底本
Aristophanes. Aristophanis Comoediae, Vol. 1. Hall, F. W. and Geldart, William M., editors. Oxford: Clarendon Press, 1906.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0019.tlg006.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、煩わしい現実の社会から逃れた人間が、鳥たちとともに天上に理想の空中都市を築き上げる壮大な喜劇です。アテナイの厄介な訴訟や公的義務に嫌気がさしたピステタイロスとエウエルピデスは、平穏な新天地を求めて鳥の王テレウス(ヤツガシラ)を訪ねます。ピステタイロスは鳥たちに対し、天と地の間に巨大な都市「ネペロコックギア(雲の上のカッコー市)」を建設し、神々を兵糧攻めにして世界の主権を奪還する計画を提案します。当初は人間を敵視していた鳥たちもこの壮大な計画に賛同し、ともに堅固な城壁を築き上げます。新都市の完成とともに、地上から利権を狙う怪しげな人間たちが大挙して押し寄せますが、ピステタイロスは彼らを容赦なく追い払います。さらに、人間からの供物が途絶えて飢えに苦しむ神々の使節団が和睦交渉に訪れると、彼は見事な交渉術でゼウスの王権と全宇宙の支配権を象徴する女神バシレイアを勝ち取ります。最後は、ピステタイロスとバシレイアの盛大な婚礼が執り行われ、新たな王と鳥たちの繁栄を祝福する喜びに満ちた歌の中で幕を閉じます。
目次
22 チャンク
引用方式:line
- §1-73
テレウスを探す旅路と奴隷鳥との遭遇
アテナイを離れ平穏な新天地を探し求めるピステタイロスとエウエルピデスが、鳥になったテレウス(ヤツガシラ)を訪ねる途中で道に迷い、テレウスの奴隷鳥に遭遇する。
- §74-148
テレウスとの対面と安住の地の相談
ピステタイロスとエウエルピデスは、鳥の奴隷と、鳥へと姿を変えたテレウス(ヤツガシラ)に出会う。二人はアテナイを離れて、厄介な訴訟や公的義務から逃れられる、ふかふかで居心地の良い安住の地を教えてほしいとテレウスに懇願する。
- §149-229
鳥の空中都市建設の提案と鳥たちの招集
ピステタイロスが鳥たちに対して空中都市の建設を提案し、神々を兵糧攻めにする計画を明かす。ヤツガシラはサヨナキドリを起こして美しい歌声を響かせ、鳥たちを呼び集める。
- §230-310
ヤツガシラの呼びかけによる鳥たちの集結
ヤツガシラが様々な環境に暮らす鳥たちを呼び集める。ピステタイロスとエウエルピデスは、集まってきた多様な鳥たちを観察し、それぞれの名前や特徴について滑稽なやり取りを交わすが、鳥たちの威嚇的な態度に気づいて怯え始める。
- §311-381
鳥たちの襲撃とヤツガシラの仲裁
人間の侵入に激怒した鳥たちが二人を八つ裂きにしようと襲いかかるが、ピステタイロスは台所道具で応戦を指揮し、ヤツガシラは彼らが同郷人であることや敵から学べる有益さを説いて鳥たちを宥める。
- §382-467c
休戦協定とピステタイロスによる鳥の王権論
コロスは怒りを収めてピステタイロスたちの話を聞くことに同意する。双方は身の安全を保障する契約を結び、ピステタイロスは鳥たちがかつて世界の王であったという驚くべき説を展開し始める。
- §468-520
鳥がかつて世界の王であった根拠の提示
ピステタイロスは、鳥たちが神々や大地よりも古く、かつて世界を支配していた真の王であったことを、イソップの寓話や各種の鳥の象徴的な特権、神々の持物を根拠に論じる。
- §521-587
鳥の空中都市建設計画と王権奪還の提案
ピステタイロスはかつての鳥たちの高い地位と現在の悲惨な境遇を語り、彼らを説得する。彼は空中に巨大な都市を建設し、ゼウスから王権を奪還するための神々や人間への対応策を提示し、コロスたちを鼓舞する。
- §587b-658c
鳥がもたらす恩恵の提示と鳥たちの同盟の誓い
ピステタイロスは鳥がもたらす様々な実利的恩恵(害虫駆除、鉱山や財宝の発見、安全な航海、長寿)を説き、鳥たちを納得させる。コロスは彼の計画に全面協力してゼウスから王権を奪い返すことを誓い、一同は案内役のヤツガシラの巣へと入る。
