底本
Homer. The Odyssey, Volume 1-2. Murray, A. T. (Augustus Taber), editor. London: William Heinmann; New York: G.P. Putnam's Sons, 1919.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0012.tlg002.perseus-grc2
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要旨
『オデュッセイア』は、トロイア戦争の終結後、知謀の英雄オデュッセウスが10年に及ぶ過酷な放浪を経て故郷イタケへ帰還し、王権と家族を取り戻すまでの壮大な叙事詩です。物語の前半では、不在の父を求めて旅立つ若き息子テレマコスの成長と探索の旅が描かれます。中盤では、妖精カリュプソの島から脱出したオデュッセウスがパイアケス人の王宮に漂着し、一眼の巨人ポリュペモスや魔女キルケ、冥界への降下、そして怪物スキュラなど、これまでの凄絶な冒険談を回想します。後半では、アテネ女神の加護を得て乞食に変装したオデュッセウスがイタケに帰還し、忠実な臣下や息子と再会します。彼は館を占拠し妻ペネロペイアに迫る不遜な求婚者たちを弓の試練の末に一掃し、ついに妻や老父ラエルテスとの涙の再会を果たします。最後は神々の調停によって国に平和がもたらされ、長い旅路が締めくくられます。
目次
173 チャンク
引用方式:book.line
- §1.1-1.76
序歌と神々の会議におけるオデュッセウスの擁護
『オデュッセイア』の序歌。神々の会議において、アテネはゼウスにオデュッセウスの帰郷を許すよう求め、ゼウスはそれがポセイドンの怒りによるものであると説明して、神々による解決を提案する。
- §1.77-1.154
アテネのイタケ訪問とテレマコスの歓待
ゼウスがポセイドンの怒りを静めることを提案すると、アテネはヘルメスをカリュプソのもとへ送り、自らはイタケのテレマコスのもとへ行く計画を立てる。アテネは客人の姿でテレマコスの館に到着し、求婚者たちに囲まれて苦悩するテレマコスから歓迎を受ける。
- §1.155-1.224
テレマコスの嘆きとアテネの予言
テレマコスは、館で我が物顔に振る舞う求婚者たちの横暴と父オデュッセウスの不確かな安否をアテネ(メンテス)に嘆く。対するアテネは、オデュッセウスが生存しているという予言を授け、テレマコスの身元と血筋を讃えて力づける。
- §1.225-1.296
アテネによる父探索の勧めと行動指針
アテネはテレマコスに対して求婚者たちの傲慢さを激しく非難し、父オデュッセウスの消息を求めてピュロスとスパルタへ旅立つよう勧める。さらに、旅の結果に応じた母の再婚手続きや求婚者たちへの復讐といった、今後の具体的な行動指針を授ける。
- §1.297-1.369
アテネの去来とテレマコスの権威の主張
アテネはテレマコスを励まして鳥のように飛び去り、テレマコスは神の介入を確信する。求婚者たちの宴席に母ペネロペイアが現れて哀歌を止めるよう頼むが、テレマコスは毅然と母を自室に戻し、求婚者たちに対しても威厳ある態度で静粛に楽しむよう言い放つ。
- §1.370-1.444
テレマコスの求婚者への警告と就寝
テレマコスは求婚者たちに対し、明日の民会で館から立ち去るよう公言すると宣言し、アンティノオスやエウリュマコスと王権や客人の素性について議論する。その後、宴会が終わり、テレマコスは老女エウリュクレイアに付き添われて寝所に入り、旅路に思いを馳せる。
- §2.1-2.70
テレマコスの民会招集と求婚者の専横の告発
夜が明けるとテレマコスは民会を招集し、亡きオデュッセウス以来初めて開かれた集会で、長老アイギュプティオスに促される形で登壇し、求婚者たちによる我が家の窮状を訴える。
- §2.71-2.141
アンティノオスの反論とペネロペイアの織物の計略
テレマコスは民会での告発の最中、怒りと悲しみのあまり笏を地面に投げつけます。これに対して求婚者の首領アンティノオスは、ペネロペイアの織物(ラエルテスの死装束)の計略を暴露して求婚者たちの正当性を主張し、テレマコスに母を送り返して再婚させるよう迫りますが、テレマコスは神々と人道上の理由からそれを断固として拒否します。
- §2.142-2.216
ゼウスの二羽の鷲の凶兆と予言
テレマコスは求婚者たちへの非難と神々への祈りを捧げ、その直後にゼウスから二羽の鷲が凶兆として送られ、ハリテルセスがオデュッセウスの帰還と求婚者たちの滅亡を予言するが、エウリュマコスはそれを嘲笑し、テレマコスは父の帰還の情報を得るための旅立ちを宣言する。
- §2.217-2.289
民会の解散とメントルに化身したアテネの励まし
テレマコスは旅立ちの船と戦友の提供を求めた後、民会の解散を見届ける。その後、海辺でアテネに祈りを捧げると、アテネはメントルの姿で彼を励まし、旅の準備を整えるよう促す。
- §2.290-2.361
旅の準備と乳母エウリュクレイアへの頼み
アテネの指示通り、テレマコスは求婚者たちの嘲笑を無視して密かに旅の支度を進めるため、父親の宝物庫へ行き、長年仕える乳母エウリュクレイアに旅の食料を極秘に用意するよう頼む。
- §2.362-2.434
アテネの助けとテレマコスの秘密の船出
乳母エウリュクレイアはテレマコスの旅立ちを嘆くが秘密を守ることを誓い、準備を整える。アテネはテレマコスやメントルに変装して船と仲間を集め、テレマコスの極秘の船出を先導する。
- §3.1-3.73
ピロスへの到着とネストルの歓迎
テレマコスとアテネはピロスの海岸に到着し、ポセイドンに犠牲を捧げるネストルとその民に出会う。ネストルの息子ペイシストラトスに歓迎された彼らは宴に加わり、食事の後にテレマコスの正体を尋ねられる。
- §3.74-3.145
テレマコスの問いとネストルによる戦争の回顧
テレマコスはネストルに対し、父オデュッセウスの消息を尋ねる。ネストルはトロイア戦争中の苦難や戦死した英雄たちを回想し、オデュッセウスの賢明さを称賛した上で、戦争終了後のギリシア軍の分裂と帰還の困難について語り始める。
- §3.146-3.217
ギリシア軍の分裂と帰還の旅路の語り
ネストルはトロイアからの帰還の道中、アガメムノンとメネラオスの意見対立から軍勢が分裂し、各々が異なる帰途についたことを語る。それを聞いたテレマコスは、自身の境遇を嘆きつつ、父の仇を討ったオレステスのような強さが自分にもあればと願う。
- §3.218-3.288
アガメムノンの非業の死とアイギストスの奸計
テレマコスとネストル、そしてメントルに化けたアテネが神の加護と帰郷について語り合う。ネストルはアガメムノンの非惨な死をもたらしたアイギストスの奸計と、メネラオスの帰路の遅延について話し始める。
- §3.289-3.357
メネラオスの放浪とネストルによる歓待の申し出
ゼウスの嵐によりメネラオスはエジプトへと流され、そこで莫大な財宝を集める。ネストルはテレマコスに対し、求婚者たちの横暴から早く帰郷しつつもメネラオスを訪ねるよう勧め、夜が更けるとアテネとテレマコスをもてなすために引き止める。
- §3.358-3.428
アテネの変身とネストルの生贄の準備
女神アテネは鳥の姿となって去り、ネストルは彼女がアテネであることを確信して祈りを捧げ、テレマコスを自らの館に迎え入れる。翌朝、ネストルは息子たちを集め、アテネへの生贄として雌牛を捧げる準備を指示する。
