底本
Euripides. Euripidis Fabulae, Vol. I. Murray, Gilbert, editor. Oxford: Clarendon Press, 1902.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0006.tlg006.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 14 件を修正
AI校閲 2026-10-12:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Claude Opus 5.5 — 日本語訳 1 件を修正
AI校閲 2026-10-18:検出 Gemini 4 Argon/判定 Claude Opus 5.5 — 日本語訳の修正なし
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 16 件・表記の統一 1 件
最終更新:2026-10-17・変更履歴の一覧
要旨
本作は、トロイア戦争の敗戦により奴隷となったアンドロマケの受難と、支配者たちの愛憎の交錯を鋭く描いたギリシア悲劇です。舞台はテッサリアのプティアであり、ネオプトレモスの奴隷となったアンドロマケと、不妊に苦しみ彼女を逆恨みする正妻ヘルミオネ、そしてその父メネラオスとの命がけの対立が中心となります。物語の前半では、神殿に身を寄せるアンドロマケが子供の命と引き換えに絶体絶命の危機に陥りますが、夫の祖父ペレウスが間一髪で介入し、窮地を脱します。しかし、その裏でヘルミオネを狙うオレステスの陰謀が動き出し、主人ネオプトレモスが旅先で暗殺されるという凶報がもたらされます。最後にペレウスが絶望に沈む中、海の女神テティスが天から現れて一族の未来と死者の救済を告げ、悲劇的な中にも神話的な救いをもって物語は幕を閉じます。
目次
15 チャンク
引用方式:line
- §1-80
テティス神殿でのアンドロマケの嘆きと息子の危機
トロイア陥落後、アキレウスの息子ネオプトレモスの奴隷となったアンドロマケが、彼の正妻ヘルミオネと父メネラオスに命を狙われ、テティス神殿に身を寄せて嘆く。そこに現れた侍女から、密かに匿っていた一人息子にも危機が迫っていることを告げられる。
- §81-165
合唱隊の登場とヘルミオネによるアンドロマケへの糾弾
アンドロマケは侍女をペレウスへの使者として送り出し、自身の過酷な運命を嘆く。そこへ合唱隊が訪れて同情を示しつつも現実を諭し、さらにヘルミオネが現れて不妊の恨みからアンドロマケを激しく難詰する。
- §166-240
ヘルミオネの侮蔑とアンドロマケの反論
ヘルミオネはアンドロマケの奴隷としての身分と不道徳な「野蛮人」の風習を激しく非難し、それに対してアンドロマケはヘルミオネ自身の嫉妬心、傲慢さ、徳の欠如こそが夫の憎しみを招いているのだと反論して激しく対立する。
- §241-328
パリスの審判の歌とメネラオスによる子の人質
ヘルミオネとアンドロマケの緊迫した口論が続き、コーラスがパリスの審判による悲劇を歌う中、メネラオスがアンドロマケの子を人質にして登場し、アンドロマケに聖域から去るか子を殺されるかの選択を迫る。
- §329-405
アンドロマケの弁明とメネラオスの冷酷な通告
アンドロマケはメネラオスに対し、彼女の死や子供の殺害がもたらすであろうネオプトレモスの怒りと、メネラオス側の不名誉を理路整然と警告する。これに対しメネラオスは、娘の苦痛を救うことはトロイア攻略に勝る重大事であると主張し、アンドロマケに自らの死か子供の死かの残酷な選択を突きつけ、アンドロマケは己の過酷な運命を嘆く。
- §406-491
メネラオスの奸計とアンドロマケの非難
アンドロマケは息子の命を救うため自ら進んで祭壇を離れるが、メネラオスに騙され親子共々窮地に陥る。彼女はスパルタ人の狡猾さを非難し、コーラスは一夫多妻や権力の分散がもたらす害悪を歌う。
- §492-587
処刑へ連行される母子と老ペレウスの介入
アンドロマケと息子のモロッソスはメネラオスに死地へと連行されるが、その途上で、危機を察知した老ペレウスが駆けつけ、メネラオスの不当な暴挙を激しく制止して対立する。
- §588-667
ペレウスとメネラオスの激しい論争
ペレウスはメネラオスの不貞な妻ヘレネへの妄執やトロイア戦争での無駄な犠牲を痛烈に批判し、アンドロマケ親子への理不尽な殺害を非難する。これに対しメネラオスは、野蛮な女に肩入れして身内を貶めるペレウスを非難し、将来的な血統の危険性を指摘して己の行為を正当化する。
- §668-745
ペレウスによるアンドロマケ救出とメネラオスの退去
メネラオスとペレウスはヘレネの不貞やギリシアの将軍たちの虚栄を巡って激しい議論を交わし、ペレウスはアンドロマケの縛めを解いて救出する。メネラオスは対決を避けて一時帰国を告げる。
- §746-848
ペレウスの退場とヘルミオネの狂乱と自殺未遂
ペレウスはアンドロマケと子供を救い出し、自らの力強さを宣言する。一方、ヘルミオネは夫への恐れと自責の念から狂乱し、自殺を図るが乳母に引き止められる。
- §849-932
オレステスの到来とヘルミオネの告白
ヘルミオネは自らの罪と破滅の恐怖から狂乱に陥るが、そこへ親族のオレステスが到来する。彼女は彼に救いを求め、アンドロマケ母子殺害の未遂とその経緯を告白する。
- §933-1012
オレステスの救出の約束とネオプトレモス謀殺の企て
ヘルミオネは悪しき女たちにそそのかされて過ちを犯したと言い訳し、オレステスに救出を求めます。オレステスは彼女の過去の婚約関係を主張しつつ、夫ネオプトレモスへの復讐計画を明かして彼女を連れ出そうとします。
- §1015-1107
使者によるネオプトレモス殺害の報告
コーラスが戦争の虚しさとアガメムノン家の悲劇を歌う中、ペレウスが登場してヘルミオネの逃亡と孫ネオプトレモスの危機を知る。そこへ使者が現れ、ネオプトレモスがデルポイの地でオレステスの陰謀により殺害されたことを報告し、その詳細を語り始める。
- §1108-1195
ネオプトレモスの遺体の帰還とペレウスの嘆き
使いの者がネオプトレモスがデルポイの神殿でオレステスとデルポイの人々によって待ち伏せされ惨殺された様子を語り、遺体がペレウスの館に届けられる。ペレウスとコロスは彼の死を深く嘆き悲しむ。
- §1196-1288
テティスの顕現とペレウスへの神託
ペレウスが孫の死と自らの孤独を嘆き絶望している中、海の女神テティスが天から現れ、亡きネオプトレモスの名誉ある埋葬とペレウス自身の神格化を告げ、悲劇の結末へと導く。
