底本
Euripides. Euripidis Fabulae, Vol. II. Murray, Gilbert, editor. Oxford: Clarendon Press, 1913. (Reprinted 1921-1962)
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0006.tlg009.perseus-grc2
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 5 件を修正
AI校閲 2026-10-12:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Claude Opus 5.5 — 日本語訳の修正なし
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 5 件
日本語訳を再翻訳したチャンク:1
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、ギリシア神話の偉大な英雄ヘラクレスが直面する、過酷な運命と人間としての生への闘いを描いたギリシア悲劇である。舞台はテーバイ。ヘラクレスの不在中、王位を奪った僭主リュコスが彼の老父アンピトリュオンと妻メガラ、そして子供たちの殺害を企てる。窮地に陥った家族の前にヘラクレスが冥府から奇跡的に帰還し、リュコスを討ち果たして家族を救う。しかし、勝利の喜びも束の間、女神ヘラの呪いによって狂気の女神リュッサ(Lyssa)が送り込まれ、ヘラクレスは狂気に陥り自らの妻子を虐殺してしまう。正気に戻り絶望した彼は自殺を決意するが、親友のテセウス(Theseus)に説得され、運命に立ち向かいアテナイへと旅立つ。神々の不条理と、それに抗い生き抜こうとする英雄の意志が描かれる。
目次
16 チャンク
引用方式:line
- §1-85
祭壇に避難するアンピトリュオンとメガラの嘆き
ヘラクレスの不在中にテバイの王位を奪った僭主リュコスの脅威から逃れるため、老父アンピトリュオンと妻メガラがゼウスの祭壇で避難しつつ、悲痛な窮状と救いの手立てを模索する。
- §86-175
リュコスの威嚇とアンピトリュオンの反論
メガラとアンピトリュオンが生死の望みについて語り合った後、コーラスが登場して彼らの悲運を嘆く。そこに現れた僭主リュコスはヘラクレスの功績を侮辱し、子供たちの処刑を正当化しようとするが、アンピトリュオンがこれに反論を始める。
- §176-254
弓術の擁護とリュコスによる火刑の命令
アンピトリュオンはヘラクレスの勇気と弓の有用性を擁護し、リュコスの不当な告発を論破する。その後、リュコスは彼らを皆殺しにするため、薪を集めて火刑に処すよう命じる。
- §255-333
死の受容とメガラーによる死に装束の嘆願
コーラスの長老たちが僭主リュコスに対して激しい怒りを示す中、メガラーは避けることのできない死を受け入れることをアムピトリュオンに促す。メガラーとアムピトリュオンは最後に子供たちのために死に装束を整えることをリュコスに願い出、リュコスはこれを許可する。
- §334-454
ゼウスへの糾弾とヘラクレスの功業を讃える合唱
メガラ、アムピトリュオン、子供たちが死装束を整えるために館へと入り、アムピトリュオンはゼウスの不実を糾弾する。コロスはヘラクレスの輝かしい功業を讃える歌を歌うが、再び死装束を身にまとって現れた彼らの悲惨な姿を見て深く嘆く。
- §455-534
メガラーの嘆きと冥府からのヘラクレスの帰還
死を覚悟したメガラが子供たちの悲惨な運命とかつての期待を嘆き、アムピトリュオンがゼウスに無力さを訴える中、冥府からヘラクレスが奇跡的に帰還し、家族と再会する。
- §535-611
リュコスの暴虐の露見とヘラクレスの復讐の誓い
ヘラクレスはメガラから、テーバイに起こった内乱と僭主リュコスの暴虐、そして自分たち家族に迫る死の危機の真相を聞き、激しい復讐を誓う。アムピトリュオンは彼に慎重に行動するよう諭し、ヘラクレスはそれに従ってまず家の中の神々に挨拶するために邸内へ入る。
- §612-714
ヘラクレスの入邸と処刑を迫るリュコスの再来
ヘラクレスは冥界からの生還を父に語り、子供たちを連れて家に入る。コーラスが老年の辛さと若さの尊さを歌う中、リュコスが現れて家族に死を迫る。
- §715-825
リュコスの誅殺とイリスとリュッサの出現
アンピトリュオンの機転によって簒奪者リュコスは館の中へと誘い込まれ、待ち伏せていたヘラクレスに討たれる。コーラスは正義の逆転とヘラクレスの帰還を祝って歌うが、突然館の屋根の上にイリスと狂気の女神リュッサが姿を現す。
- §826-914b
イリスの命によるリュッサの狂気の発動
虹の女神イリスが狂気の女神リュッサにヘラクレスを狂わせるよう促すが、リュッサは彼の功績を讃えて躊躇する。しかし命令に逆らえず狂気を発動させ、ヘラクレスの家を悲惨な殺戮へと陥れる。
- §915-996
使者によるヘラクレスの発狂と我が子惨殺の報告
使者が、ヘラクレスがどのように狂気に陥り、儀式の最中に自分の子供たちをエウリュステウスの家族と誤認して惨殺し始めたかを詳細に語る。
- §997-1100
アテナによる狂乱の停止と目覚めたヘラクレス
ヘラクレスは狂気のなかで妻と残る子供を殺害するが、アテナの介入により眠りに落ちる。目覚めた彼は、縛られた自身の境遇と惨劇の跡に愕然とする。
- §1101-1179
ヘラクレスの真実の認知とテセウスの到着
目覚めたヘラクレスは自身の現状に混乱するが、アンピトリュオンから自分が妻子を殺害した事実を告げられ、絶望して自決を考える。そこへ、アテナイから援軍として駆けつけたテセウスが到着し、惨劇の惨状を目撃する。
- §1180-1266
テセウスの説得とヘラクレスの呪われた生い立ちの吐露
アテナイ王テセウスが到着し、アムピトリュオンから惨劇の顛末を聞き、絶望するヘラクレスに顔を覆う衣を取るよう促す。ヘラクレスは自らの素性と呪われた生い立ちについてテセウスに反論を始める。
- §1267-1349
テセウスのアテナイ招致とヘラクレスの生きる決意
ヘラクレスが自身の壮絶な苦難の歴史と不吉な運命を語り自殺を決意するが、テセウスは神々を引き合いに出して彼を慰め、アテナイへ迎えて財産と栄誉を与えることを約束する。これに心を動かされたヘラクレスは、詩人の描く神々の過ちを否定しつつも、生から逃げることを臆病とみなし、生きる覚悟を決める。
- §1350-1428
アムピトリュオンへの葬儀の委託とアテナイへの旅立ち
ヘラクレスは死による逃避を臆病とみなして生き抜くことを決意し、アテナイへ赴くというテセウスの申出を受け入れる。彼は家族を失った悲痛な涙を流しながら、父アムピトリュオンに遺族の葬儀を託し、テーバイを去っていく。