- §3.429-3.497
アテネへの犠牲式とスパルタへの出発
ネストルの一族がアテネ女神のために雌牛の厳かな犠牲式を執り行い、盛大な祝宴を開く。その後、テレマコスはネストルの息子ペイシストラトスの案内で、戦車に乗ってスパルタへの旅路に就く。
- §4.1-4.74
スパルタ到着とメネラオスの宮殿での歓待
テレマコスとペイシストラトスはスパルタのメネラオスの宮殿に到着し、彼の子供たちの婚礼の宴の最中に温かく迎えられ、その豪華絢爛な館に驚嘆する。
- §4.75-4.145
メネラオスの回想とヘレネによる正体の察知
テレマコスが宮殿の豪華さに圧倒されていると、メネラオスは自身の悲痛な放浪記を語り、トロイア戦争の犠牲、とりわけ行方知れずのオデュッセウスを深く惜しむ。そこへ現れたヘレネは、客人の青年がオデュッセウスの息子テレマコスに瓜二つであることに気づく。
- §4.146-4.215
オデュッセウスを偲ぶ涙と宴の再開
メネラオスは目の前の若者がオデュッセウスに酷似していることを認め、オデュッセウスの帰還が叶わなかった無念を語る。ネストルの子ペイシストラトスの勧めで一同は涙を収め、明日の対話を期して再び夕食に臨む。
- §4.216-4.288
ヘレネとメネラオスが語るオデュッセウスの知略
ヘレネは宴の席で悲しみを和らげる薬をワインに混ぜ、トロイアに潜入したオデュッセウスの機知を称える話を語る。これに対し、メネラオスもトロイアの木馬の内部でオデュッセウスが仲間を制して窮地を救ったエピソードを語り、彼の優れた知恵を称賛する。
- §4.289-4.359
求婚者たちの窮状の訴えとメネラオスの放浪譚
テレマコスの求めにより、彼らは床に就く。翌朝、テレマコスはメネラオスに求婚者たちの横暴と父の行方について語り、メネラオスはこれに憤慨して、自らの放浪とエジプトでの海神プロテウスとの遭遇について語り始める。
- §4.360-4.429
エイドテアの助言とプロテウス捕縛の計略
ファロス島で足止めされ飢えに苦しむメネラオスは、海の老神プロテウスの娘エイドテアに出会い、帰郷の方法を聞き出すために老神を捕らえるための巧妙な待ち伏せの計略を授けられる。
- §4.430-4.497
プロテウスの捕縛とメネラオスへの神託
メネラオスとその仲間たちは、エイドテアの助けを得て海の老神プロテウスを待ち伏せし、彼が取る様々な変身に耐えて捕らえることに成功する。プロテウスはメネラオスに、エジプトに戻り神々に犠牲を捧げるべきであるという帰郷の条件を告げ、他のアカイア人たちの運命について語り始める。
- §4.498-4.565
アカイア軍諸将の運命とメネラオスへの予言
海の老神プロテウスは、小アイアスとアガメムノンの非業の死を告げ、オデュッセウスがカリュプソの島に囚われていることを明かす。さらに、メネラオス自身は死なずにエリュシオンへと送られる運命にあると予言する。
- §4.566-4.635
メネラオスの帰還とテレマコスへの贈り物
海の老神はエリュシオンの安楽な暮らしを説明したあと海に消え、メネラオスは儀式を済ませてスパルタに帰還する。スパルタでメネラオスはテレマコスに滞留を勧め、馬ではなく豪華な混酒器を贈ることを約束し、場面はイタケの求婚者たちの動向へと移る。
- §4.636-4.706
求婚者たちの暗殺計画とペネロペイアの嘆き
ノエモンからテレマコスの旅立ちを知らされた求婚者たちは、彼の帰路を待ち伏せて殺害することを企てる。この陰謀を伝令官メドンから知らされたペネロペイアは深い絶望に陥る。
- §4.707-4.776
エウリュクレイアの慰めとペネロペイアの祈り
メドンからテレマコスの旅立ちと求婚者たちの陰謀を聞いたペネロペイアは深い悲しみに暮れ、乳母エウリュクレイアに慰められた後、アテナ神に息子の無事を祈る。
- §4.777-4.847
求婚者たちの出航とペネロペイアが見る幻影
アンティノオスの提案のもと、求婚者たちはテレマコスを待ち伏せするために二十人の男たちを選び出して出航する。一方、悲しむペネロペイアのもとへアテナが彼女の妹の姿をした幻を送り、息子の無事を告げて彼女を慰める。
- §5.1-5.72
ゼウスの命によるヘルメスのカリュプソの島への派遣
アテナの訴えによりゼウスはヘルメスにカリュプソの島への出発を命じ、オデュッセウスの帰還を決定する。ヘルメスはオギュギア島へと飛び、妖精カリュプソが織物を織る美しい洞窟に到着する。
- §5.73-5.144
ヘルメスの伝言とカリュプソの服従
ヘルメスは美しいカリュプソの洞窟に到着し、オデュッセウスを帰還させるようにとのゼウスの命令を伝える。カリュプソは神々の嫉妬を不満に思いつつも命令に従い、彼の出発を助けることを約束する。
- §5.145-5.214
カリュプソの出発の促しとオデュッセウスの決意
ヘルメスが去った後、カリュプソはオデュッセウスに筏を作って帰還するよう促す。オデュッセウスは当初その意図を疑うが、彼女の誓いによって安心し、共に食事をとった後、彼女から不死の提案と引き換えに引き留めを受ける。
- §5.215-5.285
オデュッセウスの筏造りと出航およびポセイドンの発見
オデュッセウスはペネロペイアへの変わらぬ思いを口にし、カリュプソの助けを得て4日間で筏を作り上げて出発する。しかし、航海18日目に目的地が近づいたとき、アイティオピアから帰途についていたポセイドンに発見される。
- §5.286-5.356
ポセイドンの嵐とレウコテアのヴェール
アイティオピアから戻る途中のポセイドンが、オデュッセウスの航海に気づき、激しい暴風雨を起こして彼の筏を打ち砕く。絶望するオデュッセウスのもとに、海の女神レウコテア(イノ)が現れ、彼を救うための不死のヴェールを授ける。
- §5.357-5.426
筏の崩壊とパイアケス人の国への漂流
オデュッセウスはイノの忠告に従って衣服を脱ぎ、壊れた筏から泳ぎ出す決意をする。アテナの助けで嵐が和らぎ、パイアケス人の住む陸地を遠くに見出すが、険しい岩礁が立ちはだかり、新たな危機に直面する。
- §5.427-5.493
オデュッセウスの河口への上陸と茂みでの眠り
オデュッセウスはアテナの助力で岩礁への激突死を免れ、川の神に祈って安全に河口へと上陸する。イノのヴェールを返却した後、彼は寒さと猛獣の脅威を避けるために森のオリーブの茂みの下に木の葉を敷いて眠りに就く。
- §6.1-6.67
アテナのナウシカアへの神託と洗濯の支度
アテナはパイアケス人の国へ赴き、アルキノオス王の娘ナウシカアの夢枕に立って洗濯に行くよう促す。翌朝目覚めたナウシカアは、父に馬車の準備を頼む。
- §6.68-6.134
ナウシカアの川辺での洗濯とオデュッセウスの目覚め
アルキノオスはナウシカアの願いを聞き入れて馬車を準備させ、彼女は侍女たちとともに川辺へ洗濯に赴く。洗濯を終えて彼女たちが興じたボール遊びの叫び声によって、眠っていたオデュッセウスが目を覚まし、警戒しながら茂みから姿を現す。
- §6.135-6.199
オデュッセウスの懇願とナウシカアの歓待の約束
裸のオデュッセウスが乙女たちの前に現れ、侍女たちが逃げ去る中、アテナに勇気を与えられたナウシカアだけが踏みとどまる。オデュッセウスは適切な距離から彼女を巧みに称賛して助けを求め、ナウシカアは彼を歓迎して保護を約束する。
- §6.200-6.264
オデュッセウスのもてなしと宮殿への道案内
