底本
Vergil. The Bucolics, Aeneid, and Georgics Of Virgil. Greenough, J.B., editor. Boston: Ginn and Company, 1881.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:latinLit:phi0690.phi003.perseus-lat2
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要旨
滅亡したトロイアから逃れた英雄アエネアスが、神々に課せられたイタリアの地への新国家建国という運命を果たすまでの旅路と戦いを描いた全十二巻からなる叙事詩です。前半では、女神ユーノーの激しい怒りによって放浪を余儀なくされ、カルタゴの女王ディードーとの悲恋や、冥界へと降りて亡き父からローマの輝かしい未来を告げられる様子が描かれます。後半の舞台はイタリアへと移り、土地の王の娘との婚姻をめぐって、現地ルトゥリ人の王トゥルヌス率いる同盟軍との激しい戦争が勃発します。悲痛な犠牲を払いながらも、アエネアスは自らの使命を全うするために戦い続けます。最後はアエネアスとトゥルヌスによる緊迫した一騎打ちが繰り広げられ、アエネアスが怒りとともに宿敵を討ち果たし、新たな歴史の幕開けを予感させて物語は幕を閉じます。
目次
127 チャンク
引用方式:Book.line
- §1.1-1.75
ユーノーの怒りと風神アイオロスへの懇願
アエネアスの流浪の旅の背景、カルタゴを寵愛するユーノーの怒りと、彼女が嵐を起こすため風神アイオロスにアエネアスの艦隊への攻撃を懇願する様子が描かれる。
- §1.76-1.148
解き放たれた嵐とネプトゥーヌスの怒り
アイオロスはユーローの要求に応じ、山を穿って風を解き放つことで猛烈な嵐を引き起こし、アエネアスの艦隊を散り散りに破滅へと追いやる。これに憤慨した海の神ネプトゥーヌスが海上に姿を現し、風たちを厳しく叱責して海の平穏を取り戻す。
- §1.149-1.223
リビア漂着とアエネアスによる仲間の鼓舞
ネプトゥーヌスが海を静めた後、アエネアスの艦隊はリビアの穏やかな入江に上陸する。アエネアスは鹿を仕留めて仲間に分け与え、過去の苦難を振り返りながら彼らを鼓舞し、一同は食事を共にしながら行方不明の仲間を悼む。
- §1.224-1.299
ヴィーナスの訴えとユーピテルのローマ帝国予言
ユーピテルがリビアを見下ろしていると、悲しむヴィーナスが近づきアエネアス一行の苦難を訴え、ローマ建国の約束を問いかける。ユーピテルは彼女を慰め、アエネアスの輝かしい未来と、カエサルの誕生、そしてローマ帝国の永遠の繁栄を予言する。
- §1.300-1.375
変装したヴィーナスとの遭遇とディードーの過去
メルクリウスがリビアの人々、特にディードーの心を和らげた後、アエネアスは母ヴィーナスと素性を隠した姿で出会う。ヴィーナスはアエネアスに、カルタゴの建国者ディードーの過去の悲劇的な歴史を語る。
- §1.376-1.450
アエネアスの素性と霧に包まれたカルタゴ到着
アエネアスは自らの素性と苦難を語り、母ヴィーナスは彼の無事とカルタゴの繁栄を予言して去ります。その後、アエネアスは霧に包まれてカルタゴに入り、活気に満ちた建設現場と荘厳なユーノー神殿を目撃します。
- §1.451-1.528
カルタゴ神殿の壁画とディードーの登場
アエネアスがカルタゴの神殿に描かれたトロイア戦争の絵を見て涙し、その最中に女王ディードーと散り散りになっていたトロイアの仲間の姿を見出す。
- §1.529-1.603
ディードーの歓待と霧の中から現れるアエネアス
イリオネウスの演説が締めくくられ、ディードーがトロイア人に寛大な保護を申し出る。その直後、周囲の霧が突然晴れ、神々しい姿のアエネアスが現れてディードーに深く感謝を述べる。
- §1.604-1.679
ディードーの宮宴とウェヌスの計略
アエネアスはディードーの前に姿を現し、彼女の慈悲深さに深く感謝を捧げる。ディードーはトロイアの英雄たちを宮殿へと招き入れて盛大な宴を準備させるが、ウェヌスはユーノーの陰謀を警戒し、クピードーにアスカニオスに化けてディードーに恋の炎を吹き込むよう命じる。
- §1.680-1.756
クピードーの潜入とアエネアスへの物語の所望
ウェヌスの策略により、愛神クピードーがアスカニオスに変装してディードーのもとへと赴き、彼女の心に愛の炎を吹き込む。宮殿での盛大な宴会で、ディードーはアエネアスにこれまでの苦難の旅路の詳細を語るよう懇願する。
- §2.1-2.79
アエネアスの回想とトロイアの木馬の出現
カルタゴの宴席で、アエネアスは女王ディードーの求めに応じ、ギリシア人の巨大な木馬の出現から始まるトロイア滅亡の苦痛に満ちた物語を語り始める。
- §2.80-2.156
シノーンの偽りの身の上話とトロイア人の同情
ギリシア人の捕虜シノーンは、自分がギリシアの策略によって死刑を宣告され、そこから逃亡してきた経緯を偽りつつ語り、トロイア人たちの同情を買うことに成功する。
- §2.157-2.240
ラオコオーンの死と木馬の城内への搬入
シノーンの巧妙な嘘を信じたトロイア人が木馬を市内に運び入れようと決定する一方、木馬に槍を投げ入れたラオコオーンとその息子たちが二匹の巨大な蛇に襲われて非業の死を遂げ、神の怒りと解釈した市民たちが木馬を都に引き入れます。
- §2.241-2.321
ヘクトルの亡霊の警告と燃えるトロイアの目覚め
