底本
Vergil. The Bucolics, Aeneid, and Georgics Of Virgil. Greenough, J.B., editor. Boston: Ginn and Company, 1881.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:latinLit:phi0690.phi002.perseus-lat2
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翻訳と校閲
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最終更新:2026-10-18・変更履歴の一覧
要旨
本作は、古代ローマの詩人ウェルギリウスが、農耕、樹木、家畜、そして蜜蜂という4つの主題を通して、自然と人間の労働、そして文明のあり方を歌い上げた教訓詩です。全4巻からなる本作は、若き支配者オクタウィアヌスへの献辞と、ギリシアの詩人ヘシオドスの伝統を引く詩の形式をとり、イタリアの豊かな自然を舞台に展開します。第1巻と第2巻では、大地の耕起や天体の運行による季節の把握、樹木やブドウの栽培方法が説かれ、自然の猛威に対峙する人間の勤勉な労働と、農村生活の素朴な幸福が対比されます。第3巻では馬や牛などの家畜の繁殖や情熱の克服が扱われ、最後には家畜を襲う悲劇的な疫病の猛威が描かれます。そして最終第4巻では、調和のとれた蜜蜂の社会生活が描かれ、失われた群れを再生させるための神話を通じて、死と再生、そして芸術の力という普遍的なテーマへと到達します。
目次
28 チャンク
引用方式:poem.line
- §1.1-1.73
主題の提示と神々の勧請および春の耕起
詩人は本作の主題(農耕、樹木、家畜、蜜蜂)を提示して神々とカエサル(オクタウィアヌス)の加護を求め、続いて春の耕起の開始、土地それぞれの特性や気候を見極めることの重要性を論じる。
- §1.74-1.147
農作業の技法とユピテルによる労働の起源
作物の輪作や畑焼きの効用、灌漑や排水といった丁寧な農作業の重要性を説き、続いて黄金時代からユピテルによる鉄の時代への移行によって、人間が労働と技術を磨く必然性が生じた神話的背景を語る。
- §1.148-1.218
農具の準備と種子の選別および播種の時令
農業の始まり、必要な道具(犁など)、脱穀場の準備、種の選別、そして天体の運行に基づいた播種の時期について詳しく論じる。
- §1.219-1.295
星辰と気候帯の運行による農事の時節と日々の労働
小麦や豆類の種まきに適した天体の運行を指示し、宇宙の五つの気候帯や極地の構造を概説する。また、雨天や祝祭日、太陰暦の吉凶日に応じた農作業のあり方を示し、冬の夜間に行われる家庭内の細かな手仕事を描写する。
- §1.296-1.367
冬の手仕事と暴風雨および天候急変の前兆
農閑期である冬の農民の愉しみや手仕事、急に襲う暴風雨の破壊的な猛威について語る。また、春のケレース祭儀の規定と、天候の急変や嵐の到来を知らせる自然界の兆候(鳥の振る舞いや星の落下など)について説明する。
- §1.368-1.439
動物の挙動や月による雨天と晴天の気象予測
著者は嵐が接近する前兆となる様々な自然現象、動物の挙動、日常の兆候を挙げ、その後に晴天への回復を示す予兆について説明する。さらに、月や太陽の観察によって数日先、あるいは一ヶ月近く先までの天候を確実に予測できる法則を示す。
- §1.440-1.514
太陽の兆候とカエサル死後の凶兆および救済の祈願
太陽から読み取れる天候の兆候について説明し、さらにカエサルの暗殺時やその後の内乱期に現れた超自然的な凶兆を挙げ、世界の無秩序を嘆きつつ若きオクタウィアヌスによる救済を神々に祈願する。
- §2.1-2.77
樹木の自然な発生と人工的な栽培・接ぎ木法
著者はバックスとマイケーナースを勧請し、様々な樹木の自然な繁殖方法と、接ぎ木や移殖といった人間による技術的な栽培方法について論じる。
- §2.78-2.154
樹木の多様性と諸国の特産およびイタリア賛歌
筆者は接ぎ木の方法についてさらに解説し、様々な樹木やブドウ品種の多様性を述べた後、土地による適性の違いや東方の特異な樹木について紹介し、最後にイタリアの土地が持つ豊かな自然の恵みと安全さを称賛する。
- §2.155-2.232
イタリアの都市と英雄の賛美および各種土壌の性質
詩人はイタリアの大地、都市、河川、そしてカエサルをはじめとする歴史的英雄たちを讃え、ヘシオドスの農耕詩の伝統を継ぐ。続けて、オリーブ、葡萄、牧草、穀物などの作物の適性に応じた様々な土壌の性質を分析し、土壌の密度を見極める具体的な識別方法を述べる。
- §2.233-2.307
土壌の判別法と葡萄の植え付け配置
土壌の密度や塩分、肥沃さなどの具体的な見分け方を説明し、葡萄や高木を植え付ける際の整列法、地勢に応じた栽植密度、さらには樹皮の方位への配慮や火災への警戒などを詩的に説く。
- §2.308-2.385
春の植え付けと葡萄の育成および保護
葡萄の火災の脅威と野生オリーブの残存、最適な植え付け時期としての春の賛歌、苗木の育成方法と支柱の重要性、そして若い葉を家畜から保護する必要性とそれに由来する演劇の起源について論じる。