ナウシカアは侍女たちに、オデュッセウスを恐れずにもてなすよう命じる。アテナの加護によって美しく整えられたオデュッセウスに惹かれたナウシカアは、彼を父親の宮殿に案内するため、自分たちの馬車の後を歩いて追うよう指示する。
- §6.265-6.331
ナウシカアの助言とアテナの森での祈り
ナウシカアは自身の不名誉な噂を避けるため、オデュッセウスに町の手前のアテナの森で待機するよう指示し、後から王宮に乗り込んで王妃アレテに直接懇願するように勧める。オデュッセウスは指示に従って森で待機し、アテナに自らの安全な受け入れを祈る。
- §7.1-7.70
アテナの導きによるパイアケスの町入りと王家の系譜
ナウシカアは実家に帰宅し、オデュッセウスはアテナの導きで霧に包まれながらパイアケスの町に入り、王宮へ向かう。アテナは彼にパイアケス王家の系譜を説明し、王妃アレーテーの重要性を教える。
- §7.71-7.142
アルキノオスの壮麗な宮殿と果樹園の描写
アテナはアレーテー王妃の重要性を説いて去り、オデュッセウスは驚異的な美しさを誇るアルキノオスの宮殿と不滅の果樹園を驚嘆しつつ通り抜け、王妃の前に達する。
- §7.143-7.212
アレーテーへの嘆願とアルキノオスの歓待
アテナの霧が消え、姿を現したオデュッセウスは王妃アレーテーに帰国への援助を乞う。老エケネオスの促しにより、王アルキノオスはオデュッセウスを歓迎し翌日の送り船を約束するが、オデュッセウスは自分が神ではなく苦難の人間であることを告げる。
- §7.213-7.281
アレーテーの問いとオギュギアーからの漂流談
オデュッセウスは自身の空腹を語ることでパイアケス人のもてなしを促すとともに、王妃アレーテーの問いに答えて、オギュギアー島からの漂流の旅路を語る。
- §7.282-7.347
ナウシカアとの出会いとアルキノオスの送還の約束
オデュッセウスは川辺の茂みで眠りにつき、翌日ナウシカアとその侍女たちに出会って救われた経緯を語る。アルキノオスは娘の配慮不足を認めつつも彼を歓迎し、翌日の祖国への送還を約束する。
- §8.1-8.75
民会での送還決定とデモドコスの最初の歌
朝、アルキノオスとオデュッセウスは民会に赴き、アテナの助力のもと、フェアイアクス人たちにオデュッセウスの送還を準備するよう求める。王宮に戻ると、盲目の歌い手デモドコスが招かれ、オデュッセウスとアキレウスの争いを歌う。
- §8.76-8.148
フェアイアクス人の競技大会とオデュッセウスへの参加要請
デモドコスの歌を聞いて涙を流すオデュッセウスに気づいたアルキノオスは、宴を切り上げて競技大会の開催を宣言する。フェアイアクス人の若者たちが各種競技で競い合った後、アルキノオスの息子ラオダマスがオデュッセウスに競技への参加を促す。
- §8.149-8.220
オデュッセウスの円盤投げと競技への挑戦
エウリュアロスに挑発されたオデュッセウスは怒り、自ら巨大な円盤を投げて圧倒的な実力を示す。その後、他の競技や弓術での自信をフェアイアクス人たちに語る。
- §8.221-8.293
オデュッセウスの誇言とデモドコスのアレスの歌
オデュッセウスは自身の弓矢や槍の卓抜さを誇りつつ、長旅の疲労から徒競走だけは不安であると明かす。これを聞いたアルキノオスはフェアイアクス人の歌舞の能力を誇示し、デモドコスはアレスとアフロディテの不義の恋を歌い始める。
- §8.294-8.367
ヘパイストスの罠とアレスらの解放
アレスとアフロディテがヘパイストスの罠に捕らえられ、駆けつけた神々の前で恥をさらす。ポセイドンの仲介によってヘパイストスは二人を解放し、彼らはそれぞれ退散する。
- §8.368-8.442
パイエケス人の舞踏と和解の贈り物
オデュッセウスはパイエケス人の若者たちの素晴らしいボールダンスを称賛する。アルキノオスはオデュッセウスの聡明さを称え、諸王に贈り物を集めるよう命じ、失言したエウリュアロスに和解の剣を贈らせる。
- §8.443-8.513
ナウシカアとの別れと木馬の歌の所望
アレーテから贈られた箱に荷物を納めたオデュッセウスは、湯浴みをして宴席へと戻る。そこでナウシカアと別れの言葉を交わしたのち、オデュッセウスは歌い手デモドコスに木馬の計略とトロイア陥落についての歌を所望する。
- §8.514-8.586
オデュッセウスの落涙とアルキノオスの問い
歌い手デモドコスがトロイア陥落時のオデュッセウスの活躍を歌うと、オデュッセウスは密かに涙を流す。それに気づいたアルキノオス王は歌を止めさせ、客人にその正体と、涙の理由であるトロイア戦争での失われた人々について問いかける。
- §9.1-9.71
名乗りとキコネス人との戦い
オデュッセウスはアルキノオス王に促され、自らの素性と故郷イタケについて明かした上で、トロイア陥落後の過酷な帰還の旅の始まりを語り始める。最初の寄港地イスマロスでのキコネス人との戦闘と敗北、およびその後の嵐の顛末が述べられる。
- §9.72-9.144
ロトパゴイの国とキュクロプス沖の山羊島
オデュッセウスは暴風雨によってロトパゴイの国に漂着し、蜜のように甘いロトスを食べて帰還の意志を失った同志たちを連れ戻す。その後、彼らは野生の山羊が豊かに生息する未開の無人島へ到着し、対岸のキュクロプスたちの国を望む。
- §9.145-9.216
山羊の狩猟とキュクロプスの洞窟への出発
オデュッセウスたちは謎の島に上陸して山羊の狩猟を行い、仲間と宴を開く。その後、オデュッセウスは選り抜きの部下を連れて、驚異的な巨人が住むという近くの島にある洞窟の探索へと向かう。
- §9.217-9.286
ポリュペモスの帰還とオデュッセウスの偽り
オデュッセウスらはポリュペモスの洞窟に入り待つが、帰還した怪物は巨大な岩で洞窟を塞ぎ、彼らを厳しく尋問する。これに対してオデュッセウスは機転を利かせ、船が難破したと偽る。
- §9.287-9.354
キュクロプスの蛮行とオデュッセウスの杭の準備
キュクロプスはオデュッセウスの仲間を無残に殺害して食らい、洞窟の入り口を塞いで眠りにつく。オデュッセウスは怪物に復讐するため、オリーブの棍棒を削って鋭い杭を作り、仲間とともに実行の準備を整える。
- §9.355-9.421
偽名ウーティスの計略とキュクロプスの失明
オデュッセウスはウーティス(誰でもない)という偽名を告げてキュクロプスを泥酔させ、眠り込んだ隙にオリーブの杭でその単眼を突き刺す。叫びを聞いて集まった他のキュクロプスたちも、「ウーティスが自分を殺そうとしている」という言葉に惑わされて立ち去り、オデュッセウスの策略が成功する。
- §9.422-9.494
羊を利用した脱出とポリュペモスの巨石投擲
オデュッセウスは羊の腹にしがみつくことでポリュペモスの洞窟から脱出し、船へと逃れて海に出る。その後、海上でオデュッセウスが挑発したためにポリュペモスは巨大な岩を投げ、船は危機に陥るが、オデュッセウスは再び脱出を試みる。
- §9.495-9.566
オデュッセウスの名乗りとポリュペモスの呪い
オデュッセウスは自身の正体を明かしてキュクロプスを嘲り、これに対してポリュペモスは父ポセイドンにオデュッセウスの帰還を阻むよう祈る。その後、一行は仲間が待つ島へと戻り、戦利品の分配と犠牲を捧げて再び航海へ出発する。
- §10.1-10.71
アイオロスの歓待と風の袋による逆風