木馬が市内に導入され、夜陰に乗じてギリシア兵たちが侵入する。アイネイアースは夢で悲惨な姿のヘクトルからトロイアの滅亡を告げられて目覚め、炎上する都を見て武器を取る。
- §2.322-2.404
アエネアスの出陣とギリシア軍の武具による偽装
パントゥースからトロイア滅亡の絶望的状況を聞いたアエネアスは、狂気に満ちた覚悟で仲間たちと戦場に身を投じる。彼らは敵のアンドロゲオスらを討ち取った後、その武具を身にまとって敵に変装し、ギリシア兵たちを次々と撃破していく。
- §2.405-2.486
誤認による混戦とプリアモス宮殿の防衛
カッサンドラーの連行に激怒したコロイボスらとギリシア軍の間で、敵の武具をまとった誤解から悲惨な戦闘が生じ、仲間が次々と倒れます。アエネアースたちはプリアモスの宮殿に赴き、激しい防衛戦に加わりますが、ピュロスを筆頭とするギリシア軍は宮殿の門を突破し内部に乱入します。
- §2.487-2.564
ピュロスの宮殿乱入とプリアモスの死
ピュロスらギリシア兵が宮殿の奥深くまで侵入し、プリアモス王とその家族の目の前で息子のポリテースを殺害する。プリアモスは無力ながらも抗議するが、ピュロスによって祭壇の前で無残に殺害され、アエネアースは自らの家族を想う。
- §2.565-2.647
ヴェヌスの顕現とアンキーセースの拒絶
アエネアスの前に母ヴェヌスが現れ、神々がトロイアを滅ぼしている現実を見せて、家族を救って逃亡するよう説得する。アエネアスは実家にたどり着くが、父アンキーセースは亡命を拒否しトロイアと運命を共にすると宣言する。
- §2.648-2.723
天の兆しと老父を背負うアイネイアースの脱出
アンキーセースは頑なにトロイアに留まることを主張するが、アスカニオスの頭上に現れた無害な炎の奇跡と、それに続く天からの吉兆(左手の雷鳴と流れ星)を視て、ついに神意に屈して脱出を同意する。アイネイアースは老父を肩に背負い、幼子と妻を伴って崩壊する都市からの脱出を開始する。
- §2.724-2.804
クレウーサの消失と亡霊の予言による脱出
アイネイアースは家族を連れてトロイアを脱出する途中で妻クレウーサを見失い、燃える街に戻って彼女を捜すが、現れた彼女の亡霊からイタリアへの建国という偉大な使命を託される。彼は運命を受け入れ、背負った父アンキーセースや生き残った避難民たちとともに山へと旅立つ。
- §3.1-3.80
トラキア上陸とポリュドーロスの怪異
トロイア陥落後、アエネアースらは神託に従い、新天地を求めトラキアに上陸して都市を築こうとする。しかし、そこでかつて虐殺されたプリアモスの息子ポリュドーロスの怪異に直面し、その不浄な土地を去って聖なるデロス島へと向かう。
- §3.81-3.158
アポローンの神託とクレータ島での疫病
アエネアース一行はデロス島に到着し、アポローンから先祖の地へ戻るよう神託を受ける。アンキーセースの解釈に従ってクレータ島へ向かい定住を始めるが、疫病が発生し、夜半にトロイアの神々がアエネアースに真の目的地がイタリアであることを告げる。
- §3.159-3.237
ペナーテースの神託とストロパデス島の怪鳥
ペナーテースはアエネアースに真の目的地であるイタリアへ向かうよう告げ、それを聞いたアンキーセースはクレータを去る決意をする。彼らは航海中に激しい嵐に遭遇して漂流した末、ハルピュイアたちの住むストロパデス島に漂着する。
- §3.238-3.318
ケラエノーの不吉な予言とアンドロマケーとの再会
アエネーアースたちはハルピュイアたちと戦うが、ケラエノーからテーブルさえ食い尽くすほどの深刻な飢えに襲われるという不吉な予言を受ける。その後航海を続けてエーペイロスのブートロートゥスに到着し、そこで特洛伊の生存者であるヘレノスとアンドロマケーに再会する。
- §3.319-3.398
アンドロマケーの身の上語りとヘレノスの予言
アエネーアースは再会したアンドロマケーから、彼女が辿った悲劇的な運命と現在のヘレノスとの境遇を聞かされる。その後、ヘレノスはアエネーアースを歓迎し、イタリアへの困難な航路とそこに築くべき新都市の兆候を予言する。
- §3.399-3.477
ヘレノスの航路への助言と惜別の贈り物
ヘレノスはアエネーアスに対し、イタリア南部のギリシア人入植地を避けてシケリアを迂回し、スキュラとカリュブディスの危険を避けるよう警告する。さらにクーマエのシビュラに神託を求めるべきだと諭し、旅立ちに際して惜しみない贈り物を贈る。
- §3.478-3.558
アンドロマケーとの別れとイタリア到達
ヘレノスとアンドロマケーに見送られ、アスカニオスに亡き息子の面影を重ねるアンドロマケーとの悲しい別れを経て、アエネアースたちは再び出航する。ついにイタリアに到達した彼らは、最初の吉凶交じる予兆を目にする。
- §3.559-3.637
エトナ山への漂着とアカイメニデースの警告
アエネアスたちは危険なカリュブディスを辛うじて回避し、激しく噴火するエトナ山の麓、キクロープスたちの海岸に漂い着く。そこで彼らは、ウリクセスの艦隊に取り残されたギリシア人アカイメニデースに出会い、彼から恐るべき怪物ポリュペーモスの残虐行為と、それに対する目潰しの復讐劇を聞かされる。
- §3.638-3.718
キクロープスの地からの脱出とアンキーセースの死
アカイメニデースの警告に従ってトロイア人たちはキクロープスの海岸から急ぎ脱出し、シチリア島南岸を回る航海の末にドレパノムでアンキーセースが他界したことを語る。これでアエネアースの長い回想の物語が幕を閉じる。
