底本
Plautus. Plauti Comoediae, Volume 1. Leo, Friedrich, editor. Berlin: Weidmann, 1895.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:latinLit:phi0119.phi005.perseus-lat2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、戦争によって生き別れになった父子の再会と、主人と奴隷の間の揺るぎない忠義をテーマにしたラテン喜劇です。舞台はアイトーリアで、老人ヘギオーは戦争捕虜となった息子を取り戻すため、エリスの捕虜たちを買い取ります。その中には高貴な若者フィロクラテスとその奴隷ティンダルスがいましたが、二人は互いの身分を入れ替える作戦を実行します。ヘギオーは騙されたことを知って怒り狂い、残されたティンダルスに過酷な石切り場での労働を命じますが、のちに本物の息子が帰還します。さらに、かつてヘギオーのもう一人の幼い息子を誘拐した逃亡奴隷の自白により、ティンダルスこそがその失われた実の息子であることが判明します。こうして劇的な親子再会が果たされ、劇は道徳的な美徳を称えつつ大団円を迎えます。
目次
17 チャンク
引用方式:line
- §1-74
劇の背景と二人の捕虜の境遇を語る口上
この劇の前提となる背景(エリスとアイトーリアの戦争、ヘギオーの二人の息子の運命、捕虜となった息子の身代わりトリック)を説明し、観客へのお願いや劇の特色、自身のあだ名「スコルトゥム」の由来を語る。
- §75-147
食客エルガシルスの嘆きとヘギオーとの対話
食客のエルガシルスは、パトロンのフィロポレムスを失った悲しみと飢えを嘆き、ヘギオーと出会ってその不運を共に悲しむ。ヘギオーは捕虜たちの監視について奴隷頭に指示を与えつつ、我が子を想う。
- §148-217
エルガシルスの夕食の約束と捕虜たちの対話の許可
エルガシルスはヘギオーと夕食の約束を取り付け、自らの旺盛な食欲をユーモラスにアピールする。その後、監視役が捕虜たちに奴隷としての心構えを説き、彼らの要望に応じて二人だけで話す時間を与える。
- §218-275
捕虜二人の身代わり密約とヘギオーの尋問
フィロクラテスとティンダルスは完全な役割の入れ替えを誓い合い、続いて登場したヘギオーの尋問に対し、ティンダルスが巧みに奴隷のふりをして応じる。
- §276-330
ヘギオーの家柄調査と身代わり捕虜の弁明
ヘギオーは奴隷に変装したフィロクラテスから、主人の家柄や父親の極端な強欲さについて聞き出す。その後、主人のふりをしているティンダルスに対し、同じことを確認するが、ティンダルスは自らの高貴な生まれを認めつつ、人間の運命の不確かさを説いて寛大な対応を求める。
- §331-387
息子奪還のための奴隷派遣の合意と伝言
ヘギオーは、息子の身代金として、フィロクラテスの奴隷(実際はフィロクラテス本人)に担保額を設定してエーリスへ送り、彼の父親と交渉させることに同意する。ティンダルス(フィロクラテスのふりをしている)は、解放された奴隷に父親への伝言を託し、忠誠を尽くすよう指示する。
- §388-442
身代わり捕虜の伝言とヘギオーの感動
ティンダルスとフィロクラテスは、ヘギオーの前で役割を交代した状態のまま、故郷の父親への伝言を託し合う。二人の間の忠誠心にヘギオーが感動する一方、ティンダルスは自分を身代わりとして残して逃げ出さないようフィロクラテスに忠告する。
- §443-500
フィロクラテスの出立と寄食者エルガシルスの嘆き
ティンダルスとフィロクラテスは互いの安全を祈って別れ、ヘギオーはフィロクラテスを送り出す。その後、飢えに苦しむ寄食者エルガシルスが登場し、若者たちの冷遇と自身の空腹を嘆いた後、ヘギオーが再び登場して満足感を語り始める。
- §501-558
アリストポンテースの登場とティンダルスの策謀
ヘギオーは通行証を入手してフィロクラテス(実際はティンダルス)を送り出した後、別の捕虜アリストポンテースを連れて戻る。自分の正体が暴かれることを察知したティンダルスは、アリストポンテースを狂人として扱うことでヘギオーを騙し通そうと画策する。
- §559-611
アリストポンテースの狂気とヘギオーの疑惑
ヘギオーはアリストポンテースを完全に狂人だと信じ込み、ティンダルスはその誤解を利用して窮地を切り抜けようとする。しかし最後にヘギオーは、ティンダルスが裏で怪しい合図を送っているのを見咎め、彼の正体に疑いを抱き始める。
- §611b-669
ティンダルスの正体の露見とヘギオーの怒り
アリストポンテースの証言と詳細な容姿の描写によって、ヘギオーは目の前の男がフィロクラテスではなく奴隷のティンダルスであり、自分が騙されていたことを悟る。怒ったヘギオーは、自分をからかい続けるティンダルスを縛るよう部下に命じる。
- §670-742
ティンダルスの石切り場送り宣告と忠誠心
ヘギオーはティンダルスの欺きに激怒し、彼を過酷な石切り場での労働刑に処すことを決める。ティンダルスは主人フィロクラテスを救った忠義の誇りを胸に、恐れることなく刑に赴き、アリストポンテースは自らの告発がもたらした結果を悔やむ。
- §743-808
ヘギオーの嘆きと吉報を携えたエルガシルス
ティンダルスが連行された後、ヘギオーは欺かれたことへの怒りと悲しみを募らせる。一方、吉報を携えた寄食者エルガシルスが上機嫌で現れ、道を塞ぐ者たちを荒々しく脅しながらヘギオーの家へと急ぐ。
- §809-868
エルガシルスの布告とヘギオーへの祝宴要求
エルガシルスは、様々な商人たちを罰するという市場監督官のような傲慢な布告を独り言で叫びながら、ヘギオーのもとに現れる。彼はヘギオーの息子に関する大いなる吉報を抱えており、ヘギオーに豪華な宴会の準備と自分への捧げ物を要求して、彼を煙に巻く。
- §868b-926
息子の帰還の確報と暴れ回るエルガシルス
エルガシルスはヘギオーに、彼の息子フィロポレムス、エリスの若者、そして逃亡奴隷スタラグムスが港に帰還したという確報を伝え、食料貯蔵の全権を得て歓喜しながら台所を襲撃して暴れ回り、その後ヘギオーが息子との再会を神々に感謝するシーンへと繋がります。
- §927-980
息子の帰還とスタラグムスの尋問
ヘギオーはフィロポレムスの帰還を喜び、身代わりとして苦役を課していたティンダルスの解放を約束する。続いて、逃亡奴隷スタラグムスを尋問し、彼がかつてヘギオーのもう一人の幼い息子を誘拐して、エリスにいるフィロクラテースの父親に売り飛ばした事実を聞き出す。
- §980b-1036
ティンダルスの正体判明と親子の再会
スタラグムスの自白によって、ティンダルスが実はヘギオーの二十年前に失われた息子であることが判明し、劇的な親子の再会が果たされる。足枷を外されたティンダルスが本来の身分を取り戻し、劇は貞淑な道徳を称える口上とともに観客への拍手の要請で幕を閉じる。
