底本
Plautus. Plauti Comoediae, Volume 2. Leo, Friedrich, editor. Berlin: Weidmann, 1896.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:latinLit:phi0119.phi017.perseus-lat2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 10 件・原文 1 件を修正
AI校閲 2026-10-12:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Claude Opus 5.5 — 日本語訳の修正なし
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 11 件・表記の統一 1 件
日本語訳を再翻訳したチャンク:1
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
『綱』は、暴風雨による遭難と、海から引き揚げられた一つの鞄をきっかけに展開する、生き別れた親子の再会と若者たちの愛を描いた古代ローマの喜劇です。物語の舞台は北アフリカのキュレネ近郊の海岸で、ウェヌスの神殿と老翁デーモネースの屋敷が隣り合っています。悪徳な女衒ラブラクスに連れ去られた若い女性パライストラは、嵐で船が難破し、相棒のアムペリスとともに海岸へ漂着します。彼女たちを追う女衒の魔の手から、デーモネースや若者の奴隷トラカリオーが彼女たちを救い出し、神殿の祭壇へと保護します。その後、デーモネースの奴隷グリープスが海から引き揚げた、綱(ルドゥンス)のついた鞄をめぐって所有権の争いが生じ、その中に眠っていた小箱の遺品から、パライストラがデーモネースの生き別れた実の娘であることが判明します。最終的にパライストラは自由の身となって愛する若者と結ばれ、奴隷たちも解放を許されて、一同が和解する大団円で幕を閉じます。
目次
22 チャンク
引用方式:line
- §1-78
アークトゥルスの口上と嵐による難破の経緯
星アークトゥルスが天界の神々による人間の監視を語り、その後、喜劇の舞台となるキュレネでの登場人物たちの背景と彼らを難破させた嵐の経緯を説明する。
- §79-153b
嵐の被害とデーモネースらの対面
アークトゥルスはプロローグを終えて立ち去り、代わって嵐の被害を嘆く奴隷スケパルニオーと、女衒に騙された若者プレウシディッペース、そして主人のデーモネースが登場し、対話を交わす。
- §154_155-222
パライストラらの漂着と孤独な嘆き
難破した船から二人の若い女性(パライストラとアムペリス)が命からがら海岸へ辿り着く様子をデーモネースたちが目撃する。その後、生き延びたパライストラが一人、荒涼とした海岸で自らの過酷な運命を嘆き、絶望を歌う。
- §223-294
娘たちの再会と神殿への庇護と漁師の歌
パライストラとアンペリスカは互いの声を頼りにして難破した海岸で再会を果たし、近くに見つけたウェヌスの神殿の女祭司に暖かく迎え入れられる。その後、貧しい地元の漁師たちが登場し、過酷な生計について歌う。
- §295-358
漁師の祈りとトラカリオのアンペリスカとの再会
貧しい漁師たちが自らの暮らしを語りウェヌスに祈る。そこへ主人のプレシディップスを捜す奴隷トラカリオが現れ、女衒ラボラックスの行方を追う中で、神殿から出てきたアンペリスカと再会し、彼女たちの乗った船が昨夜難破したことを知る。
- §358b-418
難破の顛末と水を求めるアンペリスカ
トラカリオとアンペリスカは昨夜の難破の顛末と、パライストラの身分を証明する小箱が失われた悲しみについて語り合う。その後、アンペリスカは女祭司の指示で隣の屋敷に水を求めに行き、そこで下心を覗かせる奴隷のスセパリオと出会う。
- §419-488
アンペリスカの逃走とラボラックスの出現
アンペリスカは水を求めて隣家のスケパルニオーに掛け合うが、そこで海で死んだはずの主人ラボラックスたちが生き残っているのを目撃し、急いで神殿の祭壇へ逃げ込む。スケパルニオーは戻ると彼女が消えていることに驚き、聖なる水瓶をめぐる面倒を避けるため女祭司に水瓶を返して立ち去る。
- §489-564c
ラボラックスとシャルムの口論と娘たちの生存