- §2.386-2.463
バックス祭と葡萄作りの労苦および農民の幸福
イタリアの農民たちの素朴なバックス祭と、葡萄畑の年中行事、オリーブや果樹など他の植物の容易な栽培について述べ、最後に自然の恵みを受ける農民の幸福な境遇を賛美し始める。
- §2.464-2.542
農民の平穏な生活と都市の騒乱の対比
詩人はローマの豪華で騒がしい都市生活と、素朴で平和な農耕生活の対比を描き、宇宙の真理を追究する哲学的な生と、田舎の神々や自然と調和して生きる幸福な農民の生を称賛しつつ、農村の四季の美しい営みを歌って第二巻を締めくくる。
- §3.1-3.81
新たな詩の構想と牛馬の選定および育成
詩人は、従来の神話的・伝統的な詩作テーマを去り、故郷マントゥアにミューズを招きカエサルの栄光を讃える新しい詩の道を切り開く決意を述べる。その後、優れた家畜の繁殖のために必要な牝牛の選び方、および名馬を育てるための仔馬の資質と初期の訓練について論じる。
- §3.82-3.162
名馬の身体的特徴と繁殖における管理法
優秀な馬の身体的特徴と、かつての名馬たちの例を挙げ、繁殖のための適切な牡・牝の管理方法や、妊娠中の牝の保護、および生まれた仔牛の選別方法について述べる。
- §3.163-3.242
仔牛と若馬の調教法と雄牛の恋の決闘
仔牛と馬のそれぞれの成長段階に応じた調教方法と飼育上の注意が説明され、続いて動物たちの力を奪う恋の情熱と、牝牛をめぐる雄牛同士の激しい決闘の様子が描かれる。
- §3.243-3.322
万物を狂わせる愛の猛威と羊・山羊の冬の飼養
著者はいかなる生霊をも狂わせる愛の猛威を、特に牝馬の狂暴な情熱とヒッポマネースの伝説を交えて描写する。その後、羊と山羊の飼育へと話題を移し、それぞれの冬の管理法や有用性を説く。
- §3.323-3.403
夏の放牧と各地の風土および羊毛と乳の管理
夏の牧畜における一日のスケジュール、リビアの遊牧民と極寒のスキティアにおける厳しい牧畜環境の対比、そして上質な羊毛や乳を得るための具体的な管理方法と交配の注意点について論じている。
- §3.404-3.484
牧犬の飼育と毒蛇の駆除および家畜の疫病
牧犬の選定や給餌について述べた後、牛舎や家畜を脅かす各種の毒蛇の危険とその対処法を説明する。さらに、羊の疥癬や熱病といった疾病の治療法、重病の個体の早期淘汰の必要性、そしてかつてアルプス地方を襲った恐るべき疫病の惨状を語り始める。
- §3.485-3.566
ノリクムの疫病の猛威とあらゆる生き物の死
ノリクムの地を襲った凄惨な疫病が、家畜のみならず犬や豚、高貴な馬、耕作を支える牡牛、さらには野生動物や海の生物、鳥にまで死をもたらす様子を描き、治療法が狂気を引き起こして逆効果になる悲劇を語る。さらに、疫病はティシポネーの跳梁によって拡大し、死骸の羊毛から作られた衣服を身につけた人間に致命的な皮膚の炎症をもたらすという、人間社会への恐怖の結末を描写する。
- §4.1-4.82
養蜂の導入と蜂箱の設置および蜂の生態と戦闘
詩神や神々の加護を祈りつつ養蜂の主題を導入し、適した巣の環境、蜂箱の製法、そして群れの管理や彼らが繰り広げる激しい戦闘の様子を描く。
- §4.83-4.162
二種の蜂の王とコリコスの老人の庭
蜂の二通りの王とその外見の違い、および蜂群が離散するのを防ぐ方法が解説され、続いて不毛な土地を勤勉に耕して豊かな実りを得たコリコスの老人の寓話が語られた後、ジュピターが蜂に与えた特殊な共同体的本性について説明が始まる。
- §4.163-4.242
蜜蜂の共同生活と神性と蜜の収穫
蜜蜂たちの社会生活と高度な秩序、役割分担、キュクロプスとの比較、繁殖における特徴(交配をしないこと)、王への絶対的な忠誠心、そして宇宙の神性と結びついたその知性について語り、最後に蜜の収穫方法と害虫対策を説明する。
- §4.243-4.324
蜜蜂の病気と治療法およびブーゴニアの伝承
病気に対する蜜蜂の兆候とその各種治療法について詳述したのち、蜜蜂が全滅した際にその一族を再生させる秘術(ブーゴニア)の伝承と、その創始者であるアリスタイオスにまつわる神話の語り出しを収録している。
- §4.325-4.405
キュレネの歓待とプロテウス捕縛の助言
アリスタイオスの嘆きを聞いた母キュレネは彼を水底の宮殿へと迎え入れ、盛大にもてなす。そして、蜜蜂を失った原因と解決策を知るために、海色の予言者プロテウスを捕らえるよう息子に助言する。
- §4.406-4.485
プロテウスの捕縛とオルペウスの悲劇の神託
アリスタイオスはプロテウスを拘束し、その様々な変身を乗り越えて彼から神託を引き出す。プロテウスはアリスタイオスに対し、亡きエウリュディケを巡るオルペウスの深い悲しみと怒り、そして彼が冥界に下った顛末を語り始める。
- §4.486-4.566
オルペウスの死と蜂の再生および詩人の結語
オルペウスは禁忌を破ってエウリュディケを振り返り、彼女を永遠に失って自身も非業の死を遂げる。キュレネの教えに従って犠牲を捧げたアリスタイオスはミツバチの奇跡的な復活を目撃し、詩人は皇帝アウグストゥスを称えつつ作品を締めくくる。
