ソポクレス · Sophocles
トラキスの女たち
Women of Trachis
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Sophocles, Volume 2. Storr, Francis, editor. London; New York: William Heinemann Ltd.; The Macmillan Company, 1913.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0011.tlg001.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 8 件を修正
AI校閲 2026-10-12:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Claude Opus 5.5 — 日本語訳の修正なし
AI校閲 2026-10-18:検出 Gemini 4 Argon/判定 Claude Opus 5.5 — 日本語訳の修正なし
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 8 件
日本語訳を再翻訳したチャンク:2
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、ギリシア神話最大の英雄ヘラクレスの最期と、夫を深く愛しながらも悲劇的な結末を招いてしまった妻デイアネイラの運命を描く悲劇である。物語はトラキスを舞台に、長らく不在の夫を案じるデイアネイラの苦悩から始まる。やがてヘラクレスの生存と勝利が報じられるが、同時に彼が若き王女イオレを愛妾として連れ帰ることを知り、デイアネイラは激しく動揺する。夫の愛を取り戻そうと、彼女はかつてケンタウロスから授かった秘薬を塗った衣を夫に贈るが、それは恐るべき毒薬であった。夫が瀕死の苦痛に悶えていることを知ったデイアネイラは絶望して自刃し、同じく自らの運命の成就を悟ったヘラクレスは、息子ヒュロスに後事を託して最期の地へと向かう。
目次
15 チャンク
引用方式:line
- §1-77
デイアネイラの嘆きとヒュロスによる捜索の決意
ヘラクレスの妻デイアネイラは、求婚者アケロオスとの恐ろしい過去と、危険な労働のため不在がちな夫への終わりのない不安を独白する。養育係の提案に従い、デイアネイラは息子のヒュロスに父親の捜索を命じるが、ヒュロスはヘラクレスがリュディアでの奴隷期を終えてエウボイアに向かっているという最新の噂を伝える。
- §78-172
ヒュロスの出発と運命の書版についての告白
ヒーロスはデイアネイラからヘラクレスに関する神託を聞き、父を捜しに出発する。続いて登場したコロスが太陽にヘラクレスの居所を問い、デイアネイラを慰めると、彼女はヘラクレスが残した運命の書版の詳細を明かす。
- §173-260
ヘラクレスの勝利の報告とリカスの弁明
デイアネイラが予言の期限が現在であることを恐れる中、使者がヘラクレスの生存と勝利を報告する。その後、伝令リカスが到着し、ヘラクレスがかつてリディアで奴隷として仕えていた経緯と復讐の進軍について説明する。
- §261-337
リカスの虚偽の報告と捕虜の娘を巡る問いかけ
リカスはヘラクレスがかつてエウリュトスから受けた屈辱と復讐としてのイピトス殺害の経緯、そしてゼウスの怒りによって奴隷に売られた事情を語る。捕虜の女たちを気の毒に思うデイアネイラはリカスに一人の娘の素性を尋ねるが、リカスは知らないと答え、立ち去ろうとするデイアネイラを使者が引き留める。
- §338-412
使者による真相の暴露とリカスへの詰問
使者はデイアネイラに対し、リカスが隠していた真実、すなわちヘラクレスがオイカリアを滅ぼした本当の理由はエウリュトスの娘イオレへの愛であったことを暴露する。デイアネイラが悲嘆に暮れる中、家から出てきたリカスを使者とデイアネイラが問い詰め始める。
- §413-488
使者による追及とイオレを巡るリカスの告白
使者はリカスを追及し、連れてこられた捕虜がエウリュトスの娘イオレであること、そしてヘラクレスが彼女への愛ゆえにオイカリアを滅ぼしたことを暴く。デイアネイラはリカスに真実を語るよう優しく諭し、リカスはすべてを告白して彼女の寛大さに感謝する。
- §489-581
アケロオスとの闘いの回想とネッソスの秘薬
デイアネイラは使者リカスに夫への手紙と贈り物を託して出発させ、合唱隊はかつてヘラクレスがデイアネイラを巡って河神アケロオスと闘った壮絶な決闘を歌う。その後デイアネイラは、若きイオレと同居する不安から、かつてケンタウロスから授かった秘薬をヘラクレスの衣に塗って愛を取り戻そうとする計画を明かす。
- §582-670
毒の衣の託送とリカスの出発
デイアネイラはリカスにヘラクレスへの贈り物として、怪獣の血で染めた衣を託し、それを扱う際の注意を伝える。リカスが出発した後、合唱はヘラクレスの無事な帰還を祈る歌を歌うが、デイアネイラは自らの行いへの不安を抱き始める。
- §671-747
羊毛の融解による姦計の発覚とヒュロスの告発
デイアネイラは合唱に対し、ケンタウロスの薬を塗る際に使った羊毛が日光に当たって溶け、不気味に泡立った様子を説明し、騙されたことに気づいて自殺を覚悟する。そこへ帰還した息子のヒュロスが現れ、彼女が父親(ヘラクレス)を殺害したと告発する。
- §748-833
ヘラクレスの苦悶の報告とデイアネイラの沈黙の退場
ヒュロスは、エウボイアのケナイオン岬でヘラクレスがデイアネイラの贈った衣を身にまとい、凄惨な苦痛に襲われて伝令リカスを殺害し、瀕死の状態でトラキスに搬送中であることを告発する。これを聞いたデイアネイラは無言で立ち去り、合唱は十二年の歳月を経て労役から解放されるという古い神託が死という形で成就しつつあることを悟る。
- §834-933
神託の成就の合唱とデイアネイラの自刃の報告
合唱はヘラクレスの破滅と神託の成就を嘆き、続いて登場した乳母が、夫を破滅させたことを悔いたデーイアネイラが寝室で自刃を遂げた悲劇的な最期を詳しく伝える。
- §934-1031
ヒュロスの悔恨と苦悶するヘラクレスの搬入
瀕死のデエイアネイラを看取ったヒュロスの嘆きが語られ、コーラスがその死を悼む中、苦痛に悶えるヘラクレスが担ぎ込まれる。目を覚ましたヘラクレスは、自らの運命と耐え難い苦痛を嘆き、救いを求めて絶叫する。
- §1032-1119
デイアネイラへの復讐の要求とヒュロスの弁明の願い
激痛に悶えるヘラクレスは、息子ヒュロスにデヤネイラへの復讐と彼女の引き渡しを命じ、自身の衰えを嘆きつつ過去の偉業を振り返る。これに対しヒュロスは、父に怒りを鎮め、弁明に耳を傾けるよう冷静さを求める。
- §1120-1196
神託の成就の悟りとヘラクレスの最後の誓言
ヒュロスはヘラクラスに対し、デsourceが殺意を抱いていたわけではなく惚れ薬と信じて毒を用いたこと、そしてすでに彼女が自殺したことを伝える。ヘラクラスは、死者によって殺されるという古い神託が成就したことを悟り、自身の最期に備えてヒュロスにオイテ山での火葬を要求し、これを実行させるための誓いを立てさせる。
- §1197-1278
オイテ山での火葬の命とイオレとの婚姻の誓い
ヘラクレスはヒュロスに対し、オイテ山で自らを火葬すること、および捕虜のイオレを妻に娶ることを命じ、反発するヒュロスも最終的に誓いに従う。死への準備が整う中、神々の無慈悲さと過酷な運命を嘆きつつ、ヘラクレスは最期の地へと運ばれていく。
