エウリピデス · Euripides
フェニキアの女たち
The Phoenician Women
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Euripides. Euripidis Fabulae, Vol. III. Murray, Gilbert, editor. Oxford: Clarendon Press, 1913. (Reprinted 1920-1978)
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0006.tlg015.perseus-grc2
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 12 件を修正
AI校閲 2026-10-12:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Claude Opus 5.5 — 日本語訳の修正なし
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 12 件
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、オイディプス王の悲劇ののち、テーバイの王位を巡って争う二人の息子、エテオクレスとポリュネイケスの骨肉の争いを描いたギリシア悲劇です。アルゴス勢を率いて祖国に迫るポリュネイケスと、王権を譲らないエテオクレスに対し、母イオカステは和解を試みますが、二人の野心と憎悪は決裂を招き、戦争へと突入します。戦況が激化する中、国を救うための若きメノイケウスの自己犠牲や、凄惨な攻防戦が繰り繰り広げられます。最終的に兄弟は一対一の決闘で相打ちとなり、悲嘆に暮れた母も命を絶ちます。最後は、新たに支配者となったクレオンによるオイディプスの追放と、アンティゴネが盲目の父に付き従って旅立つ場面で、一族の過酷な運命を浮き彫りにしながら幕を閉じます。
目次
20 チャンク
引用方式:line
- §1-83
イオカステによる王家の歴史と息子たちの対立の語り
イオカステはテーバイ王家の起源からオイディプスの悲劇、そして現在二人の息子が王位を争って対立し、アルゴス軍の来襲に至っているという経緯を語り、息子たちの会談による調停を期待する。
- §84-178
アンティゴネと老僕によるアルゴス軍の偵察
イオカステがゼウスに和解を祈った後、老僕に導かれたアンティゴネが屋敷の最上階に登る。二人は城壁の上から、テーバイに迫るアルゴス軍の将兵の姿を眺め、ポリュネイケスや他の指揮官たちの正体を確認し合う。
- §179-291
フェニキアの乙女たちの歌とポリュネイケスの帰還
アンティゴネと老僕が敵将カパネウスの傲慢さを語った後、フェニキアから来た乙女たちのコーラスが神聖な土地での奉仕の旅路とテーバイの危難を歌い、そこへ休戦協定によって市内に入ったポリュネイケスが警戒しつつ姿を現します。
- §292-389
イオカステとポリュネイケスの涙の再会
ポリュネイケスと母ヨカステの涙ながらの再会が描かれる。ヨカステは息子の亡命と結婚による悲哀を語り、ポリュネイケスは祖国への愛と、城内に侵入する際の恐怖を吐露する。
- §390-465
亡命の苦難の対話とエテオクレスの登場
ヨカステとポリュネイケスは、亡命者の苦難や彼がアルゴスで王女と結婚するに至った経緯について対話する。その後、エテオクレスが到着し、ヨカステは兄弟が互いに向き合って和解への話し合いを始めるよう促す。
- §466-542
兄弟の舌戦とイオカステの諫言
ヨカステの促しによってポリュネイケスとエテオクレスがそれぞれの立場から主張を展開する。ポリュネイケスが合意に基づいた公平な和解を求める一方、エテオクレスは王権奪還への強硬な執念を示し、ヨカステは彼に対して野心を捨て平等を重んじるよう論じる。
- §543-613
イオカステの平等の説得と兄弟の決裂
ヨカステはエテオクレスに対して「平等」と「分をわきまえること」の重要性を説き、ポリュネイケスに対しては祖国を攻めることの愚行を諭すが、二人の兄弟は和解を拒絶し、互いに激しい言葉の応酬の末に破滅的な決裂へと至る。