- §4.1-4.80
ディードーの恋心とアンナの助言
ディードーはアエネーアースへの激しい愛に苦しみ、先夫への貞節と葛藤するが、姉アンナの勧めによりトロイアと同盟を結び愛を受け入れる決意をする。彼女は神々に犠牲を捧げつつも、抑えきれない情熱に身を焦がしていく。
- §4.81-4.161
ユノーとウェヌスの合意と狩猟の出発
ディードーはアエネーアースへの想いに苦しみ、カルタゴの建設工事は停滞する。ユノーとウェヌスは妥協案として二人を婚礼で結びつける計略に合意し、狩猟の最中に嵐を起こす計画が立てられる。そして、アエネーアースとディードーを筆頭とする華やかな狩猟の一行が出発する。
- §4.162-4.239
洞窟での契りとユーピテルの神託
嵐を避けて同じ洞窟に入ったアエネーアースとディードーは結ばれる。この事実は「噂」の女神によって広められ、求婚を拒絶されたイアルバース王の怒りを買い、彼の祈りを聞いたユーピテルはメルクリウスを派遣してアエネーアースに出発を促す。
- §4.240-4.317
メルクリウスの警告とディードーの糾弾
メルクリウスがアエネーアースのもとに降臨し、カルタゴ建設を非難してただちにイタリアへ旅立つよう神々の命令を伝える。神意を知ったアエネーアースは出発の準備をひそかに始めるが、それを察知したディードーは激しい裏切りの怒りと嘆きをもって彼を激しく糾弾する。
- §4.318-4.391
アエネーアースの拒絶とディードーの呪詛
ディードーはアエネーアースに考え直すよう涙ながらに懇願するが、アエネーアースは神々の命令によりイタリアを目指さねばならないと冷静に拒絶し、それに激怒したディードーは不吉な呪いの言葉を遺して気を失い立ち去る。
- §4.392-4.471
アンナの懇願と不吉な予兆
ディードーは悲しみのあまり倒れ込み、アエネーアースは内心の葛藤を抱えながらも出発の準備を進める。ディードーは姉のアンナを通じて出発の延期を懇願するが、アエネーアースの決意は揺るがず、不吉な予兆がディードーを追い詰めていく。
- §4.472-4.550
ディードーの死の決意と薪の準備
ディードーは悲痛のあまり死を決意し、魔術の儀式を装って姉アンナに薪を積ませる。夜、万物が穏やかに眠る中で一人眠れぬディードーは、自らの行く末を葛藤した末に、死を唯一の解決策として選ぶ。
- §4.551-4.627
アエネーアースの出航とディードーの呪言
ディードーは自らの運命を嘆き、スィカエウスへの誓いを破ったことを悔いる。一方、夢の中でメルクリウスの警告を受けたアエネアスは、直ちに出航を命じる。旅立つ艦隊を目にしたディードーは激怒し、未来の復讐者とカルタゴ・ローマ間の永遠の敵対を予言する呪いを残す。
- §4.628-4.705
ディードーの自刃と魂の解放
ディードーはアエネアスへの呪いの言葉を残した後、寝床に身を投げ出して自刃する。妹のアンナは嘆き悲しみ、苦しむディードーを抱きしめるが、最後はユーノーが遣わしたイーリスによってディードーの魂は肉体から解放される。
- §5.1-5.78
シチリア上陸とアンキーセースの追悼祭の宣言
アエネーアス一行は、嵐の予兆から進路を曲げてシチリア島のアケステースのもとへ避難する。アエネーアスは父アンキーセースの死後一年の忌日を記念して、競技会を催すことを宣言し、追悼の儀式を始める。
- §5.79-5.161
大蛇の瑞祥と競技会の開幕および船の競争
アエネアスは父アンキセスの墓前で神聖な儀式を執り行い、突如出現した大蛇に吉兆を見出す。その後、九日目に競技会が開会され、第一種目である四隻の船によるボートレースが熱狂のうちに開幕する。
- §5.162-5.238
船の競技での追走劇とクロアントゥスの祈願
ギュアースが舵手メノエテスを海に投げ捨てて自ら舵を取る中、後方のムネステウスとセルゲストゥスが追撃するが、セルゲストゥスは岩礁に激突する。最後はムネステウスがクロアントゥスに迫る中、クロアントゥスが海神に祈って勝利を誓う。
- §5.239-5.320
船競走の褒賞授与と徒競走の準備
船競走が終了し、勝利したクロアントゥスをはじめとする操舵手たちにアエネーアースが豪華な賞品を与える。その後、一同は次の競技である徒競走を行うために緑の平原の競技場へと移動する。
- §5.321-5.397
徒競走の決着と拳闘試合の名乗り
競走で首位のニーススが血に滑って転倒しつつも友エウリュアルスの勝利を助け、続くボクシング競技ではダレースが名乗り出るが相手が現れず、アケステースが老雄エンテッルスを奮起させる。
- §5.398-5.474
エンテッルスとダーレースの拳闘試合
エンテッルスは決闘を前に、自身の巨大で古い革紐(カエストゥス)を投げ捨て、自らの過去の栄光を回想する。試合の条件が公平に調整された後、二人の戦士は激しい拳闘を繰り広げるが、エンテッルスは一度激しく倒れたものの、すぐに怒りとともに立ち上がってダーレースを圧倒し、最終的にアエネアースが試合を中断させてエンテッルスの勝利を宣言する。
- §5.475-5.555
エンテッルスの引退と弓術競技の奇跡
エンテッルスはかつての力を証明するために雄牛を一撃で殺して引退を宣言する。続いて行われた弓術競技では、アケステースの放った矢が空中で燃え上がるという奇跡が起き、彼が特別な勝者とされ、その後、少年たちによる騎馬演習の準備が始まる。
- §5.556-5.636
トロイアの遊戯と船団放火を促すイーリス