難破した船から這い上がってきた女衒のラブラクスと、その客のシャルムは、浜辺でお互いの愚行をなすりつけ合って激しい罵り合いと愚痴を交わす。そこへ神殿からスケパルニオが現れ、神像にすがる二人の若い女性の生存を伝える。
- §565-629b
デーモネースの不吉な夢とトラカリオーの救援要請
ラブラクスは神殿に押し入り、シャルムはスケパルニオに衣服を断られ神殿へ向かう。続いてデーモネースが不吉な夢について独白したところに、トラカリオーが助けを求めて現れ、デーモネースに必死に懇願する。
- §630-692
デーモネースの神殿介入と祭壇への避難
トラカリオーの懇願を聞いたデーモネースは、女サゼに暴力を振るう女衒のラブラクスを懲らしめるために奴隷たちを神殿へ突入させる。恐怖のうちに逃げ出してきたパライストラとアンペリスカは、トラカリオーに励まされ、屋外の祭壇を砦として避難する。
- §693-752b
祭壇での対峙とパライストラの素性
トラカリオーと女性たちはウェヌスの祭壇に避難し、彼女たちを連れ去ろうとする女衒のラブラクスにデーモネースが立ちふさがる。口論のなかで、女性の一人パライストラがアテナイ生まれの自由市民であることが明らかになり、デーモネースは失った実の娘の面影を重ねる。
- §753-820
ラブラクスの放火の脅迫とデーモネースの監視
トラカリオーとラブラクスが互いの背中の不名誉さ(鞭打ちの痕)を競った後、ラブラクスは神殿から火を借りようと画策し、祭壇の女たちを焼き殺すと脅す。デーモネースは奴隷たちに棍棒を持たせ、ラブラクスが女たちに触れたり逃げ出したりしないよう厳重に監視させる。
- §821-891
プレシディップスによるラブラクスの連行
プレシディップスが到着して女衒ラブラクスを裁判所へ連行しようとし、ハルミデースがそれを嘲笑する。
- §892-951b
グリープスの引き揚げた鞄と自由の夢
デーモネースは妻の監視を気にしつつ家に戻る。入れ替わりに登場した奴隷のグリープスは、海から引き揚げた重い鞄によって自由を得る夢を独白するが、そこに現れたトラカリオーに引き留められる。
- §952-1008
引き揚げた鞄の所有権をめぐる口論
トラケリオは裏切らないという誓いを得て、グリプスの持つ鞄をめぐる争いを始める。二人は鞄が海の共有物であるかグリプスの私有物であるかを議論し、皮肉や脅しを交えて対立を深める。
- §1009-1063c
デーモネースへの仲裁の依頼と激しい口論
グリップスとトラカリオーは、言い争いの末に近くの別荘の主人に裁定を委ねることで合意するが、その主人はグリップスの雇用主であるデーモネースであった。家から出てきたデーモネースに、二人は自分たちの正当性を訴えようと再び激しく口論し始める。
- §1064-1119
鞄の中の身元証明の品とデーモネースへの訴え
トラカリオとグリープスが鞄の所有権を巡ってデーモネースの前で言い争い、トラカリオは鞄の中の小箱が誘拐されたアテナイの自由な女性の親戚捜しの手がかりであることを訴える。
- §1120-1176
玩具による身元証明と父娘の再会
パライストラは鞄の中にある小箱の玩具を一つ一つ正確に言い当て、自分がデーモネースの生き別れた娘であることを証明する。父親であると判明したデーモネースは娘を抱きしめて再会を喜ぶ。
- §1177-1240
父娘の再会の歓喜とグリープスの不満
デーモネースは発見された小箱の証拠から、パライストラが自分の娘であることを確信し、再会を喜ぶ。トラーカリオーは主人プレースィディッポスを呼びに街へ向かい、漁師グリープスは宝の分け前を得られなかったことについてデーモネースに不満を漏らす。
- §1241-1304b
敗訴したラブラクスの嘆きとグリープスとの遭遇
デーモネースはグリープスの貪欲さを諌めて中に入り、プレースィディッポスとトラーカリオーがパライストラの発見を喜び合いつつ退場する。敗訴した女衒ラブラクスが嘆く中、鞄の件で怒るグリープスが現れ、二人は遭遇する。
- §1304c-1366b
報酬の誓約と鞄の返還による娘の判明
グリープスは鞄を失ったラボラックスと出会い、彼に1タラントンの報酬を支払うことをウェヌスの祭壇で誓わせる。その後、デーモネースが鞄を持って現れ、パライストラが自分の娘であることを明らかにする。
- §1367-1423c
奴隷二人の解放の合意と大団円
デモネスはグリープスへの報酬として誓約された1タラントンを女衒から要求し、それを活用してアンペリスカとグリープスの二人を解放する交渉を成立させる。最後に劇を締めくくり、観客に盛大な拍手を求める。