オデュッセウス一行は風の主アイオロスの住む浮島に到着し温かく歓迎され、順調な帰還のためにあらゆる風を閉じ込めた皮袋を授かる。しかし、イタケを目前にして同志たちの疑心暗鬼から袋が開けられ、嵐によって船は再びアイオロスの島へと押し戻されてしまう。
- §10.72-10.145
ライストリュゴネス族の襲撃と船団の壊滅
アイオロスに島から追い出されたオデュッセウス一行は、ライストリュゴニア人の土地に到達するが、そこで巨人のような原住民に襲われ、オデュッセウスの船以外のすべての船と多くの同志を失う。その後、彼らはキルケの住むアイアイエ島に到着する。
- §10.146-10.217
牡鹿の狩猟とエウリュロコス隊の派遣
オデュッセウスは高台からキルケの館の煙を見つけ、途中で巨大な牡鹿を仕留めて仲間に分け与え、彼らを元気づける。その後、仲間を二つの組に分け、籤で選ばれたエウリュロコス率いる一隊がキルケの館へ派遣され、そこで魔法にかけられた猛獣たちに遭遇する。
- §10.218-10.287
キルケによる部下の変身とヘルメスの出現
キルケの館に到着したオデュッセウスの部下たちは、彼女の術中に落ちて豚の姿に変えられてしまう。唯一難を逃れたエウリュロコスから報告を受けたオデュッセウスは、部下を救出するため一人でキルケの館へ向かい、その途中でヘルメス神に出会う。
- §10.288-10.355
モーリュの授与とキルケの屈服
ヘルメスはオデュッセウスに魔術に対抗する薬草「モーリュ」を授け、キルケを屈服させる方法を教える。オデュッセウスは指示通りにキルケの魔術を破って圧倒し、同志の救出と自身の安全を誓わせた上で彼女と結ばれる。
- §10.356-10.427
キルケのもてなしと同志たちの人間への復元
オデュッセウスはキルケの侍女たちから入浴や食事のもてなしを受けるが、同志たちのことを憂いて食事を拒む。キルケは彼の求めに応じて豚に変えられた同志たちを元の、以前よりも若く美しい人間の姿に戻し、オデュッセウスは船に残した他の同志たちを呼びに戻る。
- §10.428-10.500
キルケの館での滞在と冥界行きの告知
エウリュロコスの反対を押し切ってオデュッセウス一行はキルケの館に向かい、再会を喜ぶ。彼らはそこで一年間過ごしたが、同志たちの促しで帰郷を決意し、キルケから冥界のテイレイシアスを訪ねるよう告げられる。
- §10.501-10.574
キルケによる冥界行きの指示とエルペノールの死
オデュッセウスは冥府への旅路に不安を抱くが、キルケは目的地までの航海方法、冥府の入り口で行うべき死者への供儀、予言者テイレイシアスへの尋問手順を詳しく指示する。出発の朝、若者エルペノールが事故死するが、一行はキルケの用意した生贄を携えて船へと向かう。
- §11.1-11.73
冥界の入り口での降霊とエルペノールの霊
オデュッセウス一行はキルケの島を出発して世界の果てに到達し、冥界の入り口で死者の儀式を行う。そこに様々な死者の魂が集まり、最初に未埋葬の同志エルペノールが現れて自身の埋葬を懇願する。
- §11.74-11.144
テイレイシアスによる帰郷と未来の預言
エルペノールが埋葬の願いを告げ終えると、テイレイシアスが現れ、オデュッセウスに帰郷を阻むポセイドンの怒りと、太陽神の家畜を傷つけぬよう警告する。さらに求婚者たちへの復讐と海を知らぬ地での旅、そして穏やかな最期を預言し、オデュッセウスは亡き母との対話方法を尋ねる。
- §11.145-11.212
母アンティクレイアの霊との対話
テイレイシアスから死者が言葉を語る方法を聞いたオデュッセウスは、母アンティクレイアの魂と対面してイタケの家族の近況や彼女の死の真相を聞き、その幻影を抱きしめようと試みる。
- §11.213-11.285
死者の掟と冥界に現れる高貴な女性たちの霊
オデュッセウスは母から、死者の魂が肉体を失い夢のように漂うものであるという冥界の法則を聞く。その後、ペルセポネイアに促されて現れたテュロやアンティオペなど、神話に名高い高貴な女たちの魂と次々に出会う。
- §11.286-11.357
高貴な女性たちの物語の中断とアルキノオスの賞賛
オデュッセウスは冥界で出会った高貴な女たちの系譜を語り終えて沈黙し、アルキノオスの宮廷を魅了する。王妃アレテと王アルキノオスは彼を称賛し、引き留めて贈り物を厚くすることを約束する。
- §11.358-11.427
アガメムノンの亡霊との出会いと悲惨な死の告白
オデュッセウスはアルキノオス王からの賞賛を受け、さらに夜を徹して物語を続けるよう促される。彼は冥府でアガメムノンの亡霊と出会い、アガメムノン自身が妻クリュタイムネストラとアイギストスの陰謀によって惨殺された悲劇的な最期を語る。
- §11.428-11.495
アガメムノンの警告とアキレウスとの対話
アガメムノンはオデュッセウスに、ペネロペイアの賢明さを称えつつも、女を完全に信用しないよう警告する。その後アキレウスの亡霊が現れ、オデュッセウスは彼の冥界での権威を称えるが、アキレウスは死者の王であるよりも生きて仕える方がましだと語り、息子の消息を尋ねる。
- §11.496-11.568
ネオプトレモスの武勇の報告とアイアースの沈黙
オデュッセウスはアキレウスにその息子ネオプトレモスのトロイア戦争木馬作戦での勇猛な活躍と無傷での帰還を語り、アキレウスを喜ばせる。その後、かつてアキレウスの武具をめぐって争い自害したアイアースの亡霊に語りかけるが、アイアースは沈黙したまま立ち去る。
- §11.569-11.640
冥界の罪人たちの責め苦とヘラクレスとの対話
オデュッセウスは冥界でミノス、オリオン、そして過酷な刑罰に苦しむティテュオス、タンタロス、シシュポスらの姿を見る。さらにヘラクレスの幻影と対話した後、死者の群れの恐怖から逃れるように船を出してオケアノスを帰還する。
- §12.1-12.65
エルペノールの埋葬とキルケによる航路の警告
オデュッセウスらはアイアイエ島に帰還してエルペノールを火葬・埋葬する。キルケは彼らを迎え、今後の航路におけるセイレンの歌声の危険とその対処法、およびプランクタイ(彷徨う岩)について警告を与える。
- §12.66-12.127
スキュラとカリュブディスへのキルケの助言
キルケはスキュラとカリュブディスという恐るべき二つの脅威について、その特徴と通過方法を教える。オデュッセウスは戦って対抗しようとするが、キルケは不死の怪物に立ち向かう無謀さを戒め、素早く逃げ去るよう勧める。
- §12.128-12.191
キルケの最後の警告とセイレンの歌
キルケはスリナキア島におけるヘリオスの神聖な家畜についての警告と帰還の条件を告げた後、立ち去る。オデュッセウスは船を出発させ、セイレンの歌に備えて仲間の耳を蜜蝋で塞ぎ、自分をマストに縛り付けるよう命じる。船が島に近づくと、セイレンたちが彼に歌いかける。
- §12.192-12.257
スキュラとカリュブディスの通過と仲間の犠牲
オデュッセウス一行はセイレンの誘惑を乗り越えるが、その直後にスキュラとカリュブディスの待ち受ける狭路に差し掛かり、スキュラによって6人の仲間が犠牲になる。
- §12.258-12.323
ヘリオスの島への到着と仲間の誓い
スキュラとカリュブディスを抜けたオデュッセウス一行は太陽神ヘリオスの島に到着する。オデュッセウスは予言に従って島を避けるよう主張するが、エウリュロコスの反発に遭い、ヘリオスの牛や羊を殺さない誓いを立てさせて上陸する。
- §12.324-12.389
ヘリオスの牛の屠殺と神々の怒り