アスカニオス率いるトロイアの少年たちが模擬騎兵戦「トロイアの遊戯」を披露し、観客を魅了する。一方で、ユーノーの命を受けたイーリスが老女に化けて船乗りの女性たちを扇動し、航海を終わらせて定住するために船団を燃やさせようとする。
- §5.637-5.715
船団の放火と鎮火およびナウテースの助言
イーリスにそそのかされたトロイアの女たちが船団に放火する。アスカニオスとアエネーアスが駆けつけ、ユピテルが雨を降らせて船を消火するが、アエネーアスは老ナウテースの助言を受け、志の低い人々をシチリアに残す決意を固める。
- §5.716-5.792
アケスタの創建と出航およびウェヌスの懇願
アエネーアスは長老ナウテースと亡き父アンキーセースの霊の勧めを受け、旅を続ける者とシチリアに残る者を分ける。新たな都市アケスタを創設した後、アエネーアスはイタリアへ向けて出航し、ウェヌスは船旅の安全を求めてネプトゥーヌスに懇願する。
- §5.793-5.871
ネプトゥーヌスの加護と舵手パリヌールスの海難
ウェヌスの哀願を受け入れたネプトゥーヌスは船団の安全を約束し、波を静める。出航後、舵手パリヌールスは眠りの神の誘惑を拒むが、眠らされて海に転落し、アエネーアスは友の死を深く嘆く。
- §6.1-6.75
クーマエ到着とシビュラの神殿での祈願
アエネーアス一行はついにクーマエに到着し、アエネーアスはアポローンとシビュラの神殿を訪れてダイダロスの施した浮彫を眺める。その後、神託を求めるためにシビュラの前に進み出ると、彼女はトランス状態に陥り、アエネーアスはトロイアの守護とイタリアへの定住を神々に祈願する。
- §6.76-6.147
シビュラの予言と冥界降下のための黄金の枝
神をその身に宿したシビュラはアエネーアスに対し、イタリアで待ち受ける過酷な戦争と新たな敵の出現を予言する。アエネーアスは父アンキーセースにまみえるべく冥界降下を懇願し、シビュラは降下の手順として聖なる黄金の枝を捜し出すよう指示する。
- §6.148-6.223
黄金の枝の発見とミーセーヌスの葬礼
巫女シビュラはアエネーアスに、不慮の死を遂げた仲間(ミーセーヌス)の埋葬と黄金の枝の探索を命じる。アエネーアスは母ウェヌスの鳩に導かれて黄金の枝を手に入れ、仲間の荘厳な葬儀を執り行う。
- §6.224-6.300
ミーセーヌスの埋葬と冥界への降下開始
アエネーアスはミーセーヌスの葬儀を執り行い、彼の名を冠した山の下に埋葬した後、シビュラに導かれて冥界の入り口へと赴き、怪物たちが蠢く地下世界への旅を開始する。
- §6.301-6.373
渡し守ハローンと未埋葬のパリーヌールス
アエネーアスとシビュラは冥界の川の渡し守ハローンに出会い、埋葬されていない死者たちが渡河を許されずに岸辺を彷徨う哀れな運命を知る。彼らはそこで最近海で亡くなった舵手パリーヌールスに遭遇し、パリーヌールスはアエネーアスに埋葬か、自分を共に渡らせてくれるよう懇願する。
- §6.374-6.448
ステュクス川の渡河と冥府の亡霊たち
巫女はパリーヌールスに将来の葬礼と土地の名声を予言して慰め、アエネーアス一行は黄金の枝を提示して渡し守ハローンを説得し、ステュクス川を渡る。冥府に入ったアエネーアスは、ケルベロスを眠らせ、夭折した者たちや愛の犠牲となった者たちの亡霊を目にする。
- §6.449-6.522
ディードーの拒絶とデーイポボスとの再会
アエネーアスは「嘆きの平原」でディードーの影に遭遇し、愛と神々の宿命について語りかけるが、彼女は冷ややかに立ち去る。その後、戦死した英雄たちの野を進み、惨殺されたプリアモスの子デーイポボスと再会してトロイア陥落の夜の悲劇を聞く。
- §6.523-6.598
デーイポボスの別れとタルタロスの光景
デーイポボスはヘレネーの裏切りと自らの無残な死の顛末をアエネーアスに語り、別れを告げる。その後、アエネーアスはシビュラの案内のもと、冥界の分かれ道に達し、罪人たちが苛烈な刑罰を受けるタルタロスの恐るべき光景を目にする。
- §6.599-6.675
タルタロスの罪人とエリーシウムへの進入
シビュラはタルタロスで苦しむ様々な罪人たちの刑罰をアエネーアスに説明した後、彼らは冥界の聖なる境界へと進み、黄金の枝を捧げてエリーシウム(福楽の野)へと入る。そこでは幸福な魂たちが詩歌や競い合いを楽しみ、アエネーアスらはアンキーセースの所在を尋ねるために詩人ムーサイオスに話しかける。
- §6.676-6.750
アンキーセースとの再会と霊魂転生の教え
アエネーアスとシビュラは丘を越え、父アンキーセースと再会する。アンキーセースは息子を歓迎し、レーテー川に集まる魂たちについて、宇宙の万物を動かす精神の働きと、死後の魂の浄化および転生のサイクルを交えて説明する。
- §6.751-6.826
アンキーセースによるローマの未来の英雄たちの展望
アンキーセースはアエネーアスとシビュッラを小高い丘に導き、将来イタリアに生まれるトロイアおよびローマの偉大な子孫たち(シルウィウスからアウグストゥス、さらに共和政ローマの英雄たちまで)を次々と示して、彼らの運命を説明する。
- §6.827-6.901
ローマの使命とマルケッルスの死の予言
アンキーセースはアエネーアスに対し、後にローマで激突することになるカエサルとポンペイウス、共和政の英雄たち、そして帝国の崇高な使命を説く。続いて、夭折する若きマルケッルスの悲運を嘆いた後、アエネーアスたちを象牙の門から現世へと送り出す。
- §7.1-7.82
ティベリス川河口への到着とラティウムの予兆