- §613b-708
ポリュネイケスの退場とクレオンの到来
ポリュネイケスとエテオクレスの交渉は完全に決裂し、ポリュネイケスは呪詛の言葉を吐いて退去する。その後、コーラスはテーバイの創業の伝説を歌い、クレオンが戦況の最新情報をエテオクレスに伝えるために現れる。
- §709-791
七つの門の防衛策とエテオクレスの遺命
エテオクレスとクレオンはアルゴス勢の襲来に対抗する戦術を議論し、最終的に7つの門にそれぞれ最も勇敢な将軍を配置して自衛する策を採る。エテオクレスは出陣前に妹アンティゴネの婚約をクレオンに託し、亡き後のポリュネイケスの埋葬禁止を命じる。
- §792-881
テイレイシアスの到来とクレオンの問いかけ
コーラスがアレスの狂乱とテーバイの起源を歌う中、盲目の預言者テイレイシアスが娘に導かれて登場する。クレオンはテイレイシアスを迎え、都市を救うための神託を求める。
- §882-958
メノイケウスの犠牲を命じる神託とクレオンの拒絶
テイレイシアスはクレオンに対し、テーバイを救うためには彼の息子メノイケウスをアレスの竜の生贄として大地に捧げなければならないという過酷な神託を告げる。クレオンはこれに激しく抵抗し拒絶する。
- §959-1055
クレオンの逃亡の勧めとメノイケウスの犠牲の決意
クレオンは我が子メノイケウスを救うために逃亡を勧め、具体的な旅路を指示するが、メノイケウスは父を安心させるために従うふりをしつつ、実際には祖国を救うため自らを犠牲にする決意を語る。合唱隊はかつての怪物スピンクスの惨劇とオイディプスの悲劇を振り返り、死へと赴く若者の崇高な勇気を称える。
- §1056-1146
使者による戦況報告と七人の将の盾の描写
コーラスはメノイケウスの犠牲を讃え、使者はイオカステに都市の防衛戦が一時的に好転したことを報告する。使者はテーバイを攻めるアルゴス勢の七人の将軍たちの盾の紋章と布陣を詳細に語る。
- §1147-1229
アルゴス軍の撃退と兄弟による決闘の提案
使者は、パルテノパイオスの戦死やゼウスの雷撃によるカパネウスの墜落など、激しい攻防戦の末にアルゴス軍を退けた経緯をイオカステに語る。しかし続けて、彼女の二人の息子がさらなる流血を防ぐために一対一の決闘を行うことを全軍に宣言したと告げ、彼女を驚愕させる。
- §1230-1321
決闘合意とイオカステの出発およびクレオンの悲嘆
エテオクレスの提案した一対一の決闘にポリュネイケスと両軍が同意し、休戦が誓われる。イオカステはアンティゴネを連れて決闘を阻止すべく急ぎ戦場へ向かい、合唱隊が不安を歌う中、自害した息子メノイケウスの亡骸を抱えたクレオンが登場する。
- §1322-1406
使者による兄弟の決闘と相討ちの報告
クレオンはイオカステとアンティゴネが決闘を止めるために出奔したことを知り、直後に現れた使者から、二人の息子とイオカステの悲劇的な死、そしてエテオクレスとポリュネイケスの死闘の様子を聞かされる。
- §1407-1492
兄弟の相討ちとイオカステの自害の報告
使者は、エテオクレスとポリュネイケスが死闘の末に共倒れになり、彼らの母イオカステも後を追って自害したこと、そしてその後の両軍の戦闘について報告する。それを聞いたアンティゴネは、悲しみに暮れながら亡骸のもとへと駆け寄る。
- §1493-1597
アンティゴネとオイディプスの嘆きと追放宣告
アンティゴネは母と二人の兄の悲劇的な死に直面してオイディプスを館から呼び出し、自らの過酷な運命を嘆き合うが、そこへ新たに支配権を握ったクレオンが現れ、オイディプスの追放を言い渡す。
- §1598-1672
オイディプスの追放と兄の埋葬を巡る対立
悲惨な運命を振り返るオイディプスに対し、クレオンは国外追放を告げ、さらにポリュネイケスの埋葬禁止を言い渡す。アンティゴネは猛烈に反発し、亡き兄の埋葬の権利を巡ってクレオンと激しく対立する。
- §1673-1766
アンティゴネの同行の決意と二人の旅立ち
アンティゴネはハイモンとの結婚を断固拒否し、盲目の父オイディプスの放浪に同行することを決意する。彼らは亡き家族の遺体に別れを告げ、運命を受け入れてアテナイのコロノスを目指して旅立ち、劇は幕を閉じる。