オデュッセウスの制止にもかかわらず、嵐による食糧難に苦しむ仲間たちはエウリュロコスの扇動でヘリオスの聖なる牛を殺し、神々に捧げて食べてしまう。この暴挙を知ったヘリオスはゼウスに復讐を求め、ゼウスはオデュッセウスの船を海上で雷によって難破させることを約束する。
- §12.390-12.453
船の難破と仲間の全滅およびオデュッセウスの漂着
オデュッセウスは雷雨によって船が難破し、仲間全員が亡くなった経緯を語る。彼自身はマストと竜骨にしがみついて漂流し、カリュブディスの危機を再び乗り越えて、オギュギエ島に漂着したところで冒険談を締めくくる。
- §13.1-13.75
歓待の返礼とオデュッセウスの出航の準備
オデュッセウスの語りを聞き終えたアルキノオス王はさらなる贈り物を提案し、翌日、オデュッセウスは盛大な宴と献酒ののち、ファイアケス人の船に乗ってついに帰郷の途に就く。
- §13.76-13.150
オデュッセウスのイタケ上陸とポセイドンの怒り
オデュッセウスを乗せたパイアケス人の船は、彼が深い眠りにあるうちにイタケに到着し、ポルキュスの港にあるオリーブの木の根元に彼と財宝を残して去る。ポセイドンはオデュッセウスの帰還に憤慨し、ゼウスの同意を得てパイアケス人の船への報復を企てる。
- §13.151-13.223
パイアケス人の船の石化と目覚めたオデュッセウス
ポセイドンはパイアケス人たちの帰還船を港の目前で石に変える。アルキノオスは古の神託が実現したことを悟り、都市が山で隠されないよう神への犠牲を捧げる。目覚めたオデュッセウスはアテネがかけた霧のために祖国を認識できず嘆くが、そこに若い羊飼いに変装したアテネが現れる。
- §13.224-13.295
変装したアテネとの対面と偽りの身の上話
アテネは若い羊飼いの姿でオデュッセウスの前に現れ、ここが彼の祖国イタケであることを告げる。オデュッセウスは狂喜するが、正体を隠してクレーテー出身の亡命者という偽りの身の上話を語り、アテネは彼の知略を微笑んで称える。
- §13.296-13.367
アテネによる霧の消去と祖国イタケの確認
アテネはオデュッセウスに、彼の思慮深さを褒め称え、ここが確かにイタケであることを確信させるため周囲の地形を示す。霧が晴れて祖国を見たオデュッセウスは歓喜し、大地とニンフたちに祈りを捧げる。
- §13.368-13.440
求婚者討伐の計略と乞食への変装
オデュッセウスとアテネは財宝を隠した後、求婚者たちの滅亡を画策する。アテネはオデュッセウスを老人の姿に変装させ、まずは豚飼いのもとを訪ねるよう指示し、テレマコスを呼び戻すためにスパルタへと向かう。
- §14.1-14.69
豚飼いエウマイオスの小屋への到着と歓待
オデュッセウスはアテネの指示に従い、忠実な豚飼いエウマイオスの小屋を訪ねる。みすぼらしい老人姿のオデュッセウスを、エウマイオスは親切に迎え入れ、不在の主人への忠誠と哀慕を語る。
- §14.70-14.134
求婚者たちの専横と主人の死を嘆くエウマイオス
エウマイオスはオデュッセウスを手厚くもてなし、求婚者たちの不遜な財産の浪費と、主人の莫大な遺産について細かに語る。オデュッセウスは素性を隠して主人の消息を尋ねるが、エウマイオスは放浪者の虚言を警戒し、主人はすでに亡くなったと信じて疑わない。
- §14.135-14.199
オデュッセウスの帰還の誓いと偽の身の上話
エウマイオスはオデュッセウスの死を確信してその喪失を嘆き、求婚者に狙われるテレマコスの身を案じる。オデュッセウスは必ず主人が帰還すると誓い、自らの偽の身の上話を語り始める。
- §14.200-14.268
クレタ出身者を名乗る偽りの身の上話とエジプト遠征
オデュッセウスはクレタの富豪の庶子カストルとしての偽の身の上話を語り、武勇によって富と名声を得た過去やトロイア遠征、そしてエジプトへの略奪遠征における部下の暴走を回想する。
- §14.269-14.335
漂流の末のテスプロティア漂着とオデュッセウスの消息
オデュッセウスはエジプトでの敗戦から王に命を救われ、その後フェニキア人に騙されて難破を経験し、テスプロトスに漂着した偽の身の上話を語る。そこでテスプロトスの王ペイドンから、オデュッセウス自身がドードーナへゼウスの神託を聞きに赴き、帰国の準備をしていたという消息を聞いたと語る。
- §14.336-14.401
イタケ到着の経緯とエウマイオスへの誓約の提案
船乗りたちの企みから脱出してイタケに逃れた身の上話を終えたオデュッセウスに対し、エウマイオスは主人の帰還に関する話は信じられないと述べ、神への敬畏から彼を歓待していることを伝える。それに対しオデュッセウスは、主人の帰還を巡る誓約を提案する。
- §14.402-14.467
エウマイオスの歓待の宴と外套を求める昔語り
エウマイオスはオデュッセウスの賭けの提案を退け、帰還した仲間たちと共に最上の豚を屠って信心深く夕食を整え、オデュッセウスを厚くもてなす。夜になり、雨風が強まる中、オデュッセウスはエウマイオスの親切心を試すために衣服を求める意図で、ワインの勢いに乗じて昔語りを始める。
- §14.468-14.533
オデュッセウスの偽りの夜襲譚と外套の貸与
変装したオデュッセウスは、トロイア戦争中の夜襲の際に、知略によって防寒マントを手に入れた過去の偽りの逸話をエウマイオスに語る。これを聞いたエウマイオスは彼にマントを貸し与えて眠らせ、自身は夜間の見張りのために外へ出ていく。
- §15.1-15.73
アテナの帰国勧告とテレマコスの出立の願い
アテナはスパルタに赴き、テレマコスにペネロペイアの危急と求婚者の待ち伏せを告げて早期帰国を促す。目覚めたテレマコスは、引き留めるペイシストラトスを説得して夜明けを待ち、現れたメネラオスに即座の出発を願い出る。
- §15.74-15.144
メネラオスとヘレネによる歓送の贈り物
メネラオスはテレマコスの強い帰国希望を受け入れ、彼を引き留めずに見送る準備をし、ヘレネやメガペンテスとともに貴重な贈り物を授ける。その後、彼らは出発前の最後の食事をともにする。
- §15.145-15.214
鷲の吉兆とテレマコスのピュロスからの船出
テレマコスとペイシストラトスはスパルタを出発し、帰路につく。途中、鷲がガチョウをさらうという吉兆が現れ、ヘレネはこれをオデュッセウスの帰還と復讐の予兆と解釈する。ピュロス近くに至ると、テレマコスはネストルによる過剰な引き留めを避けるため、ペイシストラトスに頼んでそのまま船へと直行し、船出の準備を整える。
- §15.215-15.284
逃亡者テオクリュメノスの合流と船出
テレマコスはネストルによる引き留めを避けるためピュロスの館を訪れず、直接海辺から船出しようとする。その際、人を殺して逃亡中であった予言者テオクリュメノスが近づいて同行を懇願し、テレマコスはこれを快諾して船に迎え入れ、ともに出発する。
- §15.285-15.354
テレマコスの夜間航行とエウマイオスの引き止め
テレマコスはアテナの送り出した追い風に乗って夜を徹して航海を続け、求婚者たちの待ち伏せを避ける。一方、エウマイオスの小屋では、オデュッセウスが町での物乞いを提案してエウマイオスの親切を試すが、エウマイオスはそれを引き止め、自分の素性とオデュッセウスの両親について語り始める。
- §15.355-15.425
ラエルテスの悲嘆とエウマイオスの身の上話