アエネーアス一行はカイエータを去り、キルケーの島の近くを通り抜けて、美しいティベリス川の河口からラティウムの地に到着する。ラティウムでは老王ラティーヌスが支配しており、娘ラウィーニアの婚姻をめぐる神々の不吉な予兆が起きる。
- §7.83-7.163
ファウヌスの神託とトロイア軍の予言成就
ラティーヌス王はファウヌスの神託所に赴き、異邦の婿が未来の繁栄をもたらすという神託を得る。一方、イタリアに上陸したアエネーアスたちは食事中に予言の成就を悟り、ラティーヌスへ使節を送る。
- §7.164-7.245
ラティーヌス王の引見とイリオネウスの請願
ラティーヌス王はトロイアの使節をラウレントゥムの荘厳な宮殿に迎え入れ、彼らの来訪を歓迎する。使節の長イリオネウスは、アエネーアスからの贈り物を捧げ、運命の導きに従ってこの地に平和な定住地を求めていることを告げる。
- §7.246-7.324
ラティーヌスの歓迎とユノの怒り
ラティーヌスはアエネーアスを運命の婿と確信して使節を歓迎し、返礼の馬を贈るが、天空からこれを見たユノは激怒し、天上の神々を動かせぬなら冥界を動かさんと誓ってアレークトーを呼び出す。
- §7.325-7.406
復讐の女神アレークトーの召喚とアマータの狂乱
ユーノーは復讐の女神アレークトーを呼び出してラティウムの平和を壊すよう命じ、アレークトーは王妃アマータの体内に蛇を放って彼女を狂乱へと陥れる。狂気に取り憑かれたアマータは、ラティーヌスにトロイア人との婚姻を中止するよう訴えるが、容れられないと分かると娘を拉致して森へ逃れ、他の母親たちをも巻き込んでバックスの狂乱の儀式を始める。
- §7.407-7.486
トゥルヌスの狂乱と神聖な鹿の射殺
アレークトーはルトゥリー人の王トゥルヌスのもとを訪れ、老巫女に化けて彼を戦争へ駆り立てようとするが、トゥルヌスに一蹴されたため正体を現して狂気を植え付ける。狂気にとらわれたトゥルヌスはラティーヌスへの宣戦を布告し、アスカニオスによる神聖な牡鹿の誤殺から最初の戦闘が引き起こされる。
- §7.487-7.567
シルウィアの牡鹿の負傷と農民たちとの戦い
アスカニオスがシルウィアの愛する牡鹿を傷つけたことで、農夫たちとトロイア人の間で激しい戦闘が勃発する。不和を成し遂げたアレークトーはユーノーに報告し、冥界へと帰還する。
- §7.568-7.651
ユーノーによる戦争の門の開扉と開戦
アムサンクトゥスの谷から復讐の女神が去った後、ラティウムの人々は戦死者の遺体を携えて王宮に押し寄せ、戦争を要求する。ラティーヌス王が静観を決め込む中、ユーノー自身が「戦争の門」をこじ開けてアウソニア全土に戦火が広がり、詩人は戦争に参加した英雄たちの歌を開始する。
- §7.652-7.734
ラウススをはじめとするイタリア諸部族の軍勢
メゼンティウスの息子ラウススを筆頭に、アウェンティヌス、ティブールの双子、カエクルス、メッサープス、クラウスス、ハラエスス、オエバルスなど、イタリア側の名だたる将軍たちとその率いる軍勢の系譜や特徴が歌われる。
- §7.735-7.817
トゥルヌスと女戦士カミラ率いる軍勢
オイバロス、ウフェンス、ウンブロー、ウィルビウスなど様々な地方の指揮官と彼らが率いる特異な軍勢が紹介され、続いて全軍を率いるルトゥリ人の王トゥルヌス、そして俊足の女戦士カミラが華麗に登場してイタリア軍勢の目録を締めくくる。
- §8.1-8.80
河神ティベリヌスのアエネアスへの神託
トゥルヌスがラティウムで開戦の合図を掲げて軍勢を募り、アエネアスが憂慮する中、テヴェレ川の河神ティベリヌスが夢に現れてアルカディア人との同盟を促し、アエネアスは目覚めて神に祈りを捧げる。
- §8.81-8.159
白い雌豚の犠牲とエウアンドロスとの同盟
アエネアスは白い雌豚の神託を得てそれをユーノーに捧げた後、ティブリス川を遡ってエウアンドロスの都市に到着する。彼はそこでエウアンドロスの息子パラスに温かく迎えられ、共通の祖先を説いて同盟を提案し、エウアンドロスは喜んでそれを承諾する。
- §8.160-8.243
エウアンドロスの歓待とカクス退治の物語
エウアンドロスはアエネアスに、彼の父アンキーセースとの若き日の思い出を語り、同盟を快諾する。一同で儀式の食事を共にした後、王はヘーラクレースによる怪物カクス退治の神話を語り始める。
- §8.244-8.325
カクスの討伐とサトゥルヌスの黄金時代
アルケイデースによるカクスの退治と、彼を称えるポティティウス家およびピナリウス家による儀式の起源が語られる。その後、エウアンドロス王はアエネアスに、かつてサトゥルヌスが法を与えてラティウムを治めた黄金時代の歴史を説明する。
- §8.326-8.404
将来のローマの案内と武具を願うウェヌス
エウアンドロスはラティウムの歴史と自らの運命を語りつつ、アエネアースをローマの遺跡や自らの貧しい邸宅へ案内する。夜、ウェヌスは夫ウルカヌスにアエネアースのための新たな武具の作成を嘆願し、ウルカヌスは愛の情熱に動かされてこれを承諾する。
- §8.405-8.488
武具鍛造の命とエトルリア人同盟の提案
ウルカヌスは夜半に起床し、エトナのキュクロープスたちにアエネアースのための武具制作を命じる。翌朝、エウアンドロスはアエネアースと会談し、残虐な暴君メゼンティウスを追放したエトルリア人との同盟を提案する。
- §8.489-8.567
パッラスの委託とウェヌスの吉兆
エウアンドロスはアエネアースにメゼンティウスの暴虐と、エトルリア人が彼に対して立ち上がっていることを語り、アエネアースをその軍の指導者として推薦するとともに、息子パッラスを託す。その後、天空にウェヌスからの吉兆が現れ、アエネアースは神々の助力を確信して旅立ちの準備を進め、エウアンドロスは涙ながらに息子との別れを惜しむ。