- §659-724
サヨナキドリの登場と鳥類の起源を語るパラバシス
ピステタイロスらはヤツガシラの巣に入ろうとし、演奏者のプロクネ(サヨナキドリ)を呼び出す。その後、コロスがパラバシスを開始し、鳥たちの起源がエロスとカオスに遡り、神々よりも古く、人間に多大な恩恵をもたらす存在であることを高らかに語る。
- §725-812
鳥の国の自由の賛美と翼を得た二人の新都市計画
鳥たちの歌隊は、人間に授ける様々な富と健康を約束し、鳥の国では人間の法(ノモス)が禁じる不道徳な行為すらも美しいとされる自由を誇る。その後、ピステタイロスとエウエルピデスが羽を装着して滑稽な姿で再登場し、新都市の命名と儀式について相談する。
- §813-903
新都市の命名と鳥の神々への最初の犠牲式
ピステタイロスとエウエルピデスは新都市の名前を「ネペロコックギア」に決め、その守護神や城壁の警備などを設定したのち、神官を呼んで新しい鳥の神々への犠牲の儀式を始めるが、割り込んでくる猛禽を嫌ったピステタイロスは神官を追い払う。
- §904-989b
詩人と予言者の来訪とピステタイロスによる追放
新しく建設されたネペロコックギアに貧しい詩人と不審な予言者が次々と現れ、ピステタイロスから衣服や供物をだまし取ろうとするが、彼に拒絶され追い払われる。
- §990-1073
メトンたち邪魔者の追放と鳥たちの主権の賛歌
ピステタイロスのもとに、空の測量を企てる幾何学者のメトン、クジ引きで派遣されてきたアテナイの監督官、そして怪しげな法令を売りつける法令販売人が次々と現れる。ピステタイロスは彼らを暴力的に追い払い、鳥たちの合唱が世界の統治者としての自分たちの力を歌う。
- §1074-1154
審査員への勝利要求と鳥たちによる城壁完成の報告
コロスが鳥たちの支配の利点を示して審査員たちに勝者と認めるよう要求する。その後、使者が息を切らして駆けつけ、様々な鳥たちが協力して巨大な城壁を完成させたことを報告する。
- §1154b-1236
城壁警備の報告と侵入したイリスの尋問
使者が鳥たちによる木造部分の完成と強固な守護体制を報告して去った後、不法に侵入したゼウスの使者イリスが捕らえられ、ピステタイロスから厳しく追及される。
- §1237-1327
イリスの追放と人間の鳥狂いの知らせ
ピステタイロスはイリスを脅して追い返し、鳥たちへの犠牲を要求する。その後、地上の人間たちが「鳥狂い」となり、鳥の姿や習慣を真似て空中の都市へ大挙して移住しようとしているという報告を受け、翼を用意して彼らを迎える準備を始める。
- §1328-1413
不孝な若者の説得と詩人キネシアスの追放
父親を殴って財産を奪う目的で、鳥の法律を求めてやってきた若者に対し、ピステタイロスは説得を試みてトラキアでの兵役を勧める。続いて、詩的な霊感を求めてやってきたディテュランボス詩人キネシアスを翻弄し追い払うと、さらに新しい居候候補が歌いながら近づいてくる。
- §1415-1501b
密告者の追放とプロメテウスの密かな来訪
ピステタイロスは密告者の若者を言葉や鞭で懲らしめて追い返し、続いてコーラスが臆病なクレオニュモスと夜の英雄オレステスについての風刺歌を歌う。その後、神々の監視を恐れて全身を隠したプロメテウスが密かに登場する。
- §1502-1585b
プロメテウスの忠告と神々の使節団の到着
プロメテウスが密かに現れ、神々が人間からの供物の途絶により飢餓に陥り、和睦の使節団を派遣する予定であることをピステタイロスに告げる。その後、ポセイドン、ヘラクレス、トリバロス神の三柱が使節として雲上のカッコー市に到着する。
- §1586-1665
神々の使節との講和交渉とヘラクレスの説得
神々の使節たちとピーセタイロスは和解交渉を行う。ピーセタイロスは休戦の条件としてゼウスの王笏に加え、バシレイアの譲渡を要求するが、法律論を用いてヘラクレスを自陣に引き込むことで有利に交渉を運ぶ。
- §1666-1765
講和の成立とピセタイロスの婚礼
ピセタイロスはヘラクレスに、庶子には遺産相続権がないという法律上の事実を突きつけて味方に引き入れ、使節たちと和解に達する。その後、鳥の国ではピセタイロスとバシレイアの盛大な婚礼が執り行われ、鳥たちの支配を祝いながら劇は幕を閉じる。
