底本
Isocrates, Vol. 3. Van Hook, Larue, editor. Cambridge, MA, Harvard University Press; London, William Heinemann Ltd., 1945 (printing).
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0010.tlg015.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、キプロス島サラミスの王エヴァゴラスの死を悼み、その生涯と比類なき美徳を讃える追悼弁論です。著者はまず、従来の詩歌に代わって散文によって生身の人間を称賛することの困難さと意義を説きます。続いて、神話に連なる高貴な家系から生まれながらも流亡の身となったエヴァゴラスが、少数精鋭で王位を奪還する劇的な歴史が語られます。彼の統治は、知性と正義に満ちた内政だけでなく、アテナイとの同盟やペルシア帝国への対抗といった対外的な軍事的成功によっても特徴づけられます。結末では、有形の肖像画よりも言論による「徳の肖像(エイドーロン)」こそが不滅の価値を持つとされ、後継者である息子のニコクレスに対し、父の偉大な模範に従って自己を錬磨するよう促して締めくくられます。
目次
9 チャンク
引用方式:section
- §1-10
散文による人物称賛の意義と困難
著者はニコクレスによる父エヴァゴラスへの豪華な葬送儀礼を認めつつ、言論による徳の称賛こそが故人に最大の喜びと不滅の記憶をもたらすと説き、散文による人物称賛の困難さと意義を詩人の特権と比較しながら論じる。
- §11-20
エヴァゴラスの祖先の系譜と王位の簒奪
散文による人物称賛の可能性を擁護した後、エヴァゴラスの神聖にして英雄的な祖先であるアイアコス、ペレウス、アキレウス、テウクロスの一族の輝かしい系譜と、フェニキア人亡命者によるサラミス王位の強奪の歴史をたどる。
- §21-29
エヴァゴラスの美徳と王位奪還の決意
エヴァゴラスの類稀なる美徳と、彼が流亡の身からわずか50人の同志とともに帰還し、王位を奪還する決意を固めるまでの不屈の精神が語られる。
- §30-38
王権の奪回と過去の英雄たちとの比較
エヴァゴラスは少数の同行者とともに王宮を襲撃し、市民の静観の中で支配権を奪取した。著者は、エヴァゴラスの業績が父祖の地位を継承した者、神話の帰還英雄、さらにはキュロス大王をも凌駕することを、それぞれの比較を通じて論じている。
- §39-46
王位獲得の正当性と理想的な統治
著者はエヴァゴラスが王位を得た方法の正当性と敬虔さを強調し、歴史上の偉人と比較しても彼の卓越性が勝っていると論じる。さらに、エヴァゴラスの類稀なる知性、市民への細やかな配慮、理想的な徳性を備えた統治について詳細に描く。
- §47-55
キプロスの発展とコノンとの対スパルタ同盟
エヴァゴラスによるキプロス統治の具体的成果と、アテナイの将軍コノンとの同盟、そしてスパルタに対抗するための対ペルシア海上防衛策の献策が語られる。
- §56-64
スパルタ打倒とペルシア王との戦争
エヴァゴラスとコノンが協力してラケダイモン人の支配を打破しアテネに繁栄をもたらしたこと、そしてエヴァゴラスを恐れたペルシア王が巨費を投じて遠征を行ったものの、エヴァゴラスの頑強な抵抗によって和平を結ばざるを得なかったことが語られる。
- §65-72
古代の英雄との比較とエヴァゴラスの生涯の賛美
エヴァゴラスの功績がトロイア戦争の英雄たちや他の歴史的人物と比較され、その卓越した徳と幸運、そして素晴らしい家族に恵まれた生涯の終わりが称賛される。
- §73-81
言論による徳の肖像とニコクレスへの激励
著者は肉体の肖像よりも言論(徳の肖像)の価値を説き、エヴァゴラスの徳を讃える本弁論が息子のニコクレスにとって優れた模範・励ましとなることを示して、彼の哲学的探究と自己研鍛を促す。