- §8.568-8.647
エウアンドロスの祈りとウェヌスの武具の授与
エウアンドロスはパッラスとの別れを惜しみ、もし不慮の死が待ち受けるなら今すぐ命を絶たせてほしいと神々に懇願する。出発したアエネアースたちの前にウェヌスが現れ、ウルカヌスが鍛造した見事な武具一式を贈り、その盾には未来のローマの歴史が克明に描かれていた。
- §8.648-8.731
アクティウムの海戦の描写と盾を担ぐアエネアース
カピトリウムをめぐる攻防やカティリーナの罰などの歴史的挿話を経て、アウグストゥスがアクティウムの海戦で勝利し、凱旋式を執り行う姿が描かれた盾の完成。アエネアースは描かれた出来事の真の意味を理解せぬまま、未来の子孫たちの運命を肩に担ぎ上げる。
- §9.1-9.73
トゥルヌスによる陣営の包囲と艦隊の攻撃
ユーノーはイーリスを送り、アエネーアス不在の隙にトロイアの陣営を攻撃するようトゥルヌスに促す。トゥルヌスは軍を率いて現れ、守りを固めるトロイア人を誘い出そうと画策し、彼らの艦隊に火を放とうとする。
- §9.74-9.147
トロイア船のニンフへの変身とトゥルヌスの演説
トゥルヌスがトロイアの艦隊を焼き払おうとすると、神々の母キベレの請願によってユピテルが船を海の女神へと変身させる奇跡が起こる。トゥルヌスはこれに屈することなく、この前兆をトロイア人にとって不利なものと主張して味方を鼓舞する。
- §9.148-9.220
ニススとエウリュアロスの夜襲計画
トゥルヌスはルトゥリー人に夜間の警戒と包囲を命じる。これに対しトロイア側のニススとエウリュアロスは、アエネーアスを呼び戻すべく夜襲と伝令の任務を志願し、その危険を共にする誓いを交わす。
- §9.221-9.293
トロイア陣営の評議会とアスカニオスの約束
ニススとエウリュアロスはトロイアの指導者たちの評議会を訪れ、アエネーアスを連れ戻すための夜襲計画を提案し、歓待される。アスカニオスは彼らに大いなる褒賞を約束し、エウリュアロスは残される自身の母親の庇護を願い出て、その場の一同を感動させる。
- §9.294-9.368
敵陣への夜襲とルトゥリー軍の殺戮
アスカニオスはエウリュアロスの母への愛に深く心を打たれて、彼への報奨と母の保護を誓い、二人は贈り物を受け取って敵陣へと出発する。ニススとエウリュアロスは眠るルトゥリー人の陣営で凄惨な殺戮を行うが、夜明けが近づくとエウリュアロスは戦利品を手にして退却を始め、そこにラティウムの騎兵隊が接近する。
- §9.369-9.440
ニススとエウリュアロスの逃走と戦死
ラティウムの先遣騎兵隊が夜闇の中でエウリュアロスとニススを発見し、森へと追跡する。エウリュアロスが捕らえられると、ニススは友を救うために二人の敵兵を倒すが、最後は友の窮地を救うべく自ら姿を現し、二人は悲劇的な死を遂げる。
- §9.441-9.515
ニススの死とエウリュアロスの母の嘆き
ニススはエウリュアロスの仇であるヴォルケンスを討った後、壮絶な死を遂げる。ルトゥリ人が二人の首を掲げて行進すると、トロイア陣営、特にエウリュアロスの母は深い悲しみに包まれ、その後ラティウム軍による城壁への強襲が始まる。
- §9.516-9.592
城壁をめぐる攻防とアスカニオスの初陣
ラティウム軍とトロイア軍による城壁をめぐる激しい死闘が繰り広げられ、トゥルヌスに破壊された塔から脱出した若者たちの悲劇が語られる。その後、様々な戦士たちが斃れる中、アスカニオスが初めて戦場で弓を引き、敵を仕留める。
- §9.593-9.667
ヌマヌスの挑発とアスカニオスの射撃
ヌマヌス(レムルス)が最前線でトロイア人を罵る。これを聞いたアスカニオスが怒り、ユピテルに祈願を捧げた後、強弓でヌマヌスの頭を射抜く。これを見たアポロンは、老人の姿となってアスカニオスのさらなる戦いへの参戦を戒めるが、トロイア軍は彼の快挙に鼓舞されて激しく反撃する。
- §9.668-9.743
門の開放とトゥルヌスの城内突入
パンダルスとビティアスがトロイア陣営の門を開けて敵を誘い込み、激しい戦闘が勃発する。トゥルヌスはこれを聞いて門へと駆けつけ、アンティパテースやビティアスらを次々と討ち取って城内に侵入し、パンダルスと対峙する。
- §9.744-9.818
パンダルスの討死とトゥルヌスの脱出
パンダルスはトゥルヌスに立ち向かうが討ち取られ、トロイア軍はパニックに陥る。トゥルヌスは城内で奮戦するが、トロイア軍の反撃と神々の介入により退却を余儀なくされ、川へ飛び込んで味方のもとへ生還する。
- §10.1-10.77
神々の会議とウェヌスとユノーの激論
オリンポスで神々の会議が開かれ、ユピテルは戦闘を止めるよう命じる。これに対し、ウェヌスはトロイア人の苦境を訴えてアスカニオスの助命を懇願し、ユノーは激怒してアエネアス側の非を鳴らす。
- §10.78-10.153
ユピテルの中立宣言とトロイア陣営の防戦
ユノーのウェヌスに対する反論が語られ、ユピテルは神々の対立を収めるために両軍に中立の立場を取ることを宣言する。その後、アエネアスの不在中にトロイア陣営で繰り広げられる激しい攻防と、アスカニオスの美しき姿、そしてアエネアスがエトルリアと同盟を結び海を戻る様子が描かれる。
- §10.154-10.231
エトルリア援軍の船出と海のニンフの警告
