底本
Euripides. Euripidis Fabulae, Vol. I. Murray, Gilbert, editor. Oxford: Clarendon Press, 1902. (Reprinted 1906-1974)
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0006.tlg007.perseus-grc2
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 6 件・原文 1 件を修正
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 7 件・表記の統一 2 件
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、トロイア陥落後の悲惨な運命に翻弄される前王妃ヘカベの苦難と、壮絶な復讐を描いたギリシア悲劇です。舞台はトロイア対岸のトラキアの海岸。ヘカベはまず、最愛の娘ポリュクセネをギリシア軍の英雄アキレウスの生贄として奪われます。娘が誇り高く死を受け入れた直後、ヘカベは、同盟者であったトラキア王ポリュメストルに預けていた息子ポリュドロスが黄金欲しさに惨殺されていた事実を知ります。二重の絶望に直面したヘカベは、ギリシア総大将アガメムノンの黙認を得て、冷酷な復讐を計画します。彼女はポリュメストルと彼の子らをおびき寄せ、トロイアの捕虜女性たちとともに子どもたちを殺害し、王の目を潰します。最後はアガメムノンの審判により、裏切り者のトラキア王は孤島に流され、復讐を果たしたヘカベたちもまた哀しい予言と余韻を残しながら、ギリシアへの帰途に就きます。
目次
15 チャンク
引用方式:line
- §1-92
ポリュドロスの亡霊の予言とヘカベの嘆き
トロイア陥落後に殺害されたポリュドロスの亡霊が現れ、自身の悲劇的な運命と妹ポリュクセネの犠牲を予言する。続いて捕虜となった母ヘカベが登場し、不吉な夢と恐怖を歌う。
- §93-209
ポリュクセネ生贄の決定と母娘の嘆き
ギリシア軍の集会においてアキレウスの生贄としてポリュクセネを捧げることが決定したという知らせを、女性奴隷がヘカベに伝える。これを聞いたヘカベとポリュクセネは、過酷な運命と直面する死を嘆き悲しむ。
- §210-287
オデュッセウスの宣告とヘカベの助命嘆願
ポリュクセネは自らの過酷な運命を受け入れる。オデュッセウスが犠牲の執行を通告するために現れると、ヘカベはかつて彼の命を救った恩義を訴え、娘の助命を求めて必死に嘆願する。
- §288-365
オデュッセウスの拒絶とポリュクセネの覚悟
ヘカベはオデュッセウスに、アカイアの法が奴隷にも平等に流血を禁じていることを説き、哀訴する。しかし、オデュッセウスは国家の秩序と英雄アキレウスへの栄誉を重んじてポリュクセネの犠牲を譲らない。ポリュクセネ自身は、奴隷としての惨めな余生を送るよりも、気高く死ぬことを選び、自ら嘆願を拒絶する。
- §366-441
ポリュクセネの母への別れと連行
ポリュクセネは奴隷としての屈辱を避けるために死を毅然と受け入れ、懇願する母ヘカベを諭す。オデュッセウスによる連行の際、彼女は母や親族と最後の一別を交わし、戦争の元凶であるヘレネの破滅を願いつつ、生贄の祭壇へと赴く。
- §442-537
女たちの運命の嘆きとタルテュビオスの報告
合唱隊が自分たちの今後の捕虜・奴隷としての悲惨な運命と行方を歌った後、伝令タルテュビオスが登場する。彼は伏して嘆くヘカベを起こし、ポリュクセネがアキレウスの墓前で犠牲に供された最期の様子を語り始める。
- §538-614
ポリュクセネの勇敢な最期とヘカベの悲嘆
タルテュビオスは、ポリュクセネが誇り高く勇敢に犠牲の死を受け入れた最期の様子をヘカベに語る。娘の死を知ったヘカベは、悲しみのうちに人間の本性や教育について省察し、最期の葬儀のために海水を汲みに行くよう年老いた召使に命じる。
- §615-718
ポリュドロスの遺体の発見とポリュメストルの裏切り
ヘカベがトロイア戦争の悲劇を嘆く中、老女僕は海辺で発見されたヘカベの息子ポリュドロスの遺体を運び込み、それを見たヘカベはトラキアの王ポリュメストルによる裏切りの殺人を悟る。
- §720-798
アガメムノンへのヘカベの懇願と復讐の訴え
アガメムノンがポリュクセネの埋葬を促しにヘカベのもとを訪れるが、そこで殺害されたポリュドロスの遺体を見出す。ヘカベはアガメムノンに膝行して懇願し、客人の義務を破り黄金のために我が子を殺したポリュメストルへの復讐への協力を求める。
- §799-874
復讐の黙認を求めるヘカベの説得とアガメムノン
ヘカベはアガメムノンに対し、客人の法を破り我が子を殺したポリュメストルへの復讐への協力を懇願する。アガメムノンはヘカベに同情しつつも軍勢の目を恐れるが、ヘカベは彼をリスクから解放し、自身の復讐計画を黙認するよう提案する。
- §875-966
ヘカベの復讐計画とポリュメストルの到着
ヘカベはトロイアの女たちの協力を得て復讐を果たす計画をアガメムノンに告げ、アガメムノンは順風が吹くのを待つ間これを受け入れる。その後、トラキアの王ポリュメストルが呼び出しに応じ、ヘカベたちの前に現れる。
- §967-1046
ポリュメストルの誘引と天幕内での復讐
ヘカベは黄金のありかを教えるという口実で、ポリュメストルと彼の子らを天幕の中へ誘い込む。天幕の内側から、目を潰され子らを殺されたポリュメストルの悲鳴が響き渡る。
- §1047-1143
盲目のポリュメストルの狂乱とアガメムノンへの弁明
ヘカベがポリュメストルを制圧したことをコーラスに告げ、盲目となった彼が狂気の中で子供たちの死を嘆きながら現れてギリシア軍に助けを求める。そこへアガメムノンが到着し、ポリュメストルはヘカベへの復讐を試みるが制止され、自分がポリュドロスを殺害した動機はギリシア軍の安全を守るための賢明な予防策であったと弁明を始める。
- §1144-1220
ポリュメストルの弁明とヘカベによる反駁
ポリュメストルはヘカベらトロイアの女たちに騙されて目を潰され子供たちを殺された経緯を語り、自身がギリシア軍のために良かれと思って行ったと弁明する。これに対してヘカベは、ポリュメストルが単に金欲しさに息子を殺したのだと暴き、彼の不実を厳しく追及する。
- §1221-1295
アガメムノンの判決とポリュメストルの予言
ヘカベはポリュメストルの邪悪さを証明し、アガメムノンは彼に有罪を宣告して無人島への遺棄を命じる。ポリュメストルはヘカベらの非惨な死を予言し、ギリシア軍は悲しみとともに帰途に就く。