エウマイオスはオデュッセウスの母の死と父ラエルテスの悲惨な老境について語り、自身が幼少期に過ごした生い立ちと、彼を育ててくれた奥様への思慕を回想する。さらにオデュッセウスに乞われて、故郷シリア島での王の息子としての生活と、フェニキア人に誘拐された経緯を語り始める。
- §15.426-15.491
エウマイオスの誘拐と奴隷への転落
豚飼いエウマイオスはフェニキアの女中に連れ去られて奴隷に売られた自身の過去の経緯を語り終え、オデュッセウスは彼の苦難に同情しつつ、優しい主人のもとで平和に暮らせている現在の幸運を指摘する。
- §15.492-15.557
テレマコスの帰還と吉兆の鳥
オデュッセウスとエウマイオスが話を終えて短い眠りについた後、イタケの岸に到着したテレマコスは、旅の同伴者テオクリュメノスの滞在先としてエウリュマコスを推薦する。しかしその直後、アポロンの使いである鷹が鳩を裂く吉兆が現れ、テオクリュメノスはテレマコスの家系の繁栄を予言し、結局テレマコスは信頼する仲間ペイライオスに彼の世話を委ねて豚飼いのもとへと急ぐ。
- §16.1-16.67
テレマコスのエウマイオスの小屋への到着
テレマコスが豚飼いエウマイオスの小屋に帰還し、エウマイオスに涙ながらに温かく迎えられる。テレマコスは、そこに居合わせた変装した見知らぬ客(父オデュッセウス)の素性についてエウマイオスに尋ねる。
- §16.68-16.137
テレマコスの苦境の吐露と母への使者
テレマコスは求婚者たちの横暴により謎の客を館へ迎えることができない苦悩を吐露し、客を豚飼いのもとに留めることを提案する。オデュッセウスはそれを聞いて義憤を露わにし、テレマコスは家系の危機を語るとともに、母に無事帰国を報告するようエウマイオスに命じる。
- §16.138-16.203
オデュッセウスの変貌とテレマコスへの名乗り
エウマイオスが去った後、オデュッセウスはアテネの力によって姿を若返らせ、息子テレマコスに自らの正体を明かす。テレマコスは最初これを神による幻惑と疑うが、オデュッセウスは自分が本物の父親であることを諭す。
- §16.204-16.271
父子の涙の再会と求婚者への報復の相談
オデュッセウスは自分が本物の父親であることをテレマコスに納得させ、二人は涙の再会を果たす。その後、求婚者たちへの復讐を果たすべく、敵の数と味方の可能性について相談を始める。
- §16.272-16.340
武器の隠匿の指示とテレマコスの帰還の報せ
オデュッセウスはテレマコスに、乞食に変装して館に入ること、求婚者の目を盗んで武器を隠すこと、自身の帰還を誰にも漏らさないことを命じる。一方、テレマコスを乗せた船が到着し、使者がペネロペに彼の無事な帰還を報告する。
- §16.341-16.411
求婚者たちの落胆とテレマコス暗殺の謀議
テレマコスが帰還したため、求婚者たちは待ち伏せの失敗を知り落胆する。アンティノオスはテレマコスの速やかな殺害を呼びかけるが、アムピノモスはまず神託を仰ぐべきだと主張し、一同はこれに同意する。
- §16.412-16.481
求婚者を詰問するペネロペとエウマイオスの帰還
ペネロペはメドンから求婚者たちの暗殺計画を聞き、広間でアンティノオスを激しく非難するが、エウリュマコスは偽りの言葉で彼女をなだめる。夕方、元の老人の姿に戻されたオデュッセウスのもとにエウマイオスが帰還し、テレマコスは彼から待ち伏せ船の動向をそれとなく聞き出す。
- §17.1-17.67
館へのテレマコスの帰還とペネロペとの再会
朝になり、テレマコスは物乞いに行くというオデュッセウスを牧舎に残して館へと戻り、母ペネロペらと再会して神々への祈りを促した後、広場へと向かう。
- §17.68-17.138
テレマコスの旅の報告とメネラオスの予言
テレマコスはオデュッセウスの古い友人たちのもとへ行き、そこでペイライオスがテオクリュメノスを伴って合流する。館に帰ったテレマコスは、ペネロペにピュロスとスパルタへの旅を報告し、メネラオスから聞いたオデュッセウスの消息と求婚者たちへの復讐の予言を伝える。
- §17.139-17.204
テオクリュメノスの予言と館へ向かうオデュッセウス
テレマコスはペネロペにメネラオスから得た情報を伝え、テオクリュメノスはオデュッセウスがすでに帰国しているという予言を述べる。一方、求婚者たちが館で楽しむ中、変装したオデュッセウスと豚飼いエウマイオスは街へと出発する。
- §17.205-17.272
メランティオスの侮辱とオデュッセウスの館への到着
オデュッセウスとエウマイオスは街の近くの泉のほとりで、不実な山羊飼いメランティオスに遭遇して侮辱され蹴られるが、オデュッセウスは耐える。その後、二人は竪琴の音が響くオデュッセウスの館に到着する。
- §17.273-17.339
老犬アルゴスの死とオデュッセウスの認知
エウマイオスとオデュッセウスは館への侵入方法を話し合い、エウマイオスが先に入ることになる。その際、門の前の肥溜めにいた老犬アルゴスがオデュッセウスを認識し、喜びを示した直後に息を引き取る。
- §17.340-17.407
乞食オデュッセウスへの施しとアンティノオスの怒り
オデュッセウスは乞食の姿で館に入り、テレマコスの配慮で食事を得た後、求婚者たちへ施しを乞うように促される。これを見た山羊飼いメランティオスが彼の到来を告げると、求婚者の首領格アンティノオスが豚飼いエウマイオスを非難し、エウマイオス、テレマコス、アンティノオスの間で激しい議論が巻き起こる。
- §17.408-17.472
アンティノオスによる足載せ台の投擲とオデュッセウスの忍耐
オデュッセウスは求婚者たちから施しを集め、最後にアンティノオスに物乞いをするが拒絶され、偽のエジプト放浪譚を語る。激怒したアンティノオスはオデュッセウスに足載せ台を投げつけて彼を打つが、オデュッセウスは怒りを耐え忍んで元の場所へ戻る。
- §17.473-17.541
アンティノオスへの非難とペネロペイアの召喚命令
オデュッセウスはアンティノオスの暴挙に天罰を求め、求婚者たちからもその無慈悲さを非難される。ペネロペイアは異邦人が打たれたことを聞いてアンティノオスを呪い、オデュッセウスの消息を直接尋ねるために異邦人を呼ぶようエウマイオスに命じる。
- §17.542-17.606
くしゃみの吉兆と日没後の対面を巡る約定
テレマコスが大きなくしゃみをしたことを吉兆と捉えたペネロペイアは求婚者たちの死を確信し、オデュッセウスを呼び出そうとする。オデュッセウスは求婚者の暴力を避けるために日没後の会談を提案し、彼女もこれに同意して、エウマイオスは無事に自らの仕事へと戻っていく。
- §18.1-18.71
物乞いイロスの挑発と拳闘の準備
放浪者のイロスがオデュッセウスを追い出そうと喧嘩を売り、それを見た求婚者のアンティノオスが二人のボクシング対決を提案する。オデュッセウスは求婚者たちに手出ししないよう誓わせ、闘いのために体を露出して一同を驚かせる。
- §18.72-18.139
オデュッセウスの勝利とアンフィノモスへの警告
オデュッセウスとイロスの決闘が始まり、オデュッセウスは一撃でイロスを打ち倒して中庭へ引きずり出す。その後、オデュッセウスは求婚者の一人アンフィノモスに人間の命の儚さを説き、警告を与える。
- §18.140-18.212
アンフィノモスの運命と美しく装うペネロペイア
オデュッセウスはアムピノモスにまもなく主が帰還し破滅が訪れることを告げて警告するが、彼は立ち去ったものの死の運命を免れない。一方、アテナはペネロペイアを美しく装わせて求婚者たちの前に立たせ、彼らを魅了させる。
