底本
Plautus. Plauti Comoediae, Volume 2. Leo, Friedrich, editor. Berlin: Weidmann, 1896.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:latinLit:phi0119.phi013.perseus-lat2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 7 件・表記の統一 3 件
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、主人の留守中に放蕩の限りを尽くした息子と、突然帰宅した主人を欺くために嘘を重ねる機転の利いた奴隷をめぐる、ドタバタ劇を描いた古代ローマの喜劇である。アテナイを舞台に、厳格な父親テオプロピデスの不在中、息子のフィロラケスは奴隷のトラニオ(Tranio)の手を借りて、借金をして恋人の遊女を身受けし、仲間と酒宴に興じていた。しかし、父親が予定より早く帰国したことで事態は一変する。トラニオは家の中で騒ぐ若者たちを隠し、父親に「この家には幽霊が出る」と嘘をついて中に入るのを阻止する。さらに借金取りや隣人が現れると、トラニオは「隣の家を買い取るための手付金だ」と次々に即興の嘘を重ねていく。最終的にすべての嘘が露見し、トラニオは祭壇に逃げ込んで怒る主人と言い争うが、息子の友人カッリダマテスのとりなしによって、一同は罰を免れて大団円を迎える。
目次
18 チャンク
引用方式:line
- §1-77
奴隷トラニオとグルミオの放蕩をめぐる口論
都会の奴隷トラニオと田舎の奴隷グルミオが、トラニオの放蕩とそれによる若旦那の堕落について、帰国予定の主人の処罰を予期しながら口論する。
- §78-152
フィロラケスの登場と人間を家に例える独白
グルミオが田舎へ去った後、若旦那のフィロラケスが登場し、人間は生まれたときには新築の家のようなものであり、その後の管理や怠惰によって家が崩壊するように人間も堕落していくという有名な比喩を独白で歌う。
- §153-209c
フィレマティウムとスカパの対話を立ち聞きするフィロラケス
フィロラケスは堕落した自身の独白を続けるが、解放された恋人フィレマティウムと老侍女スカパの会話を耳にする。スカパが一人の男に操を立てる愚かさを説くのに対し、フィレマティウムは貞節を主張し、陰でこれを聞くフィロラケスを喜ばせる。
- §210-267
スカパの忠告を拒み貞節を誓うフィレマティウム
若き解放奴隷フィレマティウムが、侍女スカパの皮肉や忠告を拒みつつ、恩人フィロラケスへの一途な愛と貞節を貫こうとする。陰でこれを聞くフィロラケスは深く感動し、化粧をして美しく着飾る彼女の姿を喜びながら見守る。
- §267b-328
酒宴の準備と酔ったカッリダマテスの合流
フィレマティウムのおめかしをめぐる会話の後、フィロラケスが彼女と酒宴を始めようとするところに、酔っ払った友人カッリダマテスが恋人を連れてやってくる。
- §328b-387b
主人の帰国を報じるトラニオと酒宴の動揺
泥酔したカッリダマテスらがフィロラケスたちと合流するが、そこへ主人の帰国という最悪の知らせを携えてトラニオが戻り、一同はパニックに陥る。
- §388-457
トラニオの策略と帰国した父テオプロピデス
トラニオはフィロラケスたちを家の中に退避させ、父親テオプロピデスを遠ざけるための嘘の計画を練る。帰国した父親が扉を叩き始めると、トラニオは幽霊屋敷の嘘をでっち上げるために、家に触った父親を非難して驚かせる。
- §457b-528b
トラニオの語る偽の幽霊話とテオプロピデスの恐怖
トラニオはテオプロピデスが家に触れてしまったことで不浄の呪いがかかったと脅し、この家でかつて陰惨な殺人が行われたという偽の幽霊話を語って家から遠ざけようとする。
- §529-598
高利貸しミサルギリデスの出現とテオプロピデスの復帰
テオプロピデスが戻り、家の元持ち主が殺人を否定したと報告する。トラニオがその場を取り繕うとする中、借金の返済を激しく迫る高利貸しのミサルギリデスが現れ、事態はさらに混乱する。
- §598b-671
隣家の購入というトラニオの嘘と借金の弁明
高利貸しが息子の借金の返済を迫る中、奴隷のトラニオは、息子が近所の隣人の家を購入するための手付金としてその金を借りたのだと、とっさの嘘をついて主人を騙す。
- §672-744_745
家見学の時間稼ぎとシモーへのトラニオの接触
テオプロピデスが買ったばかりの家を見学したがるが、トラニオはシモーの妻を理由に時間を稼ぎ、その間に家から出てきたシモーに近づき主人帰国の危機を打ち明けようとする。
- §744_745b-813b
シモー邸の見学の段取りとテオプロピデースへの口止め
トラニオはシモーに、主人のテオプロピデースが自身の家を改築するために見学したがっていると嘘をついて許可を得る。その後、テオプロピデースにはシモーが売却を悔やんで深く悲しんでいると騙し、購入の事実を口にしないように求めて見学へ案内する。
- §814-875
シモー邸の見学とトラニオによる偽りの案内
テオプロピデースはトラーニオに案内され、購入したとされるシモーの家を視察する。トラーニオは嘘の絵画や誇張した柱の説明でテオプロピデースを幻惑し、その後、忠実な奴隷を自認するファンニスクスのモノローグが始まる。
- §876-937b
ファニスクスの登場とテオプロピデース邸の扉叩き
忠実な奴隷ファニスクスと同僚の小競り合いが描かれた後、テオプロピデスとトラーニオは家の買い物の成功を喜び合い、トラーニオは裏門から立ち去るが、テオプロピデスの家の前で主人を迎えに来た奴隷たちが扉を叩き始める。
- §938-993
奴隷たちとの対話と発覚する息子の放蕩
テオプロピデースは息子の友人カリダマテースの奴隷たちに遭遇し、彼らとの会話から、トラーニオに騙されていたこと、そして息子のフィロラケースが自分の不在中に放蕩の限りを尽くし、大金を費やして女を身受けしていたという衝撃の事実を知る。
- §994-1063
シモーの否定と発覚するトラニオの嘘
テオプロピデースは隣人のスィモーに会い、息子の家購入の真偽を問うが、スィモーが金の受け取りを一切否定したため、トラーニオのすべての嘘が発覚する。一方、窮地を脱したトラーニオは新たな策略を練って主人の前に姿を現す。
- §1064-1122
祭壇へ逃げ込むトラニオとテオプロピデースの怒り
セオプロピデースはトラーニオを捕らえるために奴隷たちに手枷を用意させるが、トラーニオは悪巧みが露見したことを悟って祭壇に逃げ込み、主人を言葉巧みにかわす。怒るセオプロピデースはトラーニオを罰しようとするが、そこに息子の友人カッリダマテースが現れる。
- §1123-1181
カッリダマテースの仲裁とトラニオらの赦免
カッリダマテースがテオプロピデースの前に現れ、フィロラケースとトラーニオのこれまでの罪の許しを請う。怒るテオプロピデースは最終的に息子の行為を許し、トラーニオの執拗な懇願とカッリダマテースの取りなしに負けてトラーニオへの罰をも免除し、劇はめでたく幕を閉じる。