アエネアスはトスカーナのタルコンと同盟を組み、エトルリアの将領たちからなる援軍の艦隊を率いて出航する。航海の途中、かつてトロイアの船であった海のニンフたちがアエネアスに近づき、陣営の危機を告げる。
- §10.232-10.307
アエネアスの陣営帰還と海岸での上陸戦
船から変身したニンフのクモドケアがアエネアスに状況を伝え、アエネアスの到着を契機に両軍の間で激しい戦闘が始まる。トゥルヌスは海岸での迎撃を指揮し、タルコンの船は無理な上陸により大破する。
- §10.308-10.381
海岸の激戦とパラスによるアルカディア兵の鼓舞
トゥルヌスはルトゥリ・ラティウム軍を率いて海岸で激しい戦闘を開始し、アエネアスやクラウススらが次々と敵を打ち倒す。パラスは、不慣れな歩兵戦で潰走しかけるアルカディアの兵たちを鼓舞し、自ら敵陣へ突入する。
- §10.382-10.456
パラスの奮戦と立ち向かうトゥルヌス
パラスは驚異的な活躍で敵兵を次々と討ち倒し、戦況を好転させるが、それを目にしたトゥルヌスが戦車で乱入し、一対一の対決を迫る。
- §10.457-10.532
パラスの戦死と憤怒するアエネアスの反撃
パラスはトゥルヌスに一騎打ちを挑むが、ユピテルがその運命を嘆く中、トゥルヌスの投槍によって討たれる。トゥルヌスはパラスの剣帯を奪って勝利を誇り、パラスの戦死を知ったアエネアスは激怒して敵兵を次々と討ち倒す。
- §10.533-10.610
アエネアスの猛威とユーピテルとユーノーの対話
アエネアスはパラスの死に激怒し、ハエモニデス、タルクィトゥス、ルカグスとリゲルの兄弟など敵の戦士たちを次々と容赦なく打ち倒し、包囲されていたトロイア勢を救い出す。一方、天上ではユーピテルが、ウェヌスがトロイア勢を支えている状況についてユーノーに語りかける。
- §10.611-10.682
ユーノーによる幻影とトゥルヌスの嘆き
ユーピテルとユーノーが対話し、ユーノーはアエネアスの偽の幻影を作って、トゥルヌスを戦場から離れた船へと誘導して避難させる。トゥルヌスは自分が不名誉な逃走をしたと誤解して神々に嘆く。
- §10.683-10.758
トゥルヌスの退場とメゼンティウスの奮戦
ユーノーによって引き留められたトゥルヌスは父の都へ運ばれる。一方、戦場ではメゼンティウスが荒れ狂う岩壁や野猪のように孤軍奮闘し、アクロンやオローデースらを次々と討ち倒すが、凄惨な殺戮戦は神々の同情を誘う。
- §10.759-10.835
父を救おうとするラウススの死とアエネアスの哀悼
メゼンティウスとアエネーアースの直接対決の最中、ラウススが負傷した父を救うために身を挺して立ちふさがり、アエネーアースによって討ち取られる。アエネーアースは彼の高い孝行心に心を打たれ、丁重に遺体を送り返す。
- §10.836-10.908
メゼンティウスの再戦とアエネアスによる討伐
メゼンティウスは息子の死を知り深く悲しみ、愛馬レーブスに乗って傷ついた体で再び戦場へと赴き、アエネーアースに決死の戦いを挑む。アエネーアースはメゼンティウスの馬を倒して彼を追い詰め、メゼンティウスは息子の墓の隣に合葬されることだけを望んでアエネーアースの剣を受け入れ果てる。
- §11.1-11.78
アエネアスの戦勝記念碑とパラスへの哀悼
アエネーアースはメゼンティウスの武具を用いて戦勝記念碑を立て、ラティウムへの進撃を控えて軍を鼓舞する。その後、彼は悲劇的に命を落としたパラスの遺体と対面して深く嘆き、彼のために厳かな葬列と埋葬の準備を執り行う。
- §11.79-11.154
パラスの葬送と休戦の合意
アエネーアースはパラスの葬送の列を整えて送り出す。その後、ラティウムの使者たちと十二日間の休戦を約し、両軍は共に木を伐採して葬儀の準備をするが、エウァンデルの元にパラスの悲報が届き、父親は嘆き悲しむ。
- §11.155-11.230
エウァンデルの悲嘆と死者の火葬
エウァンデルは息子の死を深く嘆きながらも、アエネーアースにトゥルヌスへの復讐を託す。その後、両軍はそれぞれ休戦の下で大規模な葬儀と死者の火葬を執り行うが、ラティウムの都市では戦争への不満が高まる中、ディオメーデースからの同盟拒絶の返答が届く。
- §11.231-11.307
ディオメーデースの拒絶とラティヌスの講和案
ラティヌス王は評議会を招集し、ディオメーデースからの使節の報告を聞く。使節のウェヌルスは、ディオメーデースがギリシアの英雄たちの悲惨な運命とアエネーアースの神がかり的な武勇を挙げ、ラティウム人に対してアエネーアースと和平を結ぶよう促したことを報告し、これを受けてラティヌス王は戦争の終結を訴え始める。
- §11.308-11.381
ラティヌスの和睦提案とドランケースの弾劾
ラティヌス王はアエトリアの救援を諦め、トロイア人に土地を割譲して和睦するか、船を建造して出発を支援することを提案する。これに対してドランケースが立ち上がり、トゥルヌスの非協調的態度と好戦性を非難し、和睦と婚姻を要求してトゥルヌスに決闘を促し、トゥルヌスが激怒する。
- §11.382-11.455
トゥルヌスの猛反論とトロイア軍接近の報
トゥルヌスはドランケースの非難に対して激しく反論し、自らの武勲を誇って一騎打ちへの覚悟を示すが、その最中にアエネアスの軍勢が接近しているとの知らせが届き、都市は混乱に陥る。
- §11.456-11.532
トゥルヌスとカミラの共闘と伏兵の配置
テウクリ人たちの進軍にトゥルヌスは民会を中断して戦闘準備を行い、カミラと出会って共同の作戦計画を練り、アエネアスの軍勢を迎え撃つべく要害の谷に伏兵を配置する。
- §11.533-11.610