- §18.213-18.283
求婚者の前に現れたペネロペイアと贈り物
ペネロペイアは求婚者たちの前に立ち、異邦人の辱めを放置した息子テレマコスを叱る。さらにエウリュマコスの賛辞に対して、オデュッセウスの出発の日の言及を交えながら求婚者たちの無作法を咎め、巧みに彼らから贈り物を引き出す。
- §18.284-18.357
求婚者たちの贈り物とメラントーによる罵倒
ペネロペイアの要求に応じて求婚者たちが豪華な贈り物を持ち寄り、彼女はそれらを持って上の部屋へと退く。その後、オデュッセウスは館の灯火台を自分が管理すると申し出るが、無礼な侍女メラントーから罵倒され、さらに求婚者エウリュマコスからも頭髪の薄さを嘲笑される。
- §18.358-18.428
エウリュマコスの嘲弄と足載せ台の投擲
エウリュマコスの嘲りに対してオデュッセウスが堂々と対抗し、激怒したエウリュマコスが足載せ台を投げつけて大殿に騒動が巻き起こる。テレマコスとアンピノオスが場を収め、求婚者たちは奠酒を捧げた後に帰路につく。
- §19.1-19.69
大広間の武具の隠匿とメラントーの詰問
オデュッセウスとテレマコスは求婚者たちの目を盗んで武具を奥に片付ける。その後、アテネの奇跡的な光に照らされながら作業を終え、テレマコスが眠りについた後、ペネロペイアが広間に姿を現すが、女召使いのメラントが再びオデュッセウスを罵る。
- §19.70-19.135
メラントーへの戒めとペネロペイアとの対話の始まり
オデュッセウスは傲慢な召使いメラントをたしなめ、ペネロペイアに優しく迎え入れられる。身元を尋ねられたオデュッセウスは自身の素性を伏せつつ彼女の美徳を称え、ペネロペイアは夫の不在と求婚者たちによる苦悩を吐露する。
- §19.136-19.203
ペネロペイアの織物の計略と物乞いの身の上話
ペネロペイアはオデュッセウスを待つために織物の計略で求婚者たちを欺いていたが、召使いたちの裏切りによって発覚し、求婚に応じざるを得ない窮状を訴える。これに対し、オデュッセウスはクレタ島出身のアイトンという偽名を使い、かつてオデュッセウスを歓待したという作り話を語る。
- §19.204-19.270
ペネロペイアの試問と夫の衣服の描写
ペネロペイアは客人の言葉に深く心を痛めて涙し、客人が本当にオデュッセウスを歓待したのかを確かめるために、夫の容姿や衣服、同行した伝令使の特徴について尋ねる。これに対しオデュッセウスは、かつて自分がまとっていた衣服や精巧なブローチの意匠、伝令使エウリュバテスの姿を完璧に描写してみせる。
- §19.271-19.337
オデュッセウスの帰還の予言とペネロペイアのもてなし
変装したオデュッセウスは、夫が隣国で生存しており財宝を携えてまもなく帰還するとペネロペに告げる。ペネロペは夫の帰還に懐疑的でありつつも、旅人に厚いもてなしを施すよう侍女たちに命じる。
- §19.338-19.404
エウリュクレイアの足洗いと傷痕による認知
オデュッセウスは贅沢な寝具を断り、自分の境遇をよく理解する老女に足を洗わせることを希望する。ペネロペに促された乳母エウリュクレイアは、オデュッセウスに酷似した客人の足を洗い始め、かつて彼が猪に付けられた古い傷痕からその正体に気づく。
- §19.405-19.471
オデュッセウスの命名と猪狩りの傷痕の由来
オートリュコスは孫にオデュッセウスと命名し、成人したオデュッセウスがパルナッソス山で猪狩りをして負傷した思い出が語られ、現在、エウリュクレイアがその傷痕に触れて主人の正体に気づく。
- §19.472-19.535
オデュッセウスの口止めとペネロペイアの告白
エウリュクレイアがオデュッセウスの正体に気づくが、オデュッセウスは秘密を守るよう彼女に警告する。ペネロペイアは自らの心痛と、求婚者たちの間で揺れ動く迷いを彼に告白し、夢の解釈を求める。
- §19.536-19.604
ペネロペイアの鷲の夢と斧の射的勝負の提案
ペネロペイアは鵞鳥たちが鷲に殺される不吉な夢とその解釈を語った後、十二個の斧の穴を矢で射抜く勝負を提案する。オデュッセウスはその決定を支持し、彼女が眠りにつくよう促す。
- §20.1-20.64
オデュッセウスの憤怒とペネロペイアの嘆きの祈り
オデュッセウスは前庭で求婚者たちへの復讐を思い悩みながら、不実な侍女たちに激しい怒りを抱く。アテネが彼を安心させて眠りに誘う一方で、目を覚ましたペネロペイアは自らの運命を嘆き、アルテミスに死を願って祈る。
- §20.65-20.129
ペネロペイアの祈念とゼウスの吉兆の雷鳴
ペネロペは悲しみの中で自らの死、あるいは嵐による連れ去りを神々に祈り、昨夜見たオデュッセウスの夢を回想する。目覚めたオデュッセウスはゼウスに兆しを求め、それに応える不意の雷鳴と粉挽き女の吉兆の言葉が彼に与えられる。
- §20.130-20.194
テレマコスの問いと館に集う牧夫たち
テレマコスは乳母エウリュクレイアに客人のもてなしについて尋ね、彼女は客人が自ら粗末な寝床を望んだことを説明する。その後、召使たちが祝祭の準備をする中、豚飼いエウマイオス、山羊飼いメランティオス、牛飼いピロイティオスがそれぞれ館に現れ、変装したオデュッセウスと接触する。
- §20.195-20.261
ピロイティオスの忠誠と求婚者たちの謀議の断念
牛飼いのピロイティオスは、変装したオデュッセウスを歓迎しつつ、主人の不在と求婚者たちの横暴を嘆く。オデュッセウスは自身の帰還を誓い、求婚者たちはテレマコス殺害を謀るが凶兆により断念し、大殿で宴を始める。
- §20.262-20.327
クテシッポスの暴挙とテレマコスの威嚇
テレマコスは変装したオデュッセウスを大殿の席につかせ、彼を求婚者たちの罵りや暴力から守ることを宣言するが、求婚者クテシッポスがオデュッセウスに向かって牛の足を投げつけ、これに憤慨したテレマコスが求婚者たちを強く威嚇する。
- §20.328-20.394
求婚者たちの狂笑とテオクリュメノスの不吉な予言
アゲラオスはテレマコスに母の再婚を促し、テレマコスはそれを拒まないものの強制はしないと答える。アテネは求婚者たちに狂気と不気味な笑いをもたらし、テオクリュメノスは彼らに迫る血まみれの破滅を予言して立ち去る。
- §21.1-21.75
オデュッセウスの弓の持ち出しと弓張りの競技の提案
ペネロペイアはアテネの促しにより、オデュッセウスの遺した強弓を宝物庫から持ち出し、求婚者たちにその弓を引く競技を提案する。
- §21.76-21.147
弓張りの試みとテレマコスの断念
ペネロペイアは求婚者たちに、12挺の斧を射通す競技の条件を提示する。テレマコスが自らその弓に挑戦するが、4度目の試みでオデュッセウスの合図により断念し、求婚者たちが右回りの順で挑戦し始める。
- §21.148-21.218
求婚者たちの失敗と下僕たちへの正体の開示
占い師レイオデスをはじめとする求婚者たちが次々と弓を張ることに失敗し、アンティノオスは弓を温めて脂を塗るよう命じる。その間にオデュッセウスは忠実な牛飼いと豚飼いを外へ連れ出し、自らの正体を明かす。
- §21.219-21.290
下僕たちへの指示と試弓を望むオデュッセウス
オデュッセウスは忠実な牛飼いと豚飼いに傷跡を見せて自らの正体を明かし、急襲に向けた協力を指示する。一方、求婚者たちの試弓は失敗が続き、オデュッセウスが自ら弓を試すことを申し出て彼らの怒りを買う。
- §21.291-21.362
