの勝利とオプースの神話
詩人はレスリング競技の勝者エパルモストスを賛美し、オプースの輝かしい歴史や神話的起源、そして彼が各地の競技会で収めた輝かしい勝利の軌跡を称える。
- §10.1-10.105
ハゲシダモスの勝利と競技会創始の神話
詩人は、遅れた約束の歌を果たすべく、ロクリス人ハゲシダモスの勝利を讃える。オリンピア競技会の起源たるヘラクレスの偉業と最初の勝者たちの歴史を振り返りつつ、少年の美しさと栄光を永遠のものとする。
- §11.1-11.21
ハゲシダモスへの賛歌とロクリス人の生得の徳
詩人は、人が労苦の末に勝利したときには讃歌が必要であることを述べ、拳闘勝者ハゲシダモスのために黄金のオリーブ冠を飾る歌を捧げる。さらに、勝者の祖国ロクリスの人々が知性と武勇という優れた不変の本性を備えていることを請け合う。
- §12.1-12.19
運命の女神テュケへの祈願と亡命者エルゴテレスの勝利
運命の女神テュケを讃え、人間の希望の不確実性と運命の変転を述べた後、内乱によりクノッソスを追われヒメラへ移住したエルゴテレスの勝利を称える。
- §13.1-13.115
コリントスのクセノポンへの賛歌とペガソスの神話
詩人はオリンピアの五種競技と短距離走を同時に制覇した色ノポンとその一族(オリガイテス家)を称えるため、彼らの故郷コリントスの美徳と神話的歴史(ベレロポンとペガソスの手綱の神話など)を歌い、彼らの数多くの勝利を列挙して祝福する。
- §14.1-14.24
カリータスへの祈りと亡父への吉報
詩人は、オルコメノスの美と優雅の女神カリータスたちを称えて祈りを捧げ、その助けによってアスオピコスがオリンピア競技で勝利したことを寿ぐ。そして、亡き父クレオダモスのもとに反響の女神アコーを送り、冥界へ勝利の吉報を届けるよう促す。