ディアナによるカミラの生い立ちの回想と騎兵戦の幕開け
ディアナは従者オーピスにカミラの過酷な運命を語り、彼女を害する者に報復するよう命じる。一方、平原では両軍の騎兵隊が互いに接近し、激突を目前にする。
- §11.611-11.688
激しい騎兵戦と女戦士カミラの奮戦
トロイア・エトルリア軍とラティウム軍の騎兵戦が激化し、一進一退の攻防が繰り広げられた後、アマゾンのような女戦士カミラの驚異的な活躍によって多くの敵兵が次々と討ち倒される。
- §11.689-11.762
カミラの武勲とタルコンの反撃
カミラはブーテース、オルシロクスを討ち取り、リーグリア人のアウヌスの息子を狡猾な徒歩戦で破る。これを見たジュピターはエトルリア人のタルコンを奮起させ、タルコンは兵を鼓舞して敵を捕らえ、一方アルンスはカミラを狙い始める。
- §11.763-11.837
アルンスによる狙撃とカミラの死
アルンスはカミラを背後から狙い、アポロンに祈りを捧げて槍を放ち、彼女に致命傷を負わせる。カミラは自らの死を悟り、戦友アッカに最期の伝言を託して息を引き取り、戦場はさらなる激戦へと突入する。
- §11.838-11.915
アルンスの討伐とラティウム軍の敗走
女神の使者オーピスがカミッラの仇であるアッルンスを仕留めて復讐を果たし、ラティウム軍は都の城門前まで敗走して凄惨な大混乱に陥る。報せを受けたトゥルヌスは待ち伏せを解き、追撃するアイネアースとともに都へ急ぐが、日没により本格的な戦闘は翌日に持ち越される。
- §12.1-12.77
トゥルヌスの一騎打ちの要求と決意
ラティウム軍の敗色濃厚な状況を見て、トゥルヌスはアイネアースとの一対一の決闘を要求し、ラティヌス王やアマータ王妃が必死に引き留めるのも聞かず、決闘への固い意志を示す。
- §12.78-12.158
決闘の準備とユートゥルナへのユーノーの唆し
トゥルヌスは決闘に備えて馬や武具を用意し、アエネアースもまた準備を整える。翌朝、両軍が決闘の場に集まる中、ユーノーはトゥルヌスの妹ユートゥルナに、兄を救うために行動するよう促す。
- §12.159-12.236
アエネアースとラティヌスの誓約とルトゥリ人の動揺
ユートゥルナはユーノーの勧めにより、決闘を前に不安を抱くルトゥリ人たちを扇動するため、兵士に変装して戦列へ向かう。一方、アエネアースとラティヌスは誓約を交わし、神々にかけて同盟の遵守を厳粛に誓い合う。
- §12.237-12.317
誓約の破棄と戦闘の再開
ユートゥルナの扇動と天空の鷲の不吉な予兆によりルトゥリ側が同盟を破棄し、全面戦闘が再開される。アエネアースは不和を静めようと説得を試みるが、戦火は止まらず激化していく。
- §12.318-12.399
アエネアースの負傷とトゥルヌスの攻勢
アエネアースが不意の矢傷により戦線離脱を余儀なくされる一方、好機を見たトゥルヌスは戦車を駆って敵陣に猛攻を仕掛け、多くのトロイア側戦士を葬る。手当てのため後方に退いたアエネアースのもとに、アポローンに愛された医術の徒イアーピュクスが駆けつける。
- §12.400-12.479
アエネアースの治癒と復帰およびユートゥルナの介入
ウェヌスが密かに調合した薬草によってアエネアースの傷は奇跡的に癒え、彼は息子アスカニウスに別れを告げて再び戦場へと赴く。アエネアースはトゥルヌスだけを執拗に探し求めるが、妹のユートゥルナは御者になりすましてトゥルヌスをその追撃から逃れさせようとする。
- §12.480-12.559
乱戦の激化とアエネアースによる都城攻撃の決断
アエネアースは敵を追い求めるが、ユートゥルナの操る戦車に阻まれる。両軍の間で激しい殺戮が繰り広げられる中、ウェヌスから着想を得たアエネアースは、無防備なラウレントゥムの城壁を直接攻撃することを決意する。
- §12.560-12.639
都城への強襲とアマータの自害およびトゥルヌスの覚悟
アエネアース率いるトロイア軍がラティヌスの都市へ総攻撃を開始し、混乱の中で王妃アマータは絶望のあまり自殺を遂げる。平原の端でこれを感じ取ったトゥルヌスは、変装した妹ユートゥルナの説得を拒み、自らの運命に直面することを決意する。
- §12.640-12.717
アエネアースとトゥルヌスの一騎打ちの開始
トゥルヌスはサケースから王妃の自殺と都市の危機を知らされ、アエネアースとの一対一の決闘を決意して戦場へと突進する。アエネアースもそれに応じて攻城戦を中断し、二人の英雄はついに直接対決の戦闘を開始する。
- §12.718-12.797
砕けた剣とトゥルヌスの逃走および再度の対峙
アエネアースとトゥルヌスの決闘が始まり、天の天秤が揺れる中、トゥルヌスの剣が砕け散って彼は逃走を余余儀なくされる。神々の介入によりそれぞれの武器が回収され、両者は再び息詰まる決戦へと対峙する。
- §12.798-12.875
ユーピテルとユーノーの和解とユートゥルナの退去
ユーピテルはユーノーにこれ以上の介入をやめるよう求め、ユーノーはトロイアの名を捨てラティウムの名と制度を残すことを条件に同意する。ユーピテルは復讐の女神を送り、これを見たユートゥルナは絶望して戦場を去る。
- §12.876-12.952
トゥルヌスの敗北と死による決戦の決着
ユートゥルナは不死の体ゆえに兄弟と死をともにできない悲痛を嘆きつつ川に姿を消し、アエネアスとトゥルヌスの一騎打ちが始まります。トゥルヌスは巨石を投げるも届かず、アエネアスの槍に射抜かれて平伏し助命を請いますが、アエネアスは彼が帯びていたパルラスの戦利品を見て激怒し、トゥルヌスを討ち取ります。