アンティノオスの警告と異国人を擁護するテレマコス
アンティノオスは異国人(オデュッセウス)を嘲り、ケンタウロスの狂気の物語を挙げて警告する。これに対し、ペネロペイアとテレマコスは異国人に弓を引かせるよう擁護し、テレマコスは母を部屋へと下がらせて家での決定権が自分にあることを示す。
- §21.363-21.434
オデュッセウスの弦張りと斧の穴の射通し
豚飼いは求婚者たちに罵られながらも、テレマコスに励まされてオデュッセウスに弓を届ける。オデュッセウスは弓を点検したのち、竪琴のようにたやすく弦を張り、最初の試射で並べられた斧の穴をすべて射通し、テレマコスとともに戦いの準備を整える。
- §22.1-22.69
アンティノオスの射殺とオデュッセウスの復讐宣告
オデュッセウスが襤褸を脱ぎ捨てて正体を現し、最初の矢で首領アンティノオスを仕留める。これに驚愕する求婚者たちに対し、オデュッセウスは報復を宣告し、エウリュマコスの命乞いと賠償の提案を拒絶して戦闘を促す。
- §22.70-22.140
エウリュマコスの戦死と武具の調達
エウリュマコスはオデュッセウスに立ち向かうが討たれ、アムピノモスもテレマコスに刺殺される。テレマコスは宝物庫から武具を運んで味方を武装させ、メランティオスは求婚者たちのために武具を調達しようとする。
- §22.141-22.211
メランティオスの捕縛とメントルに扮するアテネ
メランティオスが求婚者たちのために武器庫から武器を調達するが、オデュッセウスの指示を受けたエウマイオスらに捕らえられ、天井近くに吊るされる。そこへアテネがメントルの姿で現れ、オデュッセウスは加勢を求める。
- §22.212-22.284
アテネの激励と求婚者たちへの反撃
アゲラオスはメントルの姿をしたアテネを脅迫するが、彼女はオデュッセウスを鼓舞した後にツバメとなって梁に退避する。求婚者たちの最初の一斉攻撃はアテネの介入で外れ、オデュッセウスらの反撃により敵の主力の一部が討ち取られる。
- §22.285-22.356
求婚者たちの掃討とフェミオスの赦免
アテネがアイギスを掲げ、求婚者たちがパニックに陥る中、オデュッセウス一行は彼らを掃討する。予言者レイオデスは命乞いをするが斬首され、歌い手フェミオスはテレマコスの仲裁により救われる。
- §22.357-22.428
メドンの赦免とエウリュクレイアの召喚
テレマコスの懇願により、オデュッセウスは伝令官メドンと歌い手フェミオスの命を救う。その後、乳母エウリュクレイアを呼び出し、裏切った女奴隷たちの名前を明かすよう命じる。
- §22.429-22.501
不忠な女中たちの処刑と屋敷の清めの儀式
オデュッセウスの命令により、求婚者たちと通じていた不忠な女奴隷たちが死体の片付けを強制されたのち、テレマコスらによって円堂の周りで吊るし首にされる。続けて山羊飼いメランティオスも残酷に処刑され、館が硫黄で清められた後、オデュッセウスは忠実な女奴隷たちと涙の再会を果たす。
- §23.1-23.74
オデュッセウス帰還の報せとペネロペの疑念
乳母エウリュクレイアがペネロペの寝室を訪れ、オデュッセウスの帰還と求婚者たちの成敗を知らせる。しかしペネロペは容易に信じず、むしろ神々が彼らを罰したのだと主張し、オデュッセウスの死を確信するが、乳母は確固たる証拠として彼の古傷を挙げようとする。
- §23.75-23.149
ペネロペの沈黙と婚礼を装う策
傷跡の知らせを聞いたペネロペは半信半疑で階下に降り、オデュッセウスと対面するが、沈黙を守る。テレマコスから冷酷さを責められると、彼女は二人だけの秘密の印で確かめ合うと語る。オデュッセウスは求婚者の復讐を避けるため、婚礼の宴を装うよう指示する。
- §23.150-23.222
オリーブの木のベッドの秘密と夫婦の再会
アテナに美しく整えられたオデュッセウスと対面したペネロペは、二人だけの秘密であるオリーブの木のベッドについて彼が語ったことで本物と確信し、涙の再会を果たす。
- §23.223-23.296
引き伸ばされた夜とテイレシアスの予言の共有
ペネロペはオデュッセウスを本物の夫と認めて涙を流し、アテナが夜を引き伸ばす中で、二人は久しぶりの再会を喜び合う。オデュッセウスはテイレシアスより預かった将来の旅と穏やかな最期についての予言を明かし、二人は長い歳月を経てついに夫婦のベッドへと戻る。
- §23.297-23.372
互いの苦難の語らいとラエルテスのもとへの出立
オデュッセウスとペネロペは、愛を交わした後に互いの歩んだ苦難の道のりを語り合う。翌朝、目覚めたオデュッセウスはペネロペに館に引きこもるよう指示し、テレマコスらとともにラエルテスに会うべく武装して出発する。
- §24.1-24.69
冥界への魂の導きとアキレウスの葬儀の追想
ヘルメスが求婚者たちの魂を冥界へと導き、そこでアキレウスとアガメムノンの魂が再会する。アガメムノンはアキレウスの栄光ある葬儀を回想し、彼の死を称える。
- §24.70-24.142
冥界のアガメムノンとアンピメドンの対話
アガメムノンとアキレウスが名声と葬儀について語らうところへ、ヘルメスが求婚者たちの魂を連れて現れる。アガメムノンは旧友のアンピメドンに気づいてその無残な死の理由を尋ね、アンピメドンはペネロペの機織りの計略と自分たちの最期を語る。
- §24.143-24.213
アンピメドンの報告とペネロペイアへの賛辞
冥府にて求婚者アンピメドンの魂がアガメムノンに対し、ペネロペイアの策略とオデュッセウスによる求婚者殺戮の全貌を報告する。アガメムノンはペネロペイアの貞節を称え、不貞な妻クリュタイムネストラと対比する一方、地上ではオデュッセウスらがラエルテスの農場に到着する。
- §24.214-24.280
果樹園のラエルテスと身元を偽るオデュッセウス
オデュッセウスは部下たちに食事の用意を命じ、果樹園で哀愁を帯びて一人働く父ラエルテスを見つける。彼は父の悲痛な様子に涙し、自らの身元を伏せ、かつてオデュッセウスを歓待した異国の主人のふりをして話しかける。
- §24.281-24.346
オデュッセウスの名乗りとラエルテスとの再会
ラエルテスは息子を失った悲しみに暮れて頭に塵を振りかける。その様子に耐えかねたオデュッセウスは正体を明かし、かつて受けた猪の傷跡や、幼少期に父から譲り受けた果樹園の木々の情報を確かな証拠として示し、父子はついに再会を果たす。
- §24.347-24.414
ラエルテスの館での宴と噂の拡散
ラエルテスは息子を抱きしめて再会を喜び、求婚者たちの死への報復を恐れる。一同は家に戻り、アテナによって若返ったラエルテス、仕事から戻ったドリオスとその息子たちと共にオデュッセウスを歓迎し、食事を共にする。一方、噂の女神が求婚者たちの死を街中に触れ回る。
- §24.415-24.481
遺族たちの蜂起とゼウスとアテナの調停協議
求婚者たちの死を悲しみ憤る遺族たちがアゴラに集い、ハリテルセスらの制止を振り切って、エウペイテス率いる一派が武力を携えオデュッセウスへの報復へと旅立つ。一方、オリンポスではアテナとゼウスが会談し、イタケの平和と秩序を取り戻すための調停計画を相談する。
- §24.482-24.548
アテナの介入とイタケにおける和平の誓約
ゼウスとアテナはオデュッセウスの王権維持と両者の和平合意を決定し、アテナは地上に降る。追撃するイタケの遺族とオデュッセウス一行の間で戦闘が始まるが、アテナの介入とゼウスの雷電によって和平の誓いが切り結ばれる。
