プルタルコス · Plutarch
ローマ人の運について
On the Fortune of the Romans
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底本
Plutarch. Moralia, Vol. IV. Babbitt, Frank Cole, editor. Cambridge, MA: Harvard University Press; London: William Heinemann Ltd., 1936 (printing).
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0007.tlg086.perseus-grc3
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 1 件・原文 15 件を修正
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 16 件
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本書は、ローマ帝国の誕生と繁栄が、人間の「徳(ウィルトゥース)」と運命の「運(フォルトゥーナ)」のどちらによってもたらされたのかという問いをめぐる、演説風の哲学・歴史作品です。著者は、ローマ人たちが古くから「徳」以上に「運」を崇め、その恩恵をうけてきた歴史を振り返ります。カエサルやアウグストゥスといった指導者たちの台頭や、建国者ロムルス、ヌマ王、セルウィウス王の治世における奇跡的な出来事が、すべて運の助けによるものであったことが具体的な逸話とともに語られます。さらに、ケルト人による危機を神聖な鵞鳥が救った故事や、アレクサンドロス大王の急死がローマを脅威から遠ざけたことなど、国家の存亡に関わる局面で「運」が介入した例が示されます。最終的に本作は、ローマの偉大な覇権が、誕生の瞬間から寄り添い続けた運命の守護神による超自然的な導きによって確立されたものであることを描き出しています。
目次
10 チャンク
引用方式:section
- §1-3
徳と運の争いと英雄たちを従えた徳の登場
徳と運のどちらがローマの帝国を築いたのかという大いなる争いについて、筆者は両者が協力してローマの基礎を築いたと主張し、まず多くの英雄たちを従えた徳の威厳ある入場を描写する。
- §4-5
運のローマ定住とローマ人による運の崇拝
著者は、移り気な「運」がローマに留まる決意をしてその地盤を固めた様子を描き、ローマ人たちが古くから「徳」よりも「運」を崇め、多くの神殿を捧げてきた歴史的証拠を挙げる。
- §6-7
カエサルとアウグストゥスを導いた運
カエサルが運の助力によって嵐と数的劣勢の危機を乗り越えた逸話と、その養子アウグストゥスもまた運に導かれて多くの協力者・政敵を退け、独裁権を握るに至った経緯を記述する。
- §8
ロムルスの誕生と成長に見る運の恩恵
著者はローマの建国者ロムルスの奇跡的な誕生、救出、狼による授乳、そして成長の過程を追い、これらがすべて「徳」に先んじた「運」の恩恵であることをテミストクレスの寓話を引用しつつ論じる。
- §9
ヌマの治世における平和と運の加護
第2代の王ヌマの長期にわたる治世が、新興都市ローマを根づかせるために「運」によってもたらされた未曾有の平和期間であったことを示し、外敵の脅威からの保護やヤヌス神殿の門の開閉の歴史を通じてその幸運を論じる。
- §10
セルウィウス・トゥリウス王と運の崇拝
セルウィウス・トゥリウス王が「運」を篤く崇拝し、数々の神殿を建立したこと、および彼の出生にまつわる竈の怪異や、王位を維持するに至った幸運な経緯を説明している。
- §11
共和政の軍功とローマを導き続ける運
筆者は王政期から共和政期の輝かしい戦争へと話題を移し、ポンペイウスの偉業を例に挙げる。そして、ローマの覇権が他国のような一時的なものではなく、ローマの偉大な「運(守護神)」が誕生時から一貫して寄り添い、国家の危機において外敵を排除してきたことを論じる。
- §12#1
ポンティウスの潜入とカミルスの独裁官任命
カピトリウムがケルト人に包囲された危機の際、カミルスを正式な手順で独裁官に任命するため、ポンティウスが命がけで使者となって敵の包囲網を突破し、カピトリウムへの侵入に成功した逸話を語る。
- §12#2
聖なる鵞鳥の警告と運によるローマの救済
ケルト人の急襲をユーノーの神殿の神聖な鵞鳥たちが鳴き声で救った故事を引き、運命がいかに卑小な生き物を用いて強大な国家を救うかを説き、ケルト人の撤退もまた運命によるものだと論じる。
- §13
アレクサンドロス大王の急死とローマの保護
著者は初期ローマの歴史が史料の混乱により不明瞭であるとしつつも、その後の歴史において、アレクサンドロス大王の急死という運命の配慮がローマを恐るべき衝突から救ったことを説く。
